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13.夏合宿1
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〈シリル視点〉
黒い髪に黒い目。
この世界で、災いとされている特徴を持つクラウス。
俺は最近、彼のことを怪しんでいる。
最初は俺もクラウスの容姿に抵抗があり、皆と同じように避けていた。彼に初めて声をかけた時の第一印象は、なんか疲れた感じの顔で、その草臥れた感は同い年とは到底思えなかった。黒髪黒目を除けば、凡庸な感じだ。態度も穏やかな方だと思う…それなのに災いの容姿をしているのが、ちぐはぐで不気味だった。なんか別の本性を隠してるのか?あのアイザックも、最初は親切そうな顔をして人々に近づき…。
…だが、その印象は、割とすぐに薄れていった。
きっかけは、授業でマシューと対戦したクラウスが怪我をしたのを医務室に送り届けた時のことだ。
彼は、医務室のおばさんのごく普通の治癒魔法を、まるで初めて魔法を見たようにキラキラした目で見つめた。心から驚き、そして尊敬の眼差しをおばさんに向ける。魔法が当たり前のこの世界で、俺たちは魔法に対して何の特別感もなかった。むしろ、できて当たり前すぎて…感動するという心を忘れていたかも知れない。だから、クラウスの心の底からの驚きや尊敬の眼差しを見るたび、俺たちは何だかくすぐったくなる。
…彼の反応は、まるで初めて魔法を使った赤ん坊と似てる…──まるで、本当に魔法を知らない世界から来た人、みたいな。…何を言っているんだろう。そんなわけないのに?
本当に興味深い。
そこから、俺のクラウスに対する認識は変わった。
驚いたのは、幼馴染のノアも、彼と関わりを持とうとしたことだ。ノアはその容姿から皆に慕われるが、特別自分から友達を作ろうとはしない。昔人間関係で拗れたせいか…すぐ毒舌になるしあまり人を信用しないところがある。
にも関わらず、クラウスにはどうやら心を開きかけているようだ。幼馴染でアイツを隣でずっと見てきた俺には分かる。
クラウスは、もしかしたら噂のような人物ではないのかもしれない。
彼の近くにいると、彼自身のまるで大人のような妙な達観してる感と、穏やかな態度のせいで、何か毒気が抜かれる。あのノアでさえ、彼には素直だ。本当に妙な男だ。
妙なことと言えば…そのクラウスが急に魔法を使えるようになったことだ。正確には、魔力はあったらしいが、それを使いこなせるようになったということだ。
でも…それが妙なんだよな。マシューたちに放ったらしい魔法は高度なものだったのに、クラウスが今使えるのは、初級の魔法だけだ。それこそ、初中等部で習うような…。それしか使えないようだ。
いきなり使えるようになったのも、なんか変だ。
彼は、何か隠しているのだろうか?
彼に嘘をつかれていると想像すると、…ショックだった。それほど、俺も彼に絆されているのか。
俺も、彼を疑いたくはない…。もうちょっと、仲良くなれれば何か変わるのだろうか…。
*
あー…ねっむ。
クラウスは重い体を起こした。
ここ最近、寝ているはずなのにずっと眠れていないような倦怠感がある。まるで、社畜していた時期に戻ったみたいだ。
…まさか、赤水晶の影響じゃないよな?この前の期末テストの時は水晶の力を使い過ぎた自覚はあるが、まだ影響があるというのか。
ま、でもすぐに慣れるだろう。このくらいなら、ちょっと夜更かしした後みたいなだけで、別に大丈夫だ。
それにしても…期末テストは散々だった。
あの後、クラウスは医務室で目覚めて飛び上がった。なんと、ベッドの側に美形が椅子に座ったまま寝ているではないか。その美形は、ギルバートだった。過労みたいに倒れたクラウスを、ギルバートは医務室に運んで、心配でずっと側にいてくれたらしい。
それを聞いた時、俺は軽く心を動かされた。
なんて良いやつなんだ。ギルバートは王子でもあるから、学園でも最も忙しい身だ。にも関わらず、全部ほっぽり出してクラウスの世話をしてくれた。最近は自主練も一緒にしてくれるし…かなり面倒見の良い性格なんだろう。
俺が起きた時も、あの仮面のような表情を崩して、心底ほっとしたような顔をした。
俺は初めて見る表情に驚いた。ただの体力の限界で倒れただけでそんな大袈裟な…と社畜精神に染まってしまった俺は思ったが、彼いわく、前俺が怪我をして倒れていたのが思い出されて、ずっと心配だったのだ、と。
そのクラウスを見つめる碧眼はただ心配そうに揺れており、申し訳なく思った。
彼は同時に、今回起きたことに怒りを滲ませつつ、不審がっていた。
俺に嫌がらせする者は後を絶たないが、最後に殺意さえ感じる攻撃魔法を仕掛けたのは誰だったのか?
妨害行為をした生徒たちは、話を聞いても最後の攻撃まではしていないそうだ。確かに、あれは生徒が使うような魔法ではなく、古い魔法らしい。なんか聞いたことのある言葉だ。…マシューたちに放ったとされた魔法も、古い風魔法。偶然?
「…でも、もう学園で危険な目には合わせない」
静かな声で言うと、ギルバートがなぜか真っ直ぐ見つめてくる。
「…何かあったら必ず俺が助ける」
クラウスは目を見開いて彼を見る。目の合ったギルバートの表情は真剣そのものだった。その綺麗な氷のような色の瞳に、思わず吸い込まれるように魅入ってしまう。
…一体、いつからギルバート王子は俺にこんなに好意的になったんだろう。
クラウスはほんのり顔が熱くなるのを感じて、慌てて湧いてきた気持ちを振り払った。
…いや、今のは流石にかっこ良過ぎだろ。…なんで俺動揺してるんだ?
*
期末テストが終わったということは…夏の長期休みが来る。この世界でも、それは同じようだ。ただ、夏より冬の方が休み期間が長いらしく、寮生活の王立学園では夏も変わらず学園で過ごすようだ。そして夏休暇期間に何があるかというと…
「合宿?」
クラウスはシリルの言葉に聞き返す。
「そう。1年の夏休暇の間には合宿がある。『氷の森』付近に行くんだ」
『氷の森』…ここより北にある避暑地として有名な森だ。1年は、毎年ここで魔法強化合宿を行う。いつもと違う自然の中での魔法訓練をしたり、皆で料理を作ったり…交流も目的にしているみたいだ。
「ね、君はまだ危なっかしいんだから、合宿中も僕らとあんまり離れないでよ」
ノアがぶっきらぼうに言ってくるが、その目は少し心配そうだ。
離れるも何も、仲良くなったリリーやギルバートが居ない1年の中でノアたちと離れたら、また何かに巻き込まれることは容易に想像できる。クラウスこそ、ノアたちがいてくれて助かるのだ。
「ありがとう。よろしくな」
心配してくれたのが嬉しくてつい顔が綻んでしまうと、ノアとシリルがなぜか照れたように視線を逸らした。
*
さて、合宿の日はあっと言う間に来た。
『氷の森』に到着した彼らは、朝から森の中で訓練、夜は自炊、また次の日も魔法を使った遊び、等々盛りだくさんで、とうにこういうイベントを忘れていたクラウスは若者との体力の差を痛感していた。
筋肉痛になるぞこれは…。
そんな合宿中、クラウスはほぼシリルとノアと共に過ごしていた。
俺を嫌っている生徒たちはまだいるだろうが、流石にこの合宿中、何かをしてくることはなかった。
──そんな中、クラウスたちにも影が忍び寄っていることを誰も知らなかったのだ。
さて、何も起きずこの合宿が平和に終わろうとしていたその時。
「今日、例の鬼ごっこやるらしいよ!」
合宿最終日の朝、ノアが楽しげに声をかけてくる。
例の鬼ごっことは?
それは、合宿で恒例の行事となっている、先生と生徒による文字通り鬼ごっこだ。『氷の森』の中で、鬼になった先生が逃げるのを、生徒皆で手分けして魔法を駆使しながら探すというゲームらしい。
生徒たちはそれぞれ数人からなるチームに分かれ、先生を捕まえられたチームに景品があるとか。
「森の中に光の結界を使って範囲を決めたから、それ以外の場所に行くなよ~」
先生が注意事項を言っている。まぁ大きなこの森の中を全部使ったら遭難者が出そうだしな。
「じゃ、今からチーム分けしていくぞ」
クラウスは、シリルとノアと同じチームになった。
先生たちは、一応仲の良いグループで組ませているらしい。
「先生たちを足止めして、体に触れられた者が勝者だ!いいか、決して生徒の間では魔法を使わないこと。先生たちにはいくら使ってもいいぞ!その代わり先生たちも全力で魔法を使うからな!中々捕まらないと思うぞ~」
2人の先生が逃げ、他の引率の先生はいざという時のために、生徒たちを見守っているらしい。
「では、はじめ!」
先生が森の中に消えていった後、いよいよクラウスたちも森に入った。
森は昼間でも薄暗い。
ノアが光の魔法を出して、辺りを明るく照らしている。
「ね、僕らが1番先に見つけちゃおうよ」
ノアが自信ありげに目配せする。
「俺たちならいけそうだな」
「(お願いだから走らないでね…俺ついてけないかもだから)」
そんなこんなで3人は森の中を進んでいたのだが…
はたと、段々あることに気がついた。
この『氷の森』、思った以上に暗くないか?
さっきから、段々、濃霧のようなものも出ている気がする。
こんな視界が悪い中、果たして先生たちを探せるのか、段々不安になってきた。
「…なんかさっきからおかしいよね」
しばらく進んだ後、ノアも不審に思ったのか、立ち止まる。
「この霧…こんな急に霧が立ち込めることなんてある?これじゃゲームにならない」
「…そうだな。見守ってるはずの先生に知らせるか?このままじゃ、誰か迷子になる」
シリルは言うと、空に向かって照明弾のように火の玉を上げた。
しかし、あまりに霧が濃すぎて、照明弾も見えなくなる。
シーン
と嫌な静けさが3人を包み込んだ。
「──まずいな。先生に知らせる方法がない。とりあえず、誰かと合流するか?──」
ギャーッ!!
その時、遠くで誰かの悲鳴が聞こえた。
黒い髪に黒い目。
この世界で、災いとされている特徴を持つクラウス。
俺は最近、彼のことを怪しんでいる。
最初は俺もクラウスの容姿に抵抗があり、皆と同じように避けていた。彼に初めて声をかけた時の第一印象は、なんか疲れた感じの顔で、その草臥れた感は同い年とは到底思えなかった。黒髪黒目を除けば、凡庸な感じだ。態度も穏やかな方だと思う…それなのに災いの容姿をしているのが、ちぐはぐで不気味だった。なんか別の本性を隠してるのか?あのアイザックも、最初は親切そうな顔をして人々に近づき…。
…だが、その印象は、割とすぐに薄れていった。
きっかけは、授業でマシューと対戦したクラウスが怪我をしたのを医務室に送り届けた時のことだ。
彼は、医務室のおばさんのごく普通の治癒魔法を、まるで初めて魔法を見たようにキラキラした目で見つめた。心から驚き、そして尊敬の眼差しをおばさんに向ける。魔法が当たり前のこの世界で、俺たちは魔法に対して何の特別感もなかった。むしろ、できて当たり前すぎて…感動するという心を忘れていたかも知れない。だから、クラウスの心の底からの驚きや尊敬の眼差しを見るたび、俺たちは何だかくすぐったくなる。
…彼の反応は、まるで初めて魔法を使った赤ん坊と似てる…──まるで、本当に魔法を知らない世界から来た人、みたいな。…何を言っているんだろう。そんなわけないのに?
本当に興味深い。
そこから、俺のクラウスに対する認識は変わった。
驚いたのは、幼馴染のノアも、彼と関わりを持とうとしたことだ。ノアはその容姿から皆に慕われるが、特別自分から友達を作ろうとはしない。昔人間関係で拗れたせいか…すぐ毒舌になるしあまり人を信用しないところがある。
にも関わらず、クラウスにはどうやら心を開きかけているようだ。幼馴染でアイツを隣でずっと見てきた俺には分かる。
クラウスは、もしかしたら噂のような人物ではないのかもしれない。
彼の近くにいると、彼自身のまるで大人のような妙な達観してる感と、穏やかな態度のせいで、何か毒気が抜かれる。あのノアでさえ、彼には素直だ。本当に妙な男だ。
妙なことと言えば…そのクラウスが急に魔法を使えるようになったことだ。正確には、魔力はあったらしいが、それを使いこなせるようになったということだ。
でも…それが妙なんだよな。マシューたちに放ったらしい魔法は高度なものだったのに、クラウスが今使えるのは、初級の魔法だけだ。それこそ、初中等部で習うような…。それしか使えないようだ。
いきなり使えるようになったのも、なんか変だ。
彼は、何か隠しているのだろうか?
彼に嘘をつかれていると想像すると、…ショックだった。それほど、俺も彼に絆されているのか。
俺も、彼を疑いたくはない…。もうちょっと、仲良くなれれば何か変わるのだろうか…。
*
あー…ねっむ。
クラウスは重い体を起こした。
ここ最近、寝ているはずなのにずっと眠れていないような倦怠感がある。まるで、社畜していた時期に戻ったみたいだ。
…まさか、赤水晶の影響じゃないよな?この前の期末テストの時は水晶の力を使い過ぎた自覚はあるが、まだ影響があるというのか。
ま、でもすぐに慣れるだろう。このくらいなら、ちょっと夜更かしした後みたいなだけで、別に大丈夫だ。
それにしても…期末テストは散々だった。
あの後、クラウスは医務室で目覚めて飛び上がった。なんと、ベッドの側に美形が椅子に座ったまま寝ているではないか。その美形は、ギルバートだった。過労みたいに倒れたクラウスを、ギルバートは医務室に運んで、心配でずっと側にいてくれたらしい。
それを聞いた時、俺は軽く心を動かされた。
なんて良いやつなんだ。ギルバートは王子でもあるから、学園でも最も忙しい身だ。にも関わらず、全部ほっぽり出してクラウスの世話をしてくれた。最近は自主練も一緒にしてくれるし…かなり面倒見の良い性格なんだろう。
俺が起きた時も、あの仮面のような表情を崩して、心底ほっとしたような顔をした。
俺は初めて見る表情に驚いた。ただの体力の限界で倒れただけでそんな大袈裟な…と社畜精神に染まってしまった俺は思ったが、彼いわく、前俺が怪我をして倒れていたのが思い出されて、ずっと心配だったのだ、と。
そのクラウスを見つめる碧眼はただ心配そうに揺れており、申し訳なく思った。
彼は同時に、今回起きたことに怒りを滲ませつつ、不審がっていた。
俺に嫌がらせする者は後を絶たないが、最後に殺意さえ感じる攻撃魔法を仕掛けたのは誰だったのか?
妨害行為をした生徒たちは、話を聞いても最後の攻撃まではしていないそうだ。確かに、あれは生徒が使うような魔法ではなく、古い魔法らしい。なんか聞いたことのある言葉だ。…マシューたちに放ったとされた魔法も、古い風魔法。偶然?
「…でも、もう学園で危険な目には合わせない」
静かな声で言うと、ギルバートがなぜか真っ直ぐ見つめてくる。
「…何かあったら必ず俺が助ける」
クラウスは目を見開いて彼を見る。目の合ったギルバートの表情は真剣そのものだった。その綺麗な氷のような色の瞳に、思わず吸い込まれるように魅入ってしまう。
…一体、いつからギルバート王子は俺にこんなに好意的になったんだろう。
クラウスはほんのり顔が熱くなるのを感じて、慌てて湧いてきた気持ちを振り払った。
…いや、今のは流石にかっこ良過ぎだろ。…なんで俺動揺してるんだ?
*
期末テストが終わったということは…夏の長期休みが来る。この世界でも、それは同じようだ。ただ、夏より冬の方が休み期間が長いらしく、寮生活の王立学園では夏も変わらず学園で過ごすようだ。そして夏休暇期間に何があるかというと…
「合宿?」
クラウスはシリルの言葉に聞き返す。
「そう。1年の夏休暇の間には合宿がある。『氷の森』付近に行くんだ」
『氷の森』…ここより北にある避暑地として有名な森だ。1年は、毎年ここで魔法強化合宿を行う。いつもと違う自然の中での魔法訓練をしたり、皆で料理を作ったり…交流も目的にしているみたいだ。
「ね、君はまだ危なっかしいんだから、合宿中も僕らとあんまり離れないでよ」
ノアがぶっきらぼうに言ってくるが、その目は少し心配そうだ。
離れるも何も、仲良くなったリリーやギルバートが居ない1年の中でノアたちと離れたら、また何かに巻き込まれることは容易に想像できる。クラウスこそ、ノアたちがいてくれて助かるのだ。
「ありがとう。よろしくな」
心配してくれたのが嬉しくてつい顔が綻んでしまうと、ノアとシリルがなぜか照れたように視線を逸らした。
*
さて、合宿の日はあっと言う間に来た。
『氷の森』に到着した彼らは、朝から森の中で訓練、夜は自炊、また次の日も魔法を使った遊び、等々盛りだくさんで、とうにこういうイベントを忘れていたクラウスは若者との体力の差を痛感していた。
筋肉痛になるぞこれは…。
そんな合宿中、クラウスはほぼシリルとノアと共に過ごしていた。
俺を嫌っている生徒たちはまだいるだろうが、流石にこの合宿中、何かをしてくることはなかった。
──そんな中、クラウスたちにも影が忍び寄っていることを誰も知らなかったのだ。
さて、何も起きずこの合宿が平和に終わろうとしていたその時。
「今日、例の鬼ごっこやるらしいよ!」
合宿最終日の朝、ノアが楽しげに声をかけてくる。
例の鬼ごっことは?
それは、合宿で恒例の行事となっている、先生と生徒による文字通り鬼ごっこだ。『氷の森』の中で、鬼になった先生が逃げるのを、生徒皆で手分けして魔法を駆使しながら探すというゲームらしい。
生徒たちはそれぞれ数人からなるチームに分かれ、先生を捕まえられたチームに景品があるとか。
「森の中に光の結界を使って範囲を決めたから、それ以外の場所に行くなよ~」
先生が注意事項を言っている。まぁ大きなこの森の中を全部使ったら遭難者が出そうだしな。
「じゃ、今からチーム分けしていくぞ」
クラウスは、シリルとノアと同じチームになった。
先生たちは、一応仲の良いグループで組ませているらしい。
「先生たちを足止めして、体に触れられた者が勝者だ!いいか、決して生徒の間では魔法を使わないこと。先生たちにはいくら使ってもいいぞ!その代わり先生たちも全力で魔法を使うからな!中々捕まらないと思うぞ~」
2人の先生が逃げ、他の引率の先生はいざという時のために、生徒たちを見守っているらしい。
「では、はじめ!」
先生が森の中に消えていった後、いよいよクラウスたちも森に入った。
森は昼間でも薄暗い。
ノアが光の魔法を出して、辺りを明るく照らしている。
「ね、僕らが1番先に見つけちゃおうよ」
ノアが自信ありげに目配せする。
「俺たちならいけそうだな」
「(お願いだから走らないでね…俺ついてけないかもだから)」
そんなこんなで3人は森の中を進んでいたのだが…
はたと、段々あることに気がついた。
この『氷の森』、思った以上に暗くないか?
さっきから、段々、濃霧のようなものも出ている気がする。
こんな視界が悪い中、果たして先生たちを探せるのか、段々不安になってきた。
「…なんかさっきからおかしいよね」
しばらく進んだ後、ノアも不審に思ったのか、立ち止まる。
「この霧…こんな急に霧が立ち込めることなんてある?これじゃゲームにならない」
「…そうだな。見守ってるはずの先生に知らせるか?このままじゃ、誰か迷子になる」
シリルは言うと、空に向かって照明弾のように火の玉を上げた。
しかし、あまりに霧が濃すぎて、照明弾も見えなくなる。
シーン
と嫌な静けさが3人を包み込んだ。
「──まずいな。先生に知らせる方法がない。とりあえず、誰かと合流するか?──」
ギャーッ!!
その時、遠くで誰かの悲鳴が聞こえた。
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