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フランモネで仕事をする
197. ギルドへ報告
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町に戻り俺とシズクはそのまま冒険者ギルドへと向かった。すでに終わったことだが同じ場所で再び集落が出来ていたことを報告しておかないといけないんだとか。
冒険者ギルドへ入るとさっき来た時とは違いすごく人が多くいて、さらに何やら騒がしい。それを横目で見ながら俺たちは受付へと向かった。
「依頼の報告なんだけどよ~」
「あ、はいっ ただいま少し立て込んでおりまして報告はまた後日伺いますので…すみませんっ」
何やら少し焦っている? まあ忙しいからまたにしてくれってことなんだろうけど、こっちも結構重要な要件だと思うのでシズクを押しのけ俺から話すことにした。
「すみません依頼の報告はまたでいいですが、もう一つ先に聞いていただきたい話がありまして少しだけいいですか?」
「急ぎでしょうか?」
「ぼちぼち急ぎですね」
「わかりましたではお聞きします」
はっきり言ってこんなやり取りをしている間に終わる報告だったんだけどね。
「南東の森の中で集落を見つけまして…」
「ああその報告でしたか。それでしたらすでに伺っており、今こうやって冒険者を集めているところになります」
「…集める?」
「はい、どうやら上位種もいるようですので安全を確保しつつ確実に倒す準備をしているところです」
…あれ? 倒す準備って…いや、俺たちが倒してきたから今から向かったってすでにいないんだが。
「はぁ? そいつらならもういないぜ?? っていうかおせぇーよ。すでに俺たちで片付けてきたしよ」
「……聞き間違いでしょうか??」
「お、おいしずくっ」
「だから俺たちが…」
慌ててシズクの口を両手で塞いだ。こんな人がたくさん集められたところにもう討伐対象はいませんよーなんて言ったらめんどくさいことになるぞ!!
「……ちょっと奥に来てもらえます?」
受付のお姉さんの顔が怖かったとだけ言っておこう。可愛らしい小さな耳がぴくぴくと動いていたがそんなんでごまかせないくらいにね。
奥に通されちょっとした個室に案内された。殺風景ではっきり言ってテーブルと椅子しかない部屋だ。簡単な打ち合わせとかに使う部屋なのかもしれない。
部屋に案内してくれたお姉さんは俺たちを部屋に残すとすぐにどこかへと向かってしまった。多分誰か呼びに行ったんだと思うけど…それよりもそんなことはどうでもいいから早く帰らせてくれよオーラを出しているシズクが気になる。なんだかんだでシズクもつい口が滑ったけどめんどくさい話は嫌なんだと思う。
コンコンと扉が叩かれ中に入ってきたのはちょっと年老いた獣人のおっさんとさっきのお姉さんだ。少しだけおぼつかない足取りで椅子に手をかけるとどっこいしょと掛け声を出しそうな雰囲気である。
「どっこいしょ…ふぅ」
言うのかよ!! つい口に出しそうになって慌てて手で口を押える。あぶねぇ~ 初対面の人に変な人だと思われるところだった。というか俺が考えていたことがわかるような言葉をタイミングよくだすのも悪い。
「で…?」
「はい、こちらの2人が今討伐メンバーを集めているところの集落を潰してきたというもので、流石にあの場で会話を続けられなくてこの部屋に来てもらいました」
「ふむ…証拠、見せてくれる?」
そういえば何も見せてなかったけど、このお姉さんはいきなりこの部屋に連れてきたんだよね。
「何見せりゃ~いい?」
「そうね、普通のオーク見ても区別できんし…やっぱり上位種かな?」
「だってさリョータ」
なるほど上位種を見せればある程度倒した証拠になるというわけだ。
「部屋汚れますけど大丈夫ですか?」
「いいよ、だから余分な物がない部屋、ね?」
なるほど…大物を倒したときとか証拠を見せるのに汚れても大丈夫な部屋ってことかここは。
「わかりました」
俺はインベントリから最後に直接倒すことになった一番大きなオークを取り出した。見た目も血だらけで出した瞬間から床を汚していくのが少しだけ気になるところだが、いいといったからそのまま出し切ってしまう。
「ほう…収納魔法? オークの上異種…というか普通にそのサイズが持ち上げられる力…ね」
「え?」
「それが討伐したオークかい?」
「は、はいそうです。他にも少し小ぶりの上異種が数体と普通のオークが…40体以上あります」
「……」
さっきつぶやいていた言葉は何だ? 聞き耳スキルでちゃんと聞き取れたけど、まるで俺のやることを注意深く観察しているかのようだった。
「確かにこんなのは徘徊していないだろうね。君、集めた冒険者たちに集落の討伐がなくなったと言ってきて」
「わ、私がですか?」
「そう。わしはまだ話があるから」
「はあ…わかりました」
とぼとぼとお姉さんが部屋から去っていった。目の前にはおっさん。年のわりに鋭い目つきでこっちを眺めている。
「ちょっと詳しく話を聞かせてもらおうか?」
そういうとおっさんはニヤリと笑った。というかこのおっさん…というか俺たちもだけどお互い名乗ってすらいないんだけど何者なんだろう?
冒険者ギルドへ入るとさっき来た時とは違いすごく人が多くいて、さらに何やら騒がしい。それを横目で見ながら俺たちは受付へと向かった。
「依頼の報告なんだけどよ~」
「あ、はいっ ただいま少し立て込んでおりまして報告はまた後日伺いますので…すみませんっ」
何やら少し焦っている? まあ忙しいからまたにしてくれってことなんだろうけど、こっちも結構重要な要件だと思うのでシズクを押しのけ俺から話すことにした。
「すみません依頼の報告はまたでいいですが、もう一つ先に聞いていただきたい話がありまして少しだけいいですか?」
「急ぎでしょうか?」
「ぼちぼち急ぎですね」
「わかりましたではお聞きします」
はっきり言ってこんなやり取りをしている間に終わる報告だったんだけどね。
「南東の森の中で集落を見つけまして…」
「ああその報告でしたか。それでしたらすでに伺っており、今こうやって冒険者を集めているところになります」
「…集める?」
「はい、どうやら上位種もいるようですので安全を確保しつつ確実に倒す準備をしているところです」
…あれ? 倒す準備って…いや、俺たちが倒してきたから今から向かったってすでにいないんだが。
「はぁ? そいつらならもういないぜ?? っていうかおせぇーよ。すでに俺たちで片付けてきたしよ」
「……聞き間違いでしょうか??」
「お、おいしずくっ」
「だから俺たちが…」
慌ててシズクの口を両手で塞いだ。こんな人がたくさん集められたところにもう討伐対象はいませんよーなんて言ったらめんどくさいことになるぞ!!
「……ちょっと奥に来てもらえます?」
受付のお姉さんの顔が怖かったとだけ言っておこう。可愛らしい小さな耳がぴくぴくと動いていたがそんなんでごまかせないくらいにね。
奥に通されちょっとした個室に案内された。殺風景ではっきり言ってテーブルと椅子しかない部屋だ。簡単な打ち合わせとかに使う部屋なのかもしれない。
部屋に案内してくれたお姉さんは俺たちを部屋に残すとすぐにどこかへと向かってしまった。多分誰か呼びに行ったんだと思うけど…それよりもそんなことはどうでもいいから早く帰らせてくれよオーラを出しているシズクが気になる。なんだかんだでシズクもつい口が滑ったけどめんどくさい話は嫌なんだと思う。
コンコンと扉が叩かれ中に入ってきたのはちょっと年老いた獣人のおっさんとさっきのお姉さんだ。少しだけおぼつかない足取りで椅子に手をかけるとどっこいしょと掛け声を出しそうな雰囲気である。
「どっこいしょ…ふぅ」
言うのかよ!! つい口に出しそうになって慌てて手で口を押える。あぶねぇ~ 初対面の人に変な人だと思われるところだった。というか俺が考えていたことがわかるような言葉をタイミングよくだすのも悪い。
「で…?」
「はい、こちらの2人が今討伐メンバーを集めているところの集落を潰してきたというもので、流石にあの場で会話を続けられなくてこの部屋に来てもらいました」
「ふむ…証拠、見せてくれる?」
そういえば何も見せてなかったけど、このお姉さんはいきなりこの部屋に連れてきたんだよね。
「何見せりゃ~いい?」
「そうね、普通のオーク見ても区別できんし…やっぱり上位種かな?」
「だってさリョータ」
なるほど上位種を見せればある程度倒した証拠になるというわけだ。
「部屋汚れますけど大丈夫ですか?」
「いいよ、だから余分な物がない部屋、ね?」
なるほど…大物を倒したときとか証拠を見せるのに汚れても大丈夫な部屋ってことかここは。
「わかりました」
俺はインベントリから最後に直接倒すことになった一番大きなオークを取り出した。見た目も血だらけで出した瞬間から床を汚していくのが少しだけ気になるところだが、いいといったからそのまま出し切ってしまう。
「ほう…収納魔法? オークの上異種…というか普通にそのサイズが持ち上げられる力…ね」
「え?」
「それが討伐したオークかい?」
「は、はいそうです。他にも少し小ぶりの上異種が数体と普通のオークが…40体以上あります」
「……」
さっきつぶやいていた言葉は何だ? 聞き耳スキルでちゃんと聞き取れたけど、まるで俺のやることを注意深く観察しているかのようだった。
「確かにこんなのは徘徊していないだろうね。君、集めた冒険者たちに集落の討伐がなくなったと言ってきて」
「わ、私がですか?」
「そう。わしはまだ話があるから」
「はあ…わかりました」
とぼとぼとお姉さんが部屋から去っていった。目の前にはおっさん。年のわりに鋭い目つきでこっちを眺めている。
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