ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori

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9話 2人目の側近

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 入ってきた門、つまり王都側と反対方向に出ると、あたりには草原が広がっていた。その先には森。
まずは薬草採取だな。
指導員のサガードさんとオリバー、俺の3人で森へ向かう。そして森に入ってからも1時間、計2時間も歩く予定だ。
俺のイメージだと、草原で採取、子供は森の奥に入ってはいけませんよと注意される、そう思っていたんだが、

「あの草原に薬草は生えていないんですか?」

「昔はあったと聞いているが、冒険者や街の人たちが採取した結果、どんどん採取場所が遠くなっている。
街も大きくなっているし、そういうことだよ。
探せばあるのだろうけれど・・・」

と言って、肩をすくめる。俺も草原を見渡す。草原と言っても、草が生えているのは全体の1/5ぐらい、子供の遊び場所に良いだろうといった塩梅で、あまり豊かな土地には見えない。

「薬草の栽培はされていないんですか?」

「しているらしい、王宮の薬草園は有名だな。
ただ効果の大きい薬草しか研究していないらしく、これが金がかかる、かかる。魔石を使わないと育てられないものや、動物の死体を肥料として育つものもあるそうで、一般的ではないな。
普通の薬草はこうして採取できるので、わざわざ高い金を費やしてまで研究しようという人間はいない」

「そう・・・なんですか」

「現場の人間はジリ貧の状況をよしとはしていないが、個人でどうこうできることでもないしな」

 ファンタジーの世界にもそのような問題があったとは。
なぜだか、ファンタジーの草原は薬草を採っても、採っても、無限に再生する場所だと決め付けていた。
持ち去れば、その土地は循環がきかず、やせ細る。肥料を与えない土地が再生するのは異世界といえどありえないことなのだ。はげちょろけた草原を見れば、一目瞭然だ。


 草原でやみくもに探すよりも森の中の採取のほうがみつけやすいそうだ。
〇〇の木の根元に生えているとか、半日陰の水気の多いところに生えているとか、生育条件のわかっているものも多い。なので採取のプロフェッショナルはそれなりに稼げるそうだ。ただし、その多量の知識を身につけるのが大変で、魔物討伐の方に流れる人間のほうが断然多いらしい。
なお、〇〇の木も△△の木も、水気が多い場所の見当も付かない俺には、どちらの採取も大変としかいいようがない。

 その知識と森の歩き方を教えてもらう。
オープンセサミと唱えて結界も切った。
小枝にぶつかり、とがった石に痛い思いをしなければ、この体は森での動き方を理解しないだろう。
獰猛な獣が出てこないことを祈る。

「そろそろ、いいかな」
 サガードさんの指示により俺たちは薬草採取を始めた。


 薬草採取を2時間近く行い、へとへとになった俺たち(サガードさんは除く)は昼を取ることにした。
簡単にそこいらの石を積み上げて小さなかまどををつくる。お茶を入れて、持ってきたお昼を取り出す。
あぁ、黒パンとハムが腹にしみる。お茶がうまい。

「今日はこの辺で帰ることにするぞ」

「えっ、角うさぎは?」

「あの草原にいるが、みつけるのは大変だ。
やりたいというのなら、止めないが」

 そして俺たちを眺め回して一言。

「弓が使えないと狩人は無理だな。
剣は人間か魔物にしか通用しないぞ」

 ごもっとも、でも楽しみにしていたんだ。
サガードさんをじっと見ると。

「少しだけな」
と言って立ち上がった。休憩はお終いだ。

 森を出て、はげちょろけの草原を歩き回りながら眺める。
これは鑑定さんの出番かな。いままでは何となく使っていなかったが、長年の夢の為だ、いたしかたあるまい。
オリバーが俺の肩をたたき、前方を指差す。

「ジルさ・・・えっと、あそこ・・・6つ目の草むらに一羽います」

 ジルさって、なんだよ。まあいい。鑑定さん、オン、場所を確定。

「ストーンバレット、ストーンバレット」

 散弾なら外しにくいだろう。
無事当たったらしく、角うさぎは動かなくなった。
倒れた角うさきに近寄ってみるとぼろっとしている。

「過剰戦力だな、せっかくの毛皮がだいなしだ。気も済んだだろう、さあ戻るぞ」

 しょうがないだろう、ちょっと角うさぎのいるところが遠かったんだよ。
疲れた、帰ろう。

ギルドに戻ると、もっと疲れることが待っていた。

「はい、角うさぎは角と肉を合わせて銅貨8枚。
薬草は定番のものですが、全部で銀貨2枚と大銅貨2枚ですね。
葉が痛んでいるものがありました。もう少し丁寧に採取していただけたら多少ですけれど値段も上がります。
お疲れ様でした」

 受付のお兄さん(争いの種になるような女性はここには置いていない)の差し出したトレイに乗っている報酬を受け取る。
最初からの約束でギルドからの報酬は、サガードさんと俺、オリバーで2:1:1で分けることになっている。

 宿に帰り、俺の部屋で反省会だ。
机の上には銀貨1枚大銅貨1枚、銅貨4枚が乗せてある。一万一千四百円相当だな。
 やはり冒険者で食っていくのは難しいか。奥の手の鑑定さんと土魔法を出せばそこそこの暮らしは出来るんだけれど。
冒険者はいい経験だったということにしようかな。まじめに3ヶ月学べば、旅をしても安全に過ごせるような経験も積むことができる。無駄にはならない。
やはりやるなら生産チートだよな。あぶなくないし・・・・・

「ジル様、初めての報酬が少ないのは仕方のないことです。
そう、がっかりなさらないで」

「うんにゃ、石鹸を作ろうかと思って。定番だしな」

「はあ、石鹸ですか?」

「ここは王都も近いし、商売しやすそうだ」

 トントン、トントン 、ノックの音がする。

「お客さんですよ」宿のおやじさんの声がした。

「今頃?」

 いいつつも、立ち上がりドアを開けるオリバー。

 そこにいたのはゴードンだった。

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