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じっとしているだけなのにじわりじわりと肌が汗ばむ。日差しが強くなって来て少し動くだけで汗が流れるくらいだ。こんな日は日陰でたまに吹く風を楽しみたいところだけど今はそうはいかない。目の前にはじっとこちらを警戒している獣がいて今その獣と睨み合っているのだ。
6歳になり、森に行かなければ町の周辺だけなら一人で出歩いてもいいと許可が下り、俺は今まさに町の外でこの状況に至った。相手は少し体が大きくて角が生えたウサギ。角は薬の材料にもなるし、毛皮はとても触り心地がいいので割と人気がある。そして肉も食べられる。ものすごくおいしいというわけではないが、一般的によく出回っている肉なのだ。
「…っ エアカッター!」
相手が動き出す前に魔法を使用。これは風の初級魔法だ。以前俺が5歳になったときに貰った魔法書がきっかけでイメージさえすれば色んな魔法に応用が聞くことに気がついた。後で知ったのだがあれは誕生の祝いの品でもあったらしい。正確な誕生日はわからないけど冬生まれなことだけはわかっていたのでくれたみたい。で、俺がイメージだけで覚えられる魔法は中級まで。上級の仕組みは魔法書を見たことが無いので全くわからない。だけどそのおかげかそれ以外な色々試していたら出来るようになったんだ。だから初級魔法もあっという間に使えるようになった。
「あっ」
ちょっと考え事をしていたせいか魔法の軌道が若干ずれ、首を落とすつもりが落ちたのは角だけだった。角を刈り取られ一度のけぞったウサギはその痛みに怒りますます走る速度を上げ俺へと向かってくる。
「クロッ」
『ほいよ!』
クロに声をかけると俺の肩から飛び立ちウサギとの間に飛び込んだ。それに驚いたウサギが足を止める。
「今度こそ!」
再び魔法を発動し今度は見事首が転がり落ちる。遅れてウサギの体もぱたりとその場に倒れる。
『威力はあるのにな~ 精度がなぁ~』
「わかってるよ…」
クロにだめだしされ頬を膨らませながらも俺はウサギを収納へとしまう。血抜きとかするべきなんだろうけど流石に俺は解体は出来ないので、丸っとギルドに投げている。
「鈍器なら得意なんだけどな~」
『今は魔法の練習なんだろう?』
「それもわかってる。折角使えるようになったんだし、もっとちゃんと使えるようになりたいし」
『じゃあふんばれ』
武器を振り回す動きをしていた俺は頬を膨らませつつも次の獲物を探すのだった。鈍器が得意なのは森に住んでた頃、その辺にある枝などで殴り倒していたから。今はちゃんと剣の稽古もつけてもらっている。やはり鈍器だと確実とは言えないからね。流石に頭を粉砕したら生きていないと思うけど…そこまでの力は俺にはない。
ウサギを依頼の規定数の5匹狩ると俺はギルドへと向かった。
「おかえりなさいシオンくん」
「うん、ただいま~」
カウンターで討伐の証拠としてウサギを見せ、その足で解体場へ。そこで解体を頼み肉だけ回収で他は買い取りをしてもらうことに。受け取りは明日の朝になるので預り札を貰い家へと帰った。
「帰って来たな」
「おつかれ~シオン」
「怪我はなさそうだね」
どうやら今日は3人とも仕事はお休みのようだ。まあ昨夜何も言ってなかったのでそんな気はしていたがちょっとだらけすぎなんじゃないか? 共有スペースが妙に散らかっている…何かの残骸とか…書類っぽい物とか…食べかすとか…使った食器もそのままだな。
「せめて食器ぐらい台所に片付けてよ」
文句を言いながら食器を重ねていると落ちていた書類が目に留まった。
「…にゅうがくしけんについて?」
「あ、それっ そうそうシオンに渡そうと思ってたやつだ」
「入学試験か…ってこれ5日後じゃないか!?」
「そうだったか? まあここから3日で王都には着くし大丈夫だろう」
全然大丈夫じゃない!! 試験が5日後で受け付けは4日後までって書いてある。はっきり言ってかなりぎりぎりだ。
「え、ちょっと見せてくれ…うわ~これぎりぎりじゃないか。クラックがシオンに渡すっていうから僕見てなかったんだよね…」
横からロザリも覗き込み声をあげた。
「ええー…すぐに支度して出発しないと間に合わないんじゃない?」
「依頼受けてなかったし丁度いいな」
「「「よくない!」」」
あわただしくみんな動き出した。3日間の旅の準備だからね。俺も慌てて冒険者ギルドへと戻り肉も受け取ることが出来なくなったので買い取りに変えてもらって、お金はギルドで保管してもらうことに。それにしても学園が夏から始まるだなんて知らなかったんだけど。こういった大事なことはちゃんと教えて欲しいものだよね。
『あいつらバカだな~』
「そう言うこと言わないの」
『お前だって思ってんだろう?』
俺は何も言えず視線を逸らす。
「そんなことはどうでもいいよそれよりも準備を進めないと」
『けっ』
俺は町を走り回って食材を買い集めた。どうせなら干し肉だけじゃない方がいいからね。あの3人は放置しておくと多分ろくな食べ物を用意しないし。あーそうだ帰ったらパンケーキもたくさん焼いておこうか。
6歳になり、森に行かなければ町の周辺だけなら一人で出歩いてもいいと許可が下り、俺は今まさに町の外でこの状況に至った。相手は少し体が大きくて角が生えたウサギ。角は薬の材料にもなるし、毛皮はとても触り心地がいいので割と人気がある。そして肉も食べられる。ものすごくおいしいというわけではないが、一般的によく出回っている肉なのだ。
「…っ エアカッター!」
相手が動き出す前に魔法を使用。これは風の初級魔法だ。以前俺が5歳になったときに貰った魔法書がきっかけでイメージさえすれば色んな魔法に応用が聞くことに気がついた。後で知ったのだがあれは誕生の祝いの品でもあったらしい。正確な誕生日はわからないけど冬生まれなことだけはわかっていたのでくれたみたい。で、俺がイメージだけで覚えられる魔法は中級まで。上級の仕組みは魔法書を見たことが無いので全くわからない。だけどそのおかげかそれ以外な色々試していたら出来るようになったんだ。だから初級魔法もあっという間に使えるようになった。
「あっ」
ちょっと考え事をしていたせいか魔法の軌道が若干ずれ、首を落とすつもりが落ちたのは角だけだった。角を刈り取られ一度のけぞったウサギはその痛みに怒りますます走る速度を上げ俺へと向かってくる。
「クロッ」
『ほいよ!』
クロに声をかけると俺の肩から飛び立ちウサギとの間に飛び込んだ。それに驚いたウサギが足を止める。
「今度こそ!」
再び魔法を発動し今度は見事首が転がり落ちる。遅れてウサギの体もぱたりとその場に倒れる。
『威力はあるのにな~ 精度がなぁ~』
「わかってるよ…」
クロにだめだしされ頬を膨らませながらも俺はウサギを収納へとしまう。血抜きとかするべきなんだろうけど流石に俺は解体は出来ないので、丸っとギルドに投げている。
「鈍器なら得意なんだけどな~」
『今は魔法の練習なんだろう?』
「それもわかってる。折角使えるようになったんだし、もっとちゃんと使えるようになりたいし」
『じゃあふんばれ』
武器を振り回す動きをしていた俺は頬を膨らませつつも次の獲物を探すのだった。鈍器が得意なのは森に住んでた頃、その辺にある枝などで殴り倒していたから。今はちゃんと剣の稽古もつけてもらっている。やはり鈍器だと確実とは言えないからね。流石に頭を粉砕したら生きていないと思うけど…そこまでの力は俺にはない。
ウサギを依頼の規定数の5匹狩ると俺はギルドへと向かった。
「おかえりなさいシオンくん」
「うん、ただいま~」
カウンターで討伐の証拠としてウサギを見せ、その足で解体場へ。そこで解体を頼み肉だけ回収で他は買い取りをしてもらうことに。受け取りは明日の朝になるので預り札を貰い家へと帰った。
「帰って来たな」
「おつかれ~シオン」
「怪我はなさそうだね」
どうやら今日は3人とも仕事はお休みのようだ。まあ昨夜何も言ってなかったのでそんな気はしていたがちょっとだらけすぎなんじゃないか? 共有スペースが妙に散らかっている…何かの残骸とか…書類っぽい物とか…食べかすとか…使った食器もそのままだな。
「せめて食器ぐらい台所に片付けてよ」
文句を言いながら食器を重ねていると落ちていた書類が目に留まった。
「…にゅうがくしけんについて?」
「あ、それっ そうそうシオンに渡そうと思ってたやつだ」
「入学試験か…ってこれ5日後じゃないか!?」
「そうだったか? まあここから3日で王都には着くし大丈夫だろう」
全然大丈夫じゃない!! 試験が5日後で受け付けは4日後までって書いてある。はっきり言ってかなりぎりぎりだ。
「え、ちょっと見せてくれ…うわ~これぎりぎりじゃないか。クラックがシオンに渡すっていうから僕見てなかったんだよね…」
横からロザリも覗き込み声をあげた。
「ええー…すぐに支度して出発しないと間に合わないんじゃない?」
「依頼受けてなかったし丁度いいな」
「「「よくない!」」」
あわただしくみんな動き出した。3日間の旅の準備だからね。俺も慌てて冒険者ギルドへと戻り肉も受け取ることが出来なくなったので買い取りに変えてもらって、お金はギルドで保管してもらうことに。それにしても学園が夏から始まるだなんて知らなかったんだけど。こういった大事なことはちゃんと教えて欲しいものだよね。
『あいつらバカだな~』
「そう言うこと言わないの」
『お前だって思ってんだろう?』
俺は何も言えず視線を逸らす。
「そんなことはどうでもいいよそれよりも準備を進めないと」
『けっ』
俺は町を走り回って食材を買い集めた。どうせなら干し肉だけじゃない方がいいからね。あの3人は放置しておくと多分ろくな食べ物を用意しないし。あーそうだ帰ったらパンケーキもたくさん焼いておこうか。
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