109 / 264
5年生 3学期 2月
どこかで見た光景
しおりを挟む
『栗っち、ありがとう。なんとかなりそうだ』
『えへへ、良かった! 頑張ってね!』
僕と彩歌は、救世主の〝歴史を曲げる力〟を借り受けた……なんかもう、何でもアリだな、栗っちの能力。
『いや、タツヤ。〝救世主〟の能力を借りられる存在は、そうそう居ない』
あれ? そうなの?
……まあ、一般人まで簡単に〝使徒〟に出来たら、ちょっと有り難みが無いよな。
『達也さん、見て。犯人たちが』
先程から外の様子を覗っていたベレー帽の男が、スキンヘッドの男を手招きで呼ぶ。
少し話し合った後、残りの男たちに、何かヒソヒソと耳打ちしている。
『動きがあったみたいだな』
『うん。出来れば何もせずに、4人だけ連れて、出ていって欲しいんだけど』
彩歌の言う通り、人質が4人だけなら、正体がバレるのを気にせず、また、無関係の人を巻き込むこともなく、救出に集中できる。
『全員立て! 店の奥に移動しろ。急げ!』
手を挙げたままの、客や店員たちが、ゾロゾロと奥へと移動していく。
僕と彩歌も、今は大人しく、男たちの指示に従い移動する。
……おっと。大将が飛びかかりそうになったので、腕を引っ張って止めた。
驚いた顔で僕を見る大将に、ニッと笑って、頷いておく。
今そういう事をされると、〝歴史〟は、しめたとばかりに、4人を殺すだろう。
『よし、そのまま動くなよ? いいな!』
男たちは、ライナルト、ダニロ、ラウラ、ハンナの4人を連れて、店を出ていった。黒いバッグを床にひとつ置いて、
『タツヤ、いけない。あれは爆発物だ』
爆発物?! あいつら結局、誰も生かしておくつもり、無かったんじゃないか!
『時限式だ。急げタツヤ』
「彩歌さん、障壁を!」
「任せて!」
彩歌は両手を振り上げて呪文を唱えた。
「HuLex UmThel wAl iL」
物理障壁を作り出す魔法だ。ちなみに光は通すが、音は通さない。
『爆弾を包んだわ。早く外へ!』
障壁は大きなダメージを受けると壊れてしまう。
この場所で爆発させるのは危険だ。
僕は、バッグを障壁ごと抱えて店を飛び出した。
4人を連れて去っていく犯人たちが見える。
……こちらには気付いていないようだな。
「早く追わないと! でも、まずはこのバッグだ」
『タツヤ、あと8秒だ』
「マジで? ……よし、やってみるか!」
思いっきり、ジャンプした。
一瞬にして、家々の屋根を見下ろす程の高さまで到達する。うっわ、高い!
……僕、こんなにパワーアップしてたのか?!
『2秒』
僕はバッグを空に向けて放り投げた。はるか上空で、閃光が弾ける。
ドン! という音が聞こえた……という事は、障壁が破壊されたのだろう。
もし店内で爆発させていたら、危ない所だったなあ。
……さて、と。
着地に気をつけないと、道路に穴を開けてしまうぞ。
>>>
「達也さん、大丈夫?」
無事に着地して、店内に戻ると、彩歌が心配そうに出迎えてくれた。
「なんとかね。若干、道路がヘコんじゃったけど」
地面に突き刺さらなかっただけ、良しとしよう。見たか、僕の学習能力。
「おい、ボウズ、お前いったい?」
大将が駆け寄ってきた。かなり驚いた様子だ。
先程、バッグを持って店を出た僕の動きは、ちょっと人間離れしていただろう。驚くのも無理は無いな。
「大将、すみません。友達がピンチなんで、説明してる暇、無さそうなんです」
僕は、席に置いてあったリュックサックから、食事の代金を取り出して、大将に渡した。
「また来ます。お寿司、美味しかったです!」
今度は栗っちや大ちゃん、ユーリも連れて来よう。トロ、食べ損ねたし。
「おう、なんか分からんけど、ほんまにお前ら2人で大丈夫なんやな? 気ぃつけてな?」
僕と彩歌は、大将にお辞儀をして、店を出た。
「達也さん、使い魔が追っているわ。急ぎましょう!」
「さすが彩歌さん! 確か、あっちだよね?」
彩歌の案内で、犯人を追う。使い魔の目は、そのまま彩歌の視界になる。しかし、自分の目と使い魔の目、両方見えるのってどんな感じなんだろう?
『タツヤ、キミも土人形の視界を持っているだろう』
確かにそうだな。同じ感覚じゃないかもしれないけど。ちなみに日本は今、深夜なので、僕の人形は、ベッドで寝たフリをさせている。
『タツヤ、マズいぞ。人が集まってきている。かなりの速度で、あらゆる方向から。これは……』
「もしかして、あいつら警察に見つかったのか?」
出来れば、人気のない所で、こっそり取り押さえたかったんだぞ。まったく、次から次へとドジ踏みやがって!
『タツヤ、キミが一味のボスのような言い草になっているぞ?』
「ありゃ。いつの間に。でもさ、きっとアイツだよな、見つかった原因……」
「そうね、きっと、メガネの人よね」
5人も寄れば、ひとりぐらい、必ずそういう役どころが居るもんだ。
『キミたち5人で言うところの、タツヤだな』
「ちょ! ……そうなの?!」
ユーリを抑えて、堂々のヘマ担当だって……心当たりがありすぎて、反論できない。
「達也さん。その角を曲がった広場で、警官に囲まれているわ!」
広場って……よりによって、なんでそんな場所を逃走経路に選ぶかな……きっとメガネのしわざだ。
『タツヤ、キミたちが逃走する時は、精々気をつけるといい』
うん、選ぶよな。僕なら絶対選ぶぞコンチクショー!
『……お前のせいで囲まれちまったじゃねーか! バカヤロウ!』
広場に着くと、結構な距離があるにも関わらず、スキンヘッドがメガネを怒鳴り付ける声が聞こえてきた。何をどうやったら、この短時間でここまで追い詰められるほどの失敗が出来るんだ?
パトカーが5台、警察官11人。周囲には、一般人もチラホラ居る。まあ、狭い寿司屋の店内よりは、随分ましだけど……
『お前たちは完全に包囲されている。人質を開放して、投降しなさい!』
警官が、拡声器で降参を勧めている。
『うるせえ! こいつらがどうなってもいいのか!』
銃を、ハンナのこめかみに押し当てて、威嚇するスキンヘッド。
おい、やめろ。〝歴史〟がチャンスとばかりに、銃を暴発させるかもしれないだろ!
「彩歌さん、変身しよう。ギャラリーが多すぎる!」
「うん。それに急がないと、もっと人が増えるかも」
それはマズい。さすがにこれ以上増えたら、ヒーローショーみたいになっちゃうもんな。
『動くな! 動くと撃つぞ! 動くなよ! 絶対撃つからな!!』
メガネが吠えている。熱湯風呂を前にしたお笑い芸人なみに、同じ言葉を連呼している。
……と、そこへ不意に、ボールがコロコロと転がって来る。犯人たちと警官たちが睨み合う、一番危険な場所に。
「ちょっと、達也さん、あの子!」
「おいおいおいおい……!」
小さな男の子が、ボールを追いかけて、夢中で走ってきた。
どこかで見た光景だと思ったら、アレだ。自動車教習所のビデオだ。
『動くなって言っただろうがあああああ!!』
メガネ、なぜか逆上!
……そうだよな。お前、動くなって言ってたもんな。
ボールに追いついて嬉しそうにしている男の子に、自動小銃を向けるメガネ。
『動いたお前が悪いんだからなぁ!!』
警官に囲まれて、絶体絶命のこの状況に、ワケが分からなくなっているのだろう。
メガネは、とうとう男の子に向けて、引き金を引いた。
『えへへ、良かった! 頑張ってね!』
僕と彩歌は、救世主の〝歴史を曲げる力〟を借り受けた……なんかもう、何でもアリだな、栗っちの能力。
『いや、タツヤ。〝救世主〟の能力を借りられる存在は、そうそう居ない』
あれ? そうなの?
……まあ、一般人まで簡単に〝使徒〟に出来たら、ちょっと有り難みが無いよな。
『達也さん、見て。犯人たちが』
先程から外の様子を覗っていたベレー帽の男が、スキンヘッドの男を手招きで呼ぶ。
少し話し合った後、残りの男たちに、何かヒソヒソと耳打ちしている。
『動きがあったみたいだな』
『うん。出来れば何もせずに、4人だけ連れて、出ていって欲しいんだけど』
彩歌の言う通り、人質が4人だけなら、正体がバレるのを気にせず、また、無関係の人を巻き込むこともなく、救出に集中できる。
『全員立て! 店の奥に移動しろ。急げ!』
手を挙げたままの、客や店員たちが、ゾロゾロと奥へと移動していく。
僕と彩歌も、今は大人しく、男たちの指示に従い移動する。
……おっと。大将が飛びかかりそうになったので、腕を引っ張って止めた。
驚いた顔で僕を見る大将に、ニッと笑って、頷いておく。
今そういう事をされると、〝歴史〟は、しめたとばかりに、4人を殺すだろう。
『よし、そのまま動くなよ? いいな!』
男たちは、ライナルト、ダニロ、ラウラ、ハンナの4人を連れて、店を出ていった。黒いバッグを床にひとつ置いて、
『タツヤ、いけない。あれは爆発物だ』
爆発物?! あいつら結局、誰も生かしておくつもり、無かったんじゃないか!
『時限式だ。急げタツヤ』
「彩歌さん、障壁を!」
「任せて!」
彩歌は両手を振り上げて呪文を唱えた。
「HuLex UmThel wAl iL」
物理障壁を作り出す魔法だ。ちなみに光は通すが、音は通さない。
『爆弾を包んだわ。早く外へ!』
障壁は大きなダメージを受けると壊れてしまう。
この場所で爆発させるのは危険だ。
僕は、バッグを障壁ごと抱えて店を飛び出した。
4人を連れて去っていく犯人たちが見える。
……こちらには気付いていないようだな。
「早く追わないと! でも、まずはこのバッグだ」
『タツヤ、あと8秒だ』
「マジで? ……よし、やってみるか!」
思いっきり、ジャンプした。
一瞬にして、家々の屋根を見下ろす程の高さまで到達する。うっわ、高い!
……僕、こんなにパワーアップしてたのか?!
『2秒』
僕はバッグを空に向けて放り投げた。はるか上空で、閃光が弾ける。
ドン! という音が聞こえた……という事は、障壁が破壊されたのだろう。
もし店内で爆発させていたら、危ない所だったなあ。
……さて、と。
着地に気をつけないと、道路に穴を開けてしまうぞ。
>>>
「達也さん、大丈夫?」
無事に着地して、店内に戻ると、彩歌が心配そうに出迎えてくれた。
「なんとかね。若干、道路がヘコんじゃったけど」
地面に突き刺さらなかっただけ、良しとしよう。見たか、僕の学習能力。
「おい、ボウズ、お前いったい?」
大将が駆け寄ってきた。かなり驚いた様子だ。
先程、バッグを持って店を出た僕の動きは、ちょっと人間離れしていただろう。驚くのも無理は無いな。
「大将、すみません。友達がピンチなんで、説明してる暇、無さそうなんです」
僕は、席に置いてあったリュックサックから、食事の代金を取り出して、大将に渡した。
「また来ます。お寿司、美味しかったです!」
今度は栗っちや大ちゃん、ユーリも連れて来よう。トロ、食べ損ねたし。
「おう、なんか分からんけど、ほんまにお前ら2人で大丈夫なんやな? 気ぃつけてな?」
僕と彩歌は、大将にお辞儀をして、店を出た。
「達也さん、使い魔が追っているわ。急ぎましょう!」
「さすが彩歌さん! 確か、あっちだよね?」
彩歌の案内で、犯人を追う。使い魔の目は、そのまま彩歌の視界になる。しかし、自分の目と使い魔の目、両方見えるのってどんな感じなんだろう?
『タツヤ、キミも土人形の視界を持っているだろう』
確かにそうだな。同じ感覚じゃないかもしれないけど。ちなみに日本は今、深夜なので、僕の人形は、ベッドで寝たフリをさせている。
『タツヤ、マズいぞ。人が集まってきている。かなりの速度で、あらゆる方向から。これは……』
「もしかして、あいつら警察に見つかったのか?」
出来れば、人気のない所で、こっそり取り押さえたかったんだぞ。まったく、次から次へとドジ踏みやがって!
『タツヤ、キミが一味のボスのような言い草になっているぞ?』
「ありゃ。いつの間に。でもさ、きっとアイツだよな、見つかった原因……」
「そうね、きっと、メガネの人よね」
5人も寄れば、ひとりぐらい、必ずそういう役どころが居るもんだ。
『キミたち5人で言うところの、タツヤだな』
「ちょ! ……そうなの?!」
ユーリを抑えて、堂々のヘマ担当だって……心当たりがありすぎて、反論できない。
「達也さん。その角を曲がった広場で、警官に囲まれているわ!」
広場って……よりによって、なんでそんな場所を逃走経路に選ぶかな……きっとメガネのしわざだ。
『タツヤ、キミたちが逃走する時は、精々気をつけるといい』
うん、選ぶよな。僕なら絶対選ぶぞコンチクショー!
『……お前のせいで囲まれちまったじゃねーか! バカヤロウ!』
広場に着くと、結構な距離があるにも関わらず、スキンヘッドがメガネを怒鳴り付ける声が聞こえてきた。何をどうやったら、この短時間でここまで追い詰められるほどの失敗が出来るんだ?
パトカーが5台、警察官11人。周囲には、一般人もチラホラ居る。まあ、狭い寿司屋の店内よりは、随分ましだけど……
『お前たちは完全に包囲されている。人質を開放して、投降しなさい!』
警官が、拡声器で降参を勧めている。
『うるせえ! こいつらがどうなってもいいのか!』
銃を、ハンナのこめかみに押し当てて、威嚇するスキンヘッド。
おい、やめろ。〝歴史〟がチャンスとばかりに、銃を暴発させるかもしれないだろ!
「彩歌さん、変身しよう。ギャラリーが多すぎる!」
「うん。それに急がないと、もっと人が増えるかも」
それはマズい。さすがにこれ以上増えたら、ヒーローショーみたいになっちゃうもんな。
『動くな! 動くと撃つぞ! 動くなよ! 絶対撃つからな!!』
メガネが吠えている。熱湯風呂を前にしたお笑い芸人なみに、同じ言葉を連呼している。
……と、そこへ不意に、ボールがコロコロと転がって来る。犯人たちと警官たちが睨み合う、一番危険な場所に。
「ちょっと、達也さん、あの子!」
「おいおいおいおい……!」
小さな男の子が、ボールを追いかけて、夢中で走ってきた。
どこかで見た光景だと思ったら、アレだ。自動車教習所のビデオだ。
『動くなって言っただろうがあああああ!!』
メガネ、なぜか逆上!
……そうだよな。お前、動くなって言ってたもんな。
ボールに追いついて嬉しそうにしている男の子に、自動小銃を向けるメガネ。
『動いたお前が悪いんだからなぁ!!』
警官に囲まれて、絶体絶命のこの状況に、ワケが分からなくなっているのだろう。
メガネは、とうとう男の子に向けて、引き金を引いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
