D.D.D

れのひと

文字の大きさ
14 / 20
1章 柚木と柚果

折れないフラグ

しおりを挟む
 話が終わった俺と柚果は今家の外にいる。すぐ隣だけど母さんが送っていけとうるさかったからなんだが…現在微妙な沈黙が流れ続けているところだ。冗談だったとはいえほんと母さんは後のこと考えずに余計なこと言うからいけないんだよな…

「あのゆー君…」
「ん?」

 柚果が真剣な顔して俺を見ている。

「これから迷惑かけちゃうと思うけどよろしくお願いしますっ」
「あー…うん」

 深々と頭をさげる柚果。今日はこいつはもう何度頭をさげているんだろうな…

「それじゃあ…」

 その言葉を最後に柚果は自宅へと入っていった。これから…ね。まさか母さんがあんな条件を出すとは思わなかったよ…その条件って言うのが『本気を見せろ』だもんな。ダンジョンでお金を稼ごうとしていた柚果はそれを続けろと言われたんだ。本当にお金を用意して助けたいというのなら、どんな苦手な相手だろうと倒せないなんて話にもならないから…という話だ。まあわからなくもない。大事な人の命がかかっているのに苦手だから無理だなんて甘えすぎだよな。そして『ゆーちゃんも利用していいから』とつけたされたわけなんだよね。つまりこれからは柚果を連れてダンジョンに行くことになるわけだ。

「フラグ折るのって難しいな…」
「テンプレ幼馴染の何がだめなの~?」
「お前は黙ってろっ」
「…きゅっ」

 だめとかいいとかじゃないんだよ…俺のやりたいことにかかわる人を減らしたいだけなんだ。ダンジョンにかかわる奴なんてろくなもんじゃないんだからさ。

「あーもうなんか今日は疲れたな~」
「……」
「ってそこは普通しゃべるところだろうが!」
「きゅ…理不尽」

 ああーもう風呂入って寝よう。うん、それがいい!

「ゆーちゃんちょっといい?」

 家の中へと戻ったらすぐ母さんが話しかけてきた。どうやらお風呂はおあずけのようだな。

「何?」
「この万能薬なんだけどね…」

 母さんが机に置いた万能薬に視線を向ける。ダンジョン内で起こりうるすべての状態異常を直し、さらに病気まで直すことが出来るすごい薬だ。

「パパが命懸けで手に入れたものなのよ」
「……」

 父さんが命懸けで手に入れたもの…そうなのか……

「あげてもよかったんだけどね、でも…この薬で治すことが出来るのって本当に一部の人なのよ? わかる??」
「一部…」
「うん、効果もすごいからだけどそもそも入手個数が少なくて希少価値の高いものなの。お金がある人は手に入れられるでしょうね…そうじゃない人は今回のように指をくわえて見ているしかないのよ。すべての人の病気は直せない…」

 きゅっと母さんが万能薬の瓶を握りしめた。

「少しでも手に入れるのが大変なんだってわかって欲しいのよ。パパは知り合いを優先することを許してくれるかしら」

 ゆっくりと顔を上へと向けた母さんの目の端に光るものが見えた気がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

部屋で寝てたら知らない内に転生ここどこだよぉぉぉ

ケンティ
ファンタジー
うぁー よく寝た さー会社行くかー あ? ここどこだよーぉぉ

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...