プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

ガトー

文字の大きさ
137 / 264
5年生 3学期 2月

爪を研ぐ者

しおりを挟む
 私にはもう、何を言ってるのかサッパリわかんにゃいんだけど……

「とにかく、持ちこたえてくれグリーン! 私が解体して、設定をほどこせば〝悪魔たちの死亡〟が、箱を起動する引き金になることはない」

 この黒い箱が、悪魔の作った爆弾だって事はわかったんだけどさー。
 〝人間で出来てる〟とか、いくらなんでもファンタジー過ぎない? ユーリちゃん、ちょっと引いちゃうにゃあ。

「クロ君の到着を待って、即、解体しよう。こちらの箱も全て回収し、処置しなくてはならない。悪魔への攻撃は、合図があるまで待って欲しい……イエロー、あの角を曲がった先に、悪魔が居るのだな?」

「間違いにゃいよ」

 私の〝生命感知〟が、この先に居る悪魔の物とおぼしき反応を一つと、微弱になってしまった〝人間であろう反応〟2つをとらえている。

「ダム内に、人が居ると思ってはいたが、よりによって人質になってしまうとは……」

「だいじょーぶ! あんなノロマ、すぐにやっつけちゃうにゃー!」

「待ちたまえイエロー! キミは私の話を聞いていなかったのか?!」

「にゃ?」

「悪魔が絶命すれば、箱は爆発する。人質と、元に戻せるかもしれない5人の魔界人も犠牲となり、このダムは崩壊する。当然、下流の町にも水が押し寄せ、甚大じんだいな被害を及ぼす事になるだろう」

「にゃー?! なんで悪魔を殺すだけで、そんなに大変な事になるのん?!」

「……やはり何も聞いていなかったようだな。よく聞きたまえ。この爆発物……グリーンの話では〝マサライの箱〟というらしいが、これは人間を原材料にしている。作動する条件は、この箱を作成した悪魔の死か、材料となっている人間の死だ」

「材料の死って、そんな姿にされちゃってるんだから、もう死んじゃってるんじゃないのん?」

「いや、生きているらしい。魂が離れているので、私の能力では生物と認識できず〝機械仕掛けの神デウスエクスマキナ〟の能力を使って解体や調整を行えるのだが……」

 レッドの〝機械仕掛けの神デウスエクスマキナ〟って、生き物以外なら何でもイジれるの?!

「肉体である〝箱〟から引き離された彼らの魂は、2つの透明な玉に加工されて、悪魔がそれぞれ一つずつ所持しているようだ」

 ……にゃるほど。その玉を壊しちゃうと、箱が起動するんだ。悪趣味だにゃあ。

「じゃあさ、その玉と爆弾と人質を、取り戻せば良いんだよにゃ?」

「その通りだ。私はここで、クロ君の到着を待っている。キミも、箱と玉を奪取したら、そこの角まで持ってきて欲しい。キミのスピードなら大丈夫だと思うが、くれぐれも、私がここで解体作業をしている事を、悪魔に悟られないでくれたまえ」

「にゃー! 了解! じゃあ早速、いってきまーす!!」

 レッドの〝機械仕掛けの神デウスエクスマキナ〟はすごい。私の〝生命感知〟と同じ位の精度で、機械の構造・位置・重量とかが、全部わかるみたい。
 レッドの話だと悪魔の周辺には、爆弾が4個、取り付けられているらしいにゃ。
 居た! 天井から吊るされた、人間が2人と、悪魔。私を見つけて、ギョロリとした大きな目で睨みつけてくる。

「ここまで追ってきたか! お前たちが何者か知らないが、それ以上近づくな!」

「……やだにゃ」

 柱と壁の爆弾は全部外した。
 ついでに悪魔の手に握られていた透明の玉もゲット! 本当、ノロいやつだにゃー。

「ちょっと待っててにゃ。すぐ戻るから」

 さっきの曲がり角の先に、爆弾と玉を置く。
 レッドの隣には既にクロが居て、たくさんの黒い箱が積み上げられていた。
 ……あんなに仕掛けられてたのかー!

「ただいま」

「こ、コイツ! 近づくなと言っただろう!」

 慌てて、数メートル飛び退く悪魔。
 驚いてる驚いてる。いきなり目の前に現れてやったからにゃー。

「クソッ! この玉を見ろ! これが割れれば、この施設は大爆発を……な、何だと?!」

 手のひらを私に見せつける悪魔。
 もちろん、悪魔の手には透明な玉はもう無い。
 今頃レッドが回収しているはずだ。

「にゃははー、残念でした! 手相でも見てほしいのん?」

 取られた事に気付いてないんだもん、笑っちゃうにゃー。

「お前の仕業か! 何をした?! 玉をどこへやったんだ?!」

「しらにゃーい!」

 アッカンベー! ……って、変身してるから見えないか。ガッカリにゃ。

「ええい! これでも喰らえ!」

 悪魔がブツブツと呪文を唱えると、悪魔の目の前に小さな石コロがいくつか現れた。
 ふーん。アヤちゃんの魔法の方が派手でカッコいいにゃ。
 飛んできた石コロを全部、片手で叩き落とす。

「つまんにゃい。もっとスゴイの無いのかよー」

「何だと?! それならばこれはどうだ!」

 さっきのより長めの呪文を唱えている悪魔。
 アクビが出るにゃ。殺していいなら、お前もう5回は死んでるよー?
 ……んお? 今度はちょっと面白そうなヤツじゃにゃいか!

いばらよ、ヤツをしばれ!」

 無数のツタが伸びてきた! トゲトゲしてて痛そうにゃ。

「魔神の爪!」

 私の両拳りょうこぶしから、爪が伸びる。大ちゃんが〝魔神の剣〟を、私に合った形に作り直してくれた物だ。
 私、剣は得意じゃなかったんだよ。さすが大ちゃん。見抜かれちゃったにゃー!

「ふむふむ。良いね良いね! 今のはなかなか面白かったにゃ」

 足元に、細切れになったツタがバラバラと落ちて、消えていく。魔法って不思議だにゃー。
 ワクワクしてきたよー! 次は何が出るのかにゃ?

「お……おのれ! 近づくな!! あの人間がどうなってもいいのか?!」

 天井を指差す悪魔。
 あらら。もうオシマイかよー! でもまあ、丁度良いタイミングみたいにゃ。

「にゃー? ……どの人間?」

 悪魔が指を指した先の、人質が吊るされていたはずの場所には、誰も居ない。
 次の瞬間、私の両隣に、レッドと、虎の姿になったクロが、グッタリとした人質をそれぞれ一人ずつ背負って現れた。救出成功にゃ。

「にゃー! レッド、解体、終わった?」

「うむ。待たせて済まない。もう大丈夫だ」

 よーし! これで心置きなく暴れられるよ-!

「イエロー、クロ。2人とも分かっていると思うが、念のために言っておこう。あいつは生け捕りにするのだぞ?」

 いっけねー、忘れてた! 危ない危ない!
 あらら、クロは普通にうなずいてる。お前、かしこいにゃあ……

「ぐぬぬぬ!! お前たちは一体何者だ?!」

 にゃー! これはもしかして、アレかにゃ? アレをやっちゃうのかにゃ?!

「リーダー不在の為、代理で失礼!」

 キター!!
 ……丁度グリーンも間に合いそうだし、3人バージョンだにゃ。

「俺たちは、地球を救うために選ばれた!」

 レッドが、右手の拳を握りしめ、胸を叩く。

「科学と!」

 続けて叫ぶレッド。カッコイイにゃあ!

「超常と!」

 いつの間にか現れたグリーンが叫ぶ。
 ……いっけにゃい。次、私だ!

「銀河の戦士! そのにゃも!」

 全員が高々と腕を突き上げ、真上を指差す。

『救星戦隊プラネット・アース!!』

 キマったにゃ! 練習しておいて良かったよー!

「何なんだお前たち! いいか? 俺が死ねば……」

「〝マサライの箱〟が作動して〝破壊の波動〟を発する。でしたっけ?」

 グリーンの声に、ギョッとする悪魔。

「な……? 箱の事をなぜ知っている! というか、お前、いつの間に現れたんだ?!」

 悪魔は突然現れたグリーンに驚いている。

「あなたは、さっきの子より、言葉を上手く話せますね……残念ですが、残っているのはあなただけですよ」

 グリーンはレッドのGOサインが出たと同時に、もう一体の悪魔を倒して一瞬でここまで移動してきたのさー。

「そんな、まさか同胞を殺したのか?! それならば、どうして箱が起動しない!」

「〝マサライの箱〟は、全て無力化させてもらった。起動することは、もう無い」

「そんな……どうやって? いつの間に?!」

 悪魔はこの場所に設置されていた箱が無くなっている事に、いま頃気づいた。遅いにゃ。

「あなた方の計画は失敗です。あきらめなさい」

「グフフ……グフフフハハハハ! 殺したのか! アイツを殺したんだな! 馬鹿めぇ!」

 ……にゃんだ? とうとう、おかしくなったかにゃ?

「まだだ! 我ら悪魔は、死ねば呪いを残す! お前が倒した同胞は、直接死に繋がる恐ろしい呪いを持っていたぞ!」

「その呪い、確かに受け取りました。私は全てを許しましょう」

「何を寝ぼけているのか知らんが、もうすぐお前は死ぬのだ。そして例え今回の作戦が失敗に終わったとしても、第2、第3の同志が、ここにやって来るだろう。〝凶獣〟の復活は、いずれ必ず成されるのだ!」

 〝凶獣〟っていうのが、このダムの底に居るヤツなのかー。

「おやおや。そこまでしてあなたたちは何を目論もくろんでいるのですか?」

「人の苦しみは、やがて魔界の悪魔に、大いなる力をもたらすのだ。こちらの世界に災厄を振り撒けば、やがて唯一の門を守る、忌々しい城塞都市の人間を、根絶やしにする事も出来るだろう」

「そこまでして、この世界の平和を乱したいのですか。哀れな……」

「なんとでも言うが良い。愚かな人間よ。いずれお前たちは、悪魔によって滅ぼされるのだ! グフフフフフハハハハ!!」

 邪悪としか言いようのない下卑た笑い声。こいつを殺しても、また別の悪魔が襲ってくる……

「……仕方がありませんね。レッド、この子を拘束して、連れてきて頂けますでしょうか」

 グリーン? どうするのん?

しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...