プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

ガトー

文字の大きさ
202 / 264
5年生 3学期 3月

それが必要な理由を述べよ

しおりを挟む
 僕と大ちゃんは、ユーリを連れて、無事、地球に帰ってきた。
 ……あっという間に時間は過ぎて、僕たちは学校にいる。
 今はもう、次の日の一時間目。

「必要なのは、移動手段とガジェットだなー」

 算数の授業中だが、僕たち5人はブルーを介して堂々と作戦会議だ。

「ガジェットを用意できなきゃ、ウォルナミスは救えないぜー? 最低、1つか2つ……できれば5つだ」

「やー? なんでガジェットが要るのん? 私たち5人でドッカーン! って、やっつけちゃえばいいんじゃない?」

 ユーリ、雑だぞ? その〝懐かしのアニメ〟的な擬音でやられた方は、たまったもんじゃない。

「それにしても……すごいわユーリさん。ちゃんと会話できてる……!」

 彩歌あやかが嬉しそうに言った。
 あ、そうそう、忘れるところだった。ウォルナミスの欠片かけらの力を〝正式〟に開放した事で、ユーリのガジェットは、ブルーと直接交信できるようになったんだ。

『波長を合わせるだけでいいからね。キミたちが、いつでも通信し合えるのは、とてもいい事だ』

「便利だよね! 今までは、大ちゃんと一緒じゃなきゃ、お話できなかったもんね!」

「やー! ウォルナミスに感謝だよー! 早く助けに行きたい。行こう! 明日行こう!」

 帰ってきてから、ユーリはずっとこの調子だ。

「おいおいユーリ。ちゃんと話聞いてたかー? そのためには、正式に〝宣戦布告〟して、俺たちがウォルナミスを〝侵略〟しなきゃなんだろー?」

 星同士の争いは〝銀河法〟に則って、5対5の代表戦で決着をつけなければならない。
 それ以外の方法でどこかの星を侵略すれば、全ての星々を敵に回すことになる。

「そのためには、移動手段……まあ、宇宙船だな。それとガジェットだ。俺はガジェットの〝時間操作〟に関わる部分を作れない」

「それ〝バベルの図書館〟で調べられないの?」

 この世のありとあらゆる知識が詰まった〝バベルの図書館〟に、ガジェットに関する本があるんじゃないのか?

「それがな? どこを探しても無いんだぜー。きっと〝禁書庫〟に置かれていたのをオヤジが隠したんだと思う」

 大ちゃんの父親……九条博士は〝バベルの図書館〟に、魂だけの状態で常駐しているらしい。大ちゃんの害になる本は、全てどこかに隠してしまっているという。
 ……息子不在の部屋を片付ける母親っぽいな。チェックポイントはベッドの下や押し入れの奥だ。本棚に並んでいる本のカバーまで外すから、気をつけたほうがいいぞ?

『タツヤ、キミは本当にアレだな』

 男の子はみんなそうだよ! 全員アレだよ!

『それは偏見だ。思い込みでの決めつけは良くない』

 ……ごめんなさい、許してください。

「……? どうしたの? 達也さん、ブルー」

「いやいや、何でもないよ彩歌さん。コホン……大ちゃん、続きどうぞ」

「あー、とにかく移動手段……宇宙船とガジェットだ。準備できるまでは、どうしようもないぜー?」

 ……ふむ。宇宙船は分かるけど、なんでガジェットなんだ?
 ユーリはもともと、ガジェットを持ってるし。
 僕、栗っち、大ちゃんも、時を止められる事なく戦場ボードに立てる。あとは彩歌の時券チケット問題と、惑星ウォルナミスまでの移動手段だけなんじゃないのか?

「えへへー! 僕、分かっちゃった!」

「あ、栗っちズルいぞ! 精神感応せいしんかんのうで、大ちゃんの心を読んだな?」

「ううん。ちがうよ? えーっと……ヒントはね、攻撃だけ考えちゃダメって事なんだ」

「ふふ。達也さん、私も分かったわ。なぜガジェットが必要なのか」

 彩歌まで?! ヤバイぞ、ユーリより先に回答しなきゃ、知的キャラである僕の立場が!

『タツヤ、幸運な事に、キミはその立場ではない』

 幸運じゃねーよ! 絶ッ不幸だよ!!

「んー、例えばな? 俺たち5人がさー、何らかの方法でウォルナミスまで行って、戦いに勝つとするだろー?」

「うん、そうだな……とにかく速い宇宙船を手に入れないと!」

 2000年前でさえ、ウォルナミスから地球までの距離2万4千光年を、たった3年で移動できたらしいし、もしかしたら、今の技術で造られた宇宙船は、もっともっと早く移動できるかもしれない。

「いやまあ、もちろんそれも大問題なんだけどな。ガジェットが無いのは、それより厄介な事なんだぜー?」

 ええー? 宇宙船が手に入れば、あとは全員でウォルナミスに行ってドッカーン! てやっちゃえばいいんじゃ……
 ……おっと、いかんいかん。ユーリみたいな言い草になってるぞ。

「あ……そっか、分かったよ! ユーリちゃん天才!」

 げげぇ?! 僕より先にユーリが気付いた! マジか?!
 これは由々しき事態だ。よし、こういう時は分かったフリで通すぞ!
 ……前にも似たような事があった気がするけど。

「フッ。そうだな。それはたしかに問題だ。だが僕たちはあきらめないぞ! なあ、みんな!」

 ……よし、パーフェクトだ。これで誰も気付くまい。ああ、自分の演技力が怖い!

「たっちゃん……もう、答え言っていいかー?」

 むぅ……? バレた?! ……いや、そんなはずはない! 

「な、何を言っているのかね、九条くん?」

「えへへー。たっちゃん、面白いねー!」

「クスクス。達也さん、往生際が悪いわよ」

 ひあっ?! 気付かれてる!

「ぬふふ……それじゃここは、ユーリちゃんから説明させてもらうよ?」

 ぐぬう……なんだこの敗北感は?
 っていうか立ち上がって、ふんぞり返るなよ、授業中だぞ!

「やー! つまり、私たち5人が宇宙に行くとね?」

 人差し指を立てて、説明を始めるユーリ。

「ふむふむ、宇宙に行くと? ……っておいユーリ!」

 不意に、先生が振り返った!

「うぉおお?!」

 ……時には、きっちり着席しているユーリ。
 先生が小首をかしげて、不思議そうな顔をしたあと前を向くと、ユーリは、また立ち上がってふんぞり返る。

「あうあう、怖いよユーリちゃん、座って話そうよ」

 栗っちが涙目だ。
 そうだぞ! やめろよ、そのコント。心臓に悪いだろ?

「やー?」

 ふんぞり返ったまま、不思議そうにしているユーリ。なんで他の生徒はスルーしてるんだ?

「……でね、どんなにスゴイ宇宙船でも、何日とか、何年とか、かかるじゃん?」

 ……続けるのかよ。

「そしたらさー?」

 ふむふむ?

「お腹へっちゃうよー! 宇宙には、ミカンとかあるのかな?」

 ガターン!
 僕と彩歌が、同時に机をひっくり返した。
 振り返る先生。

「こら! 達也、藤島! 何してるんだ、授業中だぞ?!」

「すみません……」

「ごめんなさい……」

 っていうか、なんで僕と彩歌だけ……?
 チラッと見ると、ふんぞり返っていたはずのユーリは、すまし顔で座っている。お前なあ……

「おいおいユーリ。やっぱ分かってなかったんだなー?」

「ユーリちゃん、悪気がないから怖いよね!」

 大ちゃんも栗っちも、ユーリのボケを、それぞれの能力で〝読んで〟いたみたいだ。
 ……おかげで僕と彩歌だけ、怒られたじゃないか。

「ウォッホン!」

 先生が、咳払いをひとつ。そして……

「仲がいいのは結構だが、休み時間か、家でやってくれ」

 ニヤニヤ顔で放った先生の言葉に、教室中から冷やかしの歓声があがる。
 ……なんだよ〝冷やかしの歓声〟って。

「ヒューヒュー! お熱いねぇー、お2人さんー!」

 その筆頭がユーリって、もう意味がわからん。

「チューしちゃえ! チュー!」

 ええい! 口をトガらせるなユーリ! お前、あとで説教だからな?





 >>>





「それじゃ、説明するぜー?」

 結局、そのまま休み時間に突入。大ちゃんが説明をする事になった。

「俺たちが惑星ウォルナミスに行くには、まず移動手段が必要だよな」

 そうそう。それは分かるんだけど……

「ブルーは〝分岐点〟の日時が分かるからな。それまでに、ウォルナミスに移動できるぐらい、高性能の宇宙船を用意しなきゃダメだ」

「え? 移動できるぐらいって、帰りは……?」

「帰り道は、たっちゃんの〝阿吽帰還〟で、一瞬だろー? それに戦っている間は〝時神クロノスの休日〟で、全宇宙の時間が止まる。他にも時間を食うかもしれないけど、基本、惑星ウォルナミスまでの時間だけ考えればいいぜー」

 なるほどね。宇宙船を乗り捨てることになるけど、片道だけの時間でいいのか。
 それじゃ、やっぱり宇宙船さえ用意できれば……

「問題ないように思えるだろー?」

 ……えー? なんか他に問題点ってあるか?

「あ! 私たちがいなくなったら、どこかの星に攻められちゃうよー!」

 お、それだユーリ、なかなかやるな!

「それは大丈夫だろー? たしか、侵略戦争は完全予約制で、ルールを破ったらペナルティが凄いんじゃなかったか?」

「やー、そっか! 不意打ちでは攻めては来れないんだった」

 そうそう。〝銀河法〟に則って侵略しなければ〝銀河法〟に則らない形で、全ての星に侵略されるとか何とか……じゃあ、絶対攻めて来ないな。
 ……あれぇ? それじゃ何だ? ガジェットが必要な理由って……

「地球を留守にする期間にもよるけどなー。2000年まえのウォルナミス人みたいに、3年以上も母星を離れたら、その間に宣戦布告されて、攻められちまう」

「そりゃそうだ。大体、分岐点までの間隔が、年単位で空くことも無いんじゃないかな?」

『そうだねタツヤ。今わかっている分岐点で、最長は4ヶ月だ』

「そっかー。2万4000光年を4ヶ月で移動しなきゃなのか。まあ、ちょっとキビシイけど、それより問題はガジェットだ」

 ちょっとって事もないと思うんだけど。
 うーん……だから、なんでガジェットが要るんだ?

しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...