ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori

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20話 とりあえず食料の準備を BY お坊ちゃん

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 このようにして俺たちは訓練をしたり、騎士たちと面談をしたりして過ごしていった。
そろそろこの街に来て1ヶ月半近くになる。タイムリミットだ、今動かなければ材料が手に入らなくなる。
朝食を食べている2人にさそいをかける。今日は教官にお願いして休みを取ってあるのだ。

「そろそろ旅の支度をしないか?」

「なにを用意するのですか」

「もちろん冒険者セットだ。2人共きちんと揃えたほうがいいだろう。お昼にサガードさんと待ち合わせの予定で、彼に教えてもらうつもりでいる。
その前に市場で食料品の買い物もしよう」

「楽しそうですね、たまにはのんびりするのもいいかもしれません」

 俺たちは街の南東にある市場に歩いていった。
ここは王都に通じる南門の近くにある広場だ。
イタリアのマルシェのように、果物や野菜、香辛料の入った籠をいくつも並べた露天が、軒を連ね、壮観な光景を広げている。色とりどりの野菜たちが目に楽しく、俺はうきうきしてしまう。

「俺たちもこれからは野宿とか多くなるわけだから、あれこれ買い入れなければ。
あそこの籠に入っているトマトなんて、つやつやしておいしそうだ」

「あっ、こちらのナスもつやつやしてますよ、買っていきましょう」

「おっ、いいな。籠に盛ってあるのも都合がいい。
一籠づつ買っていかないか」

 これで、やっと王都で買い込んだ野宿セットを使える。
かまどに鍋をかけて料理を作るなんて楽しそうだ。学生時代のキャンプでカレーを作ったとき以来だ。

 ん?誰かの視線を感じて、後ろを振り向くと宿のおやじさんがいた。

「こんな時間にどうしたんですか。
まだ、朝食の時間は終っていませんよね」

 おやじさんはぶすっとして、

「あなた方が目立つことをしそうなんで、追いかけてきたんだ。ちょっと待て」

 彼が手を振ると、そこには教官がいた。

「連絡を呉れて助かりました。
なにをなさっているのですか、あなた方は?」

「ただ食料品の買出しにきただけですが、なにか?」

「なにかではないよ、あそこの野菜を籠ごと買おうとしてたじゃないか」

 俺はゴードンと顔を見合わせた。どこが不味いのだろう?

「普通は2,3個とか買っていくんです。普通の人は。そんなことをしたらめちゃくちゃ目立ちますよ」

 俺は良くわからなくて頭に?マークを貼り付けた。

「あっ、そうか。ジル様、普通の人はあれを持っていないから、その日の分しか買わないんですよ」

「あぁ、あれか(ポーチ)・・・確かに籠ごと買ったら目立つな」

「・・・・・不安だ。俺も付いていきます」

「助かるぜ、おやじさん。それじゃあ倉庫に行きますよ」

 俺たち3人は大人2人に有無を言わせず、倉庫が幾つもある場所に引っ張っていかれた。
宿のおやじさんが先回りしていたのか、そこには商人らしき人が3人待っていた。

「お待ちしておりました、何の御用でしょうか」

先頭にいた50歳すぎのふとめの人が頭を下げる。きっとこの人がここの責任者なんだな。

「騎士団の要請だ。
どの倉庫も封鎖して中の人間を全員出してくれ。ただちにだ」

「それは、いったい・・・
あと1時間ほどで仲買人が参ります。幾ら騎士団の方でもこのような・・・」

 教官は強権を使いすぎだ!びっくりだよ。

 そして、商人たちはぐずぐずいっている。そりゃそうだろう。
ここは多分ニルベの街の食品市場なのだろう、見れば何となく分かる。
そして今は野菜などの搬入が終わり、これから問屋なり、店屋なりに売りさばく時間なのだろう。
規模が違うとは言え、築地市場を思い浮かべれば想像はつく。
おじさんたちが怒鳴りながら、忙しなく働いている時間だ。

「命令だと言ったのが聞こえなかったのか。2度は言わん。
ただちに動け!」

 教官が騎士団の紋章を見せて怒鳴りつけると、商人たちは慌しく去っていった。
うん、まるで水戸黄門だね。葵の紋所みたいにききめがある。
王政もこういう時には便利だ。お上の鶴の一声で無理が通る。
そして、一番近くの倉庫へ行くと、門番の男に声を掛け、教官と俺たちは中へ入っていった。

「おやじさん、ここは?」

「左が低品質、真ん中が中級品、右が高品質。右奥が最高品質の小麦粉になっているはずです」

 おやじさんはすばやく袋の口を開け中を確かめている。いくつかの袋を確かめた後戻ってきて頷いた。

「それでは次の倉庫のチェックを頼む。
俺たちはここで仕入れていくから」

 えっ、それだけのために倉庫を封鎖したの?

 おやじさんが出て行くと教官は俺たちを睨んだ。

「さて王子、何をなさりたかったのですか」

「いやさ、騎士団もそろそろ動くようだし、俺たちも準備をだな。
いつでも動けるようにしておいた方がいいでしょう?」

「それで、あれですか」

教官はわざとらしく、ため息をつく。

「あなた方はとても、とても目立つのです。
他に申し上げるものがいないので、私がお教えしますが、美青年3人組として密かに知られているのです。
それをあんなに大量の野菜を買ったら、これから出て行きますと、宣伝するようなものです。

ここで目立つのは仕方がないと思っていますが、ここを出たら隠密行動です。
狙われている身だと、心にしっかり書き留めておいて下さい」

「・・・・・・・・わかった」

 ちぇ、フード付きのマントでも買おうかな。
教官が気を取り直したように、質問する。

「それで何をどのくらい欲しいんですか。
マジックポーチの容量はどの程度開いていますか」

 逆に俺のほうが聞きたいことがある。

「う~ん、ここを出たら、危険度はどのくらいなのですか?
食料は簡単に手に入りますか?
私は地方とか、他国の状況は良くわからないので教えて欲しいのですが」

「場所によってとしか言いようがありませんね。
イエローアラームの場所もあれば、レッドアラームの場所もあるという具合で。

あとは季節によりますね。冬場はもちろん食べ物は手に入れにくいですし、旱魃の地方とか、さまざまです。
金で食べ物が手に入ると思わないほうがいいところもあります」

 えっ、この国はどうなっているの?ここが王都に近いからましだという話なのか・・・ホワイトの場所はないのかよ。

 よし、決めた。俺が守るのは俺に付いてきてくれる人たち。
彼らといまだ会えていない側近を含めて15名。3年間食べさせるとしたらどのくらいの量がいるのだろうか。
ここにある量で足りるのかな。

 この街には10万の人がいる。ここには10万/日の食料があると考えて良いだろう。我々は15人×365日×3年だからして、まあ足りるだろう。(違います王子、小麦粉など日持ちのするものはもっと量があります)
そして一日ぐらい仕入れができなくても、店に在庫があるからここの人たちはなんとかなるだろう。

 さっき、騎士団の名前を出したのは上出来だ。騎士100人の食い扶持と思えばこの量を買い上げても不思議に思われないだろう。

「これをすべて買い付けると幾らぐらいになりますか」

「なんでそのようなことを聞かれるのかわかりませんが、そうですね・・・大金貨100枚に足りないくらいでしょう」

 よし、この3人になら知られても構わないだろう。
俺はブレスレットをはずすと、小麦粉の袋をどんどんと収納していった。
3人は何か言いたげだが、説明はあとだ。

「ここは終りました。次に行きますよ」

 野菜、香辛料、蜂蜜、砂糖、油、乳製品に肉・・・どんどんと入れていく。酒も大量に仕入れた。
会計は大金貨250枚にもなった。

 引きつった顔をした商人たちには騎士団の徴収だと言いくるめ、俺たちは倉庫を後にした。
尚、支払いは教官がしてくれた・・・その金はどこから出たものだろう?

 調子に乗った俺は次に雑貨を扱う大手の商人の倉庫に押しかけた。
そこでは布地、糸、鍋、食器、テント、毛布、マント etc 買えるだけ買い込んだ。

もちろん待ち合わせをしていたサガードさんも巻き込んだ。

 大金貨350枚なりの買い物を終えて、俺たちは俺の部屋に戻ってきた。
男5人、部屋は一杯で、むさ苦しい限りだ。

 いつものようにゴードンがお茶を入れてくれる。
一口飲む、おいしい、安心安定の味だ。

「この部屋に似合わないテーブルですね」

 と教官。予期された台詞だ。似合うと言われたら逆に困る。
おっと、せっかくここに誘ったのだ、聞くことを聞かねば。

「教官、エリオンとヤルデルトの消息はわかりましたか」

 あの2人がどうやら出奔したらしいというのは聞いている。
その後が知りたい。

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