たとえばこんな異世界ライフ

れのひと

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第2章 転移者

16話 魔王

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 目の前をじっと見つめいつ翼竜が来てもいいようにしながら2人が戻るのを待った。どのくらい時間が経ったのかわからないが、やっと2人が戻って来る。

「たっだいまぁ~」

 サラキアはまだまだ元気だ。合流出来たので再びフラカンに会いに行ってみることにした。扉の前に立ちノックする。待って見ると少しだけ扉が開いた。

「また、あんた達なの…なに?」

 扉の隙間から覗くようにして男が出てきた。すぐ閉められないように隙間に足を滑り込ませる。

「……」
「フラカンさんですか?」

 尋ねると静かに頷いた。それを確認するとサラキアも挨拶を始める。

「サラキアでしゅ。はじめましちぇ。」
「…1番下のか。」

 サラキアが挨拶すると、頭からつま先まで眺めてきた。

「なんの用だ?」

 テンタチィオネが前に出て魔王を探していることを話す。フラカンは少し首を傾げた。

「……父上か。おまえ達がさっき来たときより少し前にきたぞ。」

 …なんだって?

 3人は顔を合わせる。

「仕事のついでに顔を出していったよ。」

 フラカンに話を聞いたあと、すぐに魔王が向かったと思われる方へ行くことにした。

「なあ、魔王の仕事って何だろ?」

 疑問に思ったことをそのまま聞いてみる。

「何だろうな…想像もつかないが。」

 テンタチィオネも流石に思いつかないようだ。そんな中ここの住人なサラキアは当たり前でしょ?という顔して答えた。どうやらしっていたようだ。

「都市の維持活動だにょ。」
「都市の維持?」
「うん。住人が快適に暮らしぇるように活動してるはずにゃ。」
「……で、実際には何を?」
「そこまでは知らにゃいの~。」
「まあ、会えばわかるか…」

 気持ち急ぎつつ歩いていると、先程木々を管理していると言って微妙な別れ方した3人が魔道具に魔力を注いでいた。

「すみませーん。」

 ひとまず声をかけてみる。

「ん?さっきの変な3人じゃないか。」

 最初に声をかけてきた男の人が気がついてこちらを向いた。作業をしているのは他の2人のようだ。

「さっきのことはあまり気にしないでもらえると…」
「ふむ、まあ色んな事情があるのだろう。」

 いちいち説明をしていたらきりが無いので気にしないでもらえることはありがたかった。元はと言えばテンタチィオネのせいであるのだが。

「で…?何か用なのかな。」
「じつはですね…」

 先程魔王がこっちにきたことを聞いて探していると説明をする。

「魔王に用があるのか?」
「そうなんだ。一度会っておきたいのと、聞いてもらいたい話があって…」
「ふむ、それならもう会っているではないか。」

 ……ん?

 男の人は自分のことを指している。

「魔王?」
「いかにも。」

 この人が…?

「んー?あちしの父にゃのか?」
「おまえは畑の管理人か?もしそうなら俺の子だな。」
「どう言うことなのかさっぱりわからないが、あんたが魔王で間違いないのか?」
「そう言っておるだろう。」
「モートよ。」

 先程まで魔力を注いでいた男が魔王に話かけた。

「ここの作業が終わったぞ。」
「うむ、そうか。お前たち丁度仕事が区切りがついた。我が家でゆっくりと話を聞こうではないか。」



 魔王達に連れられ家に案内されると地下都市の中で1番大きな建物かと思っていたら、その隣にある少し控えめな建物が魔王の家だと驚かされた。

「話を聞く前に少し自己紹介でもしておくか?」
「お願いします。」

 魔王はうなづいた。

「俺は『魔王』モートだ。ちなみに『魔王』とは魔族の王、魔族の中で魔力が多いもののことを指している。この2人も『魔王』だぞ。」
「『魔王』エールだ。」
「『魔王』ヤムだ。」
「え…魔王が3人。どういうことだ?」

 現在『魔王』は3人で、魔族は『魔王』の魔力溜から生まれる存在だそうな。サラキアなど畑を管理しているのがモートの魔力溜から生まれた魔族、エールから生まれた魔族は服飾、ヤムから生まれた魔族は建築に長けているそうだ。

「まさか『魔王』が3人もいるなんて…」

 テンタチィオネは青ざめている。

「さらにいうとだ国王というも隣のでかい家に すんでいるぞ。まあ、ただの人気投票的なやつで決まるアイドルみたいな存在だかな?」

 魔王とは別に国王までいるのか……

「父さん?これは僕はどうしたらいいんだ?」

 『魔王』というのはつまりはこの都市の実質強さのトップ3ということになる。

「もうこの世界で骨を埋めるつもりで…」
「どんな長編ドリームだよっ!」
「この子はまだ夢だと思ってるのかにゃー…?」

 サラキアは困ったものだと首をかしげている。

「なんだかわからないからお前たちも自己紹介をしてくれんかね?」

 モートの言うことは最もである。3人は顔を見合わせ順に自己紹介を始めた。

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