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第4章 シシーオ領にて
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私たちは、ユイナを中心に集まり始めた人の輪からそっと抜け出した。そのうち衛兵の応援も駆けつけるだろうから、面倒なことになる前にこの場を離れることにする。
「死ぬほど寒いんだー!誰か早くなんとかしてくれー!」
頭だけ無事だった小男は、情けない声で助けを求めてくる。散々他人を傷付けてきたんだから、そのくらい自業自得だ!
小男の喚き声を背後に聞きながら、人集りを避け静かな路地を選んで進む。
「ん…、あれ…?」
ケータの腕の中でサトコが目を覚ました。気がついたなら、早くそこから降りろ!
「サトコ、気がつい…ムグッ」
ケータが胸元のサトコに視線を下ろした瞬間、サトコがケータの首元に自分の腕を回し、自分の唇をケータの唇に押し付けた。
「サ、サトコ!」
「サトコさんっ!」
私と共にルーまで一緒に叫んだ。コイツ、自分のこと棚に上げやがって!
私たちはふたりでケータに駆け寄ると、無理矢理サトコを引きずり下ろした。
強引に引き剥がされたサトコの口から「プハッ」と吐息がもれ、唾液の糸がツーッと延びる。ま、まさか、ウソでしょ?
満足そうなサトコの表情とは裏腹に、ケータは耳まで真っ赤に染めて放心状態だ。脳天から幽体が抜け出そうになってる。
「ちょ、ちょっとケータ!」
私はケータの肩を揺さぶった。ソッチに行っちゃダメ!
「あ、あれ?今一瞬、お花畑が見えたような…?」
ケータはハッと意識を取り戻す。
「サトコさん、強引なのも結構ですが、一歩遅かったですね」
ルーが「フフン」と高みから笑う。
「ルーのアレは『治療行為』なんでしょう?自分で言ってたよね?だからケータくんの『ファーストキス』の相手は私」
サトコはケータの腕を掴むと、自分の方に抱きよせた。ケータは自分の身に降りかかった出来事を思い出したかのように、顔が一瞬で上気した。
「な……」
ルーは絶句する。そしてプルプルと握った拳を震わせる。ルーの悔しがる姿って珍しい……て、そんな場合じゃない!こんな一大事に、私、完全に蚊帳の外だ!
「ちょっと、ケータ!私にもキスさせなさいよ!」
私はケータの胸ぐらを掴むと、思わずどストレートに懇願してしまった。
「おま…、何言ってんだっ!」
ケータは真っ赤な顔をしたまま、口元を押さえて後退る。さすがに三度目ともなると、警戒心が強い。
「ヤダ、何あれ?ムードもへったくれもない」
「盛っちゃって、みっともないです」
さっきまでいがみ合っていたクセに、サトコとルーが息を合わせて私を非難してきた。コイツらホント、いっぺん死んでほしい…
とはいえ、このままじゃダメだ…
たかがキス、されどキス。私だけが大きく後退してしまう!
「ケータの言いたいことは、充分に分かる!だけど、私の気持ちも分かって!」
私は半泣きで、顔を真っ赤にして訴えた。こんな同情を誘うようなキスで、私は本当に後悔しないのだろうか?
だけど私だけが取り残されるのは、やっぱり我慢が出来ない!
「うー…」
本泣きするつもりはなかったのに、思わず涙が一粒零れた。私は咄嗟に目を閉じて顔を伏せた。
その時「ジャリ」とケータの足が、私の方に一歩進みでる気配がした。次の瞬間、私のおデコに柔らかな感触が伝わる。
ビックリして顔を上げると、真っ赤な顔で口元を押さえたケータの横顔があった。私と目線を合わせないようにしているみたい。
でも、おデコ…だった。私が妹だから?やっぱり私じゃダメなの?溢れる涙を我慢出来そうにない。
「ボ、ボクからするのはハルカが初めてだから、今はそれで勘弁してほしい…」
ケータが消え入りそうな声で、そう言った。
「え…?」
私は一瞬ポカンとした。だけど、ケータの言葉の意味がゆっくりと身体に染み渡っていく。
「うん、うん、ありがとう、ケータ…」
嬉しい、ホントに嬉しい…
私は結局、我慢出来ずに涙が溢れた。
「ケータお兄ちゃん、ハルカさんだけズルイです」
「ケータくん、おデコでもいいから、私にもしてよ!」
私の余韻をかき消すように、害虫たちが騒ぎ始めた。お前らにそんなこと言う権利なんて、ある訳ないでしょーがっ!
私はケータに詰め寄るサトコとルーを、コンサートの警備員よろしく押し留めると、声を限りに叫んだ。
「お前らいっぺん死ねーーー!」
「死ぬほど寒いんだー!誰か早くなんとかしてくれー!」
頭だけ無事だった小男は、情けない声で助けを求めてくる。散々他人を傷付けてきたんだから、そのくらい自業自得だ!
小男の喚き声を背後に聞きながら、人集りを避け静かな路地を選んで進む。
「ん…、あれ…?」
ケータの腕の中でサトコが目を覚ました。気がついたなら、早くそこから降りろ!
「サトコ、気がつい…ムグッ」
ケータが胸元のサトコに視線を下ろした瞬間、サトコがケータの首元に自分の腕を回し、自分の唇をケータの唇に押し付けた。
「サ、サトコ!」
「サトコさんっ!」
私と共にルーまで一緒に叫んだ。コイツ、自分のこと棚に上げやがって!
私たちはふたりでケータに駆け寄ると、無理矢理サトコを引きずり下ろした。
強引に引き剥がされたサトコの口から「プハッ」と吐息がもれ、唾液の糸がツーッと延びる。ま、まさか、ウソでしょ?
満足そうなサトコの表情とは裏腹に、ケータは耳まで真っ赤に染めて放心状態だ。脳天から幽体が抜け出そうになってる。
「ちょ、ちょっとケータ!」
私はケータの肩を揺さぶった。ソッチに行っちゃダメ!
「あ、あれ?今一瞬、お花畑が見えたような…?」
ケータはハッと意識を取り戻す。
「サトコさん、強引なのも結構ですが、一歩遅かったですね」
ルーが「フフン」と高みから笑う。
「ルーのアレは『治療行為』なんでしょう?自分で言ってたよね?だからケータくんの『ファーストキス』の相手は私」
サトコはケータの腕を掴むと、自分の方に抱きよせた。ケータは自分の身に降りかかった出来事を思い出したかのように、顔が一瞬で上気した。
「な……」
ルーは絶句する。そしてプルプルと握った拳を震わせる。ルーの悔しがる姿って珍しい……て、そんな場合じゃない!こんな一大事に、私、完全に蚊帳の外だ!
「ちょっと、ケータ!私にもキスさせなさいよ!」
私はケータの胸ぐらを掴むと、思わずどストレートに懇願してしまった。
「おま…、何言ってんだっ!」
ケータは真っ赤な顔をしたまま、口元を押さえて後退る。さすがに三度目ともなると、警戒心が強い。
「ヤダ、何あれ?ムードもへったくれもない」
「盛っちゃって、みっともないです」
さっきまでいがみ合っていたクセに、サトコとルーが息を合わせて私を非難してきた。コイツらホント、いっぺん死んでほしい…
とはいえ、このままじゃダメだ…
たかがキス、されどキス。私だけが大きく後退してしまう!
「ケータの言いたいことは、充分に分かる!だけど、私の気持ちも分かって!」
私は半泣きで、顔を真っ赤にして訴えた。こんな同情を誘うようなキスで、私は本当に後悔しないのだろうか?
だけど私だけが取り残されるのは、やっぱり我慢が出来ない!
「うー…」
本泣きするつもりはなかったのに、思わず涙が一粒零れた。私は咄嗟に目を閉じて顔を伏せた。
その時「ジャリ」とケータの足が、私の方に一歩進みでる気配がした。次の瞬間、私のおデコに柔らかな感触が伝わる。
ビックリして顔を上げると、真っ赤な顔で口元を押さえたケータの横顔があった。私と目線を合わせないようにしているみたい。
でも、おデコ…だった。私が妹だから?やっぱり私じゃダメなの?溢れる涙を我慢出来そうにない。
「ボ、ボクからするのはハルカが初めてだから、今はそれで勘弁してほしい…」
ケータが消え入りそうな声で、そう言った。
「え…?」
私は一瞬ポカンとした。だけど、ケータの言葉の意味がゆっくりと身体に染み渡っていく。
「うん、うん、ありがとう、ケータ…」
嬉しい、ホントに嬉しい…
私は結局、我慢出来ずに涙が溢れた。
「ケータお兄ちゃん、ハルカさんだけズルイです」
「ケータくん、おデコでもいいから、私にもしてよ!」
私の余韻をかき消すように、害虫たちが騒ぎ始めた。お前らにそんなこと言う権利なんて、ある訳ないでしょーがっ!
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