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チートで皆様からお叱りを受ける
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朝、宿の扉が蹴り開けられたのでヤクザの襲撃かと思って本気で驚いたが、出立前のゲレルさんだった。
特に悪気はないらしく、齧っていた干し肉を投げて来る。
(食えという意味だろうか?)
「おう、チート少年。
預かり物だ。」
手渡されたのは、業務用の大瓶。
消毒液とは異なり若干青い。
説明書も何もなく、瓶に《100倍希釈・空にした施設に全体噴霧・家賃》とのみ直接書き込まれている。
『伝言は?』
「ないな。」
ではこれは消臭剤だな。
早速、ゲイリー親方に実験させて貰おう。
「バランギル達が寂しがっていたぞ。
一度顔を出してやれ。」
それだけ言うと、ゲレルさんは乗馬して去っていく。
近いうちに工房に顔を出すか。
ゲイリー親方の家に行くと、もう出勤済みだと聞いたので、少し小走りで処理場に向かう。
『おはようございます。』
「ああ、昨日は…
義父が色々世話になったそうで。」
『いえいえ!
こちらこそ、お義父様には感謝しております。
それでですね。
今日はこれを試させて貰えませんか。』
「それは…?
え? ひょっとして消臭剤ですか?」
『はい、消臭剤です。
正規品ではありませんが、製作者は腕利きの薬剤師です。
品質は保証しますよ。
今日の業務が終わったら、少しだけお時間割いて頂けませんか?』
「ええ、それは勿論。
あの… これお高いんですよね?」
『現時点では高額であると聞いてはおりますが
いずれ良心的価格で普及すると思います。』
「いや…
それはありがたいですが…」
『大体、同じ仕事をしてるのにですよ?
都会の業者だけ恩恵を受けて辺境にはそれが無いっておかしいじゃないですか?
前線都市に来てから頻繁に感じるんですけど。』
「チートさん、それ以上は…
体制批判になってしまうので…」
『あ、すみません。
そういうつもりでは無かったのですが。』
「我々と違って貴方は公的な立場を持っています。
なので、もう少し慎重に。
御存知だと思いますが、発明とか寄付とかする人って一番目立ちますからね?」
全くもってその通りである。
勿論、ゲームクリアの為に意識して目立つ行動をしているのだが…
やり過ぎて憎まれては元も子もない。
俺はゲイリーに謝罪し感謝を述べる。
手伝おうとしたが作業には携わらせて貰えなかったので、頼み込んでスライムの世話をさせて貰う。
スライムの性質を知った瞬間に思いついた事だが。
臓物を運搬する為に備えられている封箱に予め赤スライム(有機物が好物)を入れておけば、解体屋や精肉工房の作業効率が良くなると思うのだが。
俺は封箱や近くにあった樽に赤スライムを入れたり出したりして時間を潰した。
「チートさん。
お客さんですよ。」
ふと、顔を上げるとジョーンズさんが心配そうな顔でこちらを見ている。
少し夢中になり過ぎたか…
誰だろう?
師匠だろうか?
俺が処理場の入り口に歩いて行くと、そこには無表情で仁王立ちになっているレザノフ卿が居た。
あ、あの雰囲気はかなり怒ってるな。
『あ、どうも。
御無沙汰しております。』
「御無沙汰しております(怒)」
【役職者がこんな界隈に住むなんて、何たる軽率!】
あ、やっぱり怒ってる。
この人はグランバルドの辺境を飛び回って来ただけあって、安全や治安に関する意識が非常に高い。
俺が遊び半分で危険地帯に踏み込んでいるように見えたのだろうなぁ…
(否定はしないけど)
怖いなあ。
「チート書記が疫病防止に主体的に取り組んで下さっておられること。
また最近、廃棄物処理場の大幅な職場改善をされた件。
商業ギルド一同、ただただ感服しております(怒)」
【絶対、コイツ周囲を困らせるためにわざと賤業巡りしてるよな!】
『いえいえ、皆様にはご迷惑ばかりおかけしております。』
「ははは、迷惑だなんてとんでもない(怒)」
【迷惑だよ! 多分、《七大公家》までこの迷惑は伝わっちゃうよ!
でも社会的に必要不可欠な改善だから文句言えないんだよ!
オマエ、分かっててやってるよな!?】
《七大公家(ななたいこうけ)》?
貴族の名前?
グランバルドの重鎮?
ここが貴族社会だと云うことは解かっていたんだが、この最末端からでは全貌が理解出来なかったんだよね…
攻略のヒントになるかも知れないな。
《七大公家》
このキーワードは覚えておこう。
「チートさんの功績は上層部にも是非報告させて下さい(怒)
貴方は前線都市の誇りですよ(怒)」
【ホンマ腹立つ!!!】
それにしても大人は怖いなあ。
こっちの目論見は流石に見透かされてるか。
地球に居た時の経験からわかるんだけどさ。
偉くなればなるほど賤業に対して気を遣うよな。
議員も普通のサラリーマンはぞんざいに扱うけど、ゴミ収集員や皮革組合には滅茶苦茶言葉を選んでいたからな。
上流の人間にとって致命傷になるのは、《底辺の人間と同じ土俵に上げられてしまうこと》だ。
構造的に悪役にされがちだし、世論が意地の悪い目線で注目するからな。
だから上流は底辺を恐れる。
俺、父親と一緒に地域ヒアリングに参加(謝礼2000円)した経験あるから、よく知っているんだ。
近所に被差別業界が点在してたから、何となくこの心理構造は理解出来るんだ。
解体屋やゴミ処理場は、俺が戦略として選んでいる職場だ。
グランバルドが厳格な身分社会である事を知ったのはかなり初期だが、その時点でこの戦略《徹底底辺作戦》を選んだ。
半分博打だが、上流から手を出されずに名を売るのはこの手が一番であると、俺はよく知っていた。
同じ団地にこの戦略で市会議員の座を盗んだチンピラが住んでいたからな。
最下層で実績を上げれば。
それがどれだけ下らない性質のものでも、いや下らなければ下らないほど。
この世界の上流は何らかのリアクションを起さざるを得なくなる。
知らない世界で目立てば殺される可能性は飛躍的に高まるが、社会奉仕を通した知名度向上であればその確率はかなり抑えられる。
そしてそれこそがキーパーソンに対する接触チャンスとなる。
【心を読める】以上、接触してしまえばステージクリアの糸口は探せる。
これこそが伊勢海地人の異世界攻略法だ。
レザノフ子爵の考え込むような探るような表情を見て、この戦略が外れではない事を確信する。
後は…
まずは怒りをなだめようか。
『レザノフ卿! 勝手な行動ばかりしてしまい誠に申し訳ございません!』
「…いえ、怒っている訳ではないんですけどね(怒)」
【コイツ、構造上私が怒れないと知っていて頭下げてるだろ!
性格悪い奴だな!
しかしまあ、建前上頭を下げられた以上、こちらも収めざるを得まいか…】
『この数日で体験した事はレザノフ卿に全て報告する事を約束致します!』
「いえいえ、商業ギルドを代表してチート書記の御善行に感謝します(鎮)」
【さて、頭を切り替えるか。
コイツはスラムとの縁を切らないつもりだろう。
適切に持ち上げつつ、パイプになって貰うか…】
レザノフ卿の乗って来た馬車はこのスラムではかなり目立つ(何せ貴族公用車両だ)ので、遠巻きに群衆が集まり始めていた。
そりゃあそうだろう。
『食事でもしながら近況報告しましょうか?』
「この辺でですか?」
【まさかスラムの食堂でメシとかないよな?
いや、ちょっと興味あるけど。】
『養鶏場の前で露店が出てるんです。
骨付き鶏肉を七輪で焼いて壺の肉醤をべっちゃり付けて食べる料理なんです。
ハンモックも1時間500ウェンで貸してくれますよ。』
「ほう…
それは初耳ですね。」
【くっそ! 人の好みを把握し尽くしおってからに!】
レザノフ卿の馬車でスラムを進む。
先日回った鶏舎地帯だ。
「道が広いですね。」
【この辺、資料上では知っていたが…
チート書記はよくこんな貧民窟に潜り込めたな…】
『ええ、鶏舎の他にも皮革工房や染料工房がありまして
大型の荷車が通るんですよ。』
「スラムの道路はもっと雑然としていると思いましたが。」
【意外とスムーズに入れたな。】
『それらの業種は全てヤクザの仕切りです。
なので、彼らの業務を妨害し兼ねない行為は誰もしないのです。』
鶏舎前の露天ではヘルマン組の新人組員であるイーノ君(14歳ゴツい)が店番をさせられていた。
そこそこ客がいる。
「チート君…
その馬車は?」
【コイツ、また厄介ごとを持って来やがって】
『イーノさん、昨日はありがとうございました。
視察の方です。
2人前お願いします。
あ、もし空いてればハンモック席で。』
「3000ウェン。
フルポあるけど?」
【売り上げになるんやったら別にええか。】
『あ、じゃあフルポも2人分。
鳥皮燻製も大盛で下さい。』
「5500ウェン。」
【お大尽かな?】
『もし卵もあれば…
それとあそこの馬車の2人にも何か手軽につまめるものを。
レザノフ卿、いいですよね? 』
「干し卵セット1000ウェンね。
合計で7000ウェンくれたら
あっちにも何か持って行くわ。」
【俺もいつかはこういうランチしたいなあ。】
俺は金貨を1枚トレーに置いて、「お釣りはイーノさんの分だから」と耳打ちした。
スラムで【心を聞き】続けた結果、こういう用心棒代の払い方が一番ヤクザに喜ばれることを学んだからだ。
多分地球でも応用できると思う。
ハンモック席でレザノフ卿とランチ。
かなりワイルドな環境だが、この男も辺境巡りの猛者。
平然と鶏を頬張る。
フルポで流し込みながら近況報告。
----------------------------------------------------
《伊勢海地人からの報告》
・養鶏業の防疫方法に関する報告
・スライムの種別の発見
・食肉業界への赤スライム活用の提言
・ジェネリック消臭剤の入手
・処理場責任者であるゲイリー夫妻の下級市民権取得願い
《イワン・レナートヴィチ・レザノフからの報告》
・ヴィルヘルム博士の所在は依然不明だが論文を2本入手したので贈呈する。
・売値1200万ウェンの陶器工房は150万ウェンまで値下げ可能
・売値180万ウェンの紐縄工房は70万ウェンまで指値可能。
・ペニシリンの早期配給申請が通り、昨日到着3ギルド+役場に1000本ずつストック。
----------------------------------------------------
『すみません。
一方的に要求ばかりしておりましたのに…
応えて下さって。』
「いえ、これが私の職務ですので。」
【でも君のそれは職務じゃないよね?
何を狙っている?
普通はこういうムーブをする人間は売名か猟官が目的。
だがこの若者はそれ以外にも何か魂胆があるように見えるんだよな。】
遠目からヘルマン組長がこちらを観察しているのに気がついたので、レザノフ卿に確認する。
『近くにこの一帯を仕切っている暴力団の代表が居るのですが…
どうします?』
「興味深いですね。
プライベートでなら情報収集したいのですが
今は公用車を伴っておりますので…」
【そしてヤクザか…】
アイコンタクトで組長に『今は控えて下さい』と合図。
察してくれたのか、ヘルマン組長は軽く会釈をして立ち去った。
『では、商業ギルドで必要な情報があれば
私の方でそれとなく集めておきましょうか?』
「スラム絡みで我々がお願いしたいのは一点ですね。
…指名手配犯の把握。
こういう場所には本当に多いんです。
もしも通報を要する者が居た場合、冒険者ギルドではなくこちらに報告して欲しいです。
無論、貴方への迷惑料はお支払いします。」
【冒険者に話が行っちゃうとね…
勝手にヤクザと内戦始めちゃう時があるんだよね…
その所為で我々がいつもどれだけ後始末に苦労させられるか…】
『承知しました。
ちなみに私の宿の隣に賞金首が居ますよ。
ジーンという長身の男です。
運河都市の近辺で輸送馬車への強盗行為を繰り返していたらしいですね。
稼いだカネを貴金属に変えて肌身離さず腹に巻いてるようです。
あ、ちなみにアゴヒゲは付け髭です。』
スラムに来てから気付いたんだけどさ。
この能力って犯罪捜査に滅茶苦茶役に立つんだわ。
特に指名手配されてる人って【頭の中でそればっかり考えてる】からね。
御丁寧に自分の本名/偽名/罪状/手口/賞金額/カネの隠し場所/共犯者リストやらを【心の中】で叫びながら歩いてるのだ。
流石に最初は驚いたが、スラムで寝泊まりしているうちに驚かなくなった。
ジョーンズさんとかも普通に若い頃に喧嘩で人を殺してるしね。
「その話が本当だった場合。
最低でも300万ウェンの賞金が出ますよ。」
【いや、多分正確な情報に決まってるんだろうけどさ。】
『もしそのお金が出た場合。
陶器と紐縄の工房を買わせて貰っていいですか?』
「いや、職工ギルドさんの資金で買うんでしょ?」
【まーた自腹攻撃ですか。
あー、これ。
私に対して世間に吹聴しろって言ってるのかな?】
『ちょっと使途不明金が多くて
帳簿通りのカネが残ってないんですよ。
師匠が監査を要求しているのですが、のらりくらりと躱されてしまってて…』
「組合あるあるですね。
都会は組合、田舎は首長が絶対に使途不明金で揉めるんですよ。
では私から貴方とバラン青年部長に監査を円滑に成功させる秘伝をプレゼントしましょう。」
【例えば地方の村落だと長期政権の村長が
《監査するorさせない》でいつも揉めてるんだよなあ。】
『すみません。
いつも私が一方的に助けて貰ってしまって。
何か御礼を…』
「いやいやw
公共への奉仕です。
気にせず受け取って下さい。」
【ほーら、申し訳なさそうな顔になったw
たまには君も私達が味わっているような嫌な思いをしなさいw
対価を受け取らないって、それもう暴力だからね?】
…そんなに意地悪しなくてもいいじゃないか。
大人は難しいなあ。
俺とレザノフ卿はスラム料理を平らげると処理場前まで戻り、形式的に友好的な抱擁を交わして笑顔で別れた。
グランバルド全土でこんな遣り取りをこなして来たのだろう、偉大な男だと思う。
その後、職場に戻った俺はゲイリー親方に消臭剤の使用方法を説明した。
親方は全身で恐縮しながら俺に礼を述べ、貴族をヤクザ地帯に案内した軽率について激しく叱責した。
泣くほど怖かった(小並)
涙をぬぐいながら宿に帰った俺は、レザノフ卿が入手してくれたヴィルヘルム博士の論文に目を通す。
2本のタイトルはそれぞれ【発光性建築資材について】【温故知新論】である。
序文を見ただけでも非常に大上段な物言いをしており、この男の気難しい性格が伝わってくる。
記されている自画自賛が事実ならば、若い頃から産業製品の発明・改良に相当な実績を挙げている人物。
俺のスキルは行間も【読めてしまう】のだが、社会に対して相当批判的な部類の進歩至上主義者である事がわかった。
優勝劣敗・適者適存・弱肉強食、効率主義や合理主義をゴリゴリに押し付けるタイプ。
幸いなことに、こういうタイプはグランバルド貴族では珍しいようだ。
優秀な人物であるのは確かであるのだろうが、こういう爺さんとコミュニケーションを取るのは相当苦労するだろうな。
まあゲームとかラノベとかだと、この手のキャラが一番の当たりなんだがな。
やっぱり何とかして会いたいな。
あ、そうだ。
ヘルマン組長にもウィルヘルム博士の捜索を頼んでおこう。
人探しならヤクザの方が向いてるんじゃないだろうか。
そんな事を考えながら【温故知新論】を読み進める。
曰く、人類は無限に革新を続けなければならないそうだ。
(ガンダムみたいなこと言ってやがる。)
矯激な論調だったが、結構面白かったので夢中で読みふけっていた。
すると突然ノックがされる。
(つまりゲレルさんではない。)
誰だろうと思って扉越しに相手を【読む】とノエルだった。
(最近、こういう使い方を思いついた。 だってこの辺チンピラだらけで怖いもん。)
少し迷ったが【処女を捧げるべきはチートさん】という声が聞こえたので、慌てて扉を開けた。
開けるよそりゃ! この文章を読んでる君だってそうするよな!?
特に悪気はないらしく、齧っていた干し肉を投げて来る。
(食えという意味だろうか?)
「おう、チート少年。
預かり物だ。」
手渡されたのは、業務用の大瓶。
消毒液とは異なり若干青い。
説明書も何もなく、瓶に《100倍希釈・空にした施設に全体噴霧・家賃》とのみ直接書き込まれている。
『伝言は?』
「ないな。」
ではこれは消臭剤だな。
早速、ゲイリー親方に実験させて貰おう。
「バランギル達が寂しがっていたぞ。
一度顔を出してやれ。」
それだけ言うと、ゲレルさんは乗馬して去っていく。
近いうちに工房に顔を出すか。
ゲイリー親方の家に行くと、もう出勤済みだと聞いたので、少し小走りで処理場に向かう。
『おはようございます。』
「ああ、昨日は…
義父が色々世話になったそうで。」
『いえいえ!
こちらこそ、お義父様には感謝しております。
それでですね。
今日はこれを試させて貰えませんか。』
「それは…?
え? ひょっとして消臭剤ですか?」
『はい、消臭剤です。
正規品ではありませんが、製作者は腕利きの薬剤師です。
品質は保証しますよ。
今日の業務が終わったら、少しだけお時間割いて頂けませんか?』
「ええ、それは勿論。
あの… これお高いんですよね?」
『現時点では高額であると聞いてはおりますが
いずれ良心的価格で普及すると思います。』
「いや…
それはありがたいですが…」
『大体、同じ仕事をしてるのにですよ?
都会の業者だけ恩恵を受けて辺境にはそれが無いっておかしいじゃないですか?
前線都市に来てから頻繁に感じるんですけど。』
「チートさん、それ以上は…
体制批判になってしまうので…」
『あ、すみません。
そういうつもりでは無かったのですが。』
「我々と違って貴方は公的な立場を持っています。
なので、もう少し慎重に。
御存知だと思いますが、発明とか寄付とかする人って一番目立ちますからね?」
全くもってその通りである。
勿論、ゲームクリアの為に意識して目立つ行動をしているのだが…
やり過ぎて憎まれては元も子もない。
俺はゲイリーに謝罪し感謝を述べる。
手伝おうとしたが作業には携わらせて貰えなかったので、頼み込んでスライムの世話をさせて貰う。
スライムの性質を知った瞬間に思いついた事だが。
臓物を運搬する為に備えられている封箱に予め赤スライム(有機物が好物)を入れておけば、解体屋や精肉工房の作業効率が良くなると思うのだが。
俺は封箱や近くにあった樽に赤スライムを入れたり出したりして時間を潰した。
「チートさん。
お客さんですよ。」
ふと、顔を上げるとジョーンズさんが心配そうな顔でこちらを見ている。
少し夢中になり過ぎたか…
誰だろう?
師匠だろうか?
俺が処理場の入り口に歩いて行くと、そこには無表情で仁王立ちになっているレザノフ卿が居た。
あ、あの雰囲気はかなり怒ってるな。
『あ、どうも。
御無沙汰しております。』
「御無沙汰しております(怒)」
【役職者がこんな界隈に住むなんて、何たる軽率!】
あ、やっぱり怒ってる。
この人はグランバルドの辺境を飛び回って来ただけあって、安全や治安に関する意識が非常に高い。
俺が遊び半分で危険地帯に踏み込んでいるように見えたのだろうなぁ…
(否定はしないけど)
怖いなあ。
「チート書記が疫病防止に主体的に取り組んで下さっておられること。
また最近、廃棄物処理場の大幅な職場改善をされた件。
商業ギルド一同、ただただ感服しております(怒)」
【絶対、コイツ周囲を困らせるためにわざと賤業巡りしてるよな!】
『いえいえ、皆様にはご迷惑ばかりおかけしております。』
「ははは、迷惑だなんてとんでもない(怒)」
【迷惑だよ! 多分、《七大公家》までこの迷惑は伝わっちゃうよ!
でも社会的に必要不可欠な改善だから文句言えないんだよ!
オマエ、分かっててやってるよな!?】
《七大公家(ななたいこうけ)》?
貴族の名前?
グランバルドの重鎮?
ここが貴族社会だと云うことは解かっていたんだが、この最末端からでは全貌が理解出来なかったんだよね…
攻略のヒントになるかも知れないな。
《七大公家》
このキーワードは覚えておこう。
「チートさんの功績は上層部にも是非報告させて下さい(怒)
貴方は前線都市の誇りですよ(怒)」
【ホンマ腹立つ!!!】
それにしても大人は怖いなあ。
こっちの目論見は流石に見透かされてるか。
地球に居た時の経験からわかるんだけどさ。
偉くなればなるほど賤業に対して気を遣うよな。
議員も普通のサラリーマンはぞんざいに扱うけど、ゴミ収集員や皮革組合には滅茶苦茶言葉を選んでいたからな。
上流の人間にとって致命傷になるのは、《底辺の人間と同じ土俵に上げられてしまうこと》だ。
構造的に悪役にされがちだし、世論が意地の悪い目線で注目するからな。
だから上流は底辺を恐れる。
俺、父親と一緒に地域ヒアリングに参加(謝礼2000円)した経験あるから、よく知っているんだ。
近所に被差別業界が点在してたから、何となくこの心理構造は理解出来るんだ。
解体屋やゴミ処理場は、俺が戦略として選んでいる職場だ。
グランバルドが厳格な身分社会である事を知ったのはかなり初期だが、その時点でこの戦略《徹底底辺作戦》を選んだ。
半分博打だが、上流から手を出されずに名を売るのはこの手が一番であると、俺はよく知っていた。
同じ団地にこの戦略で市会議員の座を盗んだチンピラが住んでいたからな。
最下層で実績を上げれば。
それがどれだけ下らない性質のものでも、いや下らなければ下らないほど。
この世界の上流は何らかのリアクションを起さざるを得なくなる。
知らない世界で目立てば殺される可能性は飛躍的に高まるが、社会奉仕を通した知名度向上であればその確率はかなり抑えられる。
そしてそれこそがキーパーソンに対する接触チャンスとなる。
【心を読める】以上、接触してしまえばステージクリアの糸口は探せる。
これこそが伊勢海地人の異世界攻略法だ。
レザノフ子爵の考え込むような探るような表情を見て、この戦略が外れではない事を確信する。
後は…
まずは怒りをなだめようか。
『レザノフ卿! 勝手な行動ばかりしてしまい誠に申し訳ございません!』
「…いえ、怒っている訳ではないんですけどね(怒)」
【コイツ、構造上私が怒れないと知っていて頭下げてるだろ!
性格悪い奴だな!
しかしまあ、建前上頭を下げられた以上、こちらも収めざるを得まいか…】
『この数日で体験した事はレザノフ卿に全て報告する事を約束致します!』
「いえいえ、商業ギルドを代表してチート書記の御善行に感謝します(鎮)」
【さて、頭を切り替えるか。
コイツはスラムとの縁を切らないつもりだろう。
適切に持ち上げつつ、パイプになって貰うか…】
レザノフ卿の乗って来た馬車はこのスラムではかなり目立つ(何せ貴族公用車両だ)ので、遠巻きに群衆が集まり始めていた。
そりゃあそうだろう。
『食事でもしながら近況報告しましょうか?』
「この辺でですか?」
【まさかスラムの食堂でメシとかないよな?
いや、ちょっと興味あるけど。】
『養鶏場の前で露店が出てるんです。
骨付き鶏肉を七輪で焼いて壺の肉醤をべっちゃり付けて食べる料理なんです。
ハンモックも1時間500ウェンで貸してくれますよ。』
「ほう…
それは初耳ですね。」
【くっそ! 人の好みを把握し尽くしおってからに!】
レザノフ卿の馬車でスラムを進む。
先日回った鶏舎地帯だ。
「道が広いですね。」
【この辺、資料上では知っていたが…
チート書記はよくこんな貧民窟に潜り込めたな…】
『ええ、鶏舎の他にも皮革工房や染料工房がありまして
大型の荷車が通るんですよ。』
「スラムの道路はもっと雑然としていると思いましたが。」
【意外とスムーズに入れたな。】
『それらの業種は全てヤクザの仕切りです。
なので、彼らの業務を妨害し兼ねない行為は誰もしないのです。』
鶏舎前の露天ではヘルマン組の新人組員であるイーノ君(14歳ゴツい)が店番をさせられていた。
そこそこ客がいる。
「チート君…
その馬車は?」
【コイツ、また厄介ごとを持って来やがって】
『イーノさん、昨日はありがとうございました。
視察の方です。
2人前お願いします。
あ、もし空いてればハンモック席で。』
「3000ウェン。
フルポあるけど?」
【売り上げになるんやったら別にええか。】
『あ、じゃあフルポも2人分。
鳥皮燻製も大盛で下さい。』
「5500ウェン。」
【お大尽かな?】
『もし卵もあれば…
それとあそこの馬車の2人にも何か手軽につまめるものを。
レザノフ卿、いいですよね? 』
「干し卵セット1000ウェンね。
合計で7000ウェンくれたら
あっちにも何か持って行くわ。」
【俺もいつかはこういうランチしたいなあ。】
俺は金貨を1枚トレーに置いて、「お釣りはイーノさんの分だから」と耳打ちした。
スラムで【心を聞き】続けた結果、こういう用心棒代の払い方が一番ヤクザに喜ばれることを学んだからだ。
多分地球でも応用できると思う。
ハンモック席でレザノフ卿とランチ。
かなりワイルドな環境だが、この男も辺境巡りの猛者。
平然と鶏を頬張る。
フルポで流し込みながら近況報告。
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《伊勢海地人からの報告》
・養鶏業の防疫方法に関する報告
・スライムの種別の発見
・食肉業界への赤スライム活用の提言
・ジェネリック消臭剤の入手
・処理場責任者であるゲイリー夫妻の下級市民権取得願い
《イワン・レナートヴィチ・レザノフからの報告》
・ヴィルヘルム博士の所在は依然不明だが論文を2本入手したので贈呈する。
・売値1200万ウェンの陶器工房は150万ウェンまで値下げ可能
・売値180万ウェンの紐縄工房は70万ウェンまで指値可能。
・ペニシリンの早期配給申請が通り、昨日到着3ギルド+役場に1000本ずつストック。
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『すみません。
一方的に要求ばかりしておりましたのに…
応えて下さって。』
「いえ、これが私の職務ですので。」
【でも君のそれは職務じゃないよね?
何を狙っている?
普通はこういうムーブをする人間は売名か猟官が目的。
だがこの若者はそれ以外にも何か魂胆があるように見えるんだよな。】
遠目からヘルマン組長がこちらを観察しているのに気がついたので、レザノフ卿に確認する。
『近くにこの一帯を仕切っている暴力団の代表が居るのですが…
どうします?』
「興味深いですね。
プライベートでなら情報収集したいのですが
今は公用車を伴っておりますので…」
【そしてヤクザか…】
アイコンタクトで組長に『今は控えて下さい』と合図。
察してくれたのか、ヘルマン組長は軽く会釈をして立ち去った。
『では、商業ギルドで必要な情報があれば
私の方でそれとなく集めておきましょうか?』
「スラム絡みで我々がお願いしたいのは一点ですね。
…指名手配犯の把握。
こういう場所には本当に多いんです。
もしも通報を要する者が居た場合、冒険者ギルドではなくこちらに報告して欲しいです。
無論、貴方への迷惑料はお支払いします。」
【冒険者に話が行っちゃうとね…
勝手にヤクザと内戦始めちゃう時があるんだよね…
その所為で我々がいつもどれだけ後始末に苦労させられるか…】
『承知しました。
ちなみに私の宿の隣に賞金首が居ますよ。
ジーンという長身の男です。
運河都市の近辺で輸送馬車への強盗行為を繰り返していたらしいですね。
稼いだカネを貴金属に変えて肌身離さず腹に巻いてるようです。
あ、ちなみにアゴヒゲは付け髭です。』
スラムに来てから気付いたんだけどさ。
この能力って犯罪捜査に滅茶苦茶役に立つんだわ。
特に指名手配されてる人って【頭の中でそればっかり考えてる】からね。
御丁寧に自分の本名/偽名/罪状/手口/賞金額/カネの隠し場所/共犯者リストやらを【心の中】で叫びながら歩いてるのだ。
流石に最初は驚いたが、スラムで寝泊まりしているうちに驚かなくなった。
ジョーンズさんとかも普通に若い頃に喧嘩で人を殺してるしね。
「その話が本当だった場合。
最低でも300万ウェンの賞金が出ますよ。」
【いや、多分正確な情報に決まってるんだろうけどさ。】
『もしそのお金が出た場合。
陶器と紐縄の工房を買わせて貰っていいですか?』
「いや、職工ギルドさんの資金で買うんでしょ?」
【まーた自腹攻撃ですか。
あー、これ。
私に対して世間に吹聴しろって言ってるのかな?】
『ちょっと使途不明金が多くて
帳簿通りのカネが残ってないんですよ。
師匠が監査を要求しているのですが、のらりくらりと躱されてしまってて…』
「組合あるあるですね。
都会は組合、田舎は首長が絶対に使途不明金で揉めるんですよ。
では私から貴方とバラン青年部長に監査を円滑に成功させる秘伝をプレゼントしましょう。」
【例えば地方の村落だと長期政権の村長が
《監査するorさせない》でいつも揉めてるんだよなあ。】
『すみません。
いつも私が一方的に助けて貰ってしまって。
何か御礼を…』
「いやいやw
公共への奉仕です。
気にせず受け取って下さい。」
【ほーら、申し訳なさそうな顔になったw
たまには君も私達が味わっているような嫌な思いをしなさいw
対価を受け取らないって、それもう暴力だからね?】
…そんなに意地悪しなくてもいいじゃないか。
大人は難しいなあ。
俺とレザノフ卿はスラム料理を平らげると処理場前まで戻り、形式的に友好的な抱擁を交わして笑顔で別れた。
グランバルド全土でこんな遣り取りをこなして来たのだろう、偉大な男だと思う。
その後、職場に戻った俺はゲイリー親方に消臭剤の使用方法を説明した。
親方は全身で恐縮しながら俺に礼を述べ、貴族をヤクザ地帯に案内した軽率について激しく叱責した。
泣くほど怖かった(小並)
涙をぬぐいながら宿に帰った俺は、レザノフ卿が入手してくれたヴィルヘルム博士の論文に目を通す。
2本のタイトルはそれぞれ【発光性建築資材について】【温故知新論】である。
序文を見ただけでも非常に大上段な物言いをしており、この男の気難しい性格が伝わってくる。
記されている自画自賛が事実ならば、若い頃から産業製品の発明・改良に相当な実績を挙げている人物。
俺のスキルは行間も【読めてしまう】のだが、社会に対して相当批判的な部類の進歩至上主義者である事がわかった。
優勝劣敗・適者適存・弱肉強食、効率主義や合理主義をゴリゴリに押し付けるタイプ。
幸いなことに、こういうタイプはグランバルド貴族では珍しいようだ。
優秀な人物であるのは確かであるのだろうが、こういう爺さんとコミュニケーションを取るのは相当苦労するだろうな。
まあゲームとかラノベとかだと、この手のキャラが一番の当たりなんだがな。
やっぱり何とかして会いたいな。
あ、そうだ。
ヘルマン組長にもウィルヘルム博士の捜索を頼んでおこう。
人探しならヤクザの方が向いてるんじゃないだろうか。
そんな事を考えながら【温故知新論】を読み進める。
曰く、人類は無限に革新を続けなければならないそうだ。
(ガンダムみたいなこと言ってやがる。)
矯激な論調だったが、結構面白かったので夢中で読みふけっていた。
すると突然ノックがされる。
(つまりゲレルさんではない。)
誰だろうと思って扉越しに相手を【読む】とノエルだった。
(最近、こういう使い方を思いついた。 だってこの辺チンピラだらけで怖いもん。)
少し迷ったが【処女を捧げるべきはチートさん】という声が聞こえたので、慌てて扉を開けた。
開けるよそりゃ! この文章を読んでる君だってそうするよな!?
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