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御神木を植える

280. 話し合う

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 ちょっと狭いがテントに集まってもらい現在の状況を話し合っていた。御神木を植える場所は見つけたが土地が死んでいて植えることが出来ないのでそれを何とかしたいというわけなんだが…

「本当にそこじゃないとだめなのか?」

 シズクは少し離れた別の場所に植えればいいんじゃないかと言いたいらしい。もちろんそれはわからないでもないが、結構広い範囲の土がだめになっていた。その上その場所から一番近い場所は一度崩れたであろうものを直された塀がある。反対側は建物が並んでいるため不可能だ。

「場所を変えるとなるとこの町の外側になるんだが、そこで大丈夫なんですか?」
「ギリセーフじゃが…そもそもあの地が死んでおるゆえ、効果が薄くなってしまうのじゃが」

 どうやら植えることは出来るが御神木様としての役割が弱くなってしまうらしい。それだとまだたけが召喚されてしまうかもしれないってことだ。

「土を入れ替えて見たらどうよ?」
「武…あの広い範囲の、しかも深さがどれくらい必要なのかもわからないそんな土をどこから持ってくるというのよっ ちょっとは考えて物も言いなさいよ!」

 なんかたけが雪乃に怒られているがまあそれはいつものことなので放置しておこう。でも土を入れ替えるか…悪くない案だとは思うよ。ただ入れ替える土をどうするかが確かに問題だな。

「浄化じゃ。浄化すれば土はそのまま使えるのじゃが…」
「使えるんですか?」
「うむ。だが、巫女の魔力量じゃとどのくらいの期間がかかるかわからん」

 これには響子も苦笑いだ。毎日限界までポーションもがぶ飲みして浄化したとしても、あの広さじゃ相当かかるだろう。というか俺だったら断固拒否するね。これだったらまだたけの意見の土を入れ替える方が現実的だ。

「ひとまず昼食にしようか」
「あ、それなんだがたまにはみんなでそろって食わねぇ~か?」

 たけの提案にみんなが何言ってんだこいつという視線が集中する。響子が箱庭に入れない、まあ正確には御神木様が入れないだけなのだが…もしかして御神木様をここに放置するのか? 確かに外から勝手に人は入ってこれないけど…

「だからさ~ ほらそこの箱庭の扉を繋いだままにしてさ、俺たちがそのすぐ傍で外で食えばいいわけよ。そしたら御神木様も一緒にいる感じになるだろう?」
「やだ…どうしたの武。まるで天才みたな考えじゃないの」
「まるでは余計だろう?」


 楽しそうな会話だが2人は一つ忘れていることがある。響子に触れていないと御神木様が見えないということだ。そのままだと御神木様は外から楽しそうに食事をする俺たちを眺めるだけになる。

「それでかまわぬぞ。外から周りの様子を眺めるのは慣れておるしの」
「え…あっ」

 御神木様の言葉でその状況を理解したたけが声をあげた。雪乃も申し訳なさそうな顔をしている。

「もう、無理しなくていいよぉ~? そうだ今日は雪ちゃん私と2人で食べようか。正確には御神木様と3人で。ちょっと女子会みたいでしょ~」

 ふと思いついたかのようにしゃべりだす響子。気のせいか若干会話が少ない気がする。どこか体調でも悪いのか?

「あ、じゃあシズクちゃんも入れないとね~ どう?」
「ん? 俺は何でも構わないが」
「じゃあ決まりっ りょーちゃんここに3人分の食べ物出して行ってね」
「ああわかった」

 …気のせいだったかな? それから楽しそうに会話を響子は続けていた。
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