魔王様は退屈過ぎて勇者へと転職する

れのひと

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第8話 レベルを上げよう

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「マノン様、夜までまだいくらか時間がありますが何か依頼でも受けますか?」
「そうじゃのう…とりあえずレベルが上げられるのならなんでもよいのじゃが」

そういえばそうでした。お金も必要ですがレベルも上げなければいけません。となりますと…動物や魔獣、または魔物などといった駆除対象を処理しつつレベルを上げるのがいいでしょう。

「では少し北の門を抜けて狩りでもしましょうか」
「ふむ、狩りか。よいぞ」
「職業を慣らす意味もありますので、無理のない範囲で行きましょうか」
「おーそうだったな。ふっふっふ…勇者の力を見せる時が来たのじゃなっ」

LV1の勇者の力ですか…今までの彼女の行動を見る限り流石に強くはなさそうです。まだ私の魔王LV1のが上のように見えます。

「ところでマノン様は何か武器はお持ちですか?」
「…ぬ? 武器か…そういえば勇者と言えばやはり聖剣なのだろうか??」

何を言っているのかちょっとわかりません。どんな勇者であってもいきなり聖剣を持つことはないと思われます。

「なあアルクウェイよ、聖剣はどこで手に入るのじゃ?」
「…わかりました。とりあえず行きましょうか」
「ついていけば聖剣が手に入るのか?」

まだ彼女は聖剣の話をしています。それでもおとなしく後ろをついてきてはいるのでよしとしましょう。たまに通りがかる人たちに少しだけかわいそうな人を見る目を向けられていますが、当の本人が気が付いていないので問題もありません。

「おおー中々広いのう…というか魔物がいないのじゃ」

北門から外へ出ると平原でした。彼女の言う通り確かに魔物はみあたりません。たまに視界に入るのは害もなさそうな小動物くらい。流石に害もなく食べるつもりもない小動物を狩る気にはなれません。

「んー…では少し歩きましょうか。あっちのほうに木々が見えるので林か何かがあるのでしょう。そこになら魔獣くらいならいるかもしれません」
「おーーーっ」

少し北東のほうに見える木々を目指し私達は歩き出した。木の幹の部分がある程度見えているので距離はさほどないと思われる。あまりにも遠いようだったら今日はあきらめて帰ったほうがいいだろう。
10分ほど歩くと見上げるほど高い木々の目の前へと到着する。そこに着くまでの間見かけたのはやはり小動物ばかり。

「森のようですね」
「そうじゃのう。森なら何かいそうだのっ」
「ではマノン様はこちらをお使いください」

私は彼女が使うための武器としてたった今その辺で拾った木の棒を手渡す。それを受け取った彼女は首を傾げながらじっとその棒を眺めていた。

「武器…なのか?」
「はい、どうせLV1なのです。重たい武器など持つことは出来ないでしょう。でしたらこの木の棒で十分だと思いませんか?」
「ぬ~~しかしのう…」
「ほら試してみましょう。ちょうど魔物がいますよ」

私と彼女そその向こう。森の入り口に序盤に狩るのに丁度よい魔物がいます。その魔物はまだこちらに気が付いていない様子。

「…スライムではないか。あんなの魔物のうちに入らないであろう?」
「そうですか。ならその木の棒であっさりと倒せますよね?」
「見ておるがいい…わらわの、いや勇者の実力をなっ」

彼女はその言葉を言い放つとスライムへと走り寄った。もちろん手に持っているのは私がその辺で拾ったただの木の棒。大きな音を立てながら走るものだから近づく前にスライムに気が付かれてしまっている。私は勇者の実力とやらに少しばかりがっかりしているようだ。

「ぬあっ こら…避けるなっ よし、当たった!! …なぜ倒れないっ」

木の棒を振り回しスライムと格闘する彼女。やっとのことで叩くことに成功したようだけど、それではスライムを倒せない。

「ぜはーぜはー…」
「マノン様、それではいつまでたっても倒せませんよ?」
「そうですね…ではまずこう武器をにぎって」
「こうか?」
「それでちょっとここを見てください」
「ん~~?」

彼女の手を取り私は武器の持ち方を指導する…まあ実際は指導ではないのですけども。その手を掴みおもむろに向かってきたスライムへと突き刺した。

「こうですよ。ほらLVがまだ弱くても相手の力を利用すれば簡単に倒せますね?」
「あ…っ 上がった!!」

どうやらスライムを一匹倒しただけでレベルが上がったみたいです。ふんわりと彼女の体が白い光に包まれます。はて…レベルというものはここまで簡単に上がるものだったでしょうかね。 
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