40 / 248
【転移40日目】 所持金847億ウェン 「参ったな、寝てたら戦争に勝ってたわ。」
しおりを挟む
翌朝。
アウグスブルグ領の占領を放棄したミュラーは、突如軍隊を反転させ南下する。
聞けば、南側の国境の領主も三公七民のミュラーを憎悪していたらしく、北のアウグスブルグ家との同時攻撃のつもりで軍を動かし始めたらしい。
老将は旗本の騎兵だけを引き連れ数百で敵先鋒に奇襲を掛けに行った。
流れで俺達のキャラバンも本軍の歩兵に同道させて貰う。
ありがたい事に、ケルヒャー経由で雇用された傭兵達の大半はミュラーから報酬を受け取っていると信じてくれている。
総大将ミュラー、総傭兵隊長ケルヒャー位の感覚である。
まあ、事実その指揮系統でこの大軍が動いている。
補足する。
連邦の徴税相場は七公三民である。
これは歴史的にそうであり、アウグスブルグ家を始めとした諸家が特に暴政を敷いている訳では無い。
相場を無視して三公七民を強行している狂人ミュラー侯爵こそが異常であり。
諸侯同士の感覚で言うなら調和を乱す悪なのである。
でもまあ、納税者は税金が安い側を支持するよね。
歴史的にもそうである。
要は、燻っていた反ミュラー感情を爆発させた周辺諸侯が侵攻して来た。
だが即日、傭兵団が次々にミュラーへの忠誠宣言を表明し、かつ七公三民地帯で親ミュラー一揆が発生しつつあるので、この偏屈爺さんが連邦の天下人になりつつあるのだ。
正直、異世界のまた異国の話なのでどうでも良い。
ヒルダが連邦の政治情勢について詳細な分析を聞かせてくれるが、固有名詞だらけだったので把握を断念した。
連邦には《○○ブルグ》という姓が多すぎる。
○○ブルグさん同士が合戦して△△ブルグ将軍が戦死したニュースを数件聞かされたのだが、到底記憶出来なかった。
==========================
【所持金】
738億8600万ウェン
↓
700億ウェン
※38億8600万ウェンを軍事枠に移行
※前回同様に全決済権をヒルダ・コリンズに譲渡
==========================
「リン。
補充はありがたいのですが、この数字の根拠は?」
『ああ、たまたま。』
数字に根拠などない。
いつも通り端数を渡しただけである。
胡桃亭時代も何回か手元の端数を寄贈している。
俺はカネを増やすスキルを保有しているだけで、その使い道を思いつく脳がない。
この冷徹な養母であれば、少なくとも戦略で後手を踏まずに済むだろう。
==========================
本当に連日連戦である。
それにしても、この異世界人達は楽しそうに戦争をする。
余程他に娯楽がないのだろう。
それとも中世、まだ人間個々の力が未来を掴み得ると信じられていた時代の地球もそんな感じだったのだろうか?
もしも俺の【複利】が《資本家》なる怪物を産み出す為のスキルなのだとしたら…
きっとここに居る純真な騎士や朴訥な傭兵達の笑顔はやがて過去の遺物となるのだろう。
『カネは魔物だ。』
俺は己に言い聞かせるように呟く。
あまりに周囲の喧騒が激し過ぎて、枕頭のコレットにすら言葉が届かない。
周囲が異様に盛り上がっているのだが、俺だけ妙に醒めていた。
相変わらず馬車の荷台に転がされているからだ。
腕の感覚が戻って来たので、エリクサーにはやはり効果があるのだろう。
相変わらず身を起せないが、無理に起きようとしても変な汗を掻かなくなった。
単に痛覚を失っただけなのかも知れないが、1ℓ100億ウェンの暴値を信じる。
戦勝の知らせが入ると、幌の外からワーっと歓声が上がる。
皆が一通り喜びを共有し終わってから、幌の中にダグラスやグリーブやケルヒャーが報告に来る。
当然、歓喜を共有する事は出来ない。
孤独感は嫌でも強まる。
「良いじゃない、これで。」
しばらくしてコレットが耳元に囁く。
きっと、《納得せずとも満足せよ》という趣旨の慰めなのだろう。
==========================
カインとキーンが入って来て、「もう夜になった」と教えてくれる。
言われてみると少し肌寒い。
この2人も俺同様に周囲の戦争ごっこからは精神的な距離を置いていた。
俺達は到着してからの事を考えなければならない時期にあったからである。
こんな野蛮国と異なり、自由都市の圏内は本当に安全らしい。
資本の発達により、練度の高い海軍と大量の通年契約傭兵団を保有しているからである。
豊富な工作費で外交面からも安全を確保出来ている。
何より各国の富裕層が財産ごと移住してくるので、《他国を窮乏化させ続けつつ自国は富み続ける》という理想的な形での発展を遂げている。
国教制定を拒み続けている事で神聖教団から敵視されてはいるが、肝心の教団本部は自由都市の首都・ソドムタウンに存在する。
「コリンズさん。
今回は災難でしたが、我々の名はそこまで広がっていないようです。
ケルヒャー氏がかなり柔軟に対応してくれてますね。」
『御二方、申し訳ありません。
最近、本当に金銭感覚が麻痺しているのです。
まさか、ここまで大事になるなんて…
俺はただ通行の自由を認めて欲しかっただけなのですが…』
「いや、結果論になりますが、あの判断は正解ですよ。
アウグスブルグ領に足止めされてたら、理由を付けて財産を没収されていたでしょう。
聞けば、アウグスブルグ家は傭兵に約束していただけのキャッシュを保有していなかったようですしね。」
『え?
カネも無しにどうやって兵を雇うんですか?』
「ですから…
ミュラー領からの略奪・収奪も見込んでの戦争計画だったのではないか? と。
もっとも、今となっては彼らの腹つもりは永遠にわからなくなってしまいましたが…」
『そんなに窮乏した状態で戦争を始めようとするなんて
信じられないです…』
「いや、王国も含めて
どこの国も懐事情や戦争経費の捻出方法も同じですよ?
コリンズさんの資金が豊富過ぎるのです。」
『出し過ぎましたか?』
「そうですね。
先程、ヒルダさんとも話したのですが、この数日で数十億をバラまいたとか…
これ、自治体の予算規模ですよ。
とてもじゃないが地方領主同士の小競り合いに供出する金額じゃない。」
『俺は駄目ですね。
金銭感覚が麻痺し切ってしまった。』
「いや、麻痺ではないですよ?」
『と言いますと?』
「ニコニコ金融を営んだ経験からの発言ですが…
金融業の世界で《麻痺》とは自分の懐事情が分からなくなって、分不相応な支出を行う様になってしまう事を指します。
例えば、年収300万ウェンしかない若者がウチで借金して500万ウェンの名馬を購入したりね。
そんなおカネの使い方をしてたら、絶対に破綻するでしょう?」
『はい。
必ずどこかで返済が滞って…
名馬も差し押さえられてしまうと思います。』
「それは個人の財務バランスが、無計画な借金と過大な支出によって完全赤字化する事が原因なんです。
翻ってコリンズさん。
別に貴方の財産、目減りしてないでしょ?
『ええ、まあ。
例の効果で、資産は…。』
《147億ウェンの配当が支払われました。》
「どうされました?」
『あ、今増えました。』
「気軽過ぎるww
ちゃんと戦費は賄えましたかw?」
『おかげさまで戦争出資額の倍額程の収益を本日得る事が出来ました。』
「最初に逢った時から感じていたのですが…
コリンズさんは加速度的に人知を越えてますよね。」
『いや、私は見ての通り。
ただの軟弱者ですよ。
ただスキルが凄いだけで。
いや違うな。
もっと正確に言えば、そこから発生しているカネが状況を変えてるんだと思います。』
「コリンズさん。
その解釈は違うと思います。」
『と、言いますと?』
「状況を変えてるのは、カネではありません。
貴方のカネの使い方です。」
『お、俺のですか?』
「貴方は意識していないかも知れませんが…
これまで徳のある分配をされてますよ?
キーン社長もそう思われますよね?
私も初対面から衝撃を受けましたから。」
『しょ、初対面?
俺、何かしましたか?』
「持って来た炸裂弾を皆に投げさせてあげたでしょう?
その後、村を襲った狼と当然の義務のように戦った。」
『ああ…
そうか、俺は…
あの日にカインさん、貴方と逢ったんだ。』
「私にとっては衝撃だったんです。
こういう気前良い上に勇敢な若者を何としても助けたいと心から思った。」
『炸裂弾は…
皆さんが楽しそうに見ておられたから…
それに、狼には軽く転がされただけですよw
俺、カインさんと違って弱いですし。』
「そこですよ。
それまでロクな戦闘経験なかったんでしょ?
村に対して何の義務もない。
そんな貴方が勇戦したから、農業地区の雰囲気は本当に良くなったんです。
アランも感謝してました。
私は…
貴方が力をポジティブな方向に使える稀有な方だと確信しています。
だから、これからも胸を張ってカネを貯めて、胸を張って使って下さい。
コリンズさん。
貴方が最強なのです。」
『精進します。』
…最強ねえ。
確かに【複利】は最強だよ?
アインシュタインが言っているのだから、そうなのだろう。
光が最も早いように、複利が最も強いのだ。
別に俺が強い訳じゃない。
流石にこの容体で自惚れるほど、俺は愚かではないよ。
小便一つすらコレットの世話なしでは出来ないんだからな。
『あ、思い出した。
そろそろ、お2人には利息を受け取って頂けるとありがたいのですが。』
「はははw
そうでしたw
コリンズさんのお身体が快癒したら、是非その手で支払って下さい。
私達はその日を信じ、楽しみに待っております。
大丈夫、貴方はまだ若い。
必ず元の身体に戻ります!」
『養生に努めます。』
21時頃、〇△ブルグ領の城下町で宿泊することになった。
確か〇△~は敵方の呼称だったと思う。
そのお膝元に宿泊できると言う事は、ミュラーはアウグスブルグに続いて〇△も一蹴してしまったのだろう。
参ったな、寝てたら戦争に勝ってたわ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
リン・トイチ・コリンズ
【職業】
傭兵隊長
【称号】
ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒
【ステータス】
《LV》 21
《HP》 (2/4)
《MP》 (4/4)
《腕力》 1
《速度》 2
《器用》 2
《魔力》 2
《知性》 3
《精神》 4
《幸運》 1
《経験》 1362万3054ポイント
次のレベルまで残り1029万2616ポイント
【スキル】
「複利」
※日利21%
下8桁切上
【所持金】
所持金847億ウェン
※カイン・R・グランツから14億ウェンを日利2%で借用
※ドナルド・キーンから82億ウェンを日利2%で借用
(両名共に配当受取拒絶中)
※バベル銀行の10億ウェン預入証書保有
【常備薬】
エリクサー 128ℓ
【コリンズキャラバン移動計画】
「16日目」
中継都市ヒルズタウン (宿が込んでた。)
↓
侯爵城下町 (風光明媚な土地だったらしい)
↓
大草原 (遊牧民を買収した。)
↓
教団自治区 (10億ウェンカツアゲされた)
↓
王国天領 (プロポーズした。)
↓
伯爵城下町 (落ち武者狩りの駄賃で通行)
↓
諸貴族領混在地 (5億ウェンで伯爵領購入交渉中)
↓
王国軍都 (護衛団フルチューン)
↓
王国側国境検問所 (秋の愛国フェアに参加)
↓
非武装中立地帯 (死んだ。)
↓
連邦or首長国検問所 (連邦ルート選択)
↓
連邦アウグスブルグ侯爵領 (養母無双)
↓
連邦〇△ブルグ?爵領城下町 ←今ココ
↓
自由都市(連邦領経由なら7日、首長国経由なら5日の計算)
アウグスブルグ領の占領を放棄したミュラーは、突如軍隊を反転させ南下する。
聞けば、南側の国境の領主も三公七民のミュラーを憎悪していたらしく、北のアウグスブルグ家との同時攻撃のつもりで軍を動かし始めたらしい。
老将は旗本の騎兵だけを引き連れ数百で敵先鋒に奇襲を掛けに行った。
流れで俺達のキャラバンも本軍の歩兵に同道させて貰う。
ありがたい事に、ケルヒャー経由で雇用された傭兵達の大半はミュラーから報酬を受け取っていると信じてくれている。
総大将ミュラー、総傭兵隊長ケルヒャー位の感覚である。
まあ、事実その指揮系統でこの大軍が動いている。
補足する。
連邦の徴税相場は七公三民である。
これは歴史的にそうであり、アウグスブルグ家を始めとした諸家が特に暴政を敷いている訳では無い。
相場を無視して三公七民を強行している狂人ミュラー侯爵こそが異常であり。
諸侯同士の感覚で言うなら調和を乱す悪なのである。
でもまあ、納税者は税金が安い側を支持するよね。
歴史的にもそうである。
要は、燻っていた反ミュラー感情を爆発させた周辺諸侯が侵攻して来た。
だが即日、傭兵団が次々にミュラーへの忠誠宣言を表明し、かつ七公三民地帯で親ミュラー一揆が発生しつつあるので、この偏屈爺さんが連邦の天下人になりつつあるのだ。
正直、異世界のまた異国の話なのでどうでも良い。
ヒルダが連邦の政治情勢について詳細な分析を聞かせてくれるが、固有名詞だらけだったので把握を断念した。
連邦には《○○ブルグ》という姓が多すぎる。
○○ブルグさん同士が合戦して△△ブルグ将軍が戦死したニュースを数件聞かされたのだが、到底記憶出来なかった。
==========================
【所持金】
738億8600万ウェン
↓
700億ウェン
※38億8600万ウェンを軍事枠に移行
※前回同様に全決済権をヒルダ・コリンズに譲渡
==========================
「リン。
補充はありがたいのですが、この数字の根拠は?」
『ああ、たまたま。』
数字に根拠などない。
いつも通り端数を渡しただけである。
胡桃亭時代も何回か手元の端数を寄贈している。
俺はカネを増やすスキルを保有しているだけで、その使い道を思いつく脳がない。
この冷徹な養母であれば、少なくとも戦略で後手を踏まずに済むだろう。
==========================
本当に連日連戦である。
それにしても、この異世界人達は楽しそうに戦争をする。
余程他に娯楽がないのだろう。
それとも中世、まだ人間個々の力が未来を掴み得ると信じられていた時代の地球もそんな感じだったのだろうか?
もしも俺の【複利】が《資本家》なる怪物を産み出す為のスキルなのだとしたら…
きっとここに居る純真な騎士や朴訥な傭兵達の笑顔はやがて過去の遺物となるのだろう。
『カネは魔物だ。』
俺は己に言い聞かせるように呟く。
あまりに周囲の喧騒が激し過ぎて、枕頭のコレットにすら言葉が届かない。
周囲が異様に盛り上がっているのだが、俺だけ妙に醒めていた。
相変わらず馬車の荷台に転がされているからだ。
腕の感覚が戻って来たので、エリクサーにはやはり効果があるのだろう。
相変わらず身を起せないが、無理に起きようとしても変な汗を掻かなくなった。
単に痛覚を失っただけなのかも知れないが、1ℓ100億ウェンの暴値を信じる。
戦勝の知らせが入ると、幌の外からワーっと歓声が上がる。
皆が一通り喜びを共有し終わってから、幌の中にダグラスやグリーブやケルヒャーが報告に来る。
当然、歓喜を共有する事は出来ない。
孤独感は嫌でも強まる。
「良いじゃない、これで。」
しばらくしてコレットが耳元に囁く。
きっと、《納得せずとも満足せよ》という趣旨の慰めなのだろう。
==========================
カインとキーンが入って来て、「もう夜になった」と教えてくれる。
言われてみると少し肌寒い。
この2人も俺同様に周囲の戦争ごっこからは精神的な距離を置いていた。
俺達は到着してからの事を考えなければならない時期にあったからである。
こんな野蛮国と異なり、自由都市の圏内は本当に安全らしい。
資本の発達により、練度の高い海軍と大量の通年契約傭兵団を保有しているからである。
豊富な工作費で外交面からも安全を確保出来ている。
何より各国の富裕層が財産ごと移住してくるので、《他国を窮乏化させ続けつつ自国は富み続ける》という理想的な形での発展を遂げている。
国教制定を拒み続けている事で神聖教団から敵視されてはいるが、肝心の教団本部は自由都市の首都・ソドムタウンに存在する。
「コリンズさん。
今回は災難でしたが、我々の名はそこまで広がっていないようです。
ケルヒャー氏がかなり柔軟に対応してくれてますね。」
『御二方、申し訳ありません。
最近、本当に金銭感覚が麻痺しているのです。
まさか、ここまで大事になるなんて…
俺はただ通行の自由を認めて欲しかっただけなのですが…』
「いや、結果論になりますが、あの判断は正解ですよ。
アウグスブルグ領に足止めされてたら、理由を付けて財産を没収されていたでしょう。
聞けば、アウグスブルグ家は傭兵に約束していただけのキャッシュを保有していなかったようですしね。」
『え?
カネも無しにどうやって兵を雇うんですか?』
「ですから…
ミュラー領からの略奪・収奪も見込んでの戦争計画だったのではないか? と。
もっとも、今となっては彼らの腹つもりは永遠にわからなくなってしまいましたが…」
『そんなに窮乏した状態で戦争を始めようとするなんて
信じられないです…』
「いや、王国も含めて
どこの国も懐事情や戦争経費の捻出方法も同じですよ?
コリンズさんの資金が豊富過ぎるのです。」
『出し過ぎましたか?』
「そうですね。
先程、ヒルダさんとも話したのですが、この数日で数十億をバラまいたとか…
これ、自治体の予算規模ですよ。
とてもじゃないが地方領主同士の小競り合いに供出する金額じゃない。」
『俺は駄目ですね。
金銭感覚が麻痺し切ってしまった。』
「いや、麻痺ではないですよ?」
『と言いますと?』
「ニコニコ金融を営んだ経験からの発言ですが…
金融業の世界で《麻痺》とは自分の懐事情が分からなくなって、分不相応な支出を行う様になってしまう事を指します。
例えば、年収300万ウェンしかない若者がウチで借金して500万ウェンの名馬を購入したりね。
そんなおカネの使い方をしてたら、絶対に破綻するでしょう?」
『はい。
必ずどこかで返済が滞って…
名馬も差し押さえられてしまうと思います。』
「それは個人の財務バランスが、無計画な借金と過大な支出によって完全赤字化する事が原因なんです。
翻ってコリンズさん。
別に貴方の財産、目減りしてないでしょ?
『ええ、まあ。
例の効果で、資産は…。』
《147億ウェンの配当が支払われました。》
「どうされました?」
『あ、今増えました。』
「気軽過ぎるww
ちゃんと戦費は賄えましたかw?」
『おかげさまで戦争出資額の倍額程の収益を本日得る事が出来ました。』
「最初に逢った時から感じていたのですが…
コリンズさんは加速度的に人知を越えてますよね。」
『いや、私は見ての通り。
ただの軟弱者ですよ。
ただスキルが凄いだけで。
いや違うな。
もっと正確に言えば、そこから発生しているカネが状況を変えてるんだと思います。』
「コリンズさん。
その解釈は違うと思います。」
『と、言いますと?』
「状況を変えてるのは、カネではありません。
貴方のカネの使い方です。」
『お、俺のですか?』
「貴方は意識していないかも知れませんが…
これまで徳のある分配をされてますよ?
キーン社長もそう思われますよね?
私も初対面から衝撃を受けましたから。」
『しょ、初対面?
俺、何かしましたか?』
「持って来た炸裂弾を皆に投げさせてあげたでしょう?
その後、村を襲った狼と当然の義務のように戦った。」
『ああ…
そうか、俺は…
あの日にカインさん、貴方と逢ったんだ。』
「私にとっては衝撃だったんです。
こういう気前良い上に勇敢な若者を何としても助けたいと心から思った。」
『炸裂弾は…
皆さんが楽しそうに見ておられたから…
それに、狼には軽く転がされただけですよw
俺、カインさんと違って弱いですし。』
「そこですよ。
それまでロクな戦闘経験なかったんでしょ?
村に対して何の義務もない。
そんな貴方が勇戦したから、農業地区の雰囲気は本当に良くなったんです。
アランも感謝してました。
私は…
貴方が力をポジティブな方向に使える稀有な方だと確信しています。
だから、これからも胸を張ってカネを貯めて、胸を張って使って下さい。
コリンズさん。
貴方が最強なのです。」
『精進します。』
…最強ねえ。
確かに【複利】は最強だよ?
アインシュタインが言っているのだから、そうなのだろう。
光が最も早いように、複利が最も強いのだ。
別に俺が強い訳じゃない。
流石にこの容体で自惚れるほど、俺は愚かではないよ。
小便一つすらコレットの世話なしでは出来ないんだからな。
『あ、思い出した。
そろそろ、お2人には利息を受け取って頂けるとありがたいのですが。』
「はははw
そうでしたw
コリンズさんのお身体が快癒したら、是非その手で支払って下さい。
私達はその日を信じ、楽しみに待っております。
大丈夫、貴方はまだ若い。
必ず元の身体に戻ります!」
『養生に努めます。』
21時頃、〇△ブルグ領の城下町で宿泊することになった。
確か〇△~は敵方の呼称だったと思う。
そのお膝元に宿泊できると言う事は、ミュラーはアウグスブルグに続いて〇△も一蹴してしまったのだろう。
参ったな、寝てたら戦争に勝ってたわ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
リン・トイチ・コリンズ
【職業】
傭兵隊長
【称号】
ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒
【ステータス】
《LV》 21
《HP》 (2/4)
《MP》 (4/4)
《腕力》 1
《速度》 2
《器用》 2
《魔力》 2
《知性》 3
《精神》 4
《幸運》 1
《経験》 1362万3054ポイント
次のレベルまで残り1029万2616ポイント
【スキル】
「複利」
※日利21%
下8桁切上
【所持金】
所持金847億ウェン
※カイン・R・グランツから14億ウェンを日利2%で借用
※ドナルド・キーンから82億ウェンを日利2%で借用
(両名共に配当受取拒絶中)
※バベル銀行の10億ウェン預入証書保有
【常備薬】
エリクサー 128ℓ
【コリンズキャラバン移動計画】
「16日目」
中継都市ヒルズタウン (宿が込んでた。)
↓
侯爵城下町 (風光明媚な土地だったらしい)
↓
大草原 (遊牧民を買収した。)
↓
教団自治区 (10億ウェンカツアゲされた)
↓
王国天領 (プロポーズした。)
↓
伯爵城下町 (落ち武者狩りの駄賃で通行)
↓
諸貴族領混在地 (5億ウェンで伯爵領購入交渉中)
↓
王国軍都 (護衛団フルチューン)
↓
王国側国境検問所 (秋の愛国フェアに参加)
↓
非武装中立地帯 (死んだ。)
↓
連邦or首長国検問所 (連邦ルート選択)
↓
連邦アウグスブルグ侯爵領 (養母無双)
↓
連邦〇△ブルグ?爵領城下町 ←今ココ
↓
自由都市(連邦領経由なら7日、首長国経由なら5日の計算)
271
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる