264 / 356
境界門
248. 雨
しおりを挟む
ちょっとバタバタしたが昼食も終わったので、俺とルーは再び次の場所…今度は町みたいだ。そこへ向かうためにネコルーとアスを連れて箱庭から出ようと外をそっと眺めると、そこが街道ではなく建物があり驚いた。少しルーたちには待ってもらい俺一人で外の様子を確認すると、どうやら俺がさっき箱庭に戻るために使用した王都の民家の裏手だったことがわかる。つまりそれが箱庭の仕様らしい。開いた場所から外へと出るという。
「ごめんルーさっき2人を探しに王都へ行ったときに箱庭開いて戻ったから王都だった」
「あら…かなりすごいスキルだと思っていたけど、そんなつくりだったんですね」
ルーには箱庭に待機してもらって馬車で移動した2つ目の村までテレポートで移動をすることに。その後馬車を取り出しそこから再び次の町へと向かった。
「うーん、これはよくないですね」
「何がだ?」
「雨が降ってきそうです」
「雨…」
そういえばこの世界にやって来て雨が降ったのは見たことがない。でも雨は必要な自然現象だから仕方がないと思うんだけど…何がよくなんだろう。
「雨はすべてのものを流してしまうと言われているんです。足跡や気配はもちろん、農作物や建物それに人の命でさえも」
…ん? そこまでなったらもう自然災害じゃないか。言われてみれば風が強くなってきた気もするけれど、もしかしてそんな規模の雨が降ってくるっていうことなのか?
「えーとリョータさんの世界ではどうか知りませんが、ここでは雨はめったに降らないんですよ。その代わり年に数回大雨が降るんです。しかも時期とかが決まっていないのでやっかいでして」
「大雨は厄介だね」
「はい。ですので雨が降るとわかると船は運休、店は値上げをして早めに閉まり、人々は建物に閉じこもります」
「あー…」
なるほどな。情報も集められなくなるってことか。それは確かに困るな。
「ですのでちょっと急いだほうがいいかもしれません。町の門も閉じられてしまったらしばらく町へはいれなくなってしまいますので」
ということで俺たちは少し馬車の速度を上げることにした。だが町につく前に雨が降り始めてしまった。
「降り出したな…」
「はい」
結界を張ってあるので直接濡れることはないが少しづつ視界が悪くなってくる。
「そろそろ町につくといいんですけどね」
誰もが急いでいるのか前を走る馬車も見かけなくなった。というかこの状態でのんびり移動している方がまずいだろうね。
「あっ リョータさん前方に馬車がいます。追い越せる幅がないですがどうしましょうか」
「後ろついていくしかないかな…幅がある場所に出たら追い越そう」
「わかりました」
俺たちは仕方なく前を移動している馬車の後ろをついていくことになった。そして雨も少しずつ強くなってくる。
「まずいですね…前の馬車速度が落ちてます。このままだと止まってしまうかも」
ルーがそういったとほぼ同時に前の馬車が足を止めた。馬車の中から一人こちらへと向かってくる。
「すまんっ どうやら馬が雨に怯えてしまって…ん? あれ、リョータじゃないか」
「…ガルシアさん!」
馬車からこっちへやってきたのは以前一緒に護衛依頼を受けたガルシアさんだった。
「久しぶりだなおいっ」
「そうですねガルシアさんは仕事ですか?」
「ああ護衛依頼中だ」
「あの…そんな話よりも馬車はどうするのですか?」
「ああそうだった。すまないがこっちの馬が動いてくれなくなって困ってるんだが、そっちの馬車に一緒に乗ることは出来ないか?」
こっちの馬車に乗るってことは馬はどうするんだ?
「馬はどうするんですか?」
「狭くてもいいから乗せられるなら乗せて欲しいが…」
「荷物と乗員はどの程度です?」
「荷物はそれほど多くない。人数は…俺を入れて5人だ」
馬と荷物と5人…荷物はインベントリに入れればいいけれど馬と5人か。ちょっとネコルーが引くのに重いかもしれないな。馬車に浮遊をかけたら軽くなって楽に引けるかな…一度荷物と人を確認してからにしようか。
「ごめんルーさっき2人を探しに王都へ行ったときに箱庭開いて戻ったから王都だった」
「あら…かなりすごいスキルだと思っていたけど、そんなつくりだったんですね」
ルーには箱庭に待機してもらって馬車で移動した2つ目の村までテレポートで移動をすることに。その後馬車を取り出しそこから再び次の町へと向かった。
「うーん、これはよくないですね」
「何がだ?」
「雨が降ってきそうです」
「雨…」
そういえばこの世界にやって来て雨が降ったのは見たことがない。でも雨は必要な自然現象だから仕方がないと思うんだけど…何がよくなんだろう。
「雨はすべてのものを流してしまうと言われているんです。足跡や気配はもちろん、農作物や建物それに人の命でさえも」
…ん? そこまでなったらもう自然災害じゃないか。言われてみれば風が強くなってきた気もするけれど、もしかしてそんな規模の雨が降ってくるっていうことなのか?
「えーとリョータさんの世界ではどうか知りませんが、ここでは雨はめったに降らないんですよ。その代わり年に数回大雨が降るんです。しかも時期とかが決まっていないのでやっかいでして」
「大雨は厄介だね」
「はい。ですので雨が降るとわかると船は運休、店は値上げをして早めに閉まり、人々は建物に閉じこもります」
「あー…」
なるほどな。情報も集められなくなるってことか。それは確かに困るな。
「ですのでちょっと急いだほうがいいかもしれません。町の門も閉じられてしまったらしばらく町へはいれなくなってしまいますので」
ということで俺たちは少し馬車の速度を上げることにした。だが町につく前に雨が降り始めてしまった。
「降り出したな…」
「はい」
結界を張ってあるので直接濡れることはないが少しづつ視界が悪くなってくる。
「そろそろ町につくといいんですけどね」
誰もが急いでいるのか前を走る馬車も見かけなくなった。というかこの状態でのんびり移動している方がまずいだろうね。
「あっ リョータさん前方に馬車がいます。追い越せる幅がないですがどうしましょうか」
「後ろついていくしかないかな…幅がある場所に出たら追い越そう」
「わかりました」
俺たちは仕方なく前を移動している馬車の後ろをついていくことになった。そして雨も少しずつ強くなってくる。
「まずいですね…前の馬車速度が落ちてます。このままだと止まってしまうかも」
ルーがそういったとほぼ同時に前の馬車が足を止めた。馬車の中から一人こちらへと向かってくる。
「すまんっ どうやら馬が雨に怯えてしまって…ん? あれ、リョータじゃないか」
「…ガルシアさん!」
馬車からこっちへやってきたのは以前一緒に護衛依頼を受けたガルシアさんだった。
「久しぶりだなおいっ」
「そうですねガルシアさんは仕事ですか?」
「ああ護衛依頼中だ」
「あの…そんな話よりも馬車はどうするのですか?」
「ああそうだった。すまないがこっちの馬が動いてくれなくなって困ってるんだが、そっちの馬車に一緒に乗ることは出来ないか?」
こっちの馬車に乗るってことは馬はどうするんだ?
「馬はどうするんですか?」
「狭くてもいいから乗せられるなら乗せて欲しいが…」
「荷物と乗員はどの程度です?」
「荷物はそれほど多くない。人数は…俺を入れて5人だ」
馬と荷物と5人…荷物はインベントリに入れればいいけれど馬と5人か。ちょっとネコルーが引くのに重いかもしれないな。馬車に浮遊をかけたら軽くなって楽に引けるかな…一度荷物と人を確認してからにしようか。
3
あなたにおすすめの小説
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる