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第1話
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快速電車が素通りするような田舎の駅。
あ、えっと。別に田舎を悪く言ってるんじゃないのよ? ただ、もっと人の多い町に店を出せば良かったのにって、ね?
「おーい! 親子丼とカツ丼、あがったよ!」
威勢の良い声が厨房から聞こえる。物心ついた頃から、ずっと聞いてきた声だ。
父さんは、この道30年。駅前の大衆食堂を、母さんと一緒に、切り盛りしてきた。
「こっち、カツ丼大盛りね!」
「あいよ!」
私の名前は、阿寒鷹華。
この大衆食堂〝定食屋まりも〟の娘。ちょっと職人気質な父さんと、ほがらかで意外と肝の座った母さん。あと、なぜかインドへ留学している兄さんの、4人家族……あ、店の裏にいる、私が中学の時に拾ってきた雑種の犬〝ゴン太〟を入れないと、拗ねちゃうわね。
「オムライスと豚汁追加!」
「天ぷらうどんにするか……あ、やっぱキツネで」
「ビールと枝豆まだー?」
あと、前言撤回。ウチ結構お客さん多いのよね〝人の多い町〟じゃ、忙しすぎて目が回っちゃう。
「鷹華、米を炊いといてくれ」
……っていうか、なんで私がウエイトレスなんかやってるの?
「仕方ねぇだろ? 母さん入院してんだから! アルバイトなんて、すぐに見つからねぇしよ。ほい、オムライスあがり! スプーン忘れんな」
母さんが入院した。あの無駄に根性のある母さんが病室で大人しくしているのは、私がこの店を手伝っているからだ。人手が無いと知れば、母は這ってでも帰って来てしまうだろう。
「カッコつけんな、就職浪人! ほら枝豆! ビールは栓を抜いて持ってけよ!」
ぐう……痛いとこ突きやがって、オヤジめ~!
えっと、栓抜きはどこだっけ。
>>>
ふう。結局こんな時間か。ごめんね遅くなって。
私は千切れるほどしっぽを振るゴン太にエサをやりながら、ため息をつく。
「わふ?」
……母さんのケガ、何だったんだろう。
「わふん!」
母さんは早朝、店の前で大怪我をして倒れている所を、通行人に助けられた。何があったのか全く覚えていないという。
そんな事より、問題はその時の服装だ。
「くぅん?」
母さんが着ていたのは、ビキニの様なヨロイ。
……はい、ここがポイントなのでもう一度言います。
ビキニの様なヨロイを着て倒れている所を発見され、母さんはその姿のまま、病院に運ばれたのだ。
「なにゴン太のエサ見てボーッとしてんだ? 腹減ってんなら早く飯食え。病院行くんだろ?」
はっ? いけない。ちょっと意識が飛んじゃってた。早くしないと面会時間終わっちゃうわ。
「父さんは仕込みがあるから明日午前中に行くと言っといてくれ……あ、そろそろ肉とか野菜とか仕入れないと駄目だから、母さんに詳しく聞いといてくれないか」
はいはい、了解っと。
……ウチの食材は、母さんが毎朝、市場へ仕入れに行っている。どうやら店を始めた頃から、仕入れは母さんの担当らしい。
「いやいや、今まで気にした事も無かったんだが、母さん毎朝、どこへ仕入れに行ってたんだろうな? わははは!」
呆れたもんだわ。まあ、母さんが仕入れてくる食材は、素人の私が見てもすごく新鮮で美味しそうだし、父さんも文句は無かったんだろうけど。
>>>
ペーパードライバーの私が、いきなり乗るにはちょっとハードルが高いわ、このボロ車。ああもう! またエンストしたぁ! オートマなのに、なんで坂道発進に気をつけなきゃならないのよ?
えっと、ここを右に行かないと一方通行だ……あれ? 電話? 一旦車止めなきゃ。ああまたエンスト! もー!
……あ、母さんからか。もしもし?
『あ、鷹華? もうこっちに向かってる?』
あ、うん。何か持って行くもの有った?
『違うの。えっと、父さんは一緒?』
ううん。仕込みがあるから、明日の朝行くって。
『そう、それなら良かった……父さん、仕入れの事、何か言ってなかった?』
ああ、そういえば、母さんに聞いといてくれって……
『やっぱり。そろそろかなと思っていたのよ。それじゃ、気をつけて来てね』
はーい!
電話が切れた……ん?
母さん、父さんが一緒じゃないって聞いて〝それなら良かった〟ってどういう事なのかな?
そういえば、母さんが病院に担ぎ込まれた日、この車には、食材がいっぱい積まれていた。つまり、仕入れの帰りに、あの大ケガをしたのよね?
仕入れに〝ビキニの様なヨロイ姿〟で行くって、どういう事なのよ?
>>>
「あなたは、勇者の血を受け継いでいるの」
違うわ母さん。私が聞いているのは仕入れ先であって、ゲームの攻略法じゃないから。
「急にこんな事を言っても信じられないかもしれないけど、母さんは、この世界の人間じゃないのよ」
……?
母さん。もしかして、この間のケガってそんなにヒドかったの? ちょっと先生呼んでくるわ。
「鷹華、待って。落ち着いて聞いて? 母さんは、この世界とは違う、別の世界から来たの。よく見ていてね?」
母さんが人差し指を立てて、よく解らない言葉をひと言つぶやくと、指先にテニスボールぐらいの、火の玉が現れた。
ええっ? なにそれ!
「魔法よ。母さんが居た世界では、ごく当たり前の能力なんだけど……」
母さんは、火の玉を手のひらで握りつぶした。しかも涼しい顔で。
「こちらの世界の人間には使えないわ」
ちょっと待って! まさかと思うけど、母さん本当に異世界人!?
なるほど、それならビキニの様なヨロイ姿っていうのも、合点がいくわ。
……っていくかあああ!!
「だめよ鷹華。病院で大きな声出しちゃ」
あ、ごめんなさい。
……いや、そうじゃなくって! 母さん、どういう事かちゃんと説明してよ!
「……母さんね、実はこう見えて、魔王を倒した勇者なの」
自分が、どう見えてると思っているのか知らないけど、いろんなキーワードを一気に出されると頭が処理しきれないんだよなー。
「それでね、魔王城で、偶然こっちの世界へ転移できる指輪を見つけて、行き来している内に、父さんと出会って、結婚したのよ」
……驚愕の真実だ。私、異世界人とのハーフだったの?!
あれれ? でも、食材の仕入れ先の話で、何で母さん、異世界うんぬんを語り始めたのかしら?
「ごめん。母さんね、ちょっと行けそうにないから、鷹華に行ってもらおうと思って……」
いやだから、仕入れ先を教えてよ。車はオンボロだけど、慣れれば大丈夫だし。
「あっちの世界なの」
……は?
「仕入先は〝イシュタルドーズ〟異世界よ……全部、母さんが狩って来ていたの」
えーっと……? なるほどなるほど。
どうやら、私、買い物ではなく、狩りに行かされそうです。
あ、えっと。別に田舎を悪く言ってるんじゃないのよ? ただ、もっと人の多い町に店を出せば良かったのにって、ね?
「おーい! 親子丼とカツ丼、あがったよ!」
威勢の良い声が厨房から聞こえる。物心ついた頃から、ずっと聞いてきた声だ。
父さんは、この道30年。駅前の大衆食堂を、母さんと一緒に、切り盛りしてきた。
「こっち、カツ丼大盛りね!」
「あいよ!」
私の名前は、阿寒鷹華。
この大衆食堂〝定食屋まりも〟の娘。ちょっと職人気質な父さんと、ほがらかで意外と肝の座った母さん。あと、なぜかインドへ留学している兄さんの、4人家族……あ、店の裏にいる、私が中学の時に拾ってきた雑種の犬〝ゴン太〟を入れないと、拗ねちゃうわね。
「オムライスと豚汁追加!」
「天ぷらうどんにするか……あ、やっぱキツネで」
「ビールと枝豆まだー?」
あと、前言撤回。ウチ結構お客さん多いのよね〝人の多い町〟じゃ、忙しすぎて目が回っちゃう。
「鷹華、米を炊いといてくれ」
……っていうか、なんで私がウエイトレスなんかやってるの?
「仕方ねぇだろ? 母さん入院してんだから! アルバイトなんて、すぐに見つからねぇしよ。ほい、オムライスあがり! スプーン忘れんな」
母さんが入院した。あの無駄に根性のある母さんが病室で大人しくしているのは、私がこの店を手伝っているからだ。人手が無いと知れば、母は這ってでも帰って来てしまうだろう。
「カッコつけんな、就職浪人! ほら枝豆! ビールは栓を抜いて持ってけよ!」
ぐう……痛いとこ突きやがって、オヤジめ~!
えっと、栓抜きはどこだっけ。
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ふう。結局こんな時間か。ごめんね遅くなって。
私は千切れるほどしっぽを振るゴン太にエサをやりながら、ため息をつく。
「わふ?」
……母さんのケガ、何だったんだろう。
「わふん!」
母さんは早朝、店の前で大怪我をして倒れている所を、通行人に助けられた。何があったのか全く覚えていないという。
そんな事より、問題はその時の服装だ。
「くぅん?」
母さんが着ていたのは、ビキニの様なヨロイ。
……はい、ここがポイントなのでもう一度言います。
ビキニの様なヨロイを着て倒れている所を発見され、母さんはその姿のまま、病院に運ばれたのだ。
「なにゴン太のエサ見てボーッとしてんだ? 腹減ってんなら早く飯食え。病院行くんだろ?」
はっ? いけない。ちょっと意識が飛んじゃってた。早くしないと面会時間終わっちゃうわ。
「父さんは仕込みがあるから明日午前中に行くと言っといてくれ……あ、そろそろ肉とか野菜とか仕入れないと駄目だから、母さんに詳しく聞いといてくれないか」
はいはい、了解っと。
……ウチの食材は、母さんが毎朝、市場へ仕入れに行っている。どうやら店を始めた頃から、仕入れは母さんの担当らしい。
「いやいや、今まで気にした事も無かったんだが、母さん毎朝、どこへ仕入れに行ってたんだろうな? わははは!」
呆れたもんだわ。まあ、母さんが仕入れてくる食材は、素人の私が見てもすごく新鮮で美味しそうだし、父さんも文句は無かったんだろうけど。
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ペーパードライバーの私が、いきなり乗るにはちょっとハードルが高いわ、このボロ車。ああもう! またエンストしたぁ! オートマなのに、なんで坂道発進に気をつけなきゃならないのよ?
えっと、ここを右に行かないと一方通行だ……あれ? 電話? 一旦車止めなきゃ。ああまたエンスト! もー!
……あ、母さんからか。もしもし?
『あ、鷹華? もうこっちに向かってる?』
あ、うん。何か持って行くもの有った?
『違うの。えっと、父さんは一緒?』
ううん。仕込みがあるから、明日の朝行くって。
『そう、それなら良かった……父さん、仕入れの事、何か言ってなかった?』
ああ、そういえば、母さんに聞いといてくれって……
『やっぱり。そろそろかなと思っていたのよ。それじゃ、気をつけて来てね』
はーい!
電話が切れた……ん?
母さん、父さんが一緒じゃないって聞いて〝それなら良かった〟ってどういう事なのかな?
そういえば、母さんが病院に担ぎ込まれた日、この車には、食材がいっぱい積まれていた。つまり、仕入れの帰りに、あの大ケガをしたのよね?
仕入れに〝ビキニの様なヨロイ姿〟で行くって、どういう事なのよ?
>>>
「あなたは、勇者の血を受け継いでいるの」
違うわ母さん。私が聞いているのは仕入れ先であって、ゲームの攻略法じゃないから。
「急にこんな事を言っても信じられないかもしれないけど、母さんは、この世界の人間じゃないのよ」
……?
母さん。もしかして、この間のケガってそんなにヒドかったの? ちょっと先生呼んでくるわ。
「鷹華、待って。落ち着いて聞いて? 母さんは、この世界とは違う、別の世界から来たの。よく見ていてね?」
母さんが人差し指を立てて、よく解らない言葉をひと言つぶやくと、指先にテニスボールぐらいの、火の玉が現れた。
ええっ? なにそれ!
「魔法よ。母さんが居た世界では、ごく当たり前の能力なんだけど……」
母さんは、火の玉を手のひらで握りつぶした。しかも涼しい顔で。
「こちらの世界の人間には使えないわ」
ちょっと待って! まさかと思うけど、母さん本当に異世界人!?
なるほど、それならビキニの様なヨロイ姿っていうのも、合点がいくわ。
……っていくかあああ!!
「だめよ鷹華。病院で大きな声出しちゃ」
あ、ごめんなさい。
……いや、そうじゃなくって! 母さん、どういう事かちゃんと説明してよ!
「……母さんね、実はこう見えて、魔王を倒した勇者なの」
自分が、どう見えてると思っているのか知らないけど、いろんなキーワードを一気に出されると頭が処理しきれないんだよなー。
「それでね、魔王城で、偶然こっちの世界へ転移できる指輪を見つけて、行き来している内に、父さんと出会って、結婚したのよ」
……驚愕の真実だ。私、異世界人とのハーフだったの?!
あれれ? でも、食材の仕入れ先の話で、何で母さん、異世界うんぬんを語り始めたのかしら?
「ごめん。母さんね、ちょっと行けそうにないから、鷹華に行ってもらおうと思って……」
いやだから、仕入れ先を教えてよ。車はオンボロだけど、慣れれば大丈夫だし。
「あっちの世界なの」
……は?
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