魔王様は退屈過ぎて勇者へと転職する

れのひと

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第20話 馬車での仕事

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馬車が走り出しますと道があまりよくないのかガタガタと揺れ始めました。私達雑用係は3台ある馬車の最後尾、荷物と一緒に乗っています。

「んあ? なんか揺れてるのじゃ…」

流石にこの揺れに彼女も目を覚ましたみたいです。

「マイル、もう馬車の中ですよ」
「馬車…マイル…ああ、わらわのことか」

寝起きのせいか若干ぼんやりとしている彼女ですが、軽く食べられるのもを用意しますとだんだんと状況がわかってきたみたいです。

「あー…そうか。セカンタに杖作りに行くんじゃったな」
「はい、その移動中の依頼をまさに今実行中なんですよ」
「依頼…あーわらわにも出来るかのう?」
「僕がやりますので手が必要な時に貸してくだされば大丈夫ですよ」
「ん、そうかじゃあ任せた」

僕が彼女に状況を確認させているとそれを見ていたエメアがクスクスと笑いだしました。その笑い声に気が付いた彼女は少し眉をしかめます。

「誰じゃ…?」
「あー笑ってごめんね。私はエメア、この商隊の専属雑用よ。二人は姉弟なのかしら? 仲がいいわね」

エメアは一つの箱を開けながら彼女に自己紹介を始めました。どうやら何か仕事を始めるようですね。

「ふむ…わらわは、わらわは…」
「マイル」
「そうマイルじゃっ」
「マイルちゃんねよろしく」
「うむ。じゃが姉弟ではないぞ?」
「そうなのね。あ、アルク君まずはこのテントの修繕からお願いするわね」

箱から取り出されましたのはとても大きな布、テントとして使われるもののようです。修繕すると言うくらいですのでそこらにほつれや穴が見受けられます。そうですね穴とか開いていますと覗かれますし冬場ですと寒いでしょうね。今はまだそこまで冷えていませんので大丈夫でしょうが直しておくのはいいことでしょう。

「どの程度修繕しましょうか?」
「普通に使えるくらいで大丈夫よ。寝るくらいにしかどうせ使わないしね」

なるほど…では穴とほつれを直して、ちょっと付与でもしておきましょうかね。盗賊などに襲われてもいけませんし、耐火と耐刃あと自動修復くらいあれば修繕も必要なくなりますね。まあこれでも完全ではないですが今はこれくらいしかできないので仕方ありません。流石に破片も残らないほど燃やされてしまったら修復不可能ですからね。

「終わりました」
「え、早くない?」
「ではそちらのテントも僕がやりましょうか。エメアさんは他の仕事してください」
「そう? じゃあお願いするわね」

エメアは私にやりかけをテントの修繕を渡しますとまた別の箱の蓋を開けています。それを視界の端に入れつつ私は再びテントの修繕を行います。おや…どうやらエメアは私に楽な方を渡していたようですね。後で受け取ったこちらのほうが修繕箇所が多いです。

「よっと…」
「野菜なのじゃな」
「ええ、修繕が早く終わったから食事の下ごしらえをしようと思ってね」
「ほーほー…」

重そうな木箱を抱えてエメアが戻ってきます。どうやら中身は食事用の野菜が入っていたようですね。では私も修繕をさっさと終わらせてそちらに参加することにしましょうか。

「マイルちゃんは水魔法使える?」
「うむ、使えるぞ」
「じゃあ魔法で野菜を綺麗にしてもらえるかな」
「わかったのじゃ」

修繕に私が集中している間に二人が何やら会話しています。気のせいか彼女が魔法を使うとか聞こえたのですが…少し不安です。

「すぅー…」
「え…ちょっと待って一度にやらなくていいのよっ?」

彼女は深呼吸をすると野菜の木箱に向かってそのまま魔法を使おうとします。エメアの声が聞こえていないのか彼女はそのまま大きな水球を作り出しますと、木箱に向かって魔法を発動させました。

「大きい…じゃなくてそんなに水量もいらないわよーーーっ」

エメアが止めるのも聞かずに発動した魔法は野菜の木箱だけではなくこのままでは荷馬車全体にいきわたりそうです。

「アクア」
「ストーンウォール…あ」

彼女の魔法の発動と同時に私も魔法を使いました。水の魔法が他へ被害が行かないように土の魔法で壁を囲んだのですが…場所が悪かったですね。エメアと彼女と野菜を全部囲んでしまったので溺れていないといいのですが。



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