プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

ガトー

文字の大きさ
51 / 264
5年生 冬休み明け

体力差

しおりを挟む
「今日の体育は、マラソン大会の練習だ」

「えーーーーーーーー?!」

「文句を言うなー! 先生だって寒いんだー!」

 あれから、何の問題もなく数日が過ぎた。
 ユーリは普段通りだ。〝予約〟の日までは平常運転なのだろう。
 大ちゃんの〝ブルーを認識できるようになるメガネ|(仮)〟は、親父おやじさんのメガネを勝手に使ったことがバレて大目玉を食らった事以外は、順調に進歩している。
 止まった時間の中で転送装置を動かすシステムは、実験が出来ないので当分無理かと思っていたら、意外にも既に完成しているそうだ。

「楽勝だったぜ。実は、久々に〝扉〟が開いたんだ」

 〝バベルの図書館〟
 ……森羅万象、全ての知識を自由に知ることが出来る、大ちゃんの頭の中に時々出現する図書館だ。
 ちなみに、蔵書の内容を他人に伝えることは出来ない。

「メガネの事も少しだけ調べたんだけど、時間切れでなー」

 閉館時間があるらしい。本物の図書館みたいだ。

「あとさ、俺の時券チケット出処でどころが、わかったんだぜ?」

「マジで?!」

「ああ。バベルの図書館の本に、挟まってるんだ。しかも結構な頻度で」

 上履きから、運動靴に履き替えて、外に出る。今日は朝から、どんよりとした曇り空で、風も冷たい。

「昔から、何だろうと思いながら、挟んだままにしてたんだけど、最近、一枚だけ持って来てたんだよな」

『面白いね! そういう入手方法もあったのか』

「大ちゃん。ブルーが喜んでるよ」

「喜んでくれて嬉しいぜ、ブルー! 近い内に、絶対に会話するからなー!」

『楽しみにしているよ、ダイサク』

「楽しみにしてるってさ!」

「おう! 本当に、もうチョイなんだ。上手く行ったら地下室の件も頼むぜ!」

 ブルーを認識できれば、地下室に入れるようになる。大ちゃんは、広くて自由に使える研究室ラボが欲しいのだ。

『お望みならば、直接、ダイサクの部屋と地下室を繋ごう。電気と水道と、必要な資材も可能な限り用意するよ』

 それを僕から聞いた大ちゃんが小躍こおどりしてガッツポーズを取った所で、谷口先生からお叱りの言葉を頂いた。

「こっちまで恥ずかしいんですけど? ……お兄ちゃんたち、最近いつも、わかんない話してるよね」

 妹が困った顔で苦情を言ってきたので〝そうだろ?〟って言う表情で、ニヤリと笑っておいた。
 大体、お前の不思議現象の方が、よっぽどわからないっつーの。

「ごめんね、たっちゃん。僕のせいで、るりちゃんが同じ学年になっちゃって」

「いやいや、栗っちは何もしてないじゃないか。悪いのは不思議現象だよ?」

『……わざとやってるんじゃないか? タツヤ』

 ブルーがいぶかしげにしているが、気のせいだから放っておこう。
 さておき、今月末に市内の全小学校合同で、マラソン大会が開かれる。
 1年生から4年生までは参加自由だが、5、6年生は全員参加。
 体育の時間はこれから暫くの間、長距離走ばかりになるようだ。

「ブルー、僕、持久力ってどうなってるんだろう」

『詳細表示での〝体力〟の項目が関係するが、キミは無呼吸で動ける上に超回復もついているので数値は参考にならないね』

 僕の体力は26なので、26の力を出すことが出来るが、補充され続けるので無限に疲れないそうだ。

『それだと、体力は無限大って事じゃないの?』

『いや、タツヤ。例えば空気が26入る風船には26の空気を入れるのが限界だろう。それがしぼむか萎まないかの違いだ』

 んー、さっぱりわかんないな。ここは並走している大ちゃんに聞いてみよう。

「はぁはぁ……それはなー、ひぃひぃ……26の、ゼェゼェ……」

「ごめん、後にしよう」

「ひぃふぅ……」

 全然疲れないから普通に話し掛けてしまったが、悪い事したな。
 これが補充され続ける体力か。

「ほらほら、遅れてるぞー!」

 先生の声が響いた。
 白いラインで丸く引かれたトラックを、何周も走る。
 男子に周回遅れが数人出始めた頃、女子はノルマの5周を終えて、一旦トラックから離脱して休憩に入った。

『タツヤ、あまり平気すぎるのもマズイ。少し苦しそうにした方が良いよ』

「そうだな、了解!」

 栗っちと大ちゃんに合わせて走っている。二人とも、かなり疲れているようだ。僕も、大体同じぐらいの疲労感を全力で表現してみた。見よ、この演技力!

「達也―! 真面目に走らんか!」

 怒られた。

『ははは、タツヤは面白いな!』

 笑われた。

「難しいんだよ! 疲れたフリって!」

『キミなら土人形の方が上手くやれるんじゃないか?』

「それだ!」

 それについては妙に自信がある。体育のある日は人形に来させようかな。

「よーし、頑張れ! あとちょっとだ!」

 休憩と持久走を繰り返し、運動が苦手な数人が走り終えたところで、終業のチャイムが鳴った。





 >>>





 教室に戻り、大ちゃんの着替えを待ってから、もう一度さっきの質問をしてみた。

「あー、えっと、例えばさ、俺と栗っちの〝体力〟って、14じゃんか。だから、ほぼ同じ疲れ方をするんだと思う」

「確かに、同じぐらい疲れてたね」

「つまり、持久力が〝体力〟の表示に関係するというのはそういう事なんだろう。身体能力という目安の数値が〝体力〟なんだ。だから、超能力や変身無しで、俺と栗っちが運動で競えば、得手不得手(えてふえて)はあるけど良い勝負になるって事だな」

「なるほど……」

「多分、たっちゃんも〝体力〟が全く同じ人と、特記事項に書かれた能力が影響しない競技で競えば、いい勝負になるんじゃないかな。まあ、そんな競技、無いと思うけどなー」

 なんとなく解った。つまり、特別な能力無しでの身体能力って事か。

『さすがダイサクだ。わかりやすいね』

「そういえば、ユーリの〝体力〟表示って凄かったじゃない、えっと……」

「214だぜ。あれって、特記事項の〝肉体強化〟の影響か?」

『他のステータスの数値から見て、〝体力〟は元々の身体能力かもしれない』

「大ちゃん、もしかしたらユーリの〝体力〟って、特記事項抜きかもだって」

「うわぁ、スゲェな! 素のままで俺の15倍の体力って……」

 色々と思う所があるようで、大ちゃんは複雑な表情をしている。

「よし! 俺は俺のやり方でいくぜ!」

 何かを決意したようだ。頑張れ大ちゃん!

「全員席につけー!」

 またしても、いつの間にか谷口先生が、教卓の前にいる。詳細を見たら、そういう特記事項が載ってるんじゃないかな。「瞬間移動|(教卓限定)」とか。

「達也、国語の時間だぞ。早く教科書を出せー。出したら読んでもらうからな」

 この後、焦った僕が〝大造じいさんと○ン〟をカミまくったのと、給食が、懐かしの大好物四天王のひとり、ハンバーグだったので、狂喜きょうきした以外は、何事も無く下校した。
 ……というか、それは下校途中で起きた。

「やった! 聞こえるぞ! 俺やっぱ天才だな!」

 大ちゃんがブルーとの会話に成功したのだ。更には、

「たっちゃん、その手、痛くないのか?」

 すごい! 右手のブルーも見えている!

『おめでとう、ダイサク。早速なのだが、キミの家の底面はかなり頑丈だな。悪いが、少しばかり穴を開けても良いかな?』

しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...