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【転移89日目】 所持金2673兆6512億1951万ウェン 「略称作っちゃ駄目ですか?」
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結局、アンリ王太子殿下とは再会出来なかった。
《首都にて火急の用件》
とのこと。
本当に会談の約束をキャンセルしなければならないレベルのトラブルが発生したのかもしれないし、僅か数十キロの自領を安全に行軍する事すら困難な状態なのかもしれない。
アンリ殿下の部隊は肉眼で見えていたのだ。
俺は軍事の素人なので専門的な視点で分析は出来ないのだが…
ただ、同じ場所で足踏みさせられているように見えた。
プロの軍人さんに対してこういう失礼な物言いはよくないのだが、数十時間ウロウロして撤兵しただけの様な印象を受けた。
==========================
『カインさん。
首長国の人は何て言ってました?』
「本当に年貢は下がるのか?
って聞かれました。」
『下がるんですか?』
「どうも自治政府のトップを誰にするかで揉めてるらしくて。
多分、年内には決まらなさそう。
…要は、各地元のヤクザが軍閥化している状態だから。」
末期だな。
多分、首長国政府は再吸収を見越して、一旦自治権を与えたのだろう。
『ミュラー卿はここまで見越してたんですか?』
「そりゃあ予想はつくよ。
端的に言うと国家って暴力じゃから。
騎士が去ったのならヤクザが仕切り始めるよ。
ちなみにヤクザが去ったら、青年団とチンピラの合いの子みたいな連中が幅を利かせ始める。」
『そうなんですか?』
「世の中なんて腕っぷし順じゃよ?
コリンズ君もそこは知ってるだろ?」
『…はい。
それなりには。』
「で、日常のささやかな暴力から普通の人を護るために
国家という大規模暴力が存在する。
あそこの連中はそれを失った状態。」
『どうやったら、力の無い人間が生きて行けるんでしょうか?』
「だから。
その為の国家秩序なんじゃって。
ワシも含めて大抵の人間は自然状態で生きる事が出来ない。
だから嫌々に国を作って仕方なく従ってるんじゃろ?」
『ミュラー卿は、あの地域をどうするんですか?』
「緩衝帯。」
『他には?』
「無いな。
そもそもワシ、首長国人は嫌いだし。
父親の仇でもあるし。」
『救済措置は…』
「無い。
その義理がない。」
『これから救いを求められたら?』
「自治領の正式な総意であれば耳を傾ける。
個別の申し出には応じない。」
『…。』
「あのなあ、コリンズ君。
連邦人のワシが首長国民に個別接触したら内政干渉じゃろがい?
それが切っ掛けで戦争に発展なんて幾らでもあるよ。」
『何か俺。
全然思った通りに事が運ばんのですが…』
「コリンズ君は思いを口に出さんから…
そりゃあ上手く行かんわ。」
『だ、出してますよ。』
「ワシやギュンターに愚痴るだけじゃろ?
想いがあるんなら、ハッキリと公式宣言しなくちゃ。」
『いや、想いという程のものではありませんが。
ヤクザが仕切るのはちょっと嫌かなと。』
「何で?」
『そりゃあ、政治は真人間がやらないと。
ヤクザ者に仕切らせたら、七民どころか全部奪われてしまいますよ。』
「コリンズ君はそういうのが嫌なの?」
『嫌に決まってるじゃないですか!
俺はそういう中間搾取を何とかしたくて…
結局、真面目に働いている人間がワリを喰うのが目に見えてるから!』
「…言えたじゃねえか。
──紋章官。
以上が我が国からの要望である。
テオドール殿下からの使者には
先の旨を連邦政府の公式回答として伝えよ。
なあ、コリンズ君。
君は歳の割に良くやっとる。
だが、次からは財力相応に上手くやれ。」
…無茶言いやがる。
まさかとは思ったが、ミュラーの紋章官は殿下からの使者にその旨を伝えた。
《反社会勢力による統治や自治区内の中間搾取は看過しない。》
と。
使者はしばらく無言で思案した後。
「連邦政府が統治に乗り出したいという趣旨ですか?」
と尋ねた。
ミュラー曰く「否。」
使者は射るような目で俺達を睨みながら矢継ぎ早に質問を浴びせた後。
「では暫定自治区内で反社会勢力の支配力が高まっていると観測されたら、公式に一報頂けますか?」
「協力的な態度を取る事を約束する!」
ミュラーがそう宣言して話は終わった。
使者が去って数時間後に判明した事だが、テオドール殿下の部隊はまさしく反社狩りに勤しんでおり、かなりの数のヤクザ者(今回の独立運動の中核)が捕殺されたとのことである。
==========================
ポールが難民達に歓待されており、しばらく対岸に滞在したいと申し出る。
「リン君、ここで配給してもいい?」
『…駄目だけどいいですよ。』
「ほら、俺ってジュース係じゃない。」
『こちらは何を支給すればいいですか?』
「エヴァーソン会長から支援食糧が今夜にも届くんでしょ?
それを配ったらダメかな?」
『…両国政府に許可を取ってみます。』
良い訳がないのだが、連邦・首長国(というかテオドール殿下)の許可が取れてしまう。
『ポールさん!
分かってますね!
本来、外交上あってはならない事なんですよ!』
対岸のポールに叫ぶ。
難民達は俺の声が聞こえないフリをしながらポールの為にテントを張り始めている。
「…俺は自由都市の市民だ!
友好国の復興支援を行って何が悪い!」
良い訳が無いことはポール自身が熟知している。
彼はああ見えて高い教育を受けているし、何より国際的な摩擦を何よりも嫌っているからである。
戸籍がどうあれ、俺達は連邦軍の一員としてここに居る。
それが如何なる性質の物であっても、自治政府との正式な関係を構築する前から、相手の領内で活動を行うべきではない。
例え善意に基づいていたものだとしても、それは工作であり侵略だ。
必ず火種として残るだろう。
俺はギュンターに、何とか無難な形に落とし込めないか頼み込む。
世慣れたミュラー幕僚にも教えを乞い、なるべく尾を引かない様に体裁を整えて貰う。
「幸い、コリンズ社長には宗教的権威があります。」
『しゅ、宗教的権威?
何かの間違いでしょう。』
「いやいや神聖教団の筆頭信徒ではありませんか。
自由都市では神殿を運営されておられる。」
『…はい。
まあ、多少は。』
「神聖教団の敬虔な信徒として、同教の士に対して救援活動を行っている。
ポール氏の活動はこの線で行きましょう。」
『…そんな屁理屈が』
「いや、屁理屈でいいんですよ。
要は公文書に起こした時に問題視されるか否かの話ですから。」
『いや、本質は一緒じゃないですか?』
「テオドール殿下にもう一度使者を出させて下さい。
要は、単に自由都市市民の救援活動とするか、超国家的な宗教活動とするかですよね?
こればかりは首長国政府がどう判断するかとなります。」
《ンディッド・スペシャルアンバサダー信徒》当が支払われました。》
『もうこんな時間ですけど。』
「こんな?
ああ、17時ですね。
急ぎましょう。
話が通っていないと後々こじれかねませんから。
逆にちゃんと根回しさえしていれば、国際問題って発生しにくいんです。」
その後、数時間くらい使者が頻繁に往来し、俺が自治領内に設置された殿下の陣営に呼び出される形となる。
「確認取れております。
ロイヤルトリプルクラウン・ファウンダーズ・エグゼクティブ・プラチナム・ゴールドエメラルドダイアモンディッド・スペシャルアンバサダー信徒の称号をお持ちである。
しかも先の事故の際、命懸けで救命活動を行っておられるときた。
宗教活動としてなら、私の独断で承認致します。
勿論! 連邦軍の越境は認めませんよ。
えっと、コリンズ社長の他に…
キーン社長、グランツ社長、そしてリーダーのポールソン氏。
この4名に限っては入国を認めます。
ただ、グリーブ氏…
準軍属と見做さざるを得ません。
申し訳ありませんが…」
『いえ、殿下の御判断にお任せします。
ただ… 護衛無しというのは…』
「?
私が居るではありませんか?」
『で、殿下が?』
「いえいえ、私も信徒ですし。
ああ、信徒と言ってもたかだが
ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒
に過ぎないので、勿論コリンズ社長の指揮に従いますよ。」
『いやいやいや!
私は平民ですよ?
貴人たる殿下を指揮して良い訳がない。
社会通念上許されませんよ。』
「うーーん。
私も自領では宗教的権威を嵩に着ておりますからなあ。
信徒の位階を厳密にして頂けませんと、所領運営上の支障が出てしまうんですよ。」
その後、殿下はこの地の住民に、我々が宗教行為として救援活動を行っている事を宣言する。
そんな屁理屈が許されるのか疑問だったのだが、首長国の文化ではギリギリグレーとして扱って貰えるらしい。
いや、それはいいのだが。
国境から引き剥がされてしまったな。
殿下は何食わぬ表情をしているが、一種のナチュラル人質状態である。
アホらしいので指摘もしない。
カインにメッセンジャー役をお願いするが、殿下に書簡の内容は当然見せない。
相当露骨にチラ見して来たが、無視して連邦領に疾駆して貰った。
『殿下。
他ならぬ殿下が相手ですから腹を割って話しますね?
俺には信心がありません。
教団も大嫌いです。
免罪符にしても脅されて買わされただけです。』
「…ふむ。
コリンズ社長は幼少の頃より信心篤く。
教団に深い敬意を持ち
免罪符も積極的に求めた、と。」
『殿下!?』
「社長はお若いから仕方ありませんけど…
もう少し大人になりましょうよ?
そこまで率直に本音を吐露してしまったら。
まるで敬虔な信者が自戒を行っている様に思われてしまいますよ。」
『いや、俺は!』
「貴方が世間に合わせるだけで
世間の皆が救われるのですよ?」
『な、なにを。』
「私は貴方を誤解しておりました。
てっきりミュラー卿のような破壊主義者かと思っておりましたが…
貴方、戦乱や混沌が大嫌いな人でしょう?
特に無辜の民が犠牲になる事には我慢が出来ない性質です。
そもそも連邦の事、嫌いでしょ?」
『…。』
「なら、私とは仲間同士仲良くして頂きたいものですな。
首長国は良い国ですよ。
秩序があり、文明があり、法治が行き届いている。
それもまあ、誰かさんがやって来るまでの話でしたがね。
貴方は敬虔な信徒。
それでいいじゃないですか。
この国の住民の多くは連邦や王国を嫌っております。
だが、神聖教団の信徒は非常に多い。
貴方がロイヤルトリプルクラウン・ファウンダーズ・エグゼクティブ・プラチナム・ゴールドエメラルドダイアモンディッド・スペシャルアンバサダー信徒である事を前面に出せば、想像以上に話は丸く収まりますよ。」
ねえ、殿下。
略称作っちゃ駄目ですか?
《首都にて火急の用件》
とのこと。
本当に会談の約束をキャンセルしなければならないレベルのトラブルが発生したのかもしれないし、僅か数十キロの自領を安全に行軍する事すら困難な状態なのかもしれない。
アンリ殿下の部隊は肉眼で見えていたのだ。
俺は軍事の素人なので専門的な視点で分析は出来ないのだが…
ただ、同じ場所で足踏みさせられているように見えた。
プロの軍人さんに対してこういう失礼な物言いはよくないのだが、数十時間ウロウロして撤兵しただけの様な印象を受けた。
==========================
『カインさん。
首長国の人は何て言ってました?』
「本当に年貢は下がるのか?
って聞かれました。」
『下がるんですか?』
「どうも自治政府のトップを誰にするかで揉めてるらしくて。
多分、年内には決まらなさそう。
…要は、各地元のヤクザが軍閥化している状態だから。」
末期だな。
多分、首長国政府は再吸収を見越して、一旦自治権を与えたのだろう。
『ミュラー卿はここまで見越してたんですか?』
「そりゃあ予想はつくよ。
端的に言うと国家って暴力じゃから。
騎士が去ったのならヤクザが仕切り始めるよ。
ちなみにヤクザが去ったら、青年団とチンピラの合いの子みたいな連中が幅を利かせ始める。」
『そうなんですか?』
「世の中なんて腕っぷし順じゃよ?
コリンズ君もそこは知ってるだろ?」
『…はい。
それなりには。』
「で、日常のささやかな暴力から普通の人を護るために
国家という大規模暴力が存在する。
あそこの連中はそれを失った状態。」
『どうやったら、力の無い人間が生きて行けるんでしょうか?』
「だから。
その為の国家秩序なんじゃって。
ワシも含めて大抵の人間は自然状態で生きる事が出来ない。
だから嫌々に国を作って仕方なく従ってるんじゃろ?」
『ミュラー卿は、あの地域をどうするんですか?』
「緩衝帯。」
『他には?』
「無いな。
そもそもワシ、首長国人は嫌いだし。
父親の仇でもあるし。」
『救済措置は…』
「無い。
その義理がない。」
『これから救いを求められたら?』
「自治領の正式な総意であれば耳を傾ける。
個別の申し出には応じない。」
『…。』
「あのなあ、コリンズ君。
連邦人のワシが首長国民に個別接触したら内政干渉じゃろがい?
それが切っ掛けで戦争に発展なんて幾らでもあるよ。」
『何か俺。
全然思った通りに事が運ばんのですが…』
「コリンズ君は思いを口に出さんから…
そりゃあ上手く行かんわ。」
『だ、出してますよ。』
「ワシやギュンターに愚痴るだけじゃろ?
想いがあるんなら、ハッキリと公式宣言しなくちゃ。」
『いや、想いという程のものではありませんが。
ヤクザが仕切るのはちょっと嫌かなと。』
「何で?」
『そりゃあ、政治は真人間がやらないと。
ヤクザ者に仕切らせたら、七民どころか全部奪われてしまいますよ。』
「コリンズ君はそういうのが嫌なの?」
『嫌に決まってるじゃないですか!
俺はそういう中間搾取を何とかしたくて…
結局、真面目に働いている人間がワリを喰うのが目に見えてるから!』
「…言えたじゃねえか。
──紋章官。
以上が我が国からの要望である。
テオドール殿下からの使者には
先の旨を連邦政府の公式回答として伝えよ。
なあ、コリンズ君。
君は歳の割に良くやっとる。
だが、次からは財力相応に上手くやれ。」
…無茶言いやがる。
まさかとは思ったが、ミュラーの紋章官は殿下からの使者にその旨を伝えた。
《反社会勢力による統治や自治区内の中間搾取は看過しない。》
と。
使者はしばらく無言で思案した後。
「連邦政府が統治に乗り出したいという趣旨ですか?」
と尋ねた。
ミュラー曰く「否。」
使者は射るような目で俺達を睨みながら矢継ぎ早に質問を浴びせた後。
「では暫定自治区内で反社会勢力の支配力が高まっていると観測されたら、公式に一報頂けますか?」
「協力的な態度を取る事を約束する!」
ミュラーがそう宣言して話は終わった。
使者が去って数時間後に判明した事だが、テオドール殿下の部隊はまさしく反社狩りに勤しんでおり、かなりの数のヤクザ者(今回の独立運動の中核)が捕殺されたとのことである。
==========================
ポールが難民達に歓待されており、しばらく対岸に滞在したいと申し出る。
「リン君、ここで配給してもいい?」
『…駄目だけどいいですよ。』
「ほら、俺ってジュース係じゃない。」
『こちらは何を支給すればいいですか?』
「エヴァーソン会長から支援食糧が今夜にも届くんでしょ?
それを配ったらダメかな?」
『…両国政府に許可を取ってみます。』
良い訳がないのだが、連邦・首長国(というかテオドール殿下)の許可が取れてしまう。
『ポールさん!
分かってますね!
本来、外交上あってはならない事なんですよ!』
対岸のポールに叫ぶ。
難民達は俺の声が聞こえないフリをしながらポールの為にテントを張り始めている。
「…俺は自由都市の市民だ!
友好国の復興支援を行って何が悪い!」
良い訳が無いことはポール自身が熟知している。
彼はああ見えて高い教育を受けているし、何より国際的な摩擦を何よりも嫌っているからである。
戸籍がどうあれ、俺達は連邦軍の一員としてここに居る。
それが如何なる性質の物であっても、自治政府との正式な関係を構築する前から、相手の領内で活動を行うべきではない。
例え善意に基づいていたものだとしても、それは工作であり侵略だ。
必ず火種として残るだろう。
俺はギュンターに、何とか無難な形に落とし込めないか頼み込む。
世慣れたミュラー幕僚にも教えを乞い、なるべく尾を引かない様に体裁を整えて貰う。
「幸い、コリンズ社長には宗教的権威があります。」
『しゅ、宗教的権威?
何かの間違いでしょう。』
「いやいや神聖教団の筆頭信徒ではありませんか。
自由都市では神殿を運営されておられる。」
『…はい。
まあ、多少は。』
「神聖教団の敬虔な信徒として、同教の士に対して救援活動を行っている。
ポール氏の活動はこの線で行きましょう。」
『…そんな屁理屈が』
「いや、屁理屈でいいんですよ。
要は公文書に起こした時に問題視されるか否かの話ですから。」
『いや、本質は一緒じゃないですか?』
「テオドール殿下にもう一度使者を出させて下さい。
要は、単に自由都市市民の救援活動とするか、超国家的な宗教活動とするかですよね?
こればかりは首長国政府がどう判断するかとなります。」
《ンディッド・スペシャルアンバサダー信徒》当が支払われました。》
『もうこんな時間ですけど。』
「こんな?
ああ、17時ですね。
急ぎましょう。
話が通っていないと後々こじれかねませんから。
逆にちゃんと根回しさえしていれば、国際問題って発生しにくいんです。」
その後、数時間くらい使者が頻繁に往来し、俺が自治領内に設置された殿下の陣営に呼び出される形となる。
「確認取れております。
ロイヤルトリプルクラウン・ファウンダーズ・エグゼクティブ・プラチナム・ゴールドエメラルドダイアモンディッド・スペシャルアンバサダー信徒の称号をお持ちである。
しかも先の事故の際、命懸けで救命活動を行っておられるときた。
宗教活動としてなら、私の独断で承認致します。
勿論! 連邦軍の越境は認めませんよ。
えっと、コリンズ社長の他に…
キーン社長、グランツ社長、そしてリーダーのポールソン氏。
この4名に限っては入国を認めます。
ただ、グリーブ氏…
準軍属と見做さざるを得ません。
申し訳ありませんが…」
『いえ、殿下の御判断にお任せします。
ただ… 護衛無しというのは…』
「?
私が居るではありませんか?」
『で、殿下が?』
「いえいえ、私も信徒ですし。
ああ、信徒と言ってもたかだが
ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒
に過ぎないので、勿論コリンズ社長の指揮に従いますよ。」
『いやいやいや!
私は平民ですよ?
貴人たる殿下を指揮して良い訳がない。
社会通念上許されませんよ。』
「うーーん。
私も自領では宗教的権威を嵩に着ておりますからなあ。
信徒の位階を厳密にして頂けませんと、所領運営上の支障が出てしまうんですよ。」
その後、殿下はこの地の住民に、我々が宗教行為として救援活動を行っている事を宣言する。
そんな屁理屈が許されるのか疑問だったのだが、首長国の文化ではギリギリグレーとして扱って貰えるらしい。
いや、それはいいのだが。
国境から引き剥がされてしまったな。
殿下は何食わぬ表情をしているが、一種のナチュラル人質状態である。
アホらしいので指摘もしない。
カインにメッセンジャー役をお願いするが、殿下に書簡の内容は当然見せない。
相当露骨にチラ見して来たが、無視して連邦領に疾駆して貰った。
『殿下。
他ならぬ殿下が相手ですから腹を割って話しますね?
俺には信心がありません。
教団も大嫌いです。
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「…ふむ。
コリンズ社長は幼少の頃より信心篤く。
教団に深い敬意を持ち
免罪符も積極的に求めた、と。」
『殿下!?』
「社長はお若いから仕方ありませんけど…
もう少し大人になりましょうよ?
そこまで率直に本音を吐露してしまったら。
まるで敬虔な信者が自戒を行っている様に思われてしまいますよ。」
『いや、俺は!』
「貴方が世間に合わせるだけで
世間の皆が救われるのですよ?」
『な、なにを。』
「私は貴方を誤解しておりました。
てっきりミュラー卿のような破壊主義者かと思っておりましたが…
貴方、戦乱や混沌が大嫌いな人でしょう?
特に無辜の民が犠牲になる事には我慢が出来ない性質です。
そもそも連邦の事、嫌いでしょ?」
『…。』
「なら、私とは仲間同士仲良くして頂きたいものですな。
首長国は良い国ですよ。
秩序があり、文明があり、法治が行き届いている。
それもまあ、誰かさんがやって来るまでの話でしたがね。
貴方は敬虔な信徒。
それでいいじゃないですか。
この国の住民の多くは連邦や王国を嫌っております。
だが、神聖教団の信徒は非常に多い。
貴方がロイヤルトリプルクラウン・ファウンダーズ・エグゼクティブ・プラチナム・ゴールドエメラルドダイアモンディッド・スペシャルアンバサダー信徒である事を前面に出せば、想像以上に話は丸く収まりますよ。」
ねえ、殿下。
略称作っちゃ駄目ですか?
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【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
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