ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori

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10話 再度ブランデーを

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 目が血走り、髪は乱れ、ついでに服も乱れて、荒んでいる様は前に現れたときのオリバーにそっくりだった。
ただ、こいつは文官なので、心配することはない。
オリバーも守ってくれると言ったしな、言ったよな、大丈夫、大丈夫。

「久しぶりだな、ゴードン」

 同じ挨拶をする俺、芸がないな。
とりあえず、椅子に座らせる。間に小机、向かいのベッドには俺。
デジャビューを感じる。オリバーは側に立っている、護衛はしてくれるらしい。

 トントン、トントン、再びノックの音がする。
オリバーがドアを開けると、おやじさんが立っていて、ブランデー3本とカップ3個、乾きもののつまみの皿の載ったお盆を差し出してくる。気が利きすぎだ。ブランデーはまだ2本も残っています。

 オリバーは会釈をすると黙ってそれを受け取り、机にそれらを置く。
ゴードンは前回のオリバーとは違い、話はできるようだ。

「ジルベスター様、男爵令嬢はどこにいるのですか。
会って、あの可愛らしい笑顔に癒されたい。
美しいくり色の髪がふわりとたなびき、そばに寄ると花の香りがする・・・」

 しかし自分の考えに固執している。めんどうだ。
とりあえず飲ませよう。銅のカップにどばどばとブランデーを注ぐ。

「さあ、まずは飲め」

 こくこくと飲むゴードン。

「ご一緒されているとばかり思っていたのですが、違うのですか?
今頃、心細い思いをしていると思うと、いても立ってもいられません。
はやく側にいってあげなければ、彼女は泣き虫だから・・・」

 どばどばとカップに酒を注ぐ俺。

「さあ、飲め」

 こくこくと飲むゴードン。

「どこに隠されているんですか。
彼女の好みのソファーは、ビスタの作です。
ここでは手に入れがたいものですから、私が用意しなければ。
カーテンは小花柄の薄いピンクが好きでした。
テーブルは白でデザインは猫足の華奢なもの。
お茶は南方産のファーストフラッシュ、お菓子はマカロンとミルフィーユ。
素朴な果実入りのクッキーも好きでした・・・」

 このまま、こいつの話を聞くのも大変だ。
俺はブレスレットをはずし、薬珠の欠片を手にした。

「これを飲め、オリバーも飲んだ薬だ」

 いや、かつての主とはいえ、我ながらなんという言い草だろう。
ゴードンはそれをみて、

「飲んだら、彼女の居場所を教えてくださるのですね」

 と言いながら、口に放り込んだ。
そしてぱたりと小机に伏せ、あっというまに寝入った。
オリバーはすばらしい反射神経を発揮して、酒瓶とつまみの皿を手に持ち難を避けた。

 あいつの時はそのまま伏せたから、つまみの皿も、酒瓶もカップも小机から転げ落ち、全く手をつけていない乾きもののつまみは、その軽さもあって部屋中に散らばったものだった。
もちろん片付けたのは俺だ。

 そして奴の活躍により大惨事はさけられた。
ただ、銅のカップだけが勢いをつけて床にころがり、からからと音を立てている。
俺とオリバーは顔を見合わせ、ため息をついた。

 オリバーが自分の部屋から、小机と椅子を持ってきて、俺たちも酒を飲むことにした。

「うまくいきましたね」

 安心したようにつぶやくオリバー。

「ああ、というか、俺のあんな言葉で薬を飲むのが信じられない」

「いや、飲むでしょう、普通」

「なに怖いこと言っているんだよ、お前は」

 引くぞ、俺はそんな台詞を聞きたくない。

「思いつめていたし、酒のせいも少しはありますが、十数年お仕えしてきた方の言葉です。
わたしも飲んだ薬だと聞けば、飲まないということはないでしょう」

 俺はORZしそうになった。王政怖い、そこまで主君の言うことを聞くのかよ。
異世界の常識はまだまだ俺には手強いようだ。

「それでですね・・・」

 さらっと流すなよオリバー、まあ不毛な会話は俺もしたくはないから、いいけどさ。

「教官から話が伝わったみたいですね。
うまくいってよかったです」

「そうだな子爵領は王都と近いし、とりあえずの試しかな」

 オリバーは俺の指示で教官に男爵令嬢が魅了の魔法を使ったと報告している。
彼は近衛騎士だったので、当然のように教官の顔を知っていた。
それで隠しようもない教官は苦笑いしながらも、俺がとある方法で、男爵令嬢の魔法の力を削ぎ、オリバーに掛けられている魅了の魔法をといたとの報告を聞いてくれた。

 そして男爵令嬢に関しては、本人に自覚がなく修道院にも入っているので、そのまま監視をするにとどめてくれるように頼んだ。ただし、こちらはどうころぶかはわからない。俺の決めることではないから。

 翌日の夕方にやはりゴードンも目覚め、魅了の魔法にかかっていたと聞くと、ぽろぽろと泣き始めた。
俺は再び、タオルを頭に被せてやり、オリバーはぼつぼつとこぼすゴードンの話を、頷きながら聞いていた。
俺は2人の話を聞きながら酒を飲む、3人で飲んだので無事残り2本のブランデーも消え去った。

 翌日の朝には3人で朝食のために下に降り、また頭を下げた。
ゴードンは2人分の朝食をがっついて平らげ、今度も周りから生温いまなざしを注がれたが、今度はそれだけではなく、「顔が良くても残念な3人組」という、ひそひそ話しまで加わった。俺は関係ないだろー、こんちくしょう!
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