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5年生 3学期 2月
悪党の巣
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私〝ノウマズ・ロクドナス〟は〝ここではない世界〟から来た。
……そして今、私は〝子どもたち〟を観察している。
「意味が分からないな」
目の前で無邪気に笑っているのは〝聖剣の残り香〟漂う一人の少女。
有り得ない事だ。
これは〝裁きの香り〟だ。
少女は、死んでいなければならない〝裁きの香り〟を振りまきながら、元気に遊んでいる。
「どういう事なのだ?」
私〝ノウマズ・ロクドナス〟は〝子どもたち〟を観察している。
細心の注意を払って。
なぜなら、絶対に認識できないはずの〝次元の隙間〟に身を潜め、追跡している自分に、明らかに気付いているであろう素振りを、子どもたちが見せているからだ。
「とにかく、彼女をここにお招きしよう。話を聞くのは彼女だけでいい」
>>>
話してみて分かった。
間違いなく、彼女は〝何か〟を知っている。
……そう思って泳がせてみたら、やはりクロだったようだ。
なんと彼女は、ご丁寧に〝認識阻害〟まで完備された部屋に逃げ込んだのだ。
「そして、またしても、子ども……か」
だが見つけたぞ。
あれこそは、奪われた聖剣。
しかし昨日の〝裁きの波動〟は、どうやら誤検知だったようだ。
私が彼女から感じている〝残り香〟も、きっとこの世界特有の、別の香りだろう。
……そういう事は稀にある。
現に先程から、あの〝独り言の多い子〟と、あちらの優しい感じの子が、聖剣を交互に触っているが〝裁き〟は起きない。
つまり、まだ聖剣は、使用者を特定していないのだ。
「それはそうだ。聖剣が、あんな〝無法な奪われ方〟で、勇者を選ぶはずがない」
私の従属が、なぜこの場所を〝直接〟見つけ出すことが出来なかったのかは分からないが、どうでも良いな。
きちんとこの世界の言葉を翻訳さえしてくれれば。
……しかし、相当に難しいのだな、この世界の言語は。
意味のわからない言葉が多すぎる。
毎回毎回〝翻訳範囲〟を固定するまでの精神集中に、時間を取られ過ぎだぞ。
『僕はどうなんだ?』
お? やっと意味の分かる感じになってきた。
しかし、子どもの遊び場にしては、少々、手が込み過ぎているな、この部屋は。
まあ、そんな事もどうでも良い。
……あの子どもたちが、聖剣を盗んだ者と、どういう関係なのか。
どうやって〝審判の台座〟を破壊し、奪い去ったのか。
聞き出して罰を与え、速やかに聖剣を回収して帰る。それだけだ。
「いや、充分だろ! そんなに長期間、行くつもりはないよ」
先程までの会話はほとんど分からなかったが、そろそろ踏み込むとするか。
……どこかに旅行にでも行く話か? 呑気なものだ。
『それじゃ、異世界人〝ノウマズ・ロクドナス〟に連絡をとるのは、異星人に勝って、分岐点を乗り切った、その後という事で良いかな?』
不意に、私の名前が出たので焦った。
おい子どもたち。何の話をしているんだ?
私に連絡をとるのは、何かの後回し?
『俺はそれでいいぜー?』
何が良いんだ?
何でこの子どもたちは、私への連絡を取るタイミングを、勝手に決めているんだ?
『やー! 楽しみだなー!!』
何が楽しみなんだこの子は。先程、会話した感じでは、悪意は無さそうだったが。
『えへへー! 大賛成!!』
この子も、賛成?
私の世界の人々を救うために必要不可欠な、その剣の返却を後回しにする事に賛成?
『私も賛成!』
満場一致で、〝聖剣を返さない〟と言うのか。
……ならば、先にお仕置きが必要なのは、この子たちだ。
「……反対だな」
私が姿を現すと、5人の子どもたちは、一斉にこちらを向いた。
さて、子ども相手に大人気ないとは思うが、とりあえずひとつ、脅しの意味で私の力を披露しておこうか。
「私は〝ノウマズ・ロクドナス〟。貴方たちから見ると、異世界人という事になる」
とりあえず、この不格好な人形を、粉々に砕いてやろう。
聖剣を抜き、一閃。案山子は跡形もなく弾け飛んだ。
「貴方たちには、もう伝わっている様なので、詳しくは説明しない。速やかに聖剣をこちらに渡し、奪った人物の事を話すんだ」
逆らえば、少々痛い目を見なければならないが。さあ、どう出るかな?
『いやー、良くぞおいで下さいました! この剣は、僕が、ほんの手違いで拾ったんですよ。さあ、お返ししますので、持って帰って下さい! どうぞどうぞ!』
〝独り言の多い子〟が、ペコペコしながら、愛想笑いをしている。
おや? やけにあっさりと。まあ、そういう態度なら、今回だけは、大目に見てやらんでもないが……
『駄目だよ! たっちゃん!』
優しそうな子が、慌てたように、それを止める。
おや? 意外と、こちらの子は聞き分けが悪いようだな。
『何でだよ、栗っち! このまま返しちゃえば、異世界なんか、行かなくて済むんだぞ?』
ん? 何を言っているんだ、この子は……?
『だって、その剣の持ち主は、たっちゃんなんだよ? 他の人に、触らせちゃ駄目だよ!』
いよいよ、聞き分けの無さが癇に障るな。
その聖剣の持ち主が、お前たちのような子どもの訳がないだろう。
『えー? いいよ。返しちゃおうよ! 面倒じゃんか!』
なにか、妙な言い回しだが、この子は素直に聖剣を返そうとしている。
よしよし、良い子だ。
『あー! なるほどな。分かったぜー。誰もその剣に触らせちゃ駄目だな。返すわけにはいかない』
……やれやれ。こちらの子も反対派か。
仕方がない。とりあえず先に聖剣を回収するか。そして、お仕置きだ。
「貴方たちが何と言おうが、その剣は返してもらう」
聖剣が置いてある机に近付いて行く。
……ん? 〝私の聖剣〟が、妙な警告信号を出しているな。これは?
「何だというのだ、まったく……さあ、これは頂いて行くぞ」
聖剣に手を伸ばす。
……しかし、私が触れるより先に、大人しそうな子が聖剣を掴んでいた。
『触っちゃ駄目だよ! これはもう、たっちゃんの物なんだよ?』
「いい加減にしたまえ! その剣は、玩具ではないのだぞ?」
『おいおいー! それは触っちゃ駄目だろー! たっちゃんの物なんだから』
『やー! そっか! ノウマズさん、ダメダメ! それダメー!!』
『達也さん! 私も分かったわ! 達也さん以外は、触っては駄目!』
どういう事だ、これは……?!
なぜ、〝たっちゃん〟と呼ばれている少年以外、剣を返すのを拒むのだ?
『いや、ちょっと待った。そういう事か! 栗っち、もしかしてその剣、いちど使用者を決めたら、もう変更できないんだな?』
『うん。そうだよたっちゃん。たぶん、使用者が死なない限りね』
『だー! やっぱ行かなきゃならないのか、異世界!』
「何を言っている!? 私は聖剣を返せと言っているのだ。お前たちが異世界に行く必要などない!」
『ノウマズさん。その剣は、既に僕を、使用者と決めているんだ。あんたが、別の聖剣の持ち主でも、たぶん、僕の聖剣に触れたら、灰になっちまうんだろ?』
……ん? 今何と言った?
『昨日、ユーリが、剣に触ってしまったから分かるんだ。聖剣は、間違いなく使用者を僕と認めてしまっている』
「タツヤとか言ったな、少年……貴方は、なかなか聞き分けの良い、賢い子だと思っていたのだが、そうでもないのかな。貴方が聖剣に選ばれているなら、なぜ、今、聖剣を手にしている彼は、灰にならずに無事なのだ?」
『ああ、それは栗っちが……』
まだ何か、言い逃れをしようというのか。戯れ言は、もう沢山だ。
「それに、もう一つ! 確かに貴方の言う通り、聖剣に選ばれた私でも、他の聖剣に触れれば、神の怒りに触れ、灰になる。そちらの少女が聖剣に触れたなら、なぜこうして生きている?」
バカバカしい。それに加えて、とにかく腹立たしい。まだ何か言おうものなら、実力行使だ。
『ユーリは、異星人の末裔だ。昨日、聖剣に触った時は、手を火傷した。けど、すぐに治ったんだ』
異星人と来たか。
ふむ。決まりだな。もう、容赦はしない。
「黙りたまえ。良く分かった。これ以上、貴方達と遊んでいる暇はもう無い」
剣を抜き、構える。可哀想だが、盗人として、聖剣による裁きを受けてもらう事にする。
『えへへー。だよねー……えっと、ユーリちゃんも、ちょっと熱いけど、証明しておく?』
『やー! まあ、しゃあないね。へーきだよ、昨日ぐらいの熱さなら』
『……おいおい、無茶はすんなよなー?』
という会話が聞こえた直後、信じられない事が起きた。
一瞬で、私の手から聖剣が消えて無くなったのだ。
「っ?! これは……」
〝栗っち〟と呼ばれる少年が、私の剣を持っている。
「何だ? 一体どういう事だ?!」
……ジューッという音と、異様な焦げ臭さに気づき目を向けると、いつの間にか、もう一つの聖剣を握り締めた〝ユーリ〟と呼ばれる少女が、笑顔でこちらを見ている。
「そんな……なんで貴方たちは裁かれない?! なんで無事なんだ?!」
『ワ・タ・シ・ハ・ウ・チュ・ウ・ジ・ン・ダ』
『えへへー。じゃあ、僕も! 〝とんでもねぇ! あたしゃ神様だよ!〟』
何を言っているのかは分からないが……聖剣の裁きが通じないこの2人の存在が、全てを物語っていた。
……驚いた事に、先程からの話は、全て本当だったのだ。
……そして今、私は〝子どもたち〟を観察している。
「意味が分からないな」
目の前で無邪気に笑っているのは〝聖剣の残り香〟漂う一人の少女。
有り得ない事だ。
これは〝裁きの香り〟だ。
少女は、死んでいなければならない〝裁きの香り〟を振りまきながら、元気に遊んでいる。
「どういう事なのだ?」
私〝ノウマズ・ロクドナス〟は〝子どもたち〟を観察している。
細心の注意を払って。
なぜなら、絶対に認識できないはずの〝次元の隙間〟に身を潜め、追跡している自分に、明らかに気付いているであろう素振りを、子どもたちが見せているからだ。
「とにかく、彼女をここにお招きしよう。話を聞くのは彼女だけでいい」
>>>
話してみて分かった。
間違いなく、彼女は〝何か〟を知っている。
……そう思って泳がせてみたら、やはりクロだったようだ。
なんと彼女は、ご丁寧に〝認識阻害〟まで完備された部屋に逃げ込んだのだ。
「そして、またしても、子ども……か」
だが見つけたぞ。
あれこそは、奪われた聖剣。
しかし昨日の〝裁きの波動〟は、どうやら誤検知だったようだ。
私が彼女から感じている〝残り香〟も、きっとこの世界特有の、別の香りだろう。
……そういう事は稀にある。
現に先程から、あの〝独り言の多い子〟と、あちらの優しい感じの子が、聖剣を交互に触っているが〝裁き〟は起きない。
つまり、まだ聖剣は、使用者を特定していないのだ。
「それはそうだ。聖剣が、あんな〝無法な奪われ方〟で、勇者を選ぶはずがない」
私の従属が、なぜこの場所を〝直接〟見つけ出すことが出来なかったのかは分からないが、どうでも良いな。
きちんとこの世界の言葉を翻訳さえしてくれれば。
……しかし、相当に難しいのだな、この世界の言語は。
意味のわからない言葉が多すぎる。
毎回毎回〝翻訳範囲〟を固定するまでの精神集中に、時間を取られ過ぎだぞ。
『僕はどうなんだ?』
お? やっと意味の分かる感じになってきた。
しかし、子どもの遊び場にしては、少々、手が込み過ぎているな、この部屋は。
まあ、そんな事もどうでも良い。
……あの子どもたちが、聖剣を盗んだ者と、どういう関係なのか。
どうやって〝審判の台座〟を破壊し、奪い去ったのか。
聞き出して罰を与え、速やかに聖剣を回収して帰る。それだけだ。
「いや、充分だろ! そんなに長期間、行くつもりはないよ」
先程までの会話はほとんど分からなかったが、そろそろ踏み込むとするか。
……どこかに旅行にでも行く話か? 呑気なものだ。
『それじゃ、異世界人〝ノウマズ・ロクドナス〟に連絡をとるのは、異星人に勝って、分岐点を乗り切った、その後という事で良いかな?』
不意に、私の名前が出たので焦った。
おい子どもたち。何の話をしているんだ?
私に連絡をとるのは、何かの後回し?
『俺はそれでいいぜー?』
何が良いんだ?
何でこの子どもたちは、私への連絡を取るタイミングを、勝手に決めているんだ?
『やー! 楽しみだなー!!』
何が楽しみなんだこの子は。先程、会話した感じでは、悪意は無さそうだったが。
『えへへー! 大賛成!!』
この子も、賛成?
私の世界の人々を救うために必要不可欠な、その剣の返却を後回しにする事に賛成?
『私も賛成!』
満場一致で、〝聖剣を返さない〟と言うのか。
……ならば、先にお仕置きが必要なのは、この子たちだ。
「……反対だな」
私が姿を現すと、5人の子どもたちは、一斉にこちらを向いた。
さて、子ども相手に大人気ないとは思うが、とりあえずひとつ、脅しの意味で私の力を披露しておこうか。
「私は〝ノウマズ・ロクドナス〟。貴方たちから見ると、異世界人という事になる」
とりあえず、この不格好な人形を、粉々に砕いてやろう。
聖剣を抜き、一閃。案山子は跡形もなく弾け飛んだ。
「貴方たちには、もう伝わっている様なので、詳しくは説明しない。速やかに聖剣をこちらに渡し、奪った人物の事を話すんだ」
逆らえば、少々痛い目を見なければならないが。さあ、どう出るかな?
『いやー、良くぞおいで下さいました! この剣は、僕が、ほんの手違いで拾ったんですよ。さあ、お返ししますので、持って帰って下さい! どうぞどうぞ!』
〝独り言の多い子〟が、ペコペコしながら、愛想笑いをしている。
おや? やけにあっさりと。まあ、そういう態度なら、今回だけは、大目に見てやらんでもないが……
『駄目だよ! たっちゃん!』
優しそうな子が、慌てたように、それを止める。
おや? 意外と、こちらの子は聞き分けが悪いようだな。
『何でだよ、栗っち! このまま返しちゃえば、異世界なんか、行かなくて済むんだぞ?』
ん? 何を言っているんだ、この子は……?
『だって、その剣の持ち主は、たっちゃんなんだよ? 他の人に、触らせちゃ駄目だよ!』
いよいよ、聞き分けの無さが癇に障るな。
その聖剣の持ち主が、お前たちのような子どもの訳がないだろう。
『えー? いいよ。返しちゃおうよ! 面倒じゃんか!』
なにか、妙な言い回しだが、この子は素直に聖剣を返そうとしている。
よしよし、良い子だ。
『あー! なるほどな。分かったぜー。誰もその剣に触らせちゃ駄目だな。返すわけにはいかない』
……やれやれ。こちらの子も反対派か。
仕方がない。とりあえず先に聖剣を回収するか。そして、お仕置きだ。
「貴方たちが何と言おうが、その剣は返してもらう」
聖剣が置いてある机に近付いて行く。
……ん? 〝私の聖剣〟が、妙な警告信号を出しているな。これは?
「何だというのだ、まったく……さあ、これは頂いて行くぞ」
聖剣に手を伸ばす。
……しかし、私が触れるより先に、大人しそうな子が聖剣を掴んでいた。
『触っちゃ駄目だよ! これはもう、たっちゃんの物なんだよ?』
「いい加減にしたまえ! その剣は、玩具ではないのだぞ?」
『おいおいー! それは触っちゃ駄目だろー! たっちゃんの物なんだから』
『やー! そっか! ノウマズさん、ダメダメ! それダメー!!』
『達也さん! 私も分かったわ! 達也さん以外は、触っては駄目!』
どういう事だ、これは……?!
なぜ、〝たっちゃん〟と呼ばれている少年以外、剣を返すのを拒むのだ?
『いや、ちょっと待った。そういう事か! 栗っち、もしかしてその剣、いちど使用者を決めたら、もう変更できないんだな?』
『うん。そうだよたっちゃん。たぶん、使用者が死なない限りね』
『だー! やっぱ行かなきゃならないのか、異世界!』
「何を言っている!? 私は聖剣を返せと言っているのだ。お前たちが異世界に行く必要などない!」
『ノウマズさん。その剣は、既に僕を、使用者と決めているんだ。あんたが、別の聖剣の持ち主でも、たぶん、僕の聖剣に触れたら、灰になっちまうんだろ?』
……ん? 今何と言った?
『昨日、ユーリが、剣に触ってしまったから分かるんだ。聖剣は、間違いなく使用者を僕と認めてしまっている』
「タツヤとか言ったな、少年……貴方は、なかなか聞き分けの良い、賢い子だと思っていたのだが、そうでもないのかな。貴方が聖剣に選ばれているなら、なぜ、今、聖剣を手にしている彼は、灰にならずに無事なのだ?」
『ああ、それは栗っちが……』
まだ何か、言い逃れをしようというのか。戯れ言は、もう沢山だ。
「それに、もう一つ! 確かに貴方の言う通り、聖剣に選ばれた私でも、他の聖剣に触れれば、神の怒りに触れ、灰になる。そちらの少女が聖剣に触れたなら、なぜこうして生きている?」
バカバカしい。それに加えて、とにかく腹立たしい。まだ何か言おうものなら、実力行使だ。
『ユーリは、異星人の末裔だ。昨日、聖剣に触った時は、手を火傷した。けど、すぐに治ったんだ』
異星人と来たか。
ふむ。決まりだな。もう、容赦はしない。
「黙りたまえ。良く分かった。これ以上、貴方達と遊んでいる暇はもう無い」
剣を抜き、構える。可哀想だが、盗人として、聖剣による裁きを受けてもらう事にする。
『えへへー。だよねー……えっと、ユーリちゃんも、ちょっと熱いけど、証明しておく?』
『やー! まあ、しゃあないね。へーきだよ、昨日ぐらいの熱さなら』
『……おいおい、無茶はすんなよなー?』
という会話が聞こえた直後、信じられない事が起きた。
一瞬で、私の手から聖剣が消えて無くなったのだ。
「っ?! これは……」
〝栗っち〟と呼ばれる少年が、私の剣を持っている。
「何だ? 一体どういう事だ?!」
……ジューッという音と、異様な焦げ臭さに気づき目を向けると、いつの間にか、もう一つの聖剣を握り締めた〝ユーリ〟と呼ばれる少女が、笑顔でこちらを見ている。
「そんな……なんで貴方たちは裁かれない?! なんで無事なんだ?!」
『ワ・タ・シ・ハ・ウ・チュ・ウ・ジ・ン・ダ』
『えへへー。じゃあ、僕も! 〝とんでもねぇ! あたしゃ神様だよ!〟』
何を言っているのかは分からないが……聖剣の裁きが通じないこの2人の存在が、全てを物語っていた。
……驚いた事に、先程からの話は、全て本当だったのだ。
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