53 / 138
チートで最悪の独断専行を行う
しおりを挟む
俺が転移してきたのは、城門の殆どすぐ側である。
城壁沿いで解体屋露店を開いたこともあるが、それも数日だけのこと。
ちゃんとフィールドに出た事は無い。
俺は正門をくぐって外に出ると、壁に沿って大河に近づいていく。
小太りオジサンは城壁の上に待機して貰っている。
(俺が死んだときに周囲に事情を説明する人間が必要だからね。)
河の水音がはっきりと聞こえ始めると、リザード達を肉眼で確認出来るようになる。
何匹かのリザードがこちらに気付き、無言でこちらを観察する。
【丸腰?】
【人間種の子供?】
【一応村長に報告しておく?】
かなり遠目にそのような文字がポップアップする。
よし、ちゃんと【心は読めてる】な。
次に俺は彼らが好むと聞いているジャスミンの香料を全身に噴霧し続ける。
すぐに人工的な匂いが周囲を包み、ジャスミンの香りが辺りに充満する。
【攻撃? 何かの風習?】
【匂い… ジャスミン?】
【何? 何でジャスミン?】
【気は確かか?】
ハッキリとリザード達が俺を意識し、一切目を切らないまま仲間内で話し始めた。
一匹が武器を所持しようとするが、周囲に制止される。
よし。
思っていた通りだ。
彼らの文明は、《思考に基づいて行動する》段階に達している。
野蛮な星からの来訪者として是非見習いたい。
俺は彼らを見据えたまま、背負って来た木製の台を恭しく河べりに据えると、数種類の銀線を置いた。
この時、彼らとの距離はもう30メートルもない。
人間種を遥かに上回る瞬発力を誇る彼らがその気になれば、一瞬で詰め寄れる距離である。
【?】
【何かを置いた? 攻撃の意志はない?】
【村長は回航中? じゃあ、息子さんを呼んで来い。】
【武器? 兵器?】
【全員、まだ近づくなよ。】
『工事に銀が必要だと聞きました!』
俺はリザードの聴覚を信じて叫ぶ。
余程、驚いたのかリザード達がビクッと全身を振るわせて強張る。
そりゃあそうだ。
立場が逆なら俺だって恐怖する。
【喋った? 人間種の言葉?】
【え? 何で?】
【誰かアイツらの言葉解る奴いるの?】
【威嚇? 恫喝? いや、それなら丸腰では来ない、か。】
【あの木製の台のことじゃないか?】
さて、ここからが本番である。
俺の能力の真価が試される。
大きな身振りを意識しながら、台を指さした俺は。
『どうぞ! どうぞ!』
と2回叫ぶ。
【ドーゾ?】
【ドーゾ?】
【あの台に乗っているものが《ドーゾ》か?】
【意味のある単語を我々に発している…?】
【交渉希望?】
【いずれにせよ、役職者が来てくれないと俺達では判断が付かん。】
【せめて警備課か役所船が近くに居ればいいものの…】
リザード達がざわざわと相談し始めた。
人間種同様に彼らも組織的な生活をしており、大抵の組織がそうであるように遭遇したイレギュラーを末端が独断で処理する事は許されていない。
俺はペコペコと頭を下げながら少しずつ下がる。
この時点で一匹の若いリザードが俺への距離を10メートルほどに詰めてきたが、背後の上司っぽい者に叱責されて後退した。
【勝手なことするな! 私が責任を取らされるだろ!】
上司リザードは、ハッキリとそう言った。
気の毒なことに下がった若手は周囲の諸先輩から物凄く怒られている。
【オマエは新人の癖にいつも勝手をしやがって!】
【金持ちの息子だからって特別扱いをして貰えると思うなよ!】
【今夜はたっぷりと説教してやる!!】
そんな事を先輩リザード達が口々に叫びながら若手を小突き回している。
…いやあ、どこの世界も組織って大変だよなあ。
一通り若手を叱責すると、リザードの群れは顔を見合わせ
【【【事実をそのまま報告するのが無難だな。】】】
と結論付けた。
賢明な連中だ。
俺は一旦その場を後にして、城壁の上で小太りオジサンと合流し望遠鏡でさっきの現場を眺め続けた。
2時間くらい覗き続けていると、冠のようなものを被った小柄なリザードが小舟に現れ、周囲が一斉に這うような姿勢になった。
あれが村長orその息子なのだろう。
さっき若手を叱責していた上司リザードが俺の置いた台を指さし熱心に報告している。
【本当ですよ! 我々は何もしてません!】
【みんなそう言うんだ。 作業地区からはみ出していたのではないのかね?】
【いえ! 区割りはちゃんと遵守しております!】
【ふうむ。 じゃあどうして人間種が突然やって来たのだね?】
【わかりませんよ! 我々には見当もつかないんです!】
その様な遣り取りが延々と続いている。
どこの世界も勤め人って大変だよなあ。
働いたら負けだよ、ホント。
【この事は父に報告するからね!】
冠のリザードがそう言って小舟で去って行く。
と、いう事はあれは村長ではなく、その息子だったということだ。
俺は感動と共に眼前の光景を眺める。
リザード同士の口論を見て怯えた小太りオジサンが説明を求めて来たので、簡単に事情を説明する。
「…だから仕事って嫌なんだよ。」
彼の感性が極めて正常なので安心する。
更に1時間経過。
烏帽子のように高い冠を被ったリザードが先程の息子に伴われて到着する。
恐らく村長であろう。
村長はキョロキョロしながら…
【揉めてないよな? 何かトラブルあった訳じゃないんだよな?】
と一匹一匹に確認していく。
村長は村長で大変そうだ。
【今月は視察月なんだぞ!】
村長がそう言って怒鳴ると、周囲が首を竦める。
一見殊勝な応対だが、叱責されてるリザードは
【早くコイツの任期終わらないかな。】
【定員割れで役職に就いた癖に偉そうにしやがって】
【年功序列はクソ!】
と腹の底で不平を漏らしている。
職場ってどこもこんな感じなのかな。
だとしたら、俺は師匠の下に居させて貰ってる事に感謝しなくちゃな。
さて、烏帽子の村長は一通り怒鳴ると平静を取り戻したらしく、周囲に木製の台の説明を求めた。
リザードの群れは口々に【非戦闘員っぽい子供が】を連呼した。
何せ、この異種族間の緊張関係である。
接触を図って来たのが戦闘員か非戦闘員かは一番重要な部分だろう。
【ドーゾ?】
【そう連呼していたのです!】
【どういう意味かね?】
【知りませんよ! 人間種の言語なんか!】
【いやいや、そうじゃなくて。 どんなニュアンスだった?】
【ニュアンス?】
【威圧的だったとか、嘲笑的だったとか。】
【アイツらの表情って良く分からないんですよ。】
【何かあるだろう。 何でもいいから感じた事を教えてくれ。】
【いや、腰が低いなあ。 とは思いましたけど。】
【腰が低い?】
【雰囲気が遜っている、というか… まるで貢物でも持ってくるかのような。】
【あれは人間族からの貢納品ってこと?】
【一人で来てましたからね。 彼らの総意ではないかもです。】
【で、あれは何だ? 品目は何?】
【この角度からじゃわからないですよ。 金属? 陶片?】
【おい、誰か見てこい! 絶対に人間種と接触するなよ!】
おお…
リザードの会話、面白ぇw
俺は小太りオジサンに翻訳しながら、双眼鏡に釘づけになる。
協議の結果、さっき怒られてた新人リザードが木製の台を見に行かされることになった。
【だから言ったじゃないッスか!】
若手は先輩達に抗議するが、先輩達の反応は冷淡なものだった。
【ほら、早く行けよ。】
【命令されたのオマエだろ?】
【何かあったらオマエの責任だからな。】
若手は不貞腐れたように故意にバシャバシャと足音を立てながら木製の台に近づいた。
【銀です!】
【馬鹿! 声がデカい!】
【…銀です。】
【聞こえん! こっち来て報告しろ!】
【銀線ですって言ったんですよ!】
【声がデカいって言ってるだろうが!】
余程、人間(リザード)関係の悪い職場なのか先輩と新人が感情的に怒鳴り合っている。
小太りオジサンにとっては珍しくない光景らしく
「アイツら多分職人だよ…」
と吐き捨てる様に呟いた。
オジサンが言うならそうなんだろう。
結局、リザードは銀線には一指も触れることなく、その意図について協議を始めた。
更に一時間経った頃には、村長息子と若手の2人を残して全員が居なくなった。
【アレ、どうする?】
【うーん。 保留。 少なくとも判断するのは俺らじゃないだろ。
【親父さんが処罰されるの?】
【いや、それはないだろ。 役所船に報告して終わり。 オマエも査問会呼ばれるかもな。】
【え? 俺も?】
【だって第一目撃者だろ? 良かったな歴史に名が残るぞw】
【勘弁してよおw】
【人間種との初代外交官ヴェーヴォってなw】
【それ絶対悲劇フラグな奴ーーーwww】
《ヴェーヴォ》固有名詞?
あの新人リザードの名前か!?
あ、これ使えるかも。
俺と小太りオジサンはドキドキしながら城壁を降り定食屋に入った。
外交上の配慮から爬虫類系は当面食さない事を誓い合う。
本当はトード系が食べたかったのだが、ホーンラビットとバジルの和え物で妥協する。
『前線都市って肉料理ばっかりですよね。』
「農作物は殆ど商都以北が買い上げちゃうから。
僕らが食べられるのは、郊外の家庭菜園品だけ。
条例で城内栽培も禁止されてるからねえ。」
『え? そんな条例あるんですか?』
「だって城壁の中で菜園を許可したら、金持ちが好き勝手しちゃうでしょ?
皆を追い出して、一等地を植物工房にしたり、さ。
昔、そういう事件が多発したんだよ。
それで大抵の都市では城内栽培への規制が厳しいんだよ。」
地球でもそうだ。
金持ちに権利を与えるとアイツらは必ず悪用するからな。
確かに厳格な規制で監視する必要がある。
翌朝(早朝11時に起床)、俺はもう一度先日の場所に行く。
既に数匹のリザードが遠巻に木製台を眺めていた。
俺が登場した瞬間に、場がどよめく。
【アイツです! 昨日と同じ奴です!
いえ、見間違いではありません!】
【ホントに!? ホントに!?
見間違いでは済まんのだぞ!】
【あ、ほらジャスミンの香料!
昨日もアイツ、あの香料を使ったんです!】
【何の為に!?】
【知りませんよ!】
ゴメン。
何か俺の所為で険悪な雰囲気になっちゃったね。
『どーぞ!』
【うわあ!】
【またドーゾって言った!!】
【うおっ。本当だ。】
【俺、こんなに近くで人間種見たの初めてだよ。】
【そりゃあこの河にでも配属されない限り人間種なんて見ないだろ。】
『どーぞ。』
【また、ドーゾだ。】
【どういう意味? 挨拶言葉?】
【周囲に軍隊の気配はなさそうです!】
【楼船が来ないと伏兵の有無が判断出来ないけどな】
【アイツ一人で来たのか?】
【そもそもアイツ、人間種の中でどういう立場?】
【下っ端だろ? 身体も小さいし、装飾品も少ない。】
【じゃああの香料は?】
【知らねーよ。 要は敵意が無いって言いたいんじゃねーの。】
『どーぞ。』
何度か《ドーゾ》攻撃を繰り返しながら、相手の反応を待つ。
【ゲ――――――ヴィ!】
【おい馬鹿w やめろってwww】
【俺達の挨拶言葉なんて通じる訳ないだろww】
【やめろよなw また課長が発狂するぞww】
そうか…
それがアンタらの挨拶言葉か…
『ゲ――――――ヴィ!!!』
場が静まり返る。
明らかにリザードの眼に怯えの色が浮かぶ。
そりゃあそうだ、立場が逆だったら俺だって恐慌するよ。
【え? 嘘だろ? 何で人間種が?】
【聞き間違い… じゃないよな?】
【馬鹿! あれはオマエの真似をしただけだ!】
【そうか、真似。 口真似をしただけだな!】
【え? でも何で挨拶だけを真似したんだ?】
【おいやめろって! 村長が来るまで勝手なことするな!】
【怒られたらオマエの所為だからな!】
リザード達が待機態勢に入ったので、俺は実験を進める。
バランギル工房謹製の干し肉セットを開封すると、台の横で座って食べ始める。
【食事?】
【弁当? 何でこのタイミングで?】
【いや、アイツが急に食べ始めたんですよ!】
【なあ、アイツ何を喰ってるの?】
【ってか人間種って何を食べるんだ?】
【草だろ? 陸上の?】
【いやアイツらは肉も普通に喰うぞ?】
【え? マジ?】
【ここからじゃ良く見えない!】
【熊だよ! 熊! 俺の親父が見た事あるんだ! アイツら弓矢を使って熊を狩るんだよ!】
【熊の肉なんて臭くて食べれる訳ないだろう!】
【だから! 俺達の常識でアイツらの生態が分かる訳ないだろ!】
【熊! 絶対熊だって!】
【まさか、人間種の肉だったりしてw】
【うそーw アイツら共食いすんのかなw】
【俺、子供の頃アイツら同士の喧嘩を見たことあるぜ。】
【まーた始まったww オマエの法螺話は聞き飽きたよww】
【本当だって! アイツら馬に乗ったまま槍でプスプス刺し合うんだよ!】
【はいはい嘘乙ww】
【熊! 賭けてもいいぞ! あれは絶対に熊の肉だ! 今日の配給賭けて勝負してもいい!】
【お!? 言ったね? じゃあ勝負しようぜ!】
俺が食べてる肉についての賭けが唐突に始まる。
ゴメンな、ベア系の肉は持ってきてないんだ。
だって今週中に大量納品しなくちゃいけないから…
俺は意を決すると、干し肉を両手で恭しく掲げ、リザードの群れに歩み寄る。
【おい! 接近してきたぞ!】
【村長はまだか!?】
【おいどうするんだよ! 誰か指示くれよ!】
【オマエが変なこと言うからだぞ!】
【俺じゃねえよ!】
『ゲ――――――ヴィ♪ ゲ――――――ヴィ♪』
【なあ、コイツ。 俺達の言葉が理解出来るんじゃねえか?】
【いやいや、流石にそれはないでしょ!】
【いや、絶対に通じてるって!】
【おい皆! 言葉が通じちゃってる可能性あるぞ!】
【絶対に悪口とか挑発とかすんなよ!】
『ゲ――――――ヴィ♪ ゲ――――――ヴィ♪』
【え? くれるの?】
【おい、やばいって!】
【馬鹿! 勝手に受け取るな!】
【いや、コイツが!】
【何? 俺達に食べろってこと?】
【商売のつもりだったらどうする?】
【あ、そうか人間種の商人の可能性もあるんだ。】
【形式的にでも対価を払わないと、後々ヤバいことになるぞ!】
【今、軍票しかないぞ?】
【いや! 軍票はまずいだろ!】
【俺、売店のお釣りあるけど!】
【おいおい1コインだけかよ。 ガキの使いじゃないんだからさ。】
俺は必死で笑顔を作って、リザードの群れに干し肉を渡すべく手を伸ばす。
彼らの平均身長は目算3メートル。
自分の二倍近い体格の異種族に接近するのは…
生きた心地がしない。
手が自然に震える。
…怖い。
ただ、怖いのは向こうも同様のようで、恐ろしい回数の瞬きをしている。
恐らく人間種同様、緊張が高まると瞬きも増えるのだろう。
俺が干し肉を押し付けると、1コイン(円状の翡翠?)が渡される。
【商売をしにきたのか?】
彼らのリーダー格であろう、大柄なリザードが進み出て質問してくる。
俺は『いいえ』と言って首を横に振る。
【勿論、攻撃の意志はないんだよね?】
俺は『はい』と言って首を大袈裟に縦に振る。
【あのさあ。 俺達の言葉、解る訳?】
再び『はい』と言って首を縦に振る。
【流石に喋るのは無理だよね?】
『はい。』コクンコクン。
【誰かリザードがそっちの領域に行って言葉を教えたりしてるの?】
『いいえ。』ブルンブルン。
【ひょっとしてさ。
『はい』が肯定で、『いいえ』が否定の意味?】
『はい!! はい。 はい。』
【おお… じゃあ、我々もそのつもりでコミュニケーションとるからね?】
『はい!』
【首を縦に振るのが肯定で、横に振るのが否定のジェスチャー?】
『はい!』 コクンコクンコクン!
【オイオイ。 何千年もの謎が一瞬で解決するかもよ?
商売じゃないなら… 外交?
いや、そもそも君… 公人なの?
いや、それ以前に人間種にも公人・私人の概念はあるの?】
【いや、まとめて質問しちゃ駄目だよ!】
【一個ずつ! 一個ずつ!】
【村長が来る前に大事な話はヤバいって!】
【この子が個人的に試行錯誤してるんじゃないの?】
【村長の船、沖まで行っちゃってるってさ。】
【使えないオッサンだよなw】
【元々は万年ヒラ身分だよ、あいつww】
俺は【この子が個人的に試行錯誤してるんじゃないの?】と発言したリザードの前に歩み寄ると
『はい!』と叫んだ。
【え? マジ?】
【え? 個人的に来てるの?】
【って言うか、この精度で俺達の会話を聞き取れるって凄くね?】
【想定以上に話が通じちゃってるよ!?】
【オマエラ! 絶対に悪口言うなよ!】
【あ、あのさ。
俺達の言葉が完全に通じてる前提で話すね?
君、あの建物の人?】
『はい!』
【おー、やっぱりここら辺の人間種はあそこに住んでるんだ。】
【だから言ったじゃん。】
【街だよ、街。 人間種はああいう構造の暮らしをするんだって。】
【工場じゃないの?】
【いや、工場に住んでるんだろ?】
【兵営だよ、兵営! 見ればわかるだろ!】
【基本的な質問で申し訳なんいだけどさ。
あの大きな建物って何なの?
君達の街?】
『はい!』
【いや、工場でしょ。
いつも煤煙が上がってるよ?】
『はい!』
【どっちだよw】
【やっぱり話し通じてないんじゃないのw?】
俺は【やっぱり話し通じてないんじゃないのw?】と言ったリザードを指さして、『いいえ』と否定する。
【馬鹿! 失礼なこと言うな!】
【通じてるに決まってるだろ!】
【会話は通じてる! その前提で話を進めるぞ!】
【人間種はさあ。
兵営も工場も居住区も全部一緒になってるってこと?】
『はい!』
【だよなあ。】
【やっぱりかぁ。】
【軍隊文化なのかなぁ?】
【そりゃあ、あの規模だもん。】
【君の身分… というか立場が知りたいんだけど…
君は軍人なのかな?】
リザード達の表情に緊張が走る。
俺が軍属かそうでないか、というのは彼らにとって極めて重要な要素なのだろう。
『いいえ!』
【…軍人ではないようだな。】
【嘘かも知れない。】
【だが、明らかに軍人に見えない子供を使者に立てたということは
少なくとも威圧や恫喝の意志はないということだろう。】
【確かに。 脅しを掛けるなら、武装した兵士を背後に並べる筈だ。】
【えーっと。
人間種に公私の概念があるのかはわからないけど。
君は公人?】
『はい! はい! はい!』
【公人だな。】
【いや! 俺達とは文化解釈が異なるかも知れん。】
【だが公人という言葉に反応しているぞ!】
【今回は公務で来てくれたのかな?】
『いいえ!』ブンブン
【どういうこと?】
【オマエの質問の仕方が悪いんだよ。】
【いやプライベートで来たんだろ。】
【もっと明瞭に質問にしましょうよ。】
【じゃあオマエが聞けよ。】
【あー、次は僕から質問するね。
君は公人だけど、私的にここに来た。
それで合ってる?】
『はい!』
【おー。 かなり絞れて来たなあ。】
【結構会話が成立するものだな。】
【やっべ、俺歴史的な瞬間に立ち会ってるかも。】
【次に君の目的を聞かせて欲しいだけど…
ビジネスが目的?】
『いいえ!』
【じゃあ、僕達に何かをお願いしたいのかな?】
『はい!』
【おー。】とリザードが一斉にどよめく。
【流石ヴォッヴォヴィだ。】
【偉そうな態度取るだけはあるよな。】
【ヴォッヴォヴィは親が勉強家だから。】
ん?
この目の前のリザードはヴォッヴォヴィというのか?
名前?
『ヴォッヴォヴィ!』
【うお! びっくりした!
何? 君、僕の名前が解るの?
僕らの会話から名前を特定しちゃったってこと?】
『はい!』
【やっぱりさあ。 人間種って知能が高いんじゃないか?】
【この個体だけかも知れんぞ?】
【あんな建造物建てれる時点で馬鹿じゃないだろ。】
【少なくともこの子は、かなりだよ。 中央の能無し役人の千倍優秀だ。】
【はい、軍法会議w】
【おい他種族の前で恥を晒すな!】
『ヴォッヴォヴィ!』
そう言って俺はヴォッヴォヴィを指さす。
『チート!』
次に俺を指さす。
【チート、というのは…
君個人を識別する名前で合ってるのかな?】
『はい! 私はチートです!』
【おおお!】とリザードがどよめく。
【ち、チート】そう聞こえた方に手を振ると、呼びかけたリザードは驚いて仲間の陰に隠れてしまった。
【じゃあ、もう君の名前がチートだと仮定して話を進めるね。
それでいいかいチート。】
『はい! ヴォッヴォヴィ!』
【話を戻すね?
君は僕達に何をお願いしたいのかな?
…何か物質が欲しい?】
『いいえ!』
【だろうね。
じゃあ、僕達にどこかに行って欲しいのかな?
もっと距離を取って欲しいとか?】
俺はやや躊躇ったような表情でゆっくりと『いいえ』と言う。
【え? 今の間は何?】
【本音ではもっと距離を開けたいってことじゃない?】
【そりゃあ近すぎでしょ!】
【今の返事の仕方は上手いよな。】
【じゃあ、他の目的なんだね?】
『はい!』
【うーん。 僕達を傭兵として雇いたいってことかな?】
『いいえ!』
【それは助かる。
我々の法律ではね?
他種族はおろか、他部族の部隊に所属する事は禁止なんだ。
えーっと、ビジネスでも借兵でも無ければ…
後、何がある?】
【探し物依頼とか?】
【人間種っていつも獣を追いかけ回してるじゃん、あれを手伝えってこと?】
【わからねえな。 そもそも傭兵の概念とか人間種にもあるのかね?】
【お友達にでもなりにきたんじゃねーのw】
俺は【お友達にでもなりにきたんじゃねーのw】のリザードを指さし、『はい。』と答える。
彼らは一斉に黙り込んでしまった。
数分、沈黙が支配する。
そしてヴォッヴォヴィが再び口を開いた。
【チート個人が俺と仲良くなりたいの?】
『いいえ。』
【じゃあさあ。 チート個人がリザード種全体と仲良くなりたいの?】
『いいえ!』
【それはまるでさあ…
消去法でさあ…
チートが独断でリザード種と人間種を交流させようとしているように聞こえるんだけど。】
『はいはいはい!!!!』
【マジかー。】
『はい。』
【これ村長に何て報告する?】
【いや村長レベルの話じゃねーだろ。】
【じゃあ流域長?】
【アイツはただの役人だしな。】
【最低でも領主様を連れてこないと…】
【いや領主様が来られるなら、向こうも責任者に出て貰わないと!】
【そうだよ! 最初から外交的に後手を踏むことになる!】
【もはや、俺らがどうこう出来るレベルじゃないだろ。】
【ねえ、チート。
気持ちは嬉しいんだけどさ、
僕らは単なる地方団体職員に過ぎないんだ。
話がここまで大きくなると、僕らじゃ手に負えない。
わかるかな?】
『はい。』
【人間種との交渉なんて、前例がないからさ。
怒らないで聞いて欲しいんだけど…
軍学校でも君達は意思疎通不可能な生物だって習うんだ。
君達からこうやって接触してくることを誰も想定してなかったんだよ。】
『はい。』
【もしも予備交渉がしたいなら、僕らの部族を治める領主様に出席をお願いせざるを得ないけど…
その場合、君達の街の中で一番偉い人間種を出席させて欲しいんだ。
僕達は属国になりたい訳じゃないからね。
わかる?】
『はい。』
【方法は任せるから、君達の中で一番偉い人を紹介してくれ。
安全な場所から手を振るだけでいいから。
何らかの合図が欲しいな。】
『チート。』
【ん? わからない? 君達の中で一番偉い…】
『チート。』
【…一応確認するけど。
君、高い地位に居るのかな?】
『はい!』
【そうか…
我々も人間種の風習がわからないから無礼な態度があっても許してね。
チートのお父さんは偉いのかな?】
『いいえ! いいえ! いいえ!』
【なるほど、御家族の中に偉い人間種が居るのかな?】
『いいえ! いいえ! いいえ!』
【なるほど。 御一族は全員役職者ではないんだね?】
『はい!』
【では、君が役職に就いている、と。】
『はい!』
【あの大きな建物の中に役職制度があるってこと?】
『はい!』
【…その中のトップが君と言うこと?】
『はい! チート、シチョー。 シチョー!』
【流石に話を盛ってるだろ。】
【口を慎め、事実だった場合後で問題になる!】
【知らない単語来たな。】
【シチョー? 船名? 流域名?】
【役職のことでしょ? シチョーって役職に就いてるって言いたいのね?】
『はい! はい! はい!』
【問題はシチョーの身分だな。】
【領主様に報告した場合、最初に聞かれるから。】
【ナンバー2? ナンバー3?】
【おいおいチートはトップって言ってるだろ。】
【事実なら堂々と領主様にお願い出来るんだけどね。】
【そもそも論として、俺達とは社会システムが同じはずないだろ。】
【仮にチートが本当にトップだったとしたら、こうやって俺達が応対している時点で失礼だしな。】
【後々、問題になるぞーw】
俺は【後々、問題になるぞーw】を指さして『いいえ』と叫ぶ。
【お心遣いありがとうな、シチョー。】
そのリザードは(恐らくは)苦笑して後ろに引っ込んでしまう。
交渉はここまでだな。
そもそも彼らには何の権限も付与されていないし、領主様でさえ独断で何かは出来ないだろう。
『さよなら! さよなら!』
俺はゆっくりと後ろを向くと、何度も振り返って手を振った。
【チート、今日は話は終わりかい?】
『はい!』
【さよならってのは、君達流の別離の挨拶で合ってる?】
『はい!』
【ズジューーーーーー!!!!】
【ズジューーーーーー!!!!】
【ザォナラーーーーー!!!!】
【ズジューーーーーー!!!!】
一斉にリザードが叫んだので、俺も『ズジュー――!!』と叫ぶ。
【おお!】
【最後まで凄い学習能力だったな。】
【挨拶言葉だって一瞬で理解した。】
【俺、実家に帰ったら今日の話していいッスか?】
【馬鹿、緘口令に決まってんだろ、マジで殺されるぞ!】
【この肉、どうする?】
【え? 食べるの?】
【やだよ、怖い。】
【だから何の肉だよw】
【熊! 熊!】
【サイズ的に熊はねーだろww】
【チート、また会えるのか!】
『はい!』
【あの台はどうすればいい?
素直に受け取ればいいのか!?】
『はい!』
【君らの価値観は解からんから、対価は独断で支払うぞ!】
『はい!』
【台の側に居ればいいのか!?】
『いいえ!』
【わかった! 10日以内に対価を設置する事を約束する!】
『はい! ずじゅーーーーーーー!!!』
【ズジューーーーーー!!!!】
【ズジューーーーーー!!!!】
【ズジューーーーーー!!!!】
その後、レザノフ卿に滅茶苦茶怒られた。
冗談抜きで殺されるかと思ったし、彼も【心の中】で本気で俺を殺す段取りを考え始めていた。
それじゃあ皆さん、今夜はずじゅーーーーー!!
城壁沿いで解体屋露店を開いたこともあるが、それも数日だけのこと。
ちゃんとフィールドに出た事は無い。
俺は正門をくぐって外に出ると、壁に沿って大河に近づいていく。
小太りオジサンは城壁の上に待機して貰っている。
(俺が死んだときに周囲に事情を説明する人間が必要だからね。)
河の水音がはっきりと聞こえ始めると、リザード達を肉眼で確認出来るようになる。
何匹かのリザードがこちらに気付き、無言でこちらを観察する。
【丸腰?】
【人間種の子供?】
【一応村長に報告しておく?】
かなり遠目にそのような文字がポップアップする。
よし、ちゃんと【心は読めてる】な。
次に俺は彼らが好むと聞いているジャスミンの香料を全身に噴霧し続ける。
すぐに人工的な匂いが周囲を包み、ジャスミンの香りが辺りに充満する。
【攻撃? 何かの風習?】
【匂い… ジャスミン?】
【何? 何でジャスミン?】
【気は確かか?】
ハッキリとリザード達が俺を意識し、一切目を切らないまま仲間内で話し始めた。
一匹が武器を所持しようとするが、周囲に制止される。
よし。
思っていた通りだ。
彼らの文明は、《思考に基づいて行動する》段階に達している。
野蛮な星からの来訪者として是非見習いたい。
俺は彼らを見据えたまま、背負って来た木製の台を恭しく河べりに据えると、数種類の銀線を置いた。
この時、彼らとの距離はもう30メートルもない。
人間種を遥かに上回る瞬発力を誇る彼らがその気になれば、一瞬で詰め寄れる距離である。
【?】
【何かを置いた? 攻撃の意志はない?】
【村長は回航中? じゃあ、息子さんを呼んで来い。】
【武器? 兵器?】
【全員、まだ近づくなよ。】
『工事に銀が必要だと聞きました!』
俺はリザードの聴覚を信じて叫ぶ。
余程、驚いたのかリザード達がビクッと全身を振るわせて強張る。
そりゃあそうだ。
立場が逆なら俺だって恐怖する。
【喋った? 人間種の言葉?】
【え? 何で?】
【誰かアイツらの言葉解る奴いるの?】
【威嚇? 恫喝? いや、それなら丸腰では来ない、か。】
【あの木製の台のことじゃないか?】
さて、ここからが本番である。
俺の能力の真価が試される。
大きな身振りを意識しながら、台を指さした俺は。
『どうぞ! どうぞ!』
と2回叫ぶ。
【ドーゾ?】
【ドーゾ?】
【あの台に乗っているものが《ドーゾ》か?】
【意味のある単語を我々に発している…?】
【交渉希望?】
【いずれにせよ、役職者が来てくれないと俺達では判断が付かん。】
【せめて警備課か役所船が近くに居ればいいものの…】
リザード達がざわざわと相談し始めた。
人間種同様に彼らも組織的な生活をしており、大抵の組織がそうであるように遭遇したイレギュラーを末端が独断で処理する事は許されていない。
俺はペコペコと頭を下げながら少しずつ下がる。
この時点で一匹の若いリザードが俺への距離を10メートルほどに詰めてきたが、背後の上司っぽい者に叱責されて後退した。
【勝手なことするな! 私が責任を取らされるだろ!】
上司リザードは、ハッキリとそう言った。
気の毒なことに下がった若手は周囲の諸先輩から物凄く怒られている。
【オマエは新人の癖にいつも勝手をしやがって!】
【金持ちの息子だからって特別扱いをして貰えると思うなよ!】
【今夜はたっぷりと説教してやる!!】
そんな事を先輩リザード達が口々に叫びながら若手を小突き回している。
…いやあ、どこの世界も組織って大変だよなあ。
一通り若手を叱責すると、リザードの群れは顔を見合わせ
【【【事実をそのまま報告するのが無難だな。】】】
と結論付けた。
賢明な連中だ。
俺は一旦その場を後にして、城壁の上で小太りオジサンと合流し望遠鏡でさっきの現場を眺め続けた。
2時間くらい覗き続けていると、冠のようなものを被った小柄なリザードが小舟に現れ、周囲が一斉に這うような姿勢になった。
あれが村長orその息子なのだろう。
さっき若手を叱責していた上司リザードが俺の置いた台を指さし熱心に報告している。
【本当ですよ! 我々は何もしてません!】
【みんなそう言うんだ。 作業地区からはみ出していたのではないのかね?】
【いえ! 区割りはちゃんと遵守しております!】
【ふうむ。 じゃあどうして人間種が突然やって来たのだね?】
【わかりませんよ! 我々には見当もつかないんです!】
その様な遣り取りが延々と続いている。
どこの世界も勤め人って大変だよなあ。
働いたら負けだよ、ホント。
【この事は父に報告するからね!】
冠のリザードがそう言って小舟で去って行く。
と、いう事はあれは村長ではなく、その息子だったということだ。
俺は感動と共に眼前の光景を眺める。
リザード同士の口論を見て怯えた小太りオジサンが説明を求めて来たので、簡単に事情を説明する。
「…だから仕事って嫌なんだよ。」
彼の感性が極めて正常なので安心する。
更に1時間経過。
烏帽子のように高い冠を被ったリザードが先程の息子に伴われて到着する。
恐らく村長であろう。
村長はキョロキョロしながら…
【揉めてないよな? 何かトラブルあった訳じゃないんだよな?】
と一匹一匹に確認していく。
村長は村長で大変そうだ。
【今月は視察月なんだぞ!】
村長がそう言って怒鳴ると、周囲が首を竦める。
一見殊勝な応対だが、叱責されてるリザードは
【早くコイツの任期終わらないかな。】
【定員割れで役職に就いた癖に偉そうにしやがって】
【年功序列はクソ!】
と腹の底で不平を漏らしている。
職場ってどこもこんな感じなのかな。
だとしたら、俺は師匠の下に居させて貰ってる事に感謝しなくちゃな。
さて、烏帽子の村長は一通り怒鳴ると平静を取り戻したらしく、周囲に木製の台の説明を求めた。
リザードの群れは口々に【非戦闘員っぽい子供が】を連呼した。
何せ、この異種族間の緊張関係である。
接触を図って来たのが戦闘員か非戦闘員かは一番重要な部分だろう。
【ドーゾ?】
【そう連呼していたのです!】
【どういう意味かね?】
【知りませんよ! 人間種の言語なんか!】
【いやいや、そうじゃなくて。 どんなニュアンスだった?】
【ニュアンス?】
【威圧的だったとか、嘲笑的だったとか。】
【アイツらの表情って良く分からないんですよ。】
【何かあるだろう。 何でもいいから感じた事を教えてくれ。】
【いや、腰が低いなあ。 とは思いましたけど。】
【腰が低い?】
【雰囲気が遜っている、というか… まるで貢物でも持ってくるかのような。】
【あれは人間族からの貢納品ってこと?】
【一人で来てましたからね。 彼らの総意ではないかもです。】
【で、あれは何だ? 品目は何?】
【この角度からじゃわからないですよ。 金属? 陶片?】
【おい、誰か見てこい! 絶対に人間種と接触するなよ!】
おお…
リザードの会話、面白ぇw
俺は小太りオジサンに翻訳しながら、双眼鏡に釘づけになる。
協議の結果、さっき怒られてた新人リザードが木製の台を見に行かされることになった。
【だから言ったじゃないッスか!】
若手は先輩達に抗議するが、先輩達の反応は冷淡なものだった。
【ほら、早く行けよ。】
【命令されたのオマエだろ?】
【何かあったらオマエの責任だからな。】
若手は不貞腐れたように故意にバシャバシャと足音を立てながら木製の台に近づいた。
【銀です!】
【馬鹿! 声がデカい!】
【…銀です。】
【聞こえん! こっち来て報告しろ!】
【銀線ですって言ったんですよ!】
【声がデカいって言ってるだろうが!】
余程、人間(リザード)関係の悪い職場なのか先輩と新人が感情的に怒鳴り合っている。
小太りオジサンにとっては珍しくない光景らしく
「アイツら多分職人だよ…」
と吐き捨てる様に呟いた。
オジサンが言うならそうなんだろう。
結局、リザードは銀線には一指も触れることなく、その意図について協議を始めた。
更に一時間経った頃には、村長息子と若手の2人を残して全員が居なくなった。
【アレ、どうする?】
【うーん。 保留。 少なくとも判断するのは俺らじゃないだろ。
【親父さんが処罰されるの?】
【いや、それはないだろ。 役所船に報告して終わり。 オマエも査問会呼ばれるかもな。】
【え? 俺も?】
【だって第一目撃者だろ? 良かったな歴史に名が残るぞw】
【勘弁してよおw】
【人間種との初代外交官ヴェーヴォってなw】
【それ絶対悲劇フラグな奴ーーーwww】
《ヴェーヴォ》固有名詞?
あの新人リザードの名前か!?
あ、これ使えるかも。
俺と小太りオジサンはドキドキしながら城壁を降り定食屋に入った。
外交上の配慮から爬虫類系は当面食さない事を誓い合う。
本当はトード系が食べたかったのだが、ホーンラビットとバジルの和え物で妥協する。
『前線都市って肉料理ばっかりですよね。』
「農作物は殆ど商都以北が買い上げちゃうから。
僕らが食べられるのは、郊外の家庭菜園品だけ。
条例で城内栽培も禁止されてるからねえ。」
『え? そんな条例あるんですか?』
「だって城壁の中で菜園を許可したら、金持ちが好き勝手しちゃうでしょ?
皆を追い出して、一等地を植物工房にしたり、さ。
昔、そういう事件が多発したんだよ。
それで大抵の都市では城内栽培への規制が厳しいんだよ。」
地球でもそうだ。
金持ちに権利を与えるとアイツらは必ず悪用するからな。
確かに厳格な規制で監視する必要がある。
翌朝(早朝11時に起床)、俺はもう一度先日の場所に行く。
既に数匹のリザードが遠巻に木製台を眺めていた。
俺が登場した瞬間に、場がどよめく。
【アイツです! 昨日と同じ奴です!
いえ、見間違いではありません!】
【ホントに!? ホントに!?
見間違いでは済まんのだぞ!】
【あ、ほらジャスミンの香料!
昨日もアイツ、あの香料を使ったんです!】
【何の為に!?】
【知りませんよ!】
ゴメン。
何か俺の所為で険悪な雰囲気になっちゃったね。
『どーぞ!』
【うわあ!】
【またドーゾって言った!!】
【うおっ。本当だ。】
【俺、こんなに近くで人間種見たの初めてだよ。】
【そりゃあこの河にでも配属されない限り人間種なんて見ないだろ。】
『どーぞ。』
【また、ドーゾだ。】
【どういう意味? 挨拶言葉?】
【周囲に軍隊の気配はなさそうです!】
【楼船が来ないと伏兵の有無が判断出来ないけどな】
【アイツ一人で来たのか?】
【そもそもアイツ、人間種の中でどういう立場?】
【下っ端だろ? 身体も小さいし、装飾品も少ない。】
【じゃああの香料は?】
【知らねーよ。 要は敵意が無いって言いたいんじゃねーの。】
『どーぞ。』
何度か《ドーゾ》攻撃を繰り返しながら、相手の反応を待つ。
【ゲ――――――ヴィ!】
【おい馬鹿w やめろってwww】
【俺達の挨拶言葉なんて通じる訳ないだろww】
【やめろよなw また課長が発狂するぞww】
そうか…
それがアンタらの挨拶言葉か…
『ゲ――――――ヴィ!!!』
場が静まり返る。
明らかにリザードの眼に怯えの色が浮かぶ。
そりゃあそうだ、立場が逆だったら俺だって恐慌するよ。
【え? 嘘だろ? 何で人間種が?】
【聞き間違い… じゃないよな?】
【馬鹿! あれはオマエの真似をしただけだ!】
【そうか、真似。 口真似をしただけだな!】
【え? でも何で挨拶だけを真似したんだ?】
【おいやめろって! 村長が来るまで勝手なことするな!】
【怒られたらオマエの所為だからな!】
リザード達が待機態勢に入ったので、俺は実験を進める。
バランギル工房謹製の干し肉セットを開封すると、台の横で座って食べ始める。
【食事?】
【弁当? 何でこのタイミングで?】
【いや、アイツが急に食べ始めたんですよ!】
【なあ、アイツ何を喰ってるの?】
【ってか人間種って何を食べるんだ?】
【草だろ? 陸上の?】
【いやアイツらは肉も普通に喰うぞ?】
【え? マジ?】
【ここからじゃ良く見えない!】
【熊だよ! 熊! 俺の親父が見た事あるんだ! アイツら弓矢を使って熊を狩るんだよ!】
【熊の肉なんて臭くて食べれる訳ないだろう!】
【だから! 俺達の常識でアイツらの生態が分かる訳ないだろ!】
【熊! 絶対熊だって!】
【まさか、人間種の肉だったりしてw】
【うそーw アイツら共食いすんのかなw】
【俺、子供の頃アイツら同士の喧嘩を見たことあるぜ。】
【まーた始まったww オマエの法螺話は聞き飽きたよww】
【本当だって! アイツら馬に乗ったまま槍でプスプス刺し合うんだよ!】
【はいはい嘘乙ww】
【熊! 賭けてもいいぞ! あれは絶対に熊の肉だ! 今日の配給賭けて勝負してもいい!】
【お!? 言ったね? じゃあ勝負しようぜ!】
俺が食べてる肉についての賭けが唐突に始まる。
ゴメンな、ベア系の肉は持ってきてないんだ。
だって今週中に大量納品しなくちゃいけないから…
俺は意を決すると、干し肉を両手で恭しく掲げ、リザードの群れに歩み寄る。
【おい! 接近してきたぞ!】
【村長はまだか!?】
【おいどうするんだよ! 誰か指示くれよ!】
【オマエが変なこと言うからだぞ!】
【俺じゃねえよ!】
『ゲ――――――ヴィ♪ ゲ――――――ヴィ♪』
【なあ、コイツ。 俺達の言葉が理解出来るんじゃねえか?】
【いやいや、流石にそれはないでしょ!】
【いや、絶対に通じてるって!】
【おい皆! 言葉が通じちゃってる可能性あるぞ!】
【絶対に悪口とか挑発とかすんなよ!】
『ゲ――――――ヴィ♪ ゲ――――――ヴィ♪』
【え? くれるの?】
【おい、やばいって!】
【馬鹿! 勝手に受け取るな!】
【いや、コイツが!】
【何? 俺達に食べろってこと?】
【商売のつもりだったらどうする?】
【あ、そうか人間種の商人の可能性もあるんだ。】
【形式的にでも対価を払わないと、後々ヤバいことになるぞ!】
【今、軍票しかないぞ?】
【いや! 軍票はまずいだろ!】
【俺、売店のお釣りあるけど!】
【おいおい1コインだけかよ。 ガキの使いじゃないんだからさ。】
俺は必死で笑顔を作って、リザードの群れに干し肉を渡すべく手を伸ばす。
彼らの平均身長は目算3メートル。
自分の二倍近い体格の異種族に接近するのは…
生きた心地がしない。
手が自然に震える。
…怖い。
ただ、怖いのは向こうも同様のようで、恐ろしい回数の瞬きをしている。
恐らく人間種同様、緊張が高まると瞬きも増えるのだろう。
俺が干し肉を押し付けると、1コイン(円状の翡翠?)が渡される。
【商売をしにきたのか?】
彼らのリーダー格であろう、大柄なリザードが進み出て質問してくる。
俺は『いいえ』と言って首を横に振る。
【勿論、攻撃の意志はないんだよね?】
俺は『はい』と言って首を大袈裟に縦に振る。
【あのさあ。 俺達の言葉、解る訳?】
再び『はい』と言って首を縦に振る。
【流石に喋るのは無理だよね?】
『はい。』コクンコクン。
【誰かリザードがそっちの領域に行って言葉を教えたりしてるの?】
『いいえ。』ブルンブルン。
【ひょっとしてさ。
『はい』が肯定で、『いいえ』が否定の意味?】
『はい!! はい。 はい。』
【おお… じゃあ、我々もそのつもりでコミュニケーションとるからね?】
『はい!』
【首を縦に振るのが肯定で、横に振るのが否定のジェスチャー?】
『はい!』 コクンコクンコクン!
【オイオイ。 何千年もの謎が一瞬で解決するかもよ?
商売じゃないなら… 外交?
いや、そもそも君… 公人なの?
いや、それ以前に人間種にも公人・私人の概念はあるの?】
【いや、まとめて質問しちゃ駄目だよ!】
【一個ずつ! 一個ずつ!】
【村長が来る前に大事な話はヤバいって!】
【この子が個人的に試行錯誤してるんじゃないの?】
【村長の船、沖まで行っちゃってるってさ。】
【使えないオッサンだよなw】
【元々は万年ヒラ身分だよ、あいつww】
俺は【この子が個人的に試行錯誤してるんじゃないの?】と発言したリザードの前に歩み寄ると
『はい!』と叫んだ。
【え? マジ?】
【え? 個人的に来てるの?】
【って言うか、この精度で俺達の会話を聞き取れるって凄くね?】
【想定以上に話が通じちゃってるよ!?】
【オマエラ! 絶対に悪口言うなよ!】
【あ、あのさ。
俺達の言葉が完全に通じてる前提で話すね?
君、あの建物の人?】
『はい!』
【おー、やっぱりここら辺の人間種はあそこに住んでるんだ。】
【だから言ったじゃん。】
【街だよ、街。 人間種はああいう構造の暮らしをするんだって。】
【工場じゃないの?】
【いや、工場に住んでるんだろ?】
【兵営だよ、兵営! 見ればわかるだろ!】
【基本的な質問で申し訳なんいだけどさ。
あの大きな建物って何なの?
君達の街?】
『はい!』
【いや、工場でしょ。
いつも煤煙が上がってるよ?】
『はい!』
【どっちだよw】
【やっぱり話し通じてないんじゃないのw?】
俺は【やっぱり話し通じてないんじゃないのw?】と言ったリザードを指さして、『いいえ』と否定する。
【馬鹿! 失礼なこと言うな!】
【通じてるに決まってるだろ!】
【会話は通じてる! その前提で話を進めるぞ!】
【人間種はさあ。
兵営も工場も居住区も全部一緒になってるってこと?】
『はい!』
【だよなあ。】
【やっぱりかぁ。】
【軍隊文化なのかなぁ?】
【そりゃあ、あの規模だもん。】
【君の身分… というか立場が知りたいんだけど…
君は軍人なのかな?】
リザード達の表情に緊張が走る。
俺が軍属かそうでないか、というのは彼らにとって極めて重要な要素なのだろう。
『いいえ!』
【…軍人ではないようだな。】
【嘘かも知れない。】
【だが、明らかに軍人に見えない子供を使者に立てたということは
少なくとも威圧や恫喝の意志はないということだろう。】
【確かに。 脅しを掛けるなら、武装した兵士を背後に並べる筈だ。】
【えーっと。
人間種に公私の概念があるのかはわからないけど。
君は公人?】
『はい! はい! はい!』
【公人だな。】
【いや! 俺達とは文化解釈が異なるかも知れん。】
【だが公人という言葉に反応しているぞ!】
【今回は公務で来てくれたのかな?】
『いいえ!』ブンブン
【どういうこと?】
【オマエの質問の仕方が悪いんだよ。】
【いやプライベートで来たんだろ。】
【もっと明瞭に質問にしましょうよ。】
【じゃあオマエが聞けよ。】
【あー、次は僕から質問するね。
君は公人だけど、私的にここに来た。
それで合ってる?】
『はい!』
【おー。 かなり絞れて来たなあ。】
【結構会話が成立するものだな。】
【やっべ、俺歴史的な瞬間に立ち会ってるかも。】
【次に君の目的を聞かせて欲しいだけど…
ビジネスが目的?】
『いいえ!』
【じゃあ、僕達に何かをお願いしたいのかな?】
『はい!』
【おー。】とリザードが一斉にどよめく。
【流石ヴォッヴォヴィだ。】
【偉そうな態度取るだけはあるよな。】
【ヴォッヴォヴィは親が勉強家だから。】
ん?
この目の前のリザードはヴォッヴォヴィというのか?
名前?
『ヴォッヴォヴィ!』
【うお! びっくりした!
何? 君、僕の名前が解るの?
僕らの会話から名前を特定しちゃったってこと?】
『はい!』
【やっぱりさあ。 人間種って知能が高いんじゃないか?】
【この個体だけかも知れんぞ?】
【あんな建造物建てれる時点で馬鹿じゃないだろ。】
【少なくともこの子は、かなりだよ。 中央の能無し役人の千倍優秀だ。】
【はい、軍法会議w】
【おい他種族の前で恥を晒すな!】
『ヴォッヴォヴィ!』
そう言って俺はヴォッヴォヴィを指さす。
『チート!』
次に俺を指さす。
【チート、というのは…
君個人を識別する名前で合ってるのかな?】
『はい! 私はチートです!』
【おおお!】とリザードがどよめく。
【ち、チート】そう聞こえた方に手を振ると、呼びかけたリザードは驚いて仲間の陰に隠れてしまった。
【じゃあ、もう君の名前がチートだと仮定して話を進めるね。
それでいいかいチート。】
『はい! ヴォッヴォヴィ!』
【話を戻すね?
君は僕達に何をお願いしたいのかな?
…何か物質が欲しい?】
『いいえ!』
【だろうね。
じゃあ、僕達にどこかに行って欲しいのかな?
もっと距離を取って欲しいとか?】
俺はやや躊躇ったような表情でゆっくりと『いいえ』と言う。
【え? 今の間は何?】
【本音ではもっと距離を開けたいってことじゃない?】
【そりゃあ近すぎでしょ!】
【今の返事の仕方は上手いよな。】
【じゃあ、他の目的なんだね?】
『はい!』
【うーん。 僕達を傭兵として雇いたいってことかな?】
『いいえ!』
【それは助かる。
我々の法律ではね?
他種族はおろか、他部族の部隊に所属する事は禁止なんだ。
えーっと、ビジネスでも借兵でも無ければ…
後、何がある?】
【探し物依頼とか?】
【人間種っていつも獣を追いかけ回してるじゃん、あれを手伝えってこと?】
【わからねえな。 そもそも傭兵の概念とか人間種にもあるのかね?】
【お友達にでもなりにきたんじゃねーのw】
俺は【お友達にでもなりにきたんじゃねーのw】のリザードを指さし、『はい。』と答える。
彼らは一斉に黙り込んでしまった。
数分、沈黙が支配する。
そしてヴォッヴォヴィが再び口を開いた。
【チート個人が俺と仲良くなりたいの?】
『いいえ。』
【じゃあさあ。 チート個人がリザード種全体と仲良くなりたいの?】
『いいえ!』
【それはまるでさあ…
消去法でさあ…
チートが独断でリザード種と人間種を交流させようとしているように聞こえるんだけど。】
『はいはいはい!!!!』
【マジかー。】
『はい。』
【これ村長に何て報告する?】
【いや村長レベルの話じゃねーだろ。】
【じゃあ流域長?】
【アイツはただの役人だしな。】
【最低でも領主様を連れてこないと…】
【いや領主様が来られるなら、向こうも責任者に出て貰わないと!】
【そうだよ! 最初から外交的に後手を踏むことになる!】
【もはや、俺らがどうこう出来るレベルじゃないだろ。】
【ねえ、チート。
気持ちは嬉しいんだけどさ、
僕らは単なる地方団体職員に過ぎないんだ。
話がここまで大きくなると、僕らじゃ手に負えない。
わかるかな?】
『はい。』
【人間種との交渉なんて、前例がないからさ。
怒らないで聞いて欲しいんだけど…
軍学校でも君達は意思疎通不可能な生物だって習うんだ。
君達からこうやって接触してくることを誰も想定してなかったんだよ。】
『はい。』
【もしも予備交渉がしたいなら、僕らの部族を治める領主様に出席をお願いせざるを得ないけど…
その場合、君達の街の中で一番偉い人間種を出席させて欲しいんだ。
僕達は属国になりたい訳じゃないからね。
わかる?】
『はい。』
【方法は任せるから、君達の中で一番偉い人を紹介してくれ。
安全な場所から手を振るだけでいいから。
何らかの合図が欲しいな。】
『チート。』
【ん? わからない? 君達の中で一番偉い…】
『チート。』
【…一応確認するけど。
君、高い地位に居るのかな?】
『はい!』
【そうか…
我々も人間種の風習がわからないから無礼な態度があっても許してね。
チートのお父さんは偉いのかな?】
『いいえ! いいえ! いいえ!』
【なるほど、御家族の中に偉い人間種が居るのかな?】
『いいえ! いいえ! いいえ!』
【なるほど。 御一族は全員役職者ではないんだね?】
『はい!』
【では、君が役職に就いている、と。】
『はい!』
【あの大きな建物の中に役職制度があるってこと?】
『はい!』
【…その中のトップが君と言うこと?】
『はい! チート、シチョー。 シチョー!』
【流石に話を盛ってるだろ。】
【口を慎め、事実だった場合後で問題になる!】
【知らない単語来たな。】
【シチョー? 船名? 流域名?】
【役職のことでしょ? シチョーって役職に就いてるって言いたいのね?】
『はい! はい! はい!』
【問題はシチョーの身分だな。】
【領主様に報告した場合、最初に聞かれるから。】
【ナンバー2? ナンバー3?】
【おいおいチートはトップって言ってるだろ。】
【事実なら堂々と領主様にお願い出来るんだけどね。】
【そもそも論として、俺達とは社会システムが同じはずないだろ。】
【仮にチートが本当にトップだったとしたら、こうやって俺達が応対している時点で失礼だしな。】
【後々、問題になるぞーw】
俺は【後々、問題になるぞーw】を指さして『いいえ』と叫ぶ。
【お心遣いありがとうな、シチョー。】
そのリザードは(恐らくは)苦笑して後ろに引っ込んでしまう。
交渉はここまでだな。
そもそも彼らには何の権限も付与されていないし、領主様でさえ独断で何かは出来ないだろう。
『さよなら! さよなら!』
俺はゆっくりと後ろを向くと、何度も振り返って手を振った。
【チート、今日は話は終わりかい?】
『はい!』
【さよならってのは、君達流の別離の挨拶で合ってる?】
『はい!』
【ズジューーーーーー!!!!】
【ズジューーーーーー!!!!】
【ザォナラーーーーー!!!!】
【ズジューーーーーー!!!!】
一斉にリザードが叫んだので、俺も『ズジュー――!!』と叫ぶ。
【おお!】
【最後まで凄い学習能力だったな。】
【挨拶言葉だって一瞬で理解した。】
【俺、実家に帰ったら今日の話していいッスか?】
【馬鹿、緘口令に決まってんだろ、マジで殺されるぞ!】
【この肉、どうする?】
【え? 食べるの?】
【やだよ、怖い。】
【だから何の肉だよw】
【熊! 熊!】
【サイズ的に熊はねーだろww】
【チート、また会えるのか!】
『はい!』
【あの台はどうすればいい?
素直に受け取ればいいのか!?】
『はい!』
【君らの価値観は解からんから、対価は独断で支払うぞ!】
『はい!』
【台の側に居ればいいのか!?】
『いいえ!』
【わかった! 10日以内に対価を設置する事を約束する!】
『はい! ずじゅーーーーーーー!!!』
【ズジューーーーーー!!!!】
【ズジューーーーーー!!!!】
【ズジューーーーーー!!!!】
その後、レザノフ卿に滅茶苦茶怒られた。
冗談抜きで殺されるかと思ったし、彼も【心の中】で本気で俺を殺す段取りを考え始めていた。
それじゃあ皆さん、今夜はずじゅーーーーー!!
12
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。
【あらすじ】
異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。
それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。
家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。
十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。
だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。
最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。
この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。
そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。
そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる