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1章 柚木と柚果
5億円の薬
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ふぅ…と息を吐き出し母さんが湯飲みを置いた。夕食を食べ終えた俺達は若干落ち着いた柚木から詳しい話を聞きなおしていた。
「なるほどねぇ~ それでダンジョンなのね」
母さんの言葉に柚果が大きくうなずく。
「一攫千金を狙うか、むしろその現物を手に入れるか…地道に稼ぐしかないんです」
柚木は病気の母親を直すためにダンジョン産の薬が欲しいらしい。その値段が現在5億円。現物を手に入れるのと地道に稼ぐのは一体どっちが早いんだろうかね…
「まあざっくりまとめるとこの万能薬が欲しいってことなのね?」
…は? 母さん…? 今机に置いたそれ何…
「万能薬っ これっ 本物ですか!?」
「嬢ちゃんこりゃ~本物でっせ…」
「うそっ こんな近くにあっただなんて! …おばさまっ 私何でもしますのでどうか…どうかそれを譲ってください!!」
ちょっ 今ごんって音がしたぞ!柚果勢いよく頭下げすぎだろう…?
「ゆずちゃん…私のことはお姉さまと呼びなさい?」
「はいっ お姉さま!」
「本当に何でもするの?」
「もちろんですお姉さま!」
「じゃあゆーちゃんと結婚してって言っても?」
「もちろん結婚で済むのなら…ん? 結婚?」
うをおおおいっ たとえ話でも何言ってくれちゃってんだよ母さん!! へんなフラグが立ったら困るんだがっ
「結婚って…」
「そう結婚」
「~~~~~~っ そ、それで済むのならもちろんかまいませんっ」
はああああああああっ?
「ちょっと2人とも俺を置き去りにして話し進めんなよ!!」
「「ゆーちゃん(君)は黙っててっ」」
「…はい」
くそっ これだから女同士の会話に入るのはいやなんだよ! 変なところで意気投合しやがってほんと厄介だ。
「…だめね。あげられないわ」
「!! どうしてですか? 私本当になんでも…っ」
「じゃあ今すぐ、私の目の前で、ゆーちゃんと子作りしろって言われても?」
「うええええええええええっ??」
ぶふぉっっ 母さ~~ん? もうほんと何がしたいのっ 俺をいじめてんのか? からかってるのか?? っていうか柚果も顔を赤らめながらこっちをちらちら見んなっ
「そっ…それはっ ちょっと…流石に……無理…です」
「ふぅ…ちょっとは懲りてくれたかしら? ゆずちゃん、なんでもって言葉は本当に何を要求されるのかわからないのよ? そんな気軽に使うものじゃないの」
「う…はい」
「さて冗談はここまでにしましょうか」
「やっぱ冗談なのかよっ!!」
本当心臓に悪いわ…
「……きゅっ」
おい、今このぬいぐるみ何か言いかけたよな? 慌てて口押さえたんだよな? 余分なことしゃべんなよ…もう俺は疲れた。
「で、この万能薬なんだけど…ゆずちゃん…」
「は、はいっ」
背筋を伸ばした柚果が母さんに真剣に向き合っている。そんな柚果に母さんがゆくりと口を開いた。
「なるほどねぇ~ それでダンジョンなのね」
母さんの言葉に柚果が大きくうなずく。
「一攫千金を狙うか、むしろその現物を手に入れるか…地道に稼ぐしかないんです」
柚木は病気の母親を直すためにダンジョン産の薬が欲しいらしい。その値段が現在5億円。現物を手に入れるのと地道に稼ぐのは一体どっちが早いんだろうかね…
「まあざっくりまとめるとこの万能薬が欲しいってことなのね?」
…は? 母さん…? 今机に置いたそれ何…
「万能薬っ これっ 本物ですか!?」
「嬢ちゃんこりゃ~本物でっせ…」
「うそっ こんな近くにあっただなんて! …おばさまっ 私何でもしますのでどうか…どうかそれを譲ってください!!」
ちょっ 今ごんって音がしたぞ!柚果勢いよく頭下げすぎだろう…?
「ゆずちゃん…私のことはお姉さまと呼びなさい?」
「はいっ お姉さま!」
「本当に何でもするの?」
「もちろんですお姉さま!」
「じゃあゆーちゃんと結婚してって言っても?」
「もちろん結婚で済むのなら…ん? 結婚?」
うをおおおいっ たとえ話でも何言ってくれちゃってんだよ母さん!! へんなフラグが立ったら困るんだがっ
「結婚って…」
「そう結婚」
「~~~~~~っ そ、それで済むのならもちろんかまいませんっ」
はああああああああっ?
「ちょっと2人とも俺を置き去りにして話し進めんなよ!!」
「「ゆーちゃん(君)は黙っててっ」」
「…はい」
くそっ これだから女同士の会話に入るのはいやなんだよ! 変なところで意気投合しやがってほんと厄介だ。
「…だめね。あげられないわ」
「!! どうしてですか? 私本当になんでも…っ」
「じゃあ今すぐ、私の目の前で、ゆーちゃんと子作りしろって言われても?」
「うええええええええええっ??」
ぶふぉっっ 母さ~~ん? もうほんと何がしたいのっ 俺をいじめてんのか? からかってるのか?? っていうか柚果も顔を赤らめながらこっちをちらちら見んなっ
「そっ…それはっ ちょっと…流石に……無理…です」
「ふぅ…ちょっとは懲りてくれたかしら? ゆずちゃん、なんでもって言葉は本当に何を要求されるのかわからないのよ? そんな気軽に使うものじゃないの」
「う…はい」
「さて冗談はここまでにしましょうか」
「やっぱ冗談なのかよっ!!」
本当心臓に悪いわ…
「……きゅっ」
おい、今このぬいぐるみ何か言いかけたよな? 慌てて口押さえたんだよな? 余分なことしゃべんなよ…もう俺は疲れた。
「で、この万能薬なんだけど…ゆずちゃん…」
「は、はいっ」
背筋を伸ばした柚果が母さんに真剣に向き合っている。そんな柚果に母さんがゆくりと口を開いた。
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