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起床
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「んぅ」
朝…じゃなかった。
そうだ。
俊の家来たんだった。
「あぁ、起きたか。調子はどうだ?」
「おはよう。寝たら良くなった。」
本当はちょっと怠いけど…
「寝てる間に一応熱計ったんだけど微熱だったから起き上がんない方がいいぞ。」
「ねつ…」
「お粥作ってもらったんだが、食えるか?」
「おかゆ…」
そういえば食べたことないな
「どうせ昨日の夜から何も食べてないんだろ?だからお粥にしたんだけど…苦手だったか?悪い」
「いや、はじめて食べるなぁ、って」
「あぁ、そうか。無理はしなくていいからな」
「うぅん。大丈夫。食べたい」
食べてみたい
「お前の大丈夫はあまり信用ならないが…まぁいいか。じゃあ持ってくるからちょっと待ってろ」
「分かった」
…ごめんな、ホントに。
看病なんてされた記憶がなくて戸惑う。
風邪なんて気力で治さなきゃいけないものだと思ってたから
「先パイ入りますよ」
「あぁ」
ガチャ
「先パイ体調は大丈夫ですか?…って言っても先パイ大丈夫しか言わないんですよね」
そう言われて苦笑する。
大丈夫かと聞かれて大丈夫ではないと主張できる方が少数だと思うが…
「俊は?」
「台所の片付けをしています。代わりに持っていけと言われまして」
「あぁ」
何だ?
片付けなんていつも後回しにするのに…
「お粥持ってきました。自分で食べられますか?」
「ありがとう。大丈夫。自分で食べられる。」
「無理そうならあーんして食べさせようと思っていたんですけど…」
危なかった…
「はい、熱いので気をつけてください。先パイ抜けてるところあるので」
余計なお世話だ
フーっと息を吹いて冷ましてから口に運んだ。
「おいしい…!」
お世辞抜きでめちゃくちゃ美味しい。
他人の手作りという点もプラスされてはいるが
「本当ですか!?めっちゃ嬉しいです。」
そんな目を輝かして言われても…
こいつ相変わらず顔整ってんな…
女子が騒ぐだけのことはある。
まぁ今はしっぽを振っている犬にしか見えないが
「お前ちょっと頭貸せ」
「何ですか?」
俺の言葉に怪訝そうな顔をしながらも頭を下げてくれる。
「これで良いですか?」
「あぁ」
…髪さらさらだな
「先パイ!?」
「何だ?」
うるさいヤツだな
「何だ、じゃなくて!なんで頭撫でてるんですか!?」
何で、と言われても…
「何か撫でたくなったから?…嫌だったか?」
頭に置いていた手を離す。
「嫌なわけがないですけど…」
そう言って離した手に頭を押し付けてくる。
本当に犬じゃないか…
「…なぁ、俺の頭も撫でてくれないか?」
「え!?あの…良いんですか?触っても…」
前の時のことを気にしてるのだろう。
「今なら大丈夫な気がするんだ。だから…お願い」
「それはズルいですよ」
ズルい手なんて使ってないと思うが
「…えっと、撫でますよ」
恐る恐る手を伸ばしてくる。
ポスッ
ゆっくりと頭を撫でられる。
「…うぅ。撫でられるの、初めて」
当然だがあの親がしてくれてたとは思えない。
「え、そうなんですか?先パイの初めて…どうでしたか?」
何か途中聞こえた気がしたが…
撫でられるとポカポカしてくる…?
「気持ちいいし、なんか嬉しい」
褒められている気がして
「それは良かったです。…大人しく撫でられてる先パイ可愛い」
やっぱなんか言ってるよな…?
「…あの、さ、お前って俺のこと好きなの?」
今聞くことじゃないかもしれないけど…
「えっと…はい。好きです。」
真っ直ぐに答えられて驚いた。
「そう、か。もし俺の話を聞いても変わらないなら…考えようとは思ってる」
気持ちが変わらないことは知ってる。
そんな生半可な気持ちじゃないだろうとは思う。
だから 何が とは言わなかった。
「聞くに決まってるじゃないですか!」
そう言うと思ってたよ。
「じゃあ俊呼んできてもらえるか?」
「え、ダメですよ!今は休まないと…」
「いや、今話したい。そんな先延ばしにするような話じゃないしな」
覚悟が決まった今が言うタイミングだろう。
「…分かりました。無理そうなら止めますからね。」
俺の話を止めることは出来ないだろうけど優しさは受け取っておこう
朝…じゃなかった。
そうだ。
俊の家来たんだった。
「あぁ、起きたか。調子はどうだ?」
「おはよう。寝たら良くなった。」
本当はちょっと怠いけど…
「寝てる間に一応熱計ったんだけど微熱だったから起き上がんない方がいいぞ。」
「ねつ…」
「お粥作ってもらったんだが、食えるか?」
「おかゆ…」
そういえば食べたことないな
「どうせ昨日の夜から何も食べてないんだろ?だからお粥にしたんだけど…苦手だったか?悪い」
「いや、はじめて食べるなぁ、って」
「あぁ、そうか。無理はしなくていいからな」
「うぅん。大丈夫。食べたい」
食べてみたい
「お前の大丈夫はあまり信用ならないが…まぁいいか。じゃあ持ってくるからちょっと待ってろ」
「分かった」
…ごめんな、ホントに。
看病なんてされた記憶がなくて戸惑う。
風邪なんて気力で治さなきゃいけないものだと思ってたから
「先パイ入りますよ」
「あぁ」
ガチャ
「先パイ体調は大丈夫ですか?…って言っても先パイ大丈夫しか言わないんですよね」
そう言われて苦笑する。
大丈夫かと聞かれて大丈夫ではないと主張できる方が少数だと思うが…
「俊は?」
「台所の片付けをしています。代わりに持っていけと言われまして」
「あぁ」
何だ?
片付けなんていつも後回しにするのに…
「お粥持ってきました。自分で食べられますか?」
「ありがとう。大丈夫。自分で食べられる。」
「無理そうならあーんして食べさせようと思っていたんですけど…」
危なかった…
「はい、熱いので気をつけてください。先パイ抜けてるところあるので」
余計なお世話だ
フーっと息を吹いて冷ましてから口に運んだ。
「おいしい…!」
お世辞抜きでめちゃくちゃ美味しい。
他人の手作りという点もプラスされてはいるが
「本当ですか!?めっちゃ嬉しいです。」
そんな目を輝かして言われても…
こいつ相変わらず顔整ってんな…
女子が騒ぐだけのことはある。
まぁ今はしっぽを振っている犬にしか見えないが
「お前ちょっと頭貸せ」
「何ですか?」
俺の言葉に怪訝そうな顔をしながらも頭を下げてくれる。
「これで良いですか?」
「あぁ」
…髪さらさらだな
「先パイ!?」
「何だ?」
うるさいヤツだな
「何だ、じゃなくて!なんで頭撫でてるんですか!?」
何で、と言われても…
「何か撫でたくなったから?…嫌だったか?」
頭に置いていた手を離す。
「嫌なわけがないですけど…」
そう言って離した手に頭を押し付けてくる。
本当に犬じゃないか…
「…なぁ、俺の頭も撫でてくれないか?」
「え!?あの…良いんですか?触っても…」
前の時のことを気にしてるのだろう。
「今なら大丈夫な気がするんだ。だから…お願い」
「それはズルいですよ」
ズルい手なんて使ってないと思うが
「…えっと、撫でますよ」
恐る恐る手を伸ばしてくる。
ポスッ
ゆっくりと頭を撫でられる。
「…うぅ。撫でられるの、初めて」
当然だがあの親がしてくれてたとは思えない。
「え、そうなんですか?先パイの初めて…どうでしたか?」
何か途中聞こえた気がしたが…
撫でられるとポカポカしてくる…?
「気持ちいいし、なんか嬉しい」
褒められている気がして
「それは良かったです。…大人しく撫でられてる先パイ可愛い」
やっぱなんか言ってるよな…?
「…あの、さ、お前って俺のこと好きなの?」
今聞くことじゃないかもしれないけど…
「えっと…はい。好きです。」
真っ直ぐに答えられて驚いた。
「そう、か。もし俺の話を聞いても変わらないなら…考えようとは思ってる」
気持ちが変わらないことは知ってる。
そんな生半可な気持ちじゃないだろうとは思う。
だから 何が とは言わなかった。
「聞くに決まってるじゃないですか!」
そう言うと思ってたよ。
「じゃあ俊呼んできてもらえるか?」
「え、ダメですよ!今は休まないと…」
「いや、今話したい。そんな先延ばしにするような話じゃないしな」
覚悟が決まった今が言うタイミングだろう。
「…分かりました。無理そうなら止めますからね。」
俺の話を止めることは出来ないだろうけど優しさは受け取っておこう
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