【本編完結】異世界に召喚されわがまま言ったらガチャのスキルをもらった

れのひと

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御神木防衛戦

321. 進まない作業

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 さっきまでと打って変わって辺りは静かだった。結界を張ってその中にいるたけ、響子、ルー、ジエル、シズク、ノノさんそして俺。その結界の外には武装したたくさんの人とジルベスターさんと雪乃…ジルベスターさんの指示なのか武装している人たちは俺たちを囲んだ後静かにその場にたたずんでいる。

『たけ、雪乃と会話を出来るか?』
『時間稼ぎか…やってみる』
『ノノさんはジルベスターさんと会話できるようならお願いできますか?』
『流石に私の言葉は無理だと思いますが…試してみます』

 2人にイヤリングを使用して声をかけ、時間稼ぎを頼んだ。雪乃とジルベスターさんがそれに応じてくれればその間に御神木様の成長を終わらせれる。出来たら魔力も渡してしまいたいが、流石にそれはみのがしてくれるかどうかわからない。

「雪乃、なんでこの間俺に攻撃してきたんだ? それとなんでそっち側にいる…友達だったよな?」
「理由なんて簡単に言うわけないでしょう? そもそも武にだけは知ってほしくないのよ私はっ」
「ええ~ じゃあそっちにいる理由だけでも」
「行動理由が一致しているからに決まっているでしょうが。ちょっと考えればわかるわよね」

 雪乃の言葉がたけに鋭く突き刺さる。ちょっと考えればわかることをなんで聞いているんだと言わんばかりだ。人選間違ったかな…だけど響子は魔力を御神木様に渡して欲しいから会話に参加してもらうわけにはいかない。

「旦那様なぜこのようなことをなさるのですか?」
「ノノ君、君に押してる必要はないと思うが?」
「はい…ですが、今私はこちらについています。言われもない攻撃を受けるのは納得できないのです」

 ノノさんもだめそうだな。やっぱり関係が弱すぎる。だけど2人が会話をしている間に成長は終わらせることが出来た。

「なあ雪乃ちょっとでもいいから…だめか?」
「…武が大人しく死んでくれるなら教えてあげないこともないわ」
「いやそれは…」
「でしょうね」

 あれ…? 武に死ねって言う割に雪乃の顔はとても悲しそうに歪んでいる。本当は死んでほしいと思っていないんじゃないのか?

「響子、ジエル…魔力を」

 小さな声で2人に祈るようにお願いする。その2人が見えにくくなるよう立ち、足元にポーションを置いておく。そして俺も後ろ手に御神木の幹に触れ魔力譲渡を使用した。

「大賢者よ話はそのくらいにしてそろそろ…」
「…ええそうね」

 雪乃が右手を前に出すとその手のひらに魔力が集まってくる。もしかしなくてもさっき結界を壊した魔法を使うつもりなのかもしれない。さっきと同じ火力でぶつけられるとまた結界が壊れてしまうかもしれない…

「ごほっ」

 せき込んだ雪乃が左手で口を押えた。その指の間から血が流れ落ちる。

「雪乃?」
「雪ちゃん!?」

 後ろで祈っていた響子が俺の言葉に気がついて雪乃の方を見て声をあげた。祈るのをやめ結界のぎりぎりまで 雪乃の傍へと駆け寄る。

「響子近づきすぎだっ」
「だって雪ちゃんが!」
「一体何が…?」

 たけはおろおろとし、響子は雪乃に手を伸ばす。雪乃の手のひらに集まっていた魔力はいつの間にか無くなっていた。そういえば雪乃は初めてたけがこの世界へ来てしまった時に一緒にいたと御神木様が記憶していた。今目の前にいる雪乃はその雪乃と同じ人物であるなら…

「雪乃はたけと一緒にこの世界にきたのか?」
「…っ」

 顔こそあげないが苦しそうにしていた雪乃の目が開かれる。口元をぐいっと袖で拭うと雪乃はまた俺を睨みつけた。

「何を…知っているのかな?」
「…御神木様の記憶だよ」
「くっ」

 再び魔力を手のひらに集め始めた雪乃はそのままその場に倒れた。
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