ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori

文字の大きさ
4 / 64

4話 まずは準備だ

しおりを挟む
 2度寝から目覚めた時には頭痛もましになっていた。
さて動くか。まずは部屋付きのバトラーを呼ぼう。

 
 風呂からあがった俺は今地図を眺めている。宝島の地図みたいだ、お絵かきしたようなとも言う。

「ご希望の場所はここ、王都の西北、馬車で半日というところでございます」
 
 探しているのは修道院、あのお花畑娘をなんとかしなくては動きがとれない。
かといって、放り出すのも気が引けるし。

「それで・・・」

「はい、大金貨2,3枚を寄進なされば、それなりに先方の御心に適うかと存じます」

 なにも言わずとも通じる、バトラー・ジェフリーはできる男だ。

 説明しよう。
修道院の内部にはランクがある。大雑把に言えば2つ。

 ひとつは下働きを主に担う層。
身一つで神に仕えたいと申し出ると、労働が喜捨になる。なので、下働きと畑仕事のみで一生を終える。

 もうひとつは知的階級というか。
入るときにそれなりのものを渡せば、それなりの待遇を受ける。
お祈りの日々は変わらないのだが、合間の労働が聖堂の掃除とか文書、絵画の模写とかになる。

 それらとは別に、貴族の娘にマナー・教育を受けさせる、淑女の学校めいた施設も持つ。

 そうでない場所もあるが、王都に近いところはこのようなシステムをとっているところが多い。

「では、そのように。明日の朝出立する。馬車と護衛の用意も頼む。
そのまま私だけはニルべの街に行くので、そこで依頼完了としたい」

 ニルベの街は王都から馬車で一日弱の距離にあり、人口10万人、王都の衛星都市として栄えている。
いやさ、王都で冒険者をやるのは距離が近すぎて家族もやりにくいだろう。

 それに、もろ王子とわかる俺が初級冒険者として下町をうろちょろする。
住民も困惑するだろうし、妬んだり、過去に貴族にひどいめにあわされた人間が、いちゃもんをつけたり、暴力を振るってくる可能性も・・・100%ある。
こりゃ大騒ぎになることが確定だね。誰がそんな目に会いたいと思うんだ。

 そこでニルベの街だ。
王家の監視の目が行き届きつつ、多少自由に振舞えそうなところを選んだわけだ。悪くない街だしな。
監視が気にならないかだと?王族のはぐれものを放置するなど、ありえないと知っているので、かまわないで呉れるのなら視線のわずらわしさは気にしないつもりだ。
 
 実はバトラー・ジェフリーもそうだ。顔を見て思い出した、こいつは兄の、王太子の従僕の一人だと。
兄には十数人の従僕がいて、こいつに会ったのも2回程しかない。
でも記憶のライブラリーを見せられたばかりの俺には分かった。
そういうわけで、彼のことはある程度信頼できるので、安心して、バンバンお願いができる訳だ。
悪いことばかりではないだろう。

「それで頼んだものは用意できたのか」

「はい、こちらに」

 背後のワゴンに乗った2つの皮袋をジェフリーはテーブルに置いた。
中には金貨が250枚、他方の袋には銀貨が500枚入っていた。よく揃えられたよな、感心する。
さすが王太子の従僕だ。俺はにんまりと笑う。これで行動の自由がきく。

 神様はこの王子の記憶を見ればこの世界の知識は身に付くとかほざいていたけれど、とんでもハップン(古いか・・・古いよね)
こいつには王族のうわべの知識しかなかった。

 まず金を使ったことがほとんどない。かつ単位は大金貨、もしくは金貨まで。宝飾品しか買ったことのないこいつにはそれで足りただろうけれど、一般人には無用の知識だ。そしてそれ以外はほとんど知らない。
使えないにもほどがあるだろう。
 
 だから、俺はジェフリーに物の値段をあれこれと教えてもらい、大金貨が100万、金貨が10万と推測した。それでこの両替だ。
現代と違って経済の発達していない時代は両替ひとつでも困難が伴う。ここ以外でそうそう出来るとも思わない。
それに考えても欲しい、100万円の束を持って買い物に来る奴に、つり銭を出せる店がどのくらいあると思う?
大型店以外は無理だろう。いわんや現代でなくこの世界では。

 まあ、そういうことだ。ジェフリーを寄越してくれた王太子に乾杯!感謝だな。


 さて出かけるぞ。やっと街が見れる。ファンタジーだ、やっふぃー!


 ブレスレットにむけてクローズドセサミの呪文を唱えた俺に不安はない。宿から案内の人間を出してもらいまずは武器やだな。
下町まで行くと、お目当ての店が見えてきた。平民街は石造りの建物が多くてそれなりに整っていたが、こちらは表通り以外はごちゃごちゃとしている。
 
 剣とか剣とかモーニングスター、そして弓が壁に陳列されている。お~お、すごい!
奥のほうには業物らしき剣がいくつもある。すごい!思わず見とれてしまう。
でも残念。すごい武器はお値段もすごかった。
入り口には金貨1枚から奥のほうには大金貨100枚の武器が陳列されている。
 
 じっくりと見てみたが俺にはよくわからない。青銅でなくて鉄器であるのが幸いとしか言えない。
よし決めた。中間をとって大金貨1枚の武器を手に取る。振ってみるとなかなかの好感触だ、これにしよう。
ついでにナイフも手に入れる。金貨3枚の品だ。

 そして店頭にある樽に放り込んである剣を最後にみる。
なんでかって?ロマンじゃないか、こういう掘り出し物を探すのは。

 あった、ありましたよ。青銅の剣、銀貨5枚なり。こいつが俺を呼んでいる、なんちゃってな。ははは・・・
大金貨2枚を出して、金貨7枚のおつり。青銅の剣はサービスしてもらった。俺は王子ではない、そのくらいは出来なくてはね。

 防具やでは皮の胸当てと篭手を簡単に、俺にはブレスレットがあるから。

 服屋では冒険者らしき?丈夫な服を3組求める。

 最後は雑貨屋だ。袋にテント、毛布、鍋に食器、火をつける道具そして背負い袋等々・・・買いすぎて背負い袋に詰めてもなお余り、買った袋2つにも詰め込んだ。案内人の人ごめんね、荷物は2人でなんとか持ち帰れた。ちょっとファンタジーに浮かれすぎていたな。反省。

 今晩でこの宿ともお別れだ。男爵令嬢はおとなしく部屋にいるそうなので安心だ。
さて、朝目を覚ました時から、やることが多くてばたばたしていたが、やっとゆっくりできる。

 部屋には鍵を掛けてある。ポーチの中身を調べよう。

 ちょっとこれは・・・
実は王子は家族に愛されていたんだ。知らんかった・・・・・
宝飾品はいい、身の回りの品としてペンとインクがあるのもいい。

 クローゼット(金糸銀糸宝石を使っていない黒、紺系統の服と多量の下着入り)
 靴、手袋エトセトラ
 書き物机に椅子、ティーテーブルは4客の椅子付き
 小ぶりのクローゼットには小間物がぎっしり
 いわゆる茶箪笥?にはティーセットが3組ほど、もちろん推定王子が好きそうな茶葉がぎっしりと。

 最後にまくらと毛布数枚(天蓋ベッドに合わせて大きかった)を見たときには眩暈がした。
もちろん武器も入っていた。立派過ぎて封印するしかなかったが。
社会的立場と私的立場は違うと言うが、家族仲よかったんだな。

・・・・・これは・・・色々と考えなくては・・・

 そして、よくもこれだけ入っていたなという品々はブレスレットに移した。今はいらん。
背負い袋にあれこれ詰め込むと剣とナイフ以外のものはすべてポーチに入れた。ここで買った荷物はすべてだ。
疲れた・・・家族愛にあきれて・・・お休み・・・zzzzzz




しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい

夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。 彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。 そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。 しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...