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第一章
第23話 鬼頼み
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「それに触れるな!」
喚きが喚く前に止める。
カナヅチの残した破邪の剣だ。
抜き身で鬼では近づくのも危うい代物だ。
「大餓。鞘はある?」
美味だ。俺はカナヅチの鞘を渡す。
美味なら普通の鬼とは違うだろう。
美味が破邪の剣を手に取り鞘に納める。
美味の特殊性はなんなのだろうな。
「これで大丈夫。これはもらってもいい?」
「構わんが何に使う? 鬼を捌くのに使うのか?」
「あーしが鬼を食べるわけないでしょ。それ以外の何か、あーしが食べれるものを捌くときに使えると思うの。安心して大餓を後ろからバッサリとかはないから」
「どうだろうな。悪食のお前がいつ心変わりするか」
「なら試してみる? あーしが大餓を食べれるか」
美味が破邪の剣の刀身を半分ほど出すと俺の左腕に添わせる。
俺が頷くとそっと切りつけその血を啜る。
「うん。悪くない。普通の鬼よりもマシだけど飲みたいほどじゃないかな」
俺が美味の血を吸った時と同じ反応だな。
「臭いです! 大餓サマ! 絶対に傷つかないでくださいね!」
喚きめ。こいつは。
素直に美味だけが特別と考えるのが自然か。
ーーー
「美味サマ。良くそれを食べられますね」
牧場主が出てこない間、俺達は屋形を物見遊山をしていた。
ほとんどの人間は逃げている。鬼もほぼ残っていない。
ここに残っているのは逃げられない人間だけだ。
美味がそれを捌いて食している。
流石の俺でも食指が動かない人間を、だ。
以前と同じ、毒々しい赤い角が美味から生える。
以前よりかは食べるのが苦にならなさそうだ。
それでも喚きがふりかけをしている。
喚きの調理もここでは役に立っているようだな。
以前は生きたまま食っているかと考察もしたが、トドメは刺している。
魂を食っているというのは早計だったか。
そして出てきたのが不味そうに食って出来た不味そうな美味の角だ。
だが美味い。
喚きは口にしなかったが食わず嫌いは考え物だな。
ーーー
物見遊山も終わり城が崩れていく。
燃え尽きた城が音を立てて地下へと落ちていく。
城に居ないのなら地下か。
這い出た所を討とうと思ってたが、ここまで反応がないとはな。
牧場主は鬼でも人間でもない。
となれば妖怪か。
だが鬼と人間を使役できるだけの存在だ。
カナヅチの最後の言葉が思い出される。
「神頼みをしなかった俺が最後に鬼頼みとはな」
さて、これがそのままの意味か。
喚きが喚く前に止める。
カナヅチの残した破邪の剣だ。
抜き身で鬼では近づくのも危うい代物だ。
「大餓。鞘はある?」
美味だ。俺はカナヅチの鞘を渡す。
美味なら普通の鬼とは違うだろう。
美味が破邪の剣を手に取り鞘に納める。
美味の特殊性はなんなのだろうな。
「これで大丈夫。これはもらってもいい?」
「構わんが何に使う? 鬼を捌くのに使うのか?」
「あーしが鬼を食べるわけないでしょ。それ以外の何か、あーしが食べれるものを捌くときに使えると思うの。安心して大餓を後ろからバッサリとかはないから」
「どうだろうな。悪食のお前がいつ心変わりするか」
「なら試してみる? あーしが大餓を食べれるか」
美味が破邪の剣の刀身を半分ほど出すと俺の左腕に添わせる。
俺が頷くとそっと切りつけその血を啜る。
「うん。悪くない。普通の鬼よりもマシだけど飲みたいほどじゃないかな」
俺が美味の血を吸った時と同じ反応だな。
「臭いです! 大餓サマ! 絶対に傷つかないでくださいね!」
喚きめ。こいつは。
素直に美味だけが特別と考えるのが自然か。
ーーー
「美味サマ。良くそれを食べられますね」
牧場主が出てこない間、俺達は屋形を物見遊山をしていた。
ほとんどの人間は逃げている。鬼もほぼ残っていない。
ここに残っているのは逃げられない人間だけだ。
美味がそれを捌いて食している。
流石の俺でも食指が動かない人間を、だ。
以前と同じ、毒々しい赤い角が美味から生える。
以前よりかは食べるのが苦にならなさそうだ。
それでも喚きがふりかけをしている。
喚きの調理もここでは役に立っているようだな。
以前は生きたまま食っているかと考察もしたが、トドメは刺している。
魂を食っているというのは早計だったか。
そして出てきたのが不味そうに食って出来た不味そうな美味の角だ。
だが美味い。
喚きは口にしなかったが食わず嫌いは考え物だな。
ーーー
物見遊山も終わり城が崩れていく。
燃え尽きた城が音を立てて地下へと落ちていく。
城に居ないのなら地下か。
這い出た所を討とうと思ってたが、ここまで反応がないとはな。
牧場主は鬼でも人間でもない。
となれば妖怪か。
だが鬼と人間を使役できるだけの存在だ。
カナヅチの最後の言葉が思い出される。
「神頼みをしなかった俺が最後に鬼頼みとはな」
さて、これがそのままの意味か。
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