32 / 264
5年生 冬休み
随行者
しおりを挟む
「たっちゃんと大ちゃんは、もう電車の中かな」
えへへ。栗栖和也だよ。
今僕は、たっちゃんの家の前にいるんだ。
「今日は、るりちゃんと遊ぶんだ。楽しみだよね!」
チャイムのボタンに手を伸ばそうとした、その時……
「いい? お父さんもお母さんも、絶対に2階に上がってこないでね?」
ドアの向こうから、るりちゃんの大きな声が聞こえてきたよ。
「特にお父さん。もし階段に一歩でも足をかけたら……」
「……あ、足をかけたら?」
「アンタの娘には、一生会えないと思った方がいい」
「本人の言うセリフじゃないよね?!」
クスクス。やっぱり、るりちゃんは面白いなあ。
僕はチャイムのボタンを押した。
「ピンポーン」
「バアアァァーン!」
わわっ! ビックリしたよ!
チャイムの音が鳴ると同時に、玄関の扉が大きな音を立てて開く。
立っていたのは、けっこう奥の部屋に居たはずの、るりちゃん本人だ。
……相変わらず、早いなあ!
「か、か、和也さん、いらっしゃいませ! どどどどどどうぞ上がってください!」
「うん。それじゃあ、お邪魔します!」
靴を脱いで、ふと、奥の扉をチラリと見ると、お義父さんとお義母さん……じゃなかった。お父さんとお母さんが、こちらを覗いていた。
「ちょ! お母さん、なに見てるのよ、もー!」
るりちゃんの困ったような声に、お母さんは、はいはい。と言いながらニコニコしている。
「お父さん? 今日の〝はんせい文〟は、げんこう用紙20枚ね?」
るりちゃんの怒ったような声に、お父さんは、ええええ?! と言いながら泣いている。
「ごめんなさい、和也さん……変な家族で」
「ううん。みんな楽しいし、いい人たちだよね!」
るりちゃんの家族は、みんないい人だよ。だって、今まで一度も〝悪い言葉〟を聞いたことがないもん。
僕は、みんなの〝心の声〟が聞こえてしまう。だから悪い事を考えている人は、すぐ分かっちゃうんだ。〝精神感応〟って言うんだって。
「か、和也さん、どうぞ……!」
るりちゃんの部屋は、たっちゃんの部屋の隣。
入るのは久し振りだよ。ちょっとドキドキしちゃうよね。
「お邪魔します」
るりちゃんに続いて、中に入る。
造りは一緒だけど、たっちゃんの部屋と違って、ぬいぐるみとか、小物とか、かわいらしい物でいっぱいだよ。
「わぁ! やっぱり、かわいいねえ!」
るりちゃんは、僕の目を見たまま、固まってしまった。
……と思っていたら、見る見る顔が赤くなっていく。
「ひゃあ?! そそそっ! そんな! かわいいだなんて、私っ!」
るりちゃんは、耳まで真っ赤になっているよ。
『私のこと、かわいいって言ってくれた! 私のこと、かわいいって! きゃあああああっ!』
今のは、るりちゃんの〝心の声〟だよ。
うーん、そういう意味で言ったんじゃないんだけど。でも、ぬいぐるみや小物なんかより、るりちゃんの方が絶対にかわいいから、別にいいよね!
……えへへ。ちょっと照れちゃうけど。
さて、るりちゃんは、今日は何をして遊びたいのかな。
「えっと……るりちゃん、何がしたい?」
「え?! あ、えっと……その……ボソボソ……」
あれ? 最後の方、聞こえなかったよ。
ごめんね。よく分からないけど、そんなに複雑な遊びじゃないなら……
「よーし、それじゃ、それをやろうか!」
るりちゃんとなら、何でも楽しいからね。
「ひゃうッ?! か、和也さん、意外と大胆……」
どういう事かな……?
『わ、私、とうとう和也さんと……! うれしい! うれしいよおおお!』
う~ん……? 考えている事はよく分からないけど、すごく嬉しそうで良かったよね。
「でも、僕、あまり詳しくないから、教えてくれる?」
「ひ、ひぃぃ?! わ、私もそんな……くわしくないのよ?! は、はじめてなのよ?!」
初めてかぁ。どんな遊びなんだろうね。
「それじゃ、二人とも初めてだね! どうすればいいかな?」
「か、か、和也さんが、の、のぞむなら……私、何をされてもいいの……」
るりちゃんは、両手を目に当てて、ベットにゴロンと寝転がる。
……これはどんな遊びなんだろう?
「和也さん……はやく……」
ごめんね、るりちゃん。僕、ちょっと分からないよ。
「えっと、るりちゃ……」
「いいのよ? 好きにしてくれて……」
え? え? 何なのこれ?! るりちゃん、顔も手も、つま先まで真っ赤だよ!
もしかして真っ赤になるほど怒っているの? 僕も〝反省文〟なの?!
……あ、そうだ、心の声を聞いてみよう。
『は、はやくして和也さん! ああ、でも実はまだ心の準備が……ううん、大丈夫。和也さんとなら私……でもちょっと怖い。ああ、和也さん、はやく……』
ああっ、ダメだよ! 何のヒントもない!
「えっと……」
よーく考えてみよう。
るりちゃんは目に手を当てているよね。目を隠しているって事は……
あ! もしかして〝かくれんぼ〟かな?
……うん、間違いないよ! でも、この部屋で隠れられる所って、そんなにないかも。念のため、聞いてみよう。
「るりちゃん、どこでもいいの?」
「どどどどどっ?! どこでもっ?! ひゃあああっ?!」
るりちゃんの赤さが、さらに増してゆく。光まで放ち始めたよ……?
そんなに怒らなくてもいいのに……
「ど、ど、ど、どこでもいいのよ……? か、和也さんが思ったところで……でも、や、やさしくしてね?」
優しく、かぁ。
……そうだよね。さすがに僕が本気で隠れたら、小学3年生のるりちゃんには見つけられないもん。
「うん。安心して! そんなに無茶はしないから……」
「むちゃ……?! か、和也さん……い、いいの! いいのよ! 私はどうなってもいいから!」
えー?
「本当にいいの?」
「ひぅっ?! い、いいから! さ、さあ、早く!」
「それじゃ、いくよ?」
「うん! 和也さん、私をむちゃくちゃにしてっ!」
>>>
「もーーーー! 和也さんのいじわる! なんで押入れに入っちゃうの?!」
……むちゃくちゃに怒られたよ?
何で? 僕、ちゃんと隠れてたのに。
「わ、私、その……すっごく……こ、こわかったんだか……ら……」
るりちゃんの瞳から、ポロポロと涙があふれる。
泣き出しちゃったよ……!
押入れって、ちょっと高度だったのかなあ?
「ご、ごめんなさい! 僕、るりちゃんが分かりやすい所に隠れたつもりだったんだけど……」
「うぇぇぇん! なんでぇぇ? なんでかくれるのぉぉぉ?!」
〝かくれんぼ〟って、〝隠れる〟以外の遊び方があったの?!
『もしかして……私、和也さんに嫌われてるのかな?』
「そ、そんな事ないよ! ぼ、ぼ、僕、ずっと前から、るりちゃんの事が大好きだよ!」
……あ、あれ? 今のって?
「……っ?! か、か、か、和也さん?!」
しまった……! 〝心の声〟に返事しちゃった! どうしよう! 恥ずかしいよ!
「それ、本当?」
「うん。僕、るりちゃんの事が好きだよ!」
「……和也さんが、私のことを……好き……」
「そうだよ。僕、るりちゃんと、ずっと一緒に居たい」
……でも、だからこそ、僕はるりちゃんに、言わなきゃいけない事があるんだ。
「るりちゃん、よく聞いて? 僕、ちょっと〝普通〟じゃないんだ。僕と一緒に居ると、きっと辛い事や苦しい事がいっぱいあると思う」
るりちゃんは、キョトンとして、僕を見つめている。
……僕は〝救世主〟で〝神様候補〟だよ。僕とずっと一緒に居るという事は、るりちゃんが〝神様の奥さんになる〟という事なんだ。それはきっと……
「とっても大変な事なんだ……大好きなるりちゃんを、そんなひどい目に合わせるなんて、僕には出来ないよ」
「私、和也さんと一緒なら……」
……え?
「和也さんと一緒なら、どんなに辛くても大丈夫だから!」
「るりちゃん……?!」
「だから、私を……和也さんのお嫁さんにして下さい!」
「るりちゃん……」
真剣な眼差しで、るりちゃんは僕を見つめている。
僕は……
「……僕も、るりちゃんと一緒に居たい」
この人と、一緒に生きていこう。
「るりちゃんは、僕が守るから! だから、僕のお嫁さんになって下さい!」
ハッとした表情のるりちゃん。
……そして、静かに頷く。
『しかと聞き届けました』
「え?! か、和也さん! これって……?」
「僕にも分からない。けど、もしかして……」
『ようこそ、神の世界へ。〝内海るり〟の神化を認めましょう』
辺りに光が満ち溢れ〝何か〟が、優しい声で語り掛けて来た。
『本当にいいですか? 貴女は〝神々たちの理の螺旋〟に組み込まれます。もう〝人〟には戻れませんよ?』
そう。るりちゃんは、僕と一緒に、神様になるんだ。
「るりちゃん、いいの?」
「はい。和也さんと一緒なら!」
『良いでしょう。それでは儀式を始めます』
手が……僕の右手が光りはじめた。とても暖かい光だよ!
「和也さん……! 私も!」
るりちゃんの左手も、綺麗な光を放っている。
『さあ、手を。貴方たちが繋いだその手は、何者にも断ち切れぬ絆となります』
僕は右手を、るりちゃんは左手を。
繋ぎ合わせた手から放たれる光が、糸のように絡み合って一つになってゆく……!
「るりちゃん!」
「和也さん!」
僕たちは見つめ合う。
ずっとこうしていたい。
『良いですか? この儀式によって、貴方たちには様々な変化……〝奇跡〟が起きるでしょう。ですが、この儀式の事や、変化する以前の事を覚えているのは〝右手〟である和也だけです』
「ええっ?! そんな……! どうして?」
『急激な〝歴史の改変〟に、貴女の幼い身体は耐え切れないのです。大丈夫。時が来れば思い出すでしょう』
「……私、ちょっと怖い」
『分かります。それまでは和也。貴方がしっかり、エスコートしてあげるのですよ?』
「もちろんだよ! るりちゃんは僕が守るんだ!」
「和也さん……!」
光が弱くなっていく……いつの間にか、るりちゃんは眠ってしまっていた。
『おめでとう、和也、るり。貴方たちの未来が素晴らしいものでありますように。もちろん、貴方たちの頑張り次第ですよ?』
うん、頑張るよ! るりちゃんも地球も、僕が守るんだ!
このお話は、『螺旋のきざはし』でお馴染みの、hake先生に頂いたイラストをもとに、書かせて頂きました!
本当に有難うございます!
えへへ。栗栖和也だよ。
今僕は、たっちゃんの家の前にいるんだ。
「今日は、るりちゃんと遊ぶんだ。楽しみだよね!」
チャイムのボタンに手を伸ばそうとした、その時……
「いい? お父さんもお母さんも、絶対に2階に上がってこないでね?」
ドアの向こうから、るりちゃんの大きな声が聞こえてきたよ。
「特にお父さん。もし階段に一歩でも足をかけたら……」
「……あ、足をかけたら?」
「アンタの娘には、一生会えないと思った方がいい」
「本人の言うセリフじゃないよね?!」
クスクス。やっぱり、るりちゃんは面白いなあ。
僕はチャイムのボタンを押した。
「ピンポーン」
「バアアァァーン!」
わわっ! ビックリしたよ!
チャイムの音が鳴ると同時に、玄関の扉が大きな音を立てて開く。
立っていたのは、けっこう奥の部屋に居たはずの、るりちゃん本人だ。
……相変わらず、早いなあ!
「か、か、和也さん、いらっしゃいませ! どどどどどどうぞ上がってください!」
「うん。それじゃあ、お邪魔します!」
靴を脱いで、ふと、奥の扉をチラリと見ると、お義父さんとお義母さん……じゃなかった。お父さんとお母さんが、こちらを覗いていた。
「ちょ! お母さん、なに見てるのよ、もー!」
るりちゃんの困ったような声に、お母さんは、はいはい。と言いながらニコニコしている。
「お父さん? 今日の〝はんせい文〟は、げんこう用紙20枚ね?」
るりちゃんの怒ったような声に、お父さんは、ええええ?! と言いながら泣いている。
「ごめんなさい、和也さん……変な家族で」
「ううん。みんな楽しいし、いい人たちだよね!」
るりちゃんの家族は、みんないい人だよ。だって、今まで一度も〝悪い言葉〟を聞いたことがないもん。
僕は、みんなの〝心の声〟が聞こえてしまう。だから悪い事を考えている人は、すぐ分かっちゃうんだ。〝精神感応〟って言うんだって。
「か、和也さん、どうぞ……!」
るりちゃんの部屋は、たっちゃんの部屋の隣。
入るのは久し振りだよ。ちょっとドキドキしちゃうよね。
「お邪魔します」
るりちゃんに続いて、中に入る。
造りは一緒だけど、たっちゃんの部屋と違って、ぬいぐるみとか、小物とか、かわいらしい物でいっぱいだよ。
「わぁ! やっぱり、かわいいねえ!」
るりちゃんは、僕の目を見たまま、固まってしまった。
……と思っていたら、見る見る顔が赤くなっていく。
「ひゃあ?! そそそっ! そんな! かわいいだなんて、私っ!」
るりちゃんは、耳まで真っ赤になっているよ。
『私のこと、かわいいって言ってくれた! 私のこと、かわいいって! きゃあああああっ!』
今のは、るりちゃんの〝心の声〟だよ。
うーん、そういう意味で言ったんじゃないんだけど。でも、ぬいぐるみや小物なんかより、るりちゃんの方が絶対にかわいいから、別にいいよね!
……えへへ。ちょっと照れちゃうけど。
さて、るりちゃんは、今日は何をして遊びたいのかな。
「えっと……るりちゃん、何がしたい?」
「え?! あ、えっと……その……ボソボソ……」
あれ? 最後の方、聞こえなかったよ。
ごめんね。よく分からないけど、そんなに複雑な遊びじゃないなら……
「よーし、それじゃ、それをやろうか!」
るりちゃんとなら、何でも楽しいからね。
「ひゃうッ?! か、和也さん、意外と大胆……」
どういう事かな……?
『わ、私、とうとう和也さんと……! うれしい! うれしいよおおお!』
う~ん……? 考えている事はよく分からないけど、すごく嬉しそうで良かったよね。
「でも、僕、あまり詳しくないから、教えてくれる?」
「ひ、ひぃぃ?! わ、私もそんな……くわしくないのよ?! は、はじめてなのよ?!」
初めてかぁ。どんな遊びなんだろうね。
「それじゃ、二人とも初めてだね! どうすればいいかな?」
「か、か、和也さんが、の、のぞむなら……私、何をされてもいいの……」
るりちゃんは、両手を目に当てて、ベットにゴロンと寝転がる。
……これはどんな遊びなんだろう?
「和也さん……はやく……」
ごめんね、るりちゃん。僕、ちょっと分からないよ。
「えっと、るりちゃ……」
「いいのよ? 好きにしてくれて……」
え? え? 何なのこれ?! るりちゃん、顔も手も、つま先まで真っ赤だよ!
もしかして真っ赤になるほど怒っているの? 僕も〝反省文〟なの?!
……あ、そうだ、心の声を聞いてみよう。
『は、はやくして和也さん! ああ、でも実はまだ心の準備が……ううん、大丈夫。和也さんとなら私……でもちょっと怖い。ああ、和也さん、はやく……』
ああっ、ダメだよ! 何のヒントもない!
「えっと……」
よーく考えてみよう。
るりちゃんは目に手を当てているよね。目を隠しているって事は……
あ! もしかして〝かくれんぼ〟かな?
……うん、間違いないよ! でも、この部屋で隠れられる所って、そんなにないかも。念のため、聞いてみよう。
「るりちゃん、どこでもいいの?」
「どどどどどっ?! どこでもっ?! ひゃあああっ?!」
るりちゃんの赤さが、さらに増してゆく。光まで放ち始めたよ……?
そんなに怒らなくてもいいのに……
「ど、ど、ど、どこでもいいのよ……? か、和也さんが思ったところで……でも、や、やさしくしてね?」
優しく、かぁ。
……そうだよね。さすがに僕が本気で隠れたら、小学3年生のるりちゃんには見つけられないもん。
「うん。安心して! そんなに無茶はしないから……」
「むちゃ……?! か、和也さん……い、いいの! いいのよ! 私はどうなってもいいから!」
えー?
「本当にいいの?」
「ひぅっ?! い、いいから! さ、さあ、早く!」
「それじゃ、いくよ?」
「うん! 和也さん、私をむちゃくちゃにしてっ!」
>>>
「もーーーー! 和也さんのいじわる! なんで押入れに入っちゃうの?!」
……むちゃくちゃに怒られたよ?
何で? 僕、ちゃんと隠れてたのに。
「わ、私、その……すっごく……こ、こわかったんだか……ら……」
るりちゃんの瞳から、ポロポロと涙があふれる。
泣き出しちゃったよ……!
押入れって、ちょっと高度だったのかなあ?
「ご、ごめんなさい! 僕、るりちゃんが分かりやすい所に隠れたつもりだったんだけど……」
「うぇぇぇん! なんでぇぇ? なんでかくれるのぉぉぉ?!」
〝かくれんぼ〟って、〝隠れる〟以外の遊び方があったの?!
『もしかして……私、和也さんに嫌われてるのかな?』
「そ、そんな事ないよ! ぼ、ぼ、僕、ずっと前から、るりちゃんの事が大好きだよ!」
……あ、あれ? 今のって?
「……っ?! か、か、か、和也さん?!」
しまった……! 〝心の声〟に返事しちゃった! どうしよう! 恥ずかしいよ!
「それ、本当?」
「うん。僕、るりちゃんの事が好きだよ!」
「……和也さんが、私のことを……好き……」
「そうだよ。僕、るりちゃんと、ずっと一緒に居たい」
……でも、だからこそ、僕はるりちゃんに、言わなきゃいけない事があるんだ。
「るりちゃん、よく聞いて? 僕、ちょっと〝普通〟じゃないんだ。僕と一緒に居ると、きっと辛い事や苦しい事がいっぱいあると思う」
るりちゃんは、キョトンとして、僕を見つめている。
……僕は〝救世主〟で〝神様候補〟だよ。僕とずっと一緒に居るという事は、るりちゃんが〝神様の奥さんになる〟という事なんだ。それはきっと……
「とっても大変な事なんだ……大好きなるりちゃんを、そんなひどい目に合わせるなんて、僕には出来ないよ」
「私、和也さんと一緒なら……」
……え?
「和也さんと一緒なら、どんなに辛くても大丈夫だから!」
「るりちゃん……?!」
「だから、私を……和也さんのお嫁さんにして下さい!」
「るりちゃん……」
真剣な眼差しで、るりちゃんは僕を見つめている。
僕は……
「……僕も、るりちゃんと一緒に居たい」
この人と、一緒に生きていこう。
「るりちゃんは、僕が守るから! だから、僕のお嫁さんになって下さい!」
ハッとした表情のるりちゃん。
……そして、静かに頷く。
『しかと聞き届けました』
「え?! か、和也さん! これって……?」
「僕にも分からない。けど、もしかして……」
『ようこそ、神の世界へ。〝内海るり〟の神化を認めましょう』
辺りに光が満ち溢れ〝何か〟が、優しい声で語り掛けて来た。
『本当にいいですか? 貴女は〝神々たちの理の螺旋〟に組み込まれます。もう〝人〟には戻れませんよ?』
そう。るりちゃんは、僕と一緒に、神様になるんだ。
「るりちゃん、いいの?」
「はい。和也さんと一緒なら!」
『良いでしょう。それでは儀式を始めます』
手が……僕の右手が光りはじめた。とても暖かい光だよ!
「和也さん……! 私も!」
るりちゃんの左手も、綺麗な光を放っている。
『さあ、手を。貴方たちが繋いだその手は、何者にも断ち切れぬ絆となります』
僕は右手を、るりちゃんは左手を。
繋ぎ合わせた手から放たれる光が、糸のように絡み合って一つになってゆく……!
「るりちゃん!」
「和也さん!」
僕たちは見つめ合う。
ずっとこうしていたい。
『良いですか? この儀式によって、貴方たちには様々な変化……〝奇跡〟が起きるでしょう。ですが、この儀式の事や、変化する以前の事を覚えているのは〝右手〟である和也だけです』
「ええっ?! そんな……! どうして?」
『急激な〝歴史の改変〟に、貴女の幼い身体は耐え切れないのです。大丈夫。時が来れば思い出すでしょう』
「……私、ちょっと怖い」
『分かります。それまでは和也。貴方がしっかり、エスコートしてあげるのですよ?』
「もちろんだよ! るりちゃんは僕が守るんだ!」
「和也さん……!」
光が弱くなっていく……いつの間にか、るりちゃんは眠ってしまっていた。
『おめでとう、和也、るり。貴方たちの未来が素晴らしいものでありますように。もちろん、貴方たちの頑張り次第ですよ?』
うん、頑張るよ! るりちゃんも地球も、僕が守るんだ!
このお話は、『螺旋のきざはし』でお馴染みの、hake先生に頂いたイラストをもとに、書かせて頂きました!
本当に有難うございます!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

