ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori

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22話 石鹸の材料 3人目の側近が出てくるまでは生産の話が続きます、結論日本のロボット産業こそチートだ、王子の苦労話なので流し読みも可

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 食事を終えて、海へ向かう。月明かりだけでもそこそこあたりは見える。薬珠に意思があるとは思えないが使い方はなんとなくわかる。ブレスレットをはずし、1/4カットの薬珠を受け取る。
海に向かって投げると、月の光を受けきらりと光る珠が海に落ち、そこから海の色が変わっていったように感じる。これで上手くいくのかな?なんにしろ明日を待とう。


 さて、太陽が顔をのぞかせるころ、海に向かう。おお、すごいじゃないか。
海が銀色に輝き、魚が飛び跳ねているのが見える。この珠すごすぎないか。あまりのことにあきれ果てる。
あの神のおかげでご都合主義のオンパレードだ。一体俺になにをさせたいのやら。
ついでに言えば、ここは王領で、その範囲だけ、豊かにしたいとの俺の望みを受けて1/4カットの大きさで、出てきた。

 敵に塩を送る趣味は俺にはない(きりっ)

「王子、王子、森が出来ています!!」

 後ろを振り返るとサガードさんが走り寄ってきて、その後ろには森が見える。といっても日の光が降り注ぐ、わりとすけすけの森ではあるが。
騎士たちも大騒ぎしているようだが、とりあえずは朝食を食べよう。

「それでこの土地はずい分と豊かになったようですが、ここを開拓なさるおつもりで?」

 あまりにぶっ飛んだ教官の意見に目が点になる。

「いいえ、海草を拾うだけです。豊かな海でないと、海草も生えてきませんから」

「海草ですか?」

「もしや、前に言われた石鹸をお造りになるのですか」

 おお、オリバーのくせにするどいじゃないか。脳筋は本能で正解を引き当てるのか?

「内緒な、オリバー。材料がばれるとまずい」

「ではフィーゲル領でも、これを使っているのですか?
あそこは海から遠い場所ですが」

「いいえ、木の灰も種類によっては使えます。
ところで、石鹸に油を使うのはご存知ですか」

「えぇ、薄々は。フィーゲル領のロウソクの輸入が増えています。領内全域を賄えるほどに。
あそこは酪農も盛んで、なぜだか馬も牛もよく増えます。領内でも多く食べられているようなのですが、その時出る獣脂をどうしているのかがわかりません。普通はそれをロウソクにしたり、パンに付けて食べるのですが。
ですから、それが石鹸になっているのではないかと推測されます。

10年もあったのです。どこの領でも内偵はしていると思います。そして出した結論が石鹸の材料は獣脂であるというものです。それと塩ですね。石鹸の出荷量を考えれば、どれだけ大量の材料を使っているかが分かるので、品物の動きを調べれば、自ずと知れてくるものです」

「一応は隠そうとしていたのですね」

「あの領はよそ者に対してきびしいのです。侯爵家の私兵がしょっちゅう見回りをしていますし、他領の人間は一定の場所以外に行くことは出来ません。もちろん黙って忍び込むことはできますが、長期に渡って潜伏するのは難しいのです。
特にここ数年は西の地方は流民も多く、そのものたちが食い詰めて領の外でたむろしていますが、絶対に領内には入れません。そして領外でそのものたちが集落を作り、スラムのようになっています。ただ、そこにいても食べていく手段がないので、去っていくものも多いのです。

豊かだとの噂ばかり広がっていますが、内情はいまひとつ分かっていません。」


 教官は、少し眉をひそめ、ぼそぼそとしゃべる。ついでにオリバーを睨みつける。

「それで王子はその爆弾のような秘密をどう扱われるのですか」

「材料を集めたら、王領で商会を立ち上げます。まずは相手の資金源を減らさなければ。
商会を護衛させる為に騎士を8人も連れてきたのです。商会長はビンセントにお願いするつもりです」


 8人の騎士プラスオリバーが岩場の海草をどんどん採取する。俺とゴードン、サガードさんはそれを岩場に干していく。翌日には乾いた海草を火魔法で燃やして灰にする。かまどで薪を燃やし、海草を大鍋に入れれば灰になるかと思ったんだけど、うまくいかなかった、何故だ?上手くいかないので、仕方無しに手札をさらした。人類の歴史に敬礼。実際に物を作るのは、たとえ灰1つとっても難しい。

 どんどんと灰の詰まった袋ができてくる。
塩は俺の土魔法で抽出していく。それも袋に詰めていく。
土魔法が得意でよかった。火魔法もできてよかった。
魔力は、いやな思いをしたが例のピンクの光る珠から絞られた一滴が大いに力を発揮して、いまだ魔力切れは起こしていない。

 10日ほど続けてかなりの量になったのでお終いにした。
ついでに魚も貝も、えびも沢山取れた。毎日午後3時ごろに作業は終わりにするので、その後魚釣りをするのだが、警戒心の欠片もなく食いついてくる。
俺が土魔法で作った釣り針もどきにえさをつけ、枝と糸というシンプルな組み合わせで釣るのだが、止め処もなく釣れる。皆は返しの付いた釣り針を褒めてくれたが、あれは違う。あまりの警戒心のなさに、日本の魚に少し教えを受けた方がいいのではないかと考えてしまう?

 漁師鍋風にして食べたのだが、何回食べてもおいしくて、一緒に酒が飲めないのが辛かった。

 出発の前日、教官の要請で騎士を左右と陸の方へ派遣した。森は出来た当初より濃くなっていたが、左右は海岸沿いに、陸の方は街道沿いに行くので、それ程困難ではないだろう。
その間に俺は風魔法でせっせと木を切り倒して収納していく。残った人間は風魔法が使える者もいるのに、俺の回りで見ているだけだ。護衛していると言っていたけれど・・・なんか違う。

 偵察に行っていた騎士が戻ってきて報告をしてきた。その結果、飛び地であるこの王領、10キロメートル四方が森となっているという恐ろしい事実が分かった。

「「「・・・・・」」」

 人のいない寂れた場所でよかったよ。
実態を聞いた俺たちは言葉もなかった。
逃げよう、ばれなければ問題ない。
翌日、俺たちはそうそうに立ち去った。


 さあ、次は南だ。オリーブの木が俺を待っている。


 今度はもういいだろうと馬を買い、10日で南の王領にたどり着いた。
大陸の南の端、海とオリーブ畑が一面に広がる美しい場所だ。

 宿をとったあとに再度集合する。今度は2LDKの家族用の部屋をとったので、リビングになんとか全員入れる。
男13人で、むさ苦しさ全開だが、文句はいわん。

「それで王子、どうされるのですか」

教官の進行で話は始まる。

「そうだな、どこかの砦をおさえたい」

「砦ですか?」

「ああ、あるだろう。高額商品を保管する為にも、守りの力のある建物にしようと思います」

 そこで例の地図を広げる。俺の力作だ。
騎士たちから感嘆の声が聞こえる。何度聞いても気持ちがいい。

「やはり高台がいいでしょう、守りもたやすいですから」

と教官が言う。

「廃棄した砦はと?」

「ないこともありませんが、確か3つ・・・」

「4つ、あります」

 他の騎士も教えてくれる。

「何故、それ程の数があるのですか」

「ここは海が近いので昔に敵を迎えたことがあるのです。
それも今では使われなくなって、主要な3個の砦を残し今は放棄されています」

「それは好都合だ、場所を教えてくれないかな」

 取り出したピンを、その騎士は地図に刺していく。
マリアス国は2辺を海に接している、そしてここは南東。つまり海路も交易に利用しようと思えば、海に近いほうが良い。河も近くにあればなおよし。

 そうは問屋がおろさなかったが、河に近い、海から3キロの場所に砦があった。
海の見えない中途半端な距離だが、川をさかのぼれば途中で王都の近くに出る。

「ここはいいですね、今はどういう状況になっていますか」

 先ほど砦の数が4つと答えた騎士が返事をする。

「はい、ここは中途半端な場所に設置されたとかで、放棄された場所です。
今は商人のマルコリアが倉庫として使っています」

 うん、皆考えることは同じだな。水路を使えば大量の品物が運べる。
さて、どうしようか・・・。

「では、このあたりの土地の所有権と砦の所有者を調べて欲しい。誰か連れて行って2人で動くように」

「はっ!」

 俺はポーチからペンと紙を出し、海岸から1キロ陸へ入ったところから2キロ、河を挟んだ左右1キロの2キロメートル四方の簡単な地図を書いた。

「この場所を調べて欲しい、大雑把でいいので、川沿いの細かい区分のところは抜かすように」

 騎士は目をぱちくりしている。うん、うん、感心しているんだな。俺は褒めて育つ子だから、うんと褒め称えて良いんだよ。
ただ教官だけはオリバーをするどく見ている、気持ちは分かるが止めてあげなさい。いままで地図を描く時間なんてなかったじゃないか。

「王子、すごいです!」

「このような特技をお持ちとは!」

「細かく描かれていて見事なものです!」

騎士たちが俺を褒め称える声が心地よい。できる上司で嬉しかろう。

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