プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

ガトー

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5年生 3学期 2月

進め! 少年少女探検隊

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『ダニロ。本当に、この部屋なのか?』

『あーもう! 似たような部屋が多すぎるんだよな』

 地下は小部屋がさらに多く、先導役せんどうやくのダニロ少年は、どうやら目的の部屋がどこなのか、分からなくなってしまったようだ。

「……ルナ、正解の部屋はどこなの?」

『えっと、彼らがいる部屋の、2つ向こうだよ』

 ぜんぜん違う所を探してるな。やれやれ。こりゃ時間が掛かりそうだ。
 僕と彩歌あやかは、物陰に身を潜めつつ、子ども達の後をついて行く。
 幸い、ブルーの光は僕たちにだけしか見えないので、直接、懐中電灯でこちらを照らされない限り、気付かれる心配はない。

『あ、ここだ! 確かこの部屋だった』

『何回も聞いたぞ、そのセリフ。ほんとに隠し部屋なんかあるのかよ。嘘なら嘘って言えよな!』

『嘘じゃないよ、絶対にあるんだから!』

『ダニロ、もしかして夢でも見たんじゃないの?』

『ラウラまで疑うのか?! 信じてくれよ!』

 大丈夫だ、ダニロ。そこが正解の部屋だよ。
 4人組は、やっと隠し部屋への入口がある場所に辿り着いた。

『えっと確か……あった、これを回すんだ!』

 ダニロが床板をめくると、中にハンドルがある。よく見つけたな、そんなの。

『こ……怖い……大丈夫なの?』

『ははは! 大丈夫さハンナ。いくよ!』

 ハンドルを回すと、ゆっくりと壁がスライドして、扉が現れた。

『スゴい! 疑ってごめん。恐れ入ったよ、ダニロ』

『へへへ、本当にあっただろ!』

 素直に謝るライナルトと、自慢げなダニロ。
 女の子2人も、驚いた様子で扉を見ている。

『で、この中はどうなってるんだ?』

『本とか、なんかよく解らないビンとかが並んでる。他には何もなかった』

『ふーん。なんか怪しいな!』

『だろ? だろ? 絶対に秘密があるんだ!』

 さすがファンタジック思考。
 ……次の隠し要素も見つけちゃうな、きっと。

『とにかく、入ってみようぜ!』

『……ねえ、本当にいいの?』

 ハンナがダニロのそでを引っ張って、不安そうに言う。

『大丈夫。僕がついてるよ』

 そう言って、ダニロは扉を開けた。
 ゆっくり慎重に、懐中電灯を照らしつつ中に入っていく。

「ねえ、達也さん。あの感じだと、ダニロって子、1人でここに来て、隠し部屋を見つけたみたいよね……」

「……そう言えばそうだな。スゴい勇気だ」

『タツヤ。度が過ぎれば、それは勇気ではなく、ただの無謀で無責任な行動だ』

 まあ確かに、大人から見れば、褒められた事じゃない。
 でも、子どもって、蛮勇ばんゆうたたえたりするもんなんだよな。

 4人が隠し部屋に入って暫くしてから、扉まで近付き、中をそっと覗く。
 本棚をゴソゴソと調べまくっている男子と、恐る恐る、得体の知れない瓶詰めを見ている女子。

『あ、いけない』

 ルナがつぶやく。

「どうしたの? ルナ」

『ここから先は、侵入者よけの罠があると思うよ。結構たくさん』

 おいおいおい! 先に言ってくれ!
 ……気が付くと、トゲトゲの付いた天井が、ゆっくり迫って来ている。ベタ過ぎて逆に怖いな!

「4人とも、気付いてないわ!」

「ルナ、この罠、どうやったら止まる?」

『えっと、床に落ちている赤い本、見える?』

「ああ、あれか!」

 ダニロとライナルトが、無造作に本を移動させているので、本が数冊、床に落ちている。赤い本は1冊だけだ。

『あの本を、元の位置に戻せば止まるよ。正面の本棚の、上から2段目、1番向こうに置いて』

 よりによって、いちばん目立つ所じゃないか……!

「彩歌さん、眠らせて連れ出そう!」

「うん!」

 彩歌は呪文を唱えた!

「HuLex UmThel PaRAlis iL」

 ……しかし、何も起こらない。

「……え? どうして?」

 彩歌はもう一度呪文を唱えた。

「HuLex UmThel PaRAlis iL」

 ……やはり、子どもたちは眠らない。

「おかしいわ。魔法が発動しない。この場所、魔法が封じられてる?!」

「ええ!? マズい! このままじゃ!」

 トゲ天井は、少しずつ、静かに、子どもたちの頭上に迫っている。
 仕方がない。こうなったら!

『こんばんは! キミたち、何してるの?』

 ……堂々と助ける!
 突然現れた僕に、ギョッとする4人。

『何だよ、お前! ここは入っちゃいけないんだぞ!』

 ライナルトの言葉に、自分たちはどうなんだよ? とは思いつつも、大人だから突っ込まない。
 それより、急いで赤い本を。

『いやあ。観光中に、親とはぐれちゃって』

 と言いながら2~3歩近付き、赤い本を拾い上げる。

『ここ、面白いね! 僕も仲間に入れてよ!』

 自然に交渉に入りつつ、速やかにルナの言う〝元の位置〟に、赤い本を戻した。
 ……カチリという音と共に、天井が戻っていく。ふう。危ない危ない。

『おい、どうする?』

『ダメだよ! 俺達のヒミツの場所だろ?』

 などと、ヒソヒソやっている、男子2人。
 そこへ、遅れて登場した彩歌が、少し首をかしげて言った。

『ね、良いでしょ? お願い!』

 急に顔がほころぶ男子2人。

『ま、まあ、良いんじゃないかな。なあ?』

『あ、う、うん』

 さすがだ彩歌。男の子なんてイチコロだな!
 ……でも良いのか男子? 女子2人がにらんでるぞ。

『僕はタツヤ・ウツミ』

『アヤカ・フジシマよ。よろしくね!』

『俺はライナルトだ。こっちが、ダニロ』

『私はラウラよ。よろしく』

『ハンナです。はじめまして』

 4人組と、改めて挨拶を交わし、自己紹介をする。
 名前はもう知ってるんだけどね。

『お前ら、日本人だな?』

『あれ? なんで分かるの?』

 大好きな日本のアニメの主人公が〝タツヤ〟なのだそうだ。
 カズヤはどこかと聞かれたので、日本に置いてきたと言ったら超ウケた。なぜだろう?

『ルナ、次の隠し扉はどこだ?』

 ルナの姿は、子どもたちには見えていない。会話も〝精神感応〟なので安心だ。

『今の赤い本の、2つ隣の本を開いてみて?』

 言われるままに、2つ隣の黒い本を開く。中はくり抜かれて空洞になっており、無骨ぶこつで古びた鍵が入っていた。

『それをあっちの……』

 と、ルナが良いかけた時、ラウラが叫んだ。

『見て! これって鍵穴じゃない?』

 彼女は部屋の隅に、小さな鍵穴を見つけたようだ。
 スゴいな。本当にこの子たちだけで、ゲートまで行き着いてしまうんじゃないか?

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