【本編完結】異世界に召喚されわがまま言ったらガチャのスキルをもらった

れのひと

文字の大きさ
297 / 356
御神木を植える

281. ローレンスさんからの情報

しおりを挟む
「こちらにいましたか」

 箱庭の建物の外で俺とたけ、それとエルナとミイの4人で昼食を食べているとローレンスさんがやってきた。そうか店か開いていなかったから声のする方にやって来たってことか。まあ余分なことさえしなければ好きなようにうろついてくれていいけども。

「お客さんですか。すぐに店をあけますっ」
「ます~」
「ああ急いでいませんので食事が終わってからでいいですよ」

 ローレンスさんの言葉にエルナが申し訳なさそうな顔をする。ミイは何事もなかったようにロールパンを口に詰め込んだ。口いっぱいに入れるので頬が膨らんでまるでりすみたいになっている。やはり小さい子は癒しだね~ そこにいるだけで場がなごむ。

「ああ、ありがとうございます」

 傍に座ったローレンスさんに飲み物を渡した。まあただのオレンジジュースだが。

「フルーツを絞ったジュースがこれだけたくさん飲めるとは中々贅沢ですな」
「それも他のお菓子と同じく特殊な入手方法ですからね」

 ローレンスさんにガチャのスキルは教えていない。特殊な方法でいろんな菓子が手に入るとだけ教えてあるのだ。こういう人に教えるともっといろいろ有益な使い方とか指導してくれそうだけれども、それに追われる未来しか見えないので言いたくないのだ。

「丁度よかった。ローレンスさん植物を育てることや土に関することに詳しい人って知りませんか?」
「植物や土ですか…? どのような情報を求めているのでしょう」
「えーと…御神木様を植えたいのですが、その土地の土が死んでしまっていて、どうにかしたいんです」
「そういえば御神木様を連れ歩いていましたね。お元気ですか?」

 俺は指で箱庭と外を繋ぐ扉を示すとローレンスさんはその方向に顔を向ける。扉の向こうでは楽しそうに会話をしながら食事をしている3人とその傍らに置かれている御神木様が見えた。その様子をみたローレンスさんは満足そうに頷いている。どうやら安心したらしいね。

「えーと死んだ土地を生き返らせたいですか…そういえば最近どこかで耳にした気がしますね。使用人たちが話していたんでしょうか、育ちの悪かった花が買ってきた何かを土に混ぜ込んだらよくなったとか何とか…」
「何かを混ぜた?」
「ええ、どこかからか買ってきたようです」

 店で売っている何かか…それを使えば土がもとにもどるかもしれないな。もしくは少しでも改善されればまだ何とかなるかもしれないし。

「それはどこの店かわかりますか?」
「たしか隣町…ええとマリジアナですな」

 あーあそこか…あのしつこいくらい俺たちを追いかけてきた、えーと…カル…カルガモだっけ? なんかちょっと違う気がする。

「なあたけカルガモだっけ?」
「…何の話だっ」
「あ、すまん。たけにきいてもわかるわけなかったわ」
「おい!」
「そういえばこちらの方はもしかして…」

 ローレンスさんが目を見開きたけをじっと見つめている。そういえば獣人のシズクの母親ともたけは結婚している。どんな立場だったのかは聞いていないので知らないが、ルリアーナさんとの会話の時に後を継ぐとか何とかいう話がでていたくらいだから、もしかしたら獣人のほうでもそれなりの身分だったのかもしれない。とするとローレンスさんが知っている可能性もあるわけか。

 まあたけのことは今はいいや。マリジアナでその何かがどんなものなのか一度確認してみるか。昼食後の行動が決まったな。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...