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5年生 3学期 2月
サナトリウム
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〝ベーリッツ陸軍病院〟
ブランデンブルク州、ポツダムに、〝廃墟として〟存在する。
元々は、結核の治療の為に建てられた療養所だった。
かのアドルフ・ヒトラーが怪我の治療を行った事でも有名だ。
……と、大ちゃんが言っていたが。
「本当に、ここに入るのか?」
林の中を、もう随分と歩いて来た。
〝ルナ〟が言う魔界のゲートは、いくつか点在する病院の施設跡の1つ、この建物の地下、奥深くにあるという。
「達也さん、お願い。一緒に行こう?」
僕と彩歌はドイツにいる。
まあ、僕にしてみれば、軽いボーナスステージみたいな物だ。
「お、おう!」
ここまでボーナス感の無いステージは初めてだけどね。
『タツヤ、ここは世界でも指折りの心霊スポットだ』
「そうだよな。僕だって聞いた事がある位だもん。悪霊とか居ませんように……」
悪意のある霊は、無敵であるはずの僕の魂にも、直接ダメージを与えることが出来るらしい。
そういう意味で、切実に怖い。ちびっ子がオバケ怖いって言ってるのとはワケが違うのだ。
「除霊、出来るわよ? 私」
「……え?」
「対霊魔法、持ってるから大丈夫よ? それより、厄介な悪魔とかが来ていないか心配だわ」
そんな魔法もあるの?! 先に言ってよー! もー!
「さあ、ちゃっちゃと終わらせて、ソーセージとビールを満喫しようぜ!」
『急に元気になったな』
ルナが白い目で僕を見る。ヤメてっ! そんな目で見ないで!
『飲酒は20歳を過ぎてからだよ。タツヤ』
「あ、やっぱりそうなの? 俺も彩歌も26だぞ?」
『そういう時だけ大人振るのか。ズルい大人だな』
そうだよね、大人って、汚れてるよね……
「達也さん……?」
いつになく低いトーンの彩歌。
「は……はい?」
「みんなには、絶対今の、言っちゃダメよ? 私、11歳。良い?」
「……え?」
「良いわね……?」
ひぃ……! 大人って汚れてるっ!
「ひゃい! わ……わかりました!」
「よろしい……じゃ、行きましょうか!」
彩歌の実年齢を暴露したら、僕が解体されるかもしれない。恐ろしすぎる……!
「ルナ、道順はわかるわよね?」
『まかせといて! とにかく、突き当たるまで真っすぐ行ってよ』
もう夕方だ。周囲は、随分と薄暗くなってきた。
わざわざこんな時間に突入しなくてもいいのに……テレビの心霊特番じゃあるまいし。
『そろそろ、灯りが必要のようだな』
ブルーが、光を強めてくれたので、ある程度、周囲を見渡せるようになった。
ちなみにブルーの光も、普通の人間には見えない。
……というか見えてしまったら、僕は常時右手が光る〝発光小学生〟だ。
左右にある部屋を素通りして、薄暗い廊下をまっすぐ進む。
部屋には、朽ちた医療用の機材や崩れた建物の破片などがゴロゴロと転がっていて、いかにもって感じだな。
やがて、突き当りの壁が見えてきた。
『えーっと……その左に、階段があると思うから、降りて』
「なるほど、確かに地下へ続く階段だ。この先に魔界のゲートが?」
『うん。でも、もっとずっと下の方だよ。普通の人が入れない位に深い所』
ルナによると、一般人には気付かれないような、隠し通路と隠し部屋をいくつも通り過ぎた所らしい。
『タツヤ! いま、何かがこの建物に侵入した。真っすぐこっちに向かって来る』
「なんだって! 悪魔か!?」
『いや、この気配は……』
>>>
……子どもだった。
4人組で、男の子が2人、女の子が2人だ。
僕たちは脇の小部屋に身を隠して、やり過ごす。
年齢は、たぶん今の僕達と同じか、少し年上だろう。全員、懐中電灯を装備している。
地元の子どもかな? 何か会話をしているけど、もちろんドイツ語。
ブルー先生。よろしくお願いします!
『……本当だよ! 隠し部屋があったんだ!』
『えー?! マジかよー! マンガじゃあるまいし!』
〝世紀の大発見〟に、盛り上がる子ども達。
っていうか〝隠し通路〟バレてんじゃん。
「ルナ、一般人には気付かれないんじゃなかったのか? 小学生にも見つかってるぞ?」
『あっれー? おかしいな……まあ〝隠し要素〟って、子どもの方が見つけるよね。発想がファンタジックだから!』
あー、そうね。
存在がファンタジックなお前も、もしかしたら見つかっちゃうかもな。
……さておき、どうしたものか。
まさか、このまま〝隠し要素〟が次々とバレまくって、ゲートまで辿り着いてしまうとか、ないだろうな。
『〝ダニロ〟もし嘘だったら、この間の激レアカード、もらうからな!』
『嘘じゃないから! とにかく仕掛けが凄いんだぜ!』
『ねえ〝ライナルト〟? ここ、いつも来てるの?』
『結構来るよ。隅々まで知ってる。隠し部屋とかは見たこと無いけど』
『ほ……本当に大丈夫なの? なんかイヤな雰囲気』
『〝ラウラ〟は怖がりだなあ! 大丈夫だよ!』
『だって、ここって出るって言うじゃない……』
『いやっ! ラウラ、言わないで! 口に出したら寄って来るって、ネットで見たわ!』
『何が寄ってくるんだよ〝ハンナ〟……大丈夫だよ。ダニロが守ってくれるって!』
『じゃ、じゃあ私の事は、ライナルトが守ってくれるのよね?』
『おう! 任せとけ!』
何やらいい感じに盛り上がっちゃってる……ってこれ、心霊スポットでデートじゃないか?!
リア充だ! リア充が攻めてきた!! 息が出来ないッ!!
『タツヤ、落ち着くんだ。そういう時は〝素数〟を数えるといい』
だから、なんでそんなマニアックなネタを知ってるんだブルー?
……だいたい息もなにも〝呼吸不要〟だしな、僕。
「達也さん、そっと後を追いましょう。危険なら、魔法で眠らせて連れ出すから」
ああ、なるほど。
それじゃとりあえず、彼らには、道案内をしてもらおうか。
ブランデンブルク州、ポツダムに、〝廃墟として〟存在する。
元々は、結核の治療の為に建てられた療養所だった。
かのアドルフ・ヒトラーが怪我の治療を行った事でも有名だ。
……と、大ちゃんが言っていたが。
「本当に、ここに入るのか?」
林の中を、もう随分と歩いて来た。
〝ルナ〟が言う魔界のゲートは、いくつか点在する病院の施設跡の1つ、この建物の地下、奥深くにあるという。
「達也さん、お願い。一緒に行こう?」
僕と彩歌はドイツにいる。
まあ、僕にしてみれば、軽いボーナスステージみたいな物だ。
「お、おう!」
ここまでボーナス感の無いステージは初めてだけどね。
『タツヤ、ここは世界でも指折りの心霊スポットだ』
「そうだよな。僕だって聞いた事がある位だもん。悪霊とか居ませんように……」
悪意のある霊は、無敵であるはずの僕の魂にも、直接ダメージを与えることが出来るらしい。
そういう意味で、切実に怖い。ちびっ子がオバケ怖いって言ってるのとはワケが違うのだ。
「除霊、出来るわよ? 私」
「……え?」
「対霊魔法、持ってるから大丈夫よ? それより、厄介な悪魔とかが来ていないか心配だわ」
そんな魔法もあるの?! 先に言ってよー! もー!
「さあ、ちゃっちゃと終わらせて、ソーセージとビールを満喫しようぜ!」
『急に元気になったな』
ルナが白い目で僕を見る。ヤメてっ! そんな目で見ないで!
『飲酒は20歳を過ぎてからだよ。タツヤ』
「あ、やっぱりそうなの? 俺も彩歌も26だぞ?」
『そういう時だけ大人振るのか。ズルい大人だな』
そうだよね、大人って、汚れてるよね……
「達也さん……?」
いつになく低いトーンの彩歌。
「は……はい?」
「みんなには、絶対今の、言っちゃダメよ? 私、11歳。良い?」
「……え?」
「良いわね……?」
ひぃ……! 大人って汚れてるっ!
「ひゃい! わ……わかりました!」
「よろしい……じゃ、行きましょうか!」
彩歌の実年齢を暴露したら、僕が解体されるかもしれない。恐ろしすぎる……!
「ルナ、道順はわかるわよね?」
『まかせといて! とにかく、突き当たるまで真っすぐ行ってよ』
もう夕方だ。周囲は、随分と薄暗くなってきた。
わざわざこんな時間に突入しなくてもいいのに……テレビの心霊特番じゃあるまいし。
『そろそろ、灯りが必要のようだな』
ブルーが、光を強めてくれたので、ある程度、周囲を見渡せるようになった。
ちなみにブルーの光も、普通の人間には見えない。
……というか見えてしまったら、僕は常時右手が光る〝発光小学生〟だ。
左右にある部屋を素通りして、薄暗い廊下をまっすぐ進む。
部屋には、朽ちた医療用の機材や崩れた建物の破片などがゴロゴロと転がっていて、いかにもって感じだな。
やがて、突き当りの壁が見えてきた。
『えーっと……その左に、階段があると思うから、降りて』
「なるほど、確かに地下へ続く階段だ。この先に魔界のゲートが?」
『うん。でも、もっとずっと下の方だよ。普通の人が入れない位に深い所』
ルナによると、一般人には気付かれないような、隠し通路と隠し部屋をいくつも通り過ぎた所らしい。
『タツヤ! いま、何かがこの建物に侵入した。真っすぐこっちに向かって来る』
「なんだって! 悪魔か!?」
『いや、この気配は……』
>>>
……子どもだった。
4人組で、男の子が2人、女の子が2人だ。
僕たちは脇の小部屋に身を隠して、やり過ごす。
年齢は、たぶん今の僕達と同じか、少し年上だろう。全員、懐中電灯を装備している。
地元の子どもかな? 何か会話をしているけど、もちろんドイツ語。
ブルー先生。よろしくお願いします!
『……本当だよ! 隠し部屋があったんだ!』
『えー?! マジかよー! マンガじゃあるまいし!』
〝世紀の大発見〟に、盛り上がる子ども達。
っていうか〝隠し通路〟バレてんじゃん。
「ルナ、一般人には気付かれないんじゃなかったのか? 小学生にも見つかってるぞ?」
『あっれー? おかしいな……まあ〝隠し要素〟って、子どもの方が見つけるよね。発想がファンタジックだから!』
あー、そうね。
存在がファンタジックなお前も、もしかしたら見つかっちゃうかもな。
……さておき、どうしたものか。
まさか、このまま〝隠し要素〟が次々とバレまくって、ゲートまで辿り着いてしまうとか、ないだろうな。
『〝ダニロ〟もし嘘だったら、この間の激レアカード、もらうからな!』
『嘘じゃないから! とにかく仕掛けが凄いんだぜ!』
『ねえ〝ライナルト〟? ここ、いつも来てるの?』
『結構来るよ。隅々まで知ってる。隠し部屋とかは見たこと無いけど』
『ほ……本当に大丈夫なの? なんかイヤな雰囲気』
『〝ラウラ〟は怖がりだなあ! 大丈夫だよ!』
『だって、ここって出るって言うじゃない……』
『いやっ! ラウラ、言わないで! 口に出したら寄って来るって、ネットで見たわ!』
『何が寄ってくるんだよ〝ハンナ〟……大丈夫だよ。ダニロが守ってくれるって!』
『じゃ、じゃあ私の事は、ライナルトが守ってくれるのよね?』
『おう! 任せとけ!』
何やらいい感じに盛り上がっちゃってる……ってこれ、心霊スポットでデートじゃないか?!
リア充だ! リア充が攻めてきた!! 息が出来ないッ!!
『タツヤ、落ち着くんだ。そういう時は〝素数〟を数えるといい』
だから、なんでそんなマニアックなネタを知ってるんだブルー?
……だいたい息もなにも〝呼吸不要〟だしな、僕。
「達也さん、そっと後を追いましょう。危険なら、魔法で眠らせて連れ出すから」
ああ、なるほど。
それじゃとりあえず、彼らには、道案内をしてもらおうか。
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