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第10章 彼女の切り札
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「ハルカさー、そろそろ現実見て大人になったら?」
サトコが私を冷めた瞳で眺めながら溜め息を吐く。
「私もココまで張り合ってきたから、ハルカが本当の本気だって充分理解してる。だけどココから先は、やっぱり越えたらダメな壁だよ…」
「あ、あのさサトコ、実はボクたち…」
サトコの言葉を受けてケータが何か言おうとしたけど、左腕でケータの前を制して言葉を止めた。
「ルーも…そう思う?」
私はルーの方に顔を向けた。ファーラスの人の意見も聞いておきたかった。
「そうですね。個人的にはサトコさんほど強い反感はありませんが、やっぱり普通ではないですね」
ルーの言葉はこの世界の常識を表してる。ま、流石の異世界でも、兄妹ってのは無理か…
とうとう切り札を切るときが来たのね。
私はスックと立ち上がった。それからサトコとルーを「ニヤリ」と見下ろす。私たぶん今、悪い顔してる気がする。
「ご心配、どうもありがとう。でもおあいにく様、私たちホントの兄妹じゃないの。だから何の問題もありません!」
私の発言にサトコとルーがポカンと呆気にとられていた。特にサトコは大口を開けたまま、目の焦点が合ってない。
「聞いてる?」
私はサトコの目の前で手のひらを振った。そこでハッと気付き、サトコの瞳に光が戻る。
「ケ、ケータくん、どういうコト?」
サトコが食卓に身を乗り出すように、ケータに詰め寄った。
「ボクの両親はハルカの父親の弟夫婦なんだ。ボクが3歳のときに両親を事故で亡くしてね、それから面倒をみてもらってるんだ」
ケータはサトコに向けてニッコリ微笑んだ。しかしサトコは少し蒼い顔になってスススと席に戻った。
「ご、ごめんなさい。私…」
「いやいや、ホントもう全然何ともないから!」
ケータが焦ったようにサトコにフォローを入れる。
そのとき私は食卓にバンと両手をつき、身を乗り出してサトコとルーに顔を近付けた。
「どう?大事に握りしめてた『切り札』がまやかしだと知らされた気分は…?」
私は二人にだけ聞こえるように小声で喋る。
「私のハンデがハンデじゃなかった今、私たち3人はホントに同じ位置にいてるのかしらね?」
私は勝ち誇ったように「フフン」と鼻で笑う。サトコもルーもグッと唇を噛みしめながら私を睨みつけるが、押し黙ったまま反論してこなかった。
あ、あれー…おかしいな?私はポリポリと頬を掻いて、想定外の状況に戸惑った。
私ってば基本やられっぱなしだから数少ないチャンスで反撃してるだけなのに、なんで私がやると、こんなに「悪役」っぽくなるんだろう?
~~~
ケータがシャワーに入ると言い出したので、そこで食後のお茶が終了した。
ルーはキッチンに戻ると、生ゴミを集めて棄てる準備を始めた。私もケータが出てきたらシャワーを使おうと思い、今のうちにトイレを済ませる。
ちょうど私がトイレから出てきたときに「パタン」と脱衣所の扉が閉まった音がした。なんだか一瞬、ケータの焦った声が聞こえた気がした。
「ケータ、なんかあった?」
私が扉越しに声をかけるが、特に返事はない。気のせいだったのかな?
私は冷蔵庫から飲み物を取り出すと、再び食卓の席についた。ふと、サトコの姿が見えないことに気付く。
「ねえ、ルー、サトコは?」
「え?」
屈んでゴミの整理をしていたルーが、ひょっこりカウンターから顔を覗かせた。
「あーそういえば『何か買い物行こうかな』とか独り言を言ってました」
「あ、そう」
そのときルーがゴミ袋を、よいしょと抱えあげた。
「手伝おうか?」
「いえ、大丈夫です。あ、でも良かったら私の飲み物も出しといてもらえますか?」
「オッケー」
ルーが裏口から出ていくのを見送りながら返事をした。それから冷蔵庫から取り出した飲み物をコップに注いでいると、ルーが焦ったようにバタバタと戻ってきた。
「ハ、ハルカさん!サトコさんの靴が裏口に隠すように置いてあります!」
「え?」
私は一瞬意味が分からなかったが、直ぐに状況を理解する。
「サトコは家の中にいるってコト?」
「そういえば、浴室からシャワーの音が聞こえません!」
ルーが脱衣所の扉を指差した。
「え…まさか?」
私はサーッと顔から血の気が引いていった。
サトコが私を冷めた瞳で眺めながら溜め息を吐く。
「私もココまで張り合ってきたから、ハルカが本当の本気だって充分理解してる。だけどココから先は、やっぱり越えたらダメな壁だよ…」
「あ、あのさサトコ、実はボクたち…」
サトコの言葉を受けてケータが何か言おうとしたけど、左腕でケータの前を制して言葉を止めた。
「ルーも…そう思う?」
私はルーの方に顔を向けた。ファーラスの人の意見も聞いておきたかった。
「そうですね。個人的にはサトコさんほど強い反感はありませんが、やっぱり普通ではないですね」
ルーの言葉はこの世界の常識を表してる。ま、流石の異世界でも、兄妹ってのは無理か…
とうとう切り札を切るときが来たのね。
私はスックと立ち上がった。それからサトコとルーを「ニヤリ」と見下ろす。私たぶん今、悪い顔してる気がする。
「ご心配、どうもありがとう。でもおあいにく様、私たちホントの兄妹じゃないの。だから何の問題もありません!」
私の発言にサトコとルーがポカンと呆気にとられていた。特にサトコは大口を開けたまま、目の焦点が合ってない。
「聞いてる?」
私はサトコの目の前で手のひらを振った。そこでハッと気付き、サトコの瞳に光が戻る。
「ケ、ケータくん、どういうコト?」
サトコが食卓に身を乗り出すように、ケータに詰め寄った。
「ボクの両親はハルカの父親の弟夫婦なんだ。ボクが3歳のときに両親を事故で亡くしてね、それから面倒をみてもらってるんだ」
ケータはサトコに向けてニッコリ微笑んだ。しかしサトコは少し蒼い顔になってスススと席に戻った。
「ご、ごめんなさい。私…」
「いやいや、ホントもう全然何ともないから!」
ケータが焦ったようにサトコにフォローを入れる。
そのとき私は食卓にバンと両手をつき、身を乗り出してサトコとルーに顔を近付けた。
「どう?大事に握りしめてた『切り札』がまやかしだと知らされた気分は…?」
私は二人にだけ聞こえるように小声で喋る。
「私のハンデがハンデじゃなかった今、私たち3人はホントに同じ位置にいてるのかしらね?」
私は勝ち誇ったように「フフン」と鼻で笑う。サトコもルーもグッと唇を噛みしめながら私を睨みつけるが、押し黙ったまま反論してこなかった。
あ、あれー…おかしいな?私はポリポリと頬を掻いて、想定外の状況に戸惑った。
私ってば基本やられっぱなしだから数少ないチャンスで反撃してるだけなのに、なんで私がやると、こんなに「悪役」っぽくなるんだろう?
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ケータがシャワーに入ると言い出したので、そこで食後のお茶が終了した。
ルーはキッチンに戻ると、生ゴミを集めて棄てる準備を始めた。私もケータが出てきたらシャワーを使おうと思い、今のうちにトイレを済ませる。
ちょうど私がトイレから出てきたときに「パタン」と脱衣所の扉が閉まった音がした。なんだか一瞬、ケータの焦った声が聞こえた気がした。
「ケータ、なんかあった?」
私が扉越しに声をかけるが、特に返事はない。気のせいだったのかな?
私は冷蔵庫から飲み物を取り出すと、再び食卓の席についた。ふと、サトコの姿が見えないことに気付く。
「ねえ、ルー、サトコは?」
「え?」
屈んでゴミの整理をしていたルーが、ひょっこりカウンターから顔を覗かせた。
「あーそういえば『何か買い物行こうかな』とか独り言を言ってました」
「あ、そう」
そのときルーがゴミ袋を、よいしょと抱えあげた。
「手伝おうか?」
「いえ、大丈夫です。あ、でも良かったら私の飲み物も出しといてもらえますか?」
「オッケー」
ルーが裏口から出ていくのを見送りながら返事をした。それから冷蔵庫から取り出した飲み物をコップに注いでいると、ルーが焦ったようにバタバタと戻ってきた。
「ハ、ハルカさん!サトコさんの靴が裏口に隠すように置いてあります!」
「え?」
私は一瞬意味が分からなかったが、直ぐに状況を理解する。
「サトコは家の中にいるってコト?」
「そういえば、浴室からシャワーの音が聞こえません!」
ルーが脱衣所の扉を指差した。
「え…まさか?」
私はサーッと顔から血の気が引いていった。
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