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少しの恐怖

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「どうしたんだよ…急に」

「盗み聞きとはまた…」

「たまたまだって。
それにしたってどうした?」

拒絶なんて珍しい、と付け足される。

「怖かった」

そう。あの手が上から来る感じが

「お母さんと重なって。」

「そっか」

それ以上は何も言ってはこなかった。
説明しないのか?すら聞いては来なかった。

俺は

「言いたくないというより怖い」

「あいつは笑わないぞ」

「違うよ。同情されるのが」

何か行動を起こされるのが

「それは…そうだろうな」

「ごめん…」

「何が?」

「俺がこんなので…」

「俺が好きでお前といるんだから謝るな」

「ありがとう…」

優しいんだよな、俊は。
本当に。
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