異世界配信惑星ファンタジーライブマスター衆神環視惑星

中級中破微小提督

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第四章 1th地下ダンジョン

第24話 浄化神マスターゴッドゼロス

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 ここは072の内壁。市街地だ。そこでは銃撃戦が行われていた。
 俺はシコレ・ギルスの恰好で応戦している。
 つまりは前回の続きだ。
 事の顛末はこうだ。俺とアレスが遊んでいたその後だ。
 俺の目、正確にはヘカトンケイルの目、そのセンサーがおかしなものを捉えた。
 使徒の中心にある魔物の気配。
 肉眼では見えない。それが一組のカップル使徒の両方にある。
 だが体内だ。心臓よりも少し上、胴体の中央部。撃ち抜けば確実に心臓が傷つくだろう。なにより物質なのか怪しい。あそこに異物があって正常でいられるはずがない。
 俺はヘカトンアームを多数召喚すると多角的に魔物の気配を探る。
 魔物の気配は球体。動きはない。塊だ。そして臓器に干渉していない。
 これは物理で撃ち抜けない。物理作用のレーザーもそうだ。
 ならばENレーザー。魔法的特性を持つ攻撃はどうだ?
 俺は左腕をサイボーグ化する。人差し指と中指と親指を立てた人の手の形をした小型ホーミングレーザー。見た目は人の形だが袖の下には金属色のレーザー増幅器がある。射出口は一つ。ENレーザーを増幅し左腕を構える。
 この服は召喚物ではない。破れなければいいんだがな。
 今回のサイボーグのイメージは単眼のオオカミヘッドだ。息を殺し発射のその寸前まで殺意を見せない。獲物を捉えても吐息の一つも漏らさない。
 俺はその手綱を離す。
 超高密度に凝縮し増幅し回転を施されたソレは光る糸になってカップル使徒の女側の魔物の気配を撃ち抜く。
 だが抜けない。ライフリングレーザーをはるかに凌ぐ威力な筈だ。それが貫通出来ない。
 このENレーザーは糸のように細く標的以外は傷つけない。だが威力がないなんてことはないはずだ。現に俺のMPも持っていかれている。
 間違いない。こいつはボスだ。確証はないがイベント前のボス。何故だか俺にはそう感じた。
 俺はギルド権限を使って警報を鳴らす。ボス発見の知らせだ。
 商店街が阿鼻叫喚、にはならず颯爽と避難を始める市民たち。流石は一度は落ちかけた072の住民だな。
 
ーーー

「またヤバいのが出てきたな」
 応援に駆け付けたゼロスがボヤく。
 目の前では半身が崩れた巨人の様な魔物が暴れている。出来損ないだがかなり硬い。
 多分だが女側を先に叩いたのは正解だったな。攻撃側が右半身の女側、防御面が左半身の男側だったのだろう。右腕が鎌のような刃物になっているがそれだけだ。本来あったスペックは何一つ機能していないのだろう。
「取り敢えず半身を潰しておいてよかったぜ。完全体だったらどうなっていたか」
 俺はライフリングレーザーを当てながらゼロスに応える。
 この半身巨人がバリアーのような物を出しているが持続はしていない。下手に爆発物を当てると危険なんでレーザーで削り中だ。
 まさかこいつは元ヒーラーだったんだろうか。元になった使徒の性能を引き継いでいる。聖女レディが回復系虫ボスになった時のことを思い出す。ただあれは本人だったのかも怪しい所だった。
 突き詰めると、使徒とはなんだ? 魔物とはなんだ? 敵は? 味方は? そんな禅問答になりそうだ。転生とは名ばかりの、ここは地獄なのかもしれねぇな。

 そんなこんなで硬いだけの半身巨人を削っていく。もしかしてだが攻撃側を潰したせいで防御行動一辺倒になっているのか?
 ボス以外の魔物の動向は見られない。
 ギンガは塔で狙撃をしている。警戒兼攻撃だな。ギンガ使っているのはライフリングレーザーに距離減衰を付与した狙撃完全版だ。
 距離減衰とかいう何に使うかわからない上にレーザーライフル3本分のMP消費という無意味以下の付与があったが、それはライフリングレーザーと組み合わせることで真価を発揮した。
 結果だけを言えば威力が多少下がって距離によるMP増加が激減。遠距離の威力効率は上がっている。消滅距離が短くなり、空に撃ってもバッテリーが過負荷でぶっ飛ぶという事も無くなった。これが本来のライフリングレーザーの姿なんだろうな。俺達が使っていたライフリング付与のみは不完全な状態だったのだろう。
 俺が使うなら対空の時に掛ければいいな。少なくとも実弾よりは当たるだろう。

 しかし硬いな。遂には蹲っているが、爆発物にだけは反応してバリアーを張ってくる。時間稼ぎにも見えない。ただの延命にしては動きが妙だ。
 そして新しい動きが出る。その胴体の中心部から女性型の、いや普通の女性の使徒だ。戦闘服を着ている。
 これは元に戻ったのか?
 だが、その女性使徒が召喚魔法を使おうとするが反応が無い。そして何よりもその視線が向いているのは俺達だ。確実に敵意。俺達を敵とみなしている。
 どうする? こいつは敵なのか? 
 俺達が迷っていると半身巨人が女性使徒を掴もうとする。だがその動きは捕まえるというよりも庇うような動きだ。
 これは、敵、なのか?
 女性使徒はその手に身を委ねる。そこに敵意はない。
 俺が撃っているのはなんだ? 敵で、いいのか?
 半身巨人の腕が落ちる。半身巨人の体を女性使徒が庇う。
 俺が、敵なのか? 敵なのは俺か?
 遂に半身巨人が絶命し、消滅が始まる。

 女性使徒の動きは速かった。戦闘服を脱ぎ捨てると自身の下着を破り捨てる。
 その視線は挑戦的で、だがそれもすぐに見えなくなる。
 モザイクがかかったように形が崩れ、消滅する。

ーーー

「シコル。お手柄だな」
 ゼロスだ。警報を解除しながらこちらにやってくる。
「お前のお陰で被害は最小限だ」
 被害?
「被害ってのは被害者の二人の使徒の事か? ゼロス」
「被害者じゃねぇだろシコル。敵だ。俺達は敵の早期発見をして迅速に殲滅した。被害なんてどこにもねぇ」
「今消えた二人の使徒だよ。アイツらは俺が殺したのか?」
「敵を二体始末しただけだ。それもボス級だ。暴れる前に仕留められた。どれだけの貢献だシコル。そいつらの出す被害者を出さずに済んだ。お前はこの町に住む住民も使徒も救ったんだ」
「誰を救ったんだよ。俺は二人殺しただけだ。違うのかゼロス」
「その二人が殺す筈だった人々を救ったんだ。シコル、お前がな。火種を消して火事を起こさなかった。燃えてた方が良かったのか?」
「そんなわけねぇだろ。その火種を消すのに二人殺したんだ。それはいいのかよ」
「敵だ。シコル、お前もそう判断したんだ。違うのか?」
「違わねぇよ。けど、あれは、本当に敵だったのか?」
 そうだ。ゼロスとのやり取りで気づいた。あれは敵と呼んでいいのか。そこがさっきから俺の中で引っ掛かっている。
 だがゼロスの答えは簡潔だった。
「敵だ。使徒に化けていただけだ。最後まで演技だとは言わねぇが。それこそ敵の使徒、敵の異世界転生者ならありえなくもねぇ。敵なら撃っても構わねぇだろ」
「だけどよ。最後はBANされた。あれはこっちの使徒だったんじゃねぇのか?」
 女性使徒、いや、彼女は最後に衣服を脱ぎ捨て淫行の天罰を受けた。
「操られた使徒・・・か。それでも奴らはこれ以上の被害を出してただろう。それを止められたじゃダメなのか?」
「そこは良いんだ。間違ってねぇ。だがな、俺はそのために普通に暮らしていた普通の使徒を地獄送りにした。これは、良いのか」
 俺の言葉にしばし考え込んだゼロスが言葉を返す。
「・・・救いたかった、か?」
 その言葉に俺の中にスッと落ちるものがあった。
「ああ。もしかしたら俺は救えたんじゃないか? これは、敵じゃなかった。俺の判断は、早すぎたんじゃねぇかってな」
 そんな俺をゼロスが抱きしめる。
「そうだとしても、抱え込むなシコル。お前、今自分がどんな顔しているか気付いているか?」
 俺の顔? 自分で触ってみると涙が零れて来た。
「強欲すぎだシコル・ギウス。神じゃねぇんだ。なんでもうまくいく訳ねぇだろ」
 言い返そうとしたが嗚咽で喉が振える。言葉が出てこない。
 泣きじゃくる俺にゼロスの手で紐無しつば広帽子がかぶせられる。
「こんな時こそ浄化されておけ。浄化神マスターゴッドゼロスの胸で泣け」
 なんだよそれ。
 笑おうとしても嗚咽は止まらない。
 これは素直に浄化されておくしかねぇな。
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