199 / 356
マリジアナの町
183. 訪問者
しおりを挟む
すでにみんなは家の中にいるようで外には誰もいなかった。地図を開いてまで確認しなくてもいいかな? その状態で家じゃなくていきなり山登ってたりする方がおかしいからね。まあネコルーは湖だろうけども。
家の中に入ると居間のところでルーとシズクが待っていた。ということはジエル2階かネコルーと一緒か…
「ジエルは?」
「ネコルーちゃんとアスちゃんとどこかに行ってしまいました」
ルーもすっかりここに慣れたようだな。危険がないとわかっているのでジエルもほぼ放置みたいだし。
「リョータさん何か飲み物を用意したいのですけれど」
「ん? コーヒーと紅茶どっちにする?」
「では紅茶でお願いします」
壁に調理場を設置し、必要な道具を取り出すとルーがそれを抱えて中へと入っていった。どうやら準備してくれるらしい。この家の中にもコンロとか設置すればもうちょっと便利になるんだけどね。まあ調理場だってとてもいいものだし、贅沢は言っちゃいかんだろう。
椅子に座りルーが調理場から出てくるのを待っていると、視界の端にふわりと何かが見えた。
「…?」
「なんだ?」
シズクはこっちにいる…よな? シズクが座っているのは俺の右側…今見えたのはどちらかというと左。つまり俺が座っている正面だ。
「入り口が開いておりましたので勝手に入らせていただきましたわ」
「…え?」
俺ちゃんと扉閉めたはずだけど…立ち上がり玄関を見に行くと扉が外へとあけ放たれていた。地図を取り出しみんなの現在位置を確認すると全員この家の中にいた。つまりジエル達が戻って来て扉も閉めず2階に上がっていったと…
「それでフィリールは何をしにここへ?」
「特に何も」
そう俺の目の前に座っているのは妖精王のフィリール。扉が開いていたから入ってきたと言うが…まあもともと妖精たちは見えない存在だしそういった作法的なものはないのだろう。気にしていたらきりがなさそうだ。あーとなると椅子が足りないな。俺は立ち上がり自分が座っていた椅子を複製してフィリールの隣へ並べた。
「あら?」
少しするとお茶を用意したルーが調理場から出てきて一人増えていることに驚いていた。俺たちにお茶を渡すと再び調理場へと入っていき自分の分も用意してから戻って来た。
「お茶菓子とかあったほうがいいか?」
「甘いお菓子でいたらいただきたいですわ」
真っ先にフィリールが言い出したのでルーとシズクは黙ってうなずいた。夕食の後なので念のために聞いたのだが、やっぱりおやつは別腹ってやつなのだろうか? まあいい。この間ジエルに出してあげたビスケットでいいだろう。
「いただきますわっ」
おかしいな…ジエルの話をするはずだったのに気がついたらただのお茶会になっている。もちろん問題はないのだが、肝心なルーが口を開かないし俺からはちょっと聞きづらいよな。もしかしたらこのまま話を流してしまおうと思っている可能性あるのか? 話ずらいのならまあまた今度でもいいんだけどね。
「あの…フィリール様。ジエルのことリョータさんに話しても大丈夫だと思いますか?」
「……主様にでしたら問題ないと思われますよ。どうせ彼女が話してしまうでしょうし」
「彼女?」
「あー多分母のことだと思います」
エルフをまとめている人だっけ。俺に用がありルーたちに俺を探してくるようにいった人物。
「そもそもそれを抜きにして会話が成立するとは思わないんだけど?」
「確かにその通りですね。ただ、私が話してしまっていいのかということなんです」
「あの子にはまだ説明は無理だと思うがのう…」
あの子…ジエルのことかな? その言葉にルーは頷くとまっすぐと俺とシズクの方に体を向けた。
家の中に入ると居間のところでルーとシズクが待っていた。ということはジエル2階かネコルーと一緒か…
「ジエルは?」
「ネコルーちゃんとアスちゃんとどこかに行ってしまいました」
ルーもすっかりここに慣れたようだな。危険がないとわかっているのでジエルもほぼ放置みたいだし。
「リョータさん何か飲み物を用意したいのですけれど」
「ん? コーヒーと紅茶どっちにする?」
「では紅茶でお願いします」
壁に調理場を設置し、必要な道具を取り出すとルーがそれを抱えて中へと入っていった。どうやら準備してくれるらしい。この家の中にもコンロとか設置すればもうちょっと便利になるんだけどね。まあ調理場だってとてもいいものだし、贅沢は言っちゃいかんだろう。
椅子に座りルーが調理場から出てくるのを待っていると、視界の端にふわりと何かが見えた。
「…?」
「なんだ?」
シズクはこっちにいる…よな? シズクが座っているのは俺の右側…今見えたのはどちらかというと左。つまり俺が座っている正面だ。
「入り口が開いておりましたので勝手に入らせていただきましたわ」
「…え?」
俺ちゃんと扉閉めたはずだけど…立ち上がり玄関を見に行くと扉が外へとあけ放たれていた。地図を取り出しみんなの現在位置を確認すると全員この家の中にいた。つまりジエル達が戻って来て扉も閉めず2階に上がっていったと…
「それでフィリールは何をしにここへ?」
「特に何も」
そう俺の目の前に座っているのは妖精王のフィリール。扉が開いていたから入ってきたと言うが…まあもともと妖精たちは見えない存在だしそういった作法的なものはないのだろう。気にしていたらきりがなさそうだ。あーとなると椅子が足りないな。俺は立ち上がり自分が座っていた椅子を複製してフィリールの隣へ並べた。
「あら?」
少しするとお茶を用意したルーが調理場から出てきて一人増えていることに驚いていた。俺たちにお茶を渡すと再び調理場へと入っていき自分の分も用意してから戻って来た。
「お茶菓子とかあったほうがいいか?」
「甘いお菓子でいたらいただきたいですわ」
真っ先にフィリールが言い出したのでルーとシズクは黙ってうなずいた。夕食の後なので念のために聞いたのだが、やっぱりおやつは別腹ってやつなのだろうか? まあいい。この間ジエルに出してあげたビスケットでいいだろう。
「いただきますわっ」
おかしいな…ジエルの話をするはずだったのに気がついたらただのお茶会になっている。もちろん問題はないのだが、肝心なルーが口を開かないし俺からはちょっと聞きづらいよな。もしかしたらこのまま話を流してしまおうと思っている可能性あるのか? 話ずらいのならまあまた今度でもいいんだけどね。
「あの…フィリール様。ジエルのことリョータさんに話しても大丈夫だと思いますか?」
「……主様にでしたら問題ないと思われますよ。どうせ彼女が話してしまうでしょうし」
「彼女?」
「あー多分母のことだと思います」
エルフをまとめている人だっけ。俺に用がありルーたちに俺を探してくるようにいった人物。
「そもそもそれを抜きにして会話が成立するとは思わないんだけど?」
「確かにその通りですね。ただ、私が話してしまっていいのかということなんです」
「あの子にはまだ説明は無理だと思うがのう…」
あの子…ジエルのことかな? その言葉にルーは頷くとまっすぐと俺とシズクの方に体を向けた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
296
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる