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断章2
93 番外編 13
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離れた場所で事の一部始終を眺めていた女性が、呑気な声で「あらら…」と呟いた。
金色ボタンの白い詰襟とスラックスで身を包んだ黒色長髪の女性だ。「クマン」領の制服である。今回の演習ではクマン領の参加者は彼女一人だけであった。
「せっかく毒竜まで呼び寄せたのに、あっちの勇者さんまで来てるなんて、ホント困っちゃう」
言いながら女性の姿が、テレビの映像が乱れるかのようにザザッと歪む。あとに現れたのは、漆黒の髪を紅いリボンでツインテールに結んだ小学生くらいの女の子だった。耳の後ろあたりで結んだテールの毛先は肩口にまで届いている。肩の開いた黒と白のメイド服と黒ストッキングに身を包み、2メートルを超す大きな黒い鎌を携えていた。
「小さくしたのは聖騎士さんの能力じゃないよね」
少女が自分の背中をポンとはたくと、鴉のような漆黒の翼がバサッと生えた。まるで吸い寄せられるようにスゥーッと空に舞い上がっていく。
「あの空間術士さんのせいだとしたら、一体何者かしら?興味出てきちゃったな」
少女はそう言い残して、ボーダー連峰の彼方に飛び去っていった。
~~~
ショウは王宮の自室に戻ってくると、ボフンとベッドにダイブした。竜を倒したあと、満面の笑みで駆けつけたアリスと合流すると、面倒な事後処理に巻き込まれる前にサッサと退散してきたのだ。
ろくに着替えもせず、うつ伏せでウトウトし始めたときに、扉をノックする音が聞こえた。
なんだか面倒になったので、このまま無視してしまおうかと思ったときに「ショウ」とアリスの声が聞こえた。
ショウはパッと目を開くと、身体を起こしてガバッと立ち上がった。
黒縁眼鏡をかけ直すと、少し乱れた髪を手櫛で整えながら扉を開けた。
「どうした?」
「もしかして、寝ていましたか?」
アリスが申し訳なさそうな顔をした。
「いや、少し横になっていただけだ」
「そ、そうですか」
アリスがホッとしたように微笑んだ。
「少しお話、よろしいですか?」
「ああ、入れよ」
ショウに促され、アリスは中に入る。ふたりはそれぞれ、一人掛けのソファに対面で座った。
「やはり心配で…。身体に異常はどこにもないですか?」
竜とほぼ一騎討ち状態だったのだ。普通は無事で済むハズはない。
「ああ、ダメージらしいダメージは受けてないからな」
「はー…流石ですね」
サラリと言ったショウの言葉に、アリスは心底感心する。
「ただ、倒せたのは誰かの援護のおかげだ。衛兵の中に、竜の身体を小さくして巨大な金属の塊で叩き潰したヤツがいる」
「そのような魔法、聞いたこともありませんね。後日にでも情報を集めてみましよう」
「そうだな、頼む」
ショウはアリスの提案に頷いた。
「ところで、ソッチは大丈夫だったか?」
今度はショウがアリスに質問した。
「ええ、なんとか。ですが一度、珍しい職業の方に助けていただきました」
アリスが少し興奮気味に声を上げた。
「珍しい職業?」
「はい。あれはきっと『獣魔使い』です」
金色ボタンの白い詰襟とスラックスで身を包んだ黒色長髪の女性だ。「クマン」領の制服である。今回の演習ではクマン領の参加者は彼女一人だけであった。
「せっかく毒竜まで呼び寄せたのに、あっちの勇者さんまで来てるなんて、ホント困っちゃう」
言いながら女性の姿が、テレビの映像が乱れるかのようにザザッと歪む。あとに現れたのは、漆黒の髪を紅いリボンでツインテールに結んだ小学生くらいの女の子だった。耳の後ろあたりで結んだテールの毛先は肩口にまで届いている。肩の開いた黒と白のメイド服と黒ストッキングに身を包み、2メートルを超す大きな黒い鎌を携えていた。
「小さくしたのは聖騎士さんの能力じゃないよね」
少女が自分の背中をポンとはたくと、鴉のような漆黒の翼がバサッと生えた。まるで吸い寄せられるようにスゥーッと空に舞い上がっていく。
「あの空間術士さんのせいだとしたら、一体何者かしら?興味出てきちゃったな」
少女はそう言い残して、ボーダー連峰の彼方に飛び去っていった。
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ショウは王宮の自室に戻ってくると、ボフンとベッドにダイブした。竜を倒したあと、満面の笑みで駆けつけたアリスと合流すると、面倒な事後処理に巻き込まれる前にサッサと退散してきたのだ。
ろくに着替えもせず、うつ伏せでウトウトし始めたときに、扉をノックする音が聞こえた。
なんだか面倒になったので、このまま無視してしまおうかと思ったときに「ショウ」とアリスの声が聞こえた。
ショウはパッと目を開くと、身体を起こしてガバッと立ち上がった。
黒縁眼鏡をかけ直すと、少し乱れた髪を手櫛で整えながら扉を開けた。
「どうした?」
「もしかして、寝ていましたか?」
アリスが申し訳なさそうな顔をした。
「いや、少し横になっていただけだ」
「そ、そうですか」
アリスがホッとしたように微笑んだ。
「少しお話、よろしいですか?」
「ああ、入れよ」
ショウに促され、アリスは中に入る。ふたりはそれぞれ、一人掛けのソファに対面で座った。
「やはり心配で…。身体に異常はどこにもないですか?」
竜とほぼ一騎討ち状態だったのだ。普通は無事で済むハズはない。
「ああ、ダメージらしいダメージは受けてないからな」
「はー…流石ですね」
サラリと言ったショウの言葉に、アリスは心底感心する。
「ただ、倒せたのは誰かの援護のおかげだ。衛兵の中に、竜の身体を小さくして巨大な金属の塊で叩き潰したヤツがいる」
「そのような魔法、聞いたこともありませんね。後日にでも情報を集めてみましよう」
「そうだな、頼む」
ショウはアリスの提案に頷いた。
「ところで、ソッチは大丈夫だったか?」
今度はショウがアリスに質問した。
「ええ、なんとか。ですが一度、珍しい職業の方に助けていただきました」
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「珍しい職業?」
「はい。あれはきっと『獣魔使い』です」
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