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御話

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「人生初のお粥はどうだったよ」

俊が部屋に入るなり聞いてきた。

「美味しかった…!」

「そりゃあ良かった。まぁ、作ったの俺じゃないけどな」

それはそうなんだろうけど

「でも、俺の体調気にしてお粥にしてくれたんだろ?」

「あぁ、それはそうだな」

気持ちだけでも嬉しいのだ。

「幸樹もありがとな、美味しかった」

「いえいえ、お粗末さまでした」

幸樹は照れ照れとしていた。

「で、俺を呼んだのには理由があるんだろ?」

「うん。そろそろ話そうと思って」

「今かよ…まぁ無理するなって言っても話すんだろうけど、体調悪化しそうになったら容赦なく止めるからな」

「うん。分かってる」

俊は俺の体調の変化にすぐ気づくからちゃんと止めてくれるだろう。

「ゆっくりで良いから、な?」

こいつは優しすぎるんじゃないのか…?

「うん。じゃあ、俊には前に話したけど俺の今日までを話そうかな。

えっと…





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…っていう話」

結構時間がかかったが全てを話すことに成功した。

幸樹は暗い顔をしていた。

「そうだったんですね…」

…これは後悔している顔だ。

「今まですみませんでした。」

「いや、お前が謝るのは違うよ」

「でも」

「俺がそう言ってたんだからお前は悪くないだろ」

「それでも、軽率でした」

嫌なヤツだと言ってはきたが、元を辿れば偽ったことを言い続けていた俺が悪いのだ。

「あー…とにかくその件は二人とも悪かったとして、今日はどうしたんだよ。今までも酷い時はあったけど、学校に来れない日なんてなかっただろ」

そう。
俺は体調が悪かろうが怪我が痛もうが学校を休むことなんてしたことがなかった。

だから俊の心配が大きいのだろう。

今日のこと。

あまり思い出したくはないが、二人には知っておいてもらった方がいいだろう。

「それが…


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