プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

ガトー

文字の大きさ
59 / 264
5年生 冬休み明け

姉と妹

しおりを挟む
「全くの健康体ですね」

「いいえ先生、そんなはずありません。もっと詳しく調べて下さい!」

 ……ということで、栗っちの土人形つちにんぎょうは、入院して精密検査を受ける事になった。

「ゴメン、たっちゃん。今日は帰ってこれないね」

 地下の練習場に栗っちがいる。咄嗟とっさにフォロー出来るように、〝精神感応〟を使って僕の思考を読み、土人形とお母さんの会話を、間接的に聞いてもらっているのだ。

「検査入院かー! やっぱりそうなるよな」

『大丈夫だタツヤ。絶対にバレはしないよ』

「いや、検査ではバレないだろうけどさ。僕のモノマネがどこまで通じるかが問題だろ」

 栗っちのお母さんに心配を掛けないように、なるべく普段通りに振舞おうとはしているが、やはり少し違和感があるようだ。

「えー、次は心電図とエコー検査ですので、こちらの部屋に……」

「えへへー。〝エコー検査〟って、カラオケなのかな?」

「……和也、ふざけているの?」

 くぅっ! 今のはダメだったか、言いそうなのに!

『タツヤ……カズヤの事、馬鹿にしてはいないか?』

 ブルーにまで突っ込まれた。
 そんなにおかしかったか? 大体いつもあんな感じだろう?!

「たっちゃん……僕、さすがにエコー検査は知ってるよ……?」

 ああっ……ごめんなさい。悲しそうな目で見ないで。

「えー、これで今日の検査は終了です。明日はレントゲン撮影がありますので、9時以降は何も食べないで下さいね」

 食事は、消化に良いものなら何でも良いということで、食堂で済ませる事になった。

「うどんで良いわね?」

「うん。うどん美味しいよねー!」

「……和也、ふざけているの?」

 これは普通だろう! 何がいけなかった?!

『タツヤ……今のはマズかったな』

 何がさ?! 何が地雷なのか教えてくれブルー!

「たっちゃん……あんまりだよ……」

 どの部分が?! なんで涙ぐんでるの?!

「おいおい、何か盛り上がってるな! 差し入れ持ってきたぜー!」

 そこへ、大ちゃんが現れた。スーパーのビニール袋と、電気ケトルを持っている。すぐにお湯が沸くヤツだ。

「シャワールームがある位だから熱湯も出るかもと思ったけど、念の為になー」

 さすが大ちゃん、すごく気が利く。

「カップうどんで良かったか? 親父が好きなんで、いつも箱買いなんだ」

「えへへー! ありがとう! うどん美味しいよねー!」

「ほら! 言った! 今言った! さっきのと何が違うの?!」

『タツヤ……カズヤの身にもなって欲しい』

「ブルーさん、たっちゃんは悪くないよ。僕は大丈夫だから」

 だあああ!! わざとだ! 僕で遊んでいるな?!
 ほら、ブルーからは、なんとなく押し殺したようなクスクス笑いが聞こえてくるし! 栗っちも腹を抱えて小刻みに震えながらうずくまってるし!
 ……あれ? でも、そうすると栗っちのお母さんは何に反応してるんだ?

「お前ら、本当に仲いいよなー! ……で、どんな状況?」

 検査入院になってしまった事を伝えると、大ちゃんは、やっぱりな。という顔をした。

「それにしても、今日はオムライスの日だった筈だけど、うどんの日になっちゃったな」

「うん? たっちゃんは自分ちで食べるだろー? 一応、カップうどんは多めに持ってきたけどなー」

 そうか。僕は今、自分の人形が操作できないから、家で食べなきゃな。
 という事は、そろそろ自宅に戻っておかないとマズイ。





 >>>





「……お母さん、ちょっと電話してくるわね。先に食べてなさい」

 栗っち人形視点。あまりに心配過ぎて、自宅への連絡を忘れていたのだろう。栗っちお母さんが、席を立った。
 いやあ、しかし、栗っちの家族にも、余計な心配を掛けて申し訳ないなあ。
 
「あれれ? 栗っち? どうしたのん?」

 栗っち人形が、うどんをすすり始めた時、不意に声を掛けられた。ユーリだ。なんで病院の食堂に居るんだ?
 ……とにかく、栗っちのフリして対応しなきゃ。

「えへへ。急に検査で入院することになっちゃって。ユーリちゃんこそ、どうしたの?」

「やー、実は姉ちゃんが怪我けがしてさー。今日は付き添いなんだ」

 そういえば、そんな事言ってたな。いや、あれは栗っちの〝精神感応〟で聞いたんだっけ。

「お姉さん、大丈夫?」

「それがさー、結構重症でね。三日前まで、ICUアイシーユーっていうの? 入っちゃっててさー」

 ICU……集中治療室か。かなりの怪我だったんだな。

「まあ、なんとか普通の病室に移れたから、もう大丈夫だと思うんだけどね。ほら、ウチ、とーちゃんもかーちゃんも忙しくってさー」

 ユーリの家が忙しいというのは聞いていた。お姉さんも大怪我をして、すごく大変だと思う。だが、それより気になるのは……

「ユーリちゃん、大変な事に巻き込まれてない? お姉さんの怪我って何が原因なの?」

「やー、前にも言ったけど、大丈夫だよ! 心配してくれてありがとう」

 やはり、何も教えてくれない。いっそ、僕たちの秘密をバラしてしまう方が良いのかも……

「あら、ユーリちゃんじゃない。お久しぶりね!」

 電話を掛けに行っていた、栗っちのお母さんが戻ってきた。

「あ、こんにちは!」

 ユーリが栗っちのお母さんと話し始めてしまった。
 ……これ以上は突っ込めないか。

「じゃあ、栗っちもお大事にねー!」

「うん、またねー!」





 >>>





 再び視点が変わり、地下室。
 ユーリは、お姉さんの居る病室に戻っていった。こんな時、栗っち本人なら〝精神感応〟で色々と聞き出せるんだろうけどな。

「まあ、仕方ないか。ちょっと、晩御飯食べてくるよ」

「俺も戻るぜー! あー、もしかしたら深夜に来るかも」

「えへへ、行ってらっしゃい! 僕も部屋で、うどん頂くね」

 3人揃って練習場から出ようとした時、栗っちが止まった。ニコニコしたまま固まっている。これは……

「たっちゃん、これってまさか!」

「ブルー! もしかして!?」

『そうだね。時券チケットが1つ、消費された。〝時神クロノス休日きゅうじつ〟だ』

「マジか!? たっちゃん、土人形は大丈夫か?」

「大丈夫。全然問題なく動くよ」





 >>>





 病院の、栗っち人形視点。
 食堂から、病室に向かう廊下だ。
 周囲のすべての物は動きを止め、もちろん栗っちのお母さんも固まってしまっている。

『タツヤ、キミと土人形は繋がっている。時券チケットは離れていても有効だ』

 なるほど。土人形は、時間を止められても自由に動けるのか。
 でも、待てよ? ということは〝壊されても元に戻らない〟という事だな。気をつけよう。

「……ね、簡単でしょ? ガジェットを使えば、あなたも〝戦場ボード〟を作れる」

 声だ……すぐ目の前の病室から話し声が聞こえる。
 ……ってちょっと待った! 停止した時間の中、動いている者がいるのか?! 
 病室の名札には〝大波愛里おおなみあいり〟と書かれている。もしかしてユーリのお姉さんの病室?
 僕は聞き耳を立てた。

「作った〝戦場ボード〟は、どれだけ破壊しても元に戻るから安心して戦えるわ。で、こうしてガジェットに触れている者は、自由に動ける。だから、戦士は必ずガジェットを身に着けて戦うの」

 破壊しても元に戻る? もしかして、時神クロノス休日きゅうじつの事か?

「予約の日、敵はマーカーを目指してやって来る。戦士は最大5対5と決まっているわ。でも、もう戦えるのはあなた1人。あなただけで5人に勝たないと……」

「やー! 大丈夫だよ姉ちゃん! 私、こう見えて、ちょー強いんだから!」

「そうね、あなたは〝ウォルナミス〟の血が凄く濃く出ている子だから」

 ウォル……何だって?

「でも、できれば、あなたがもっと大きくなるまでは、私が戦いたかった。友里、あなたは、まだおさなすぎる」

「ううん、お姉ちゃんは充分過ぎるぐらい戦ってくれたよ。後は任せて!」

「友里……」

 やはり、ユーリは何かと戦うんだな。止まった時の中で。

「さあ友里、もう一度説明するわね」

しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...