20 / 29
20
しおりを挟む
人々が行きかいすれ違う馬車の数も多い街並みは、フロージスよりも大きく、王都と言われるのもわかるくらいには賑わっていて大きな場所。俺たちは街の北側から入り中央にある城を迂回して南側へと進んでいる。この王城の北東側が貴族街、北西側は学園街、南側は色々混ざってはいるが中央の通りには商人ギルドと冒険者ギルドがある。
「賑やかだね」
「国一番の街だからな」
視線をさまよわせながら街の中を歩き目的地へと向かう。俺たちは何事もなく王都へとつき、現在はしばらく厄介になるための宿を探しているところ。ここは3人もあまり詳しくはないらしく、別行動はせず一緒に行動をしていた。
「先ほど聞いた話だとこの先に冒険者ギルドがあるので、その周辺に宿が多いみたいですよ」
なるほど…宿を利用するのは外からやってきた人が多い。となると冒険者ギルドの周りに多いのは確かに理にかなっている。だとすると商人ギルドの周りにも宿屋は多そうだ。もしかするとこっちの宿は少しお高い可能性もありそうだけども。
「あ、ほらっ 宿の看板が増えてきたよ」
「よし、この際片っ端から当たってみるか」
俺たちは早速近くの宿から当たってみることにした。
数軒回って獣魔可な宿を見つけると次は冒険者ギルドへ。急いで王都に向かった俺たちは依頼を受けることもなく出発したので、道中脇道にそれ魔物を狩りながら向かってきた。この狩りで手に入れた魔物の素材を売るのだ。まあ大半が俺の魔法の練習に使ったので状態はあまりよくない。取れた肉も旅の間に半分以上食べてしまっている。大した金額にはならないだろうけど数日分の宿代くらいにはなるはずなので、忘れずに売っておきたい。
ギルドで魔物を売った後は学園に手続きに向かう。買い取りをお願いしたときに俺が収納から取り出したことに若干驚かれたが、メンバーの構成を見てどうやら俺が荷物持ちだと思われたようだった。そんなことを考えながら街の西の方へと向かうと大きな門が見えてくる。街の南側と違って北東と北西は大きな塀で囲まれていてその北西側の門は2ヶ所、俺たちが向かっているのは一番近い方の門なんだ。北の貴族街に面したほうの門は貴族しか入ることができないからなんだけどね。
「あそこじゃないか?」
門の外に置かれた長机の所に3人ほど座っていた。入学試験の申込の締め切りも近いこともあり受付をしている人は誰もいなく、退屈そうに座っている子供が3人。どうやら学園の生徒が受付を行っているらしい。
「すみません入学試験の受付はここでいいですか?」
トールが受付にいる子供に声をかけた。声をかけられた子供はじっとトールを眺めた後、眉をひそめた。
「15歳を過ぎていたら試験も受けられませんよ?」
「ああ~違う違う受けるのはこの子ね」
近くにいたロザリが俺を前へと押し出す。その姿が見えたのか子供たちは顔を見合わせた後一人が話し出す。
「受付はここになります。平民用の受付になりますが問題ないみたいですね」
「まあそうだな」
「ではこちらの書類に本人が記入をお願いします」
机の上に紙とペンが置かれた。ちらりと3人の方を見ると頷いているので俺はペンを手に取る。するとそのペンへと自分から魔力が流れ込む感覚がして驚いて手を離す。
「くくっ それは魔道具だよ。君の魔力の測定も同時にやっているんだ。中々便利だろう? そのペンで書類を書くことによって本人が書いた証明になるんだ」
よく見ると3人は手に手袋のようなものをはめていた。話からするとペンに魔力を流さないようにするためのものってことなんだろうか? 落としたペンを拾い魔力を吸われる感覚に眉をひそめながら俺は書類と向き合った。
「えーと?」
記入すべき内容は名前、年齢、得意な魔法、得意な武器、得意な学科くらい。だけど学科と言われても俺にはピンとこない。元の世界ならわかるけどこの世界だと学科として何が成り立っているのか知らない。まあそれも含めて勉強をするために学園へいくのだけども。そういえば普段この国のこととか3人から聞いていた程度しか知識がない…こんなんで試験受かるのだろうか。得意な学科はわからないので無しとしておいた。
「これでいいですか?」
「全部書かれてるからいいよ。でも得意の学科がないだなんて…そんなんじゃ試験受からないんじゃ?」
そんな不安になること言われても困る。学園の生徒は書類にペンをはさみ箱に置いた。するとすぐにその紙とペンがその場から消える。これも魔道具ってやつなんだろうか? 俺が不思議に思って覗き込んでいると別の紙を取り出し渡してきた。
「こちらに日程が書かれています。よく読んで準備をして当日こちらに来てください」
「わかりました」
受け取った紙を手に持ったまま俺たちは受付を後にしると宿へと戻るのだった。もちろん受付を離れた後、紙はなくさないようにすぐ収納へとしまってから。今日はこの後のんびりして明日試験の準備を整え当日に備えようか。この試験に受かったら俺は一緒に過ごしてきた3人とお別れになる…親は結局みつからないまま…
「賑やかだね」
「国一番の街だからな」
視線をさまよわせながら街の中を歩き目的地へと向かう。俺たちは何事もなく王都へとつき、現在はしばらく厄介になるための宿を探しているところ。ここは3人もあまり詳しくはないらしく、別行動はせず一緒に行動をしていた。
「先ほど聞いた話だとこの先に冒険者ギルドがあるので、その周辺に宿が多いみたいですよ」
なるほど…宿を利用するのは外からやってきた人が多い。となると冒険者ギルドの周りに多いのは確かに理にかなっている。だとすると商人ギルドの周りにも宿屋は多そうだ。もしかするとこっちの宿は少しお高い可能性もありそうだけども。
「あ、ほらっ 宿の看板が増えてきたよ」
「よし、この際片っ端から当たってみるか」
俺たちは早速近くの宿から当たってみることにした。
数軒回って獣魔可な宿を見つけると次は冒険者ギルドへ。急いで王都に向かった俺たちは依頼を受けることもなく出発したので、道中脇道にそれ魔物を狩りながら向かってきた。この狩りで手に入れた魔物の素材を売るのだ。まあ大半が俺の魔法の練習に使ったので状態はあまりよくない。取れた肉も旅の間に半分以上食べてしまっている。大した金額にはならないだろうけど数日分の宿代くらいにはなるはずなので、忘れずに売っておきたい。
ギルドで魔物を売った後は学園に手続きに向かう。買い取りをお願いしたときに俺が収納から取り出したことに若干驚かれたが、メンバーの構成を見てどうやら俺が荷物持ちだと思われたようだった。そんなことを考えながら街の西の方へと向かうと大きな門が見えてくる。街の南側と違って北東と北西は大きな塀で囲まれていてその北西側の門は2ヶ所、俺たちが向かっているのは一番近い方の門なんだ。北の貴族街に面したほうの門は貴族しか入ることができないからなんだけどね。
「あそこじゃないか?」
門の外に置かれた長机の所に3人ほど座っていた。入学試験の申込の締め切りも近いこともあり受付をしている人は誰もいなく、退屈そうに座っている子供が3人。どうやら学園の生徒が受付を行っているらしい。
「すみません入学試験の受付はここでいいですか?」
トールが受付にいる子供に声をかけた。声をかけられた子供はじっとトールを眺めた後、眉をひそめた。
「15歳を過ぎていたら試験も受けられませんよ?」
「ああ~違う違う受けるのはこの子ね」
近くにいたロザリが俺を前へと押し出す。その姿が見えたのか子供たちは顔を見合わせた後一人が話し出す。
「受付はここになります。平民用の受付になりますが問題ないみたいですね」
「まあそうだな」
「ではこちらの書類に本人が記入をお願いします」
机の上に紙とペンが置かれた。ちらりと3人の方を見ると頷いているので俺はペンを手に取る。するとそのペンへと自分から魔力が流れ込む感覚がして驚いて手を離す。
「くくっ それは魔道具だよ。君の魔力の測定も同時にやっているんだ。中々便利だろう? そのペンで書類を書くことによって本人が書いた証明になるんだ」
よく見ると3人は手に手袋のようなものをはめていた。話からするとペンに魔力を流さないようにするためのものってことなんだろうか? 落としたペンを拾い魔力を吸われる感覚に眉をひそめながら俺は書類と向き合った。
「えーと?」
記入すべき内容は名前、年齢、得意な魔法、得意な武器、得意な学科くらい。だけど学科と言われても俺にはピンとこない。元の世界ならわかるけどこの世界だと学科として何が成り立っているのか知らない。まあそれも含めて勉強をするために学園へいくのだけども。そういえば普段この国のこととか3人から聞いていた程度しか知識がない…こんなんで試験受かるのだろうか。得意な学科はわからないので無しとしておいた。
「これでいいですか?」
「全部書かれてるからいいよ。でも得意の学科がないだなんて…そんなんじゃ試験受からないんじゃ?」
そんな不安になること言われても困る。学園の生徒は書類にペンをはさみ箱に置いた。するとすぐにその紙とペンがその場から消える。これも魔道具ってやつなんだろうか? 俺が不思議に思って覗き込んでいると別の紙を取り出し渡してきた。
「こちらに日程が書かれています。よく読んで準備をして当日こちらに来てください」
「わかりました」
受け取った紙を手に持ったまま俺たちは受付を後にしると宿へと戻るのだった。もちろん受付を離れた後、紙はなくさないようにすぐ収納へとしまってから。今日はこの後のんびりして明日試験の準備を整え当日に備えようか。この試験に受かったら俺は一緒に過ごしてきた3人とお別れになる…親は結局みつからないまま…
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる