【BL】異世界転移したら猫獣人の国でした〜魔石食べたらチートになりました〜

アベンチュリン

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ラファエル×レオ編

意馬心猿★

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 客の話し声と時折グラスの音が響く店内。奥のテーブル席に二組、カウンターに一人、いつものようにカウンターへ出て接客をしているとその雄はやってきた。

 彼は獅子の姿をしているが、ラファエル皇帝陛下だ。
 一夜限りの情事を交わした後で、どんな顔をしていいかわからず、張り付いた笑顔で接客をする。

 素直に酒だけ飲んで帰ってくれたらいいのにな……。



 夜が更けるにつれ、次々と客が帰っていくなか彼は最後までカウンターに残っていた。
 
 ラファエルはあの夜のことを忘れられずにいた。彼を手放してしまったらもう自分を受け入れてくれるひとには出逢えないと想っていた。

「同じものを……」

 手早くハイポールを作り、カウンターに差し出すと、添えた手を握られた。

「今日は閉店します、お帰りください」

 レオは手を振り払い、冷ややかに告げる。
 ラファエルはハイボールをひと飲みして会計を済ませる。
 お釣りを渡すと、手のコインごと両手で包み込み、憂いを帯びた眼差しを向ける。

「忘れられないんだ」
「ルカの代わりが欲しいなら男娼でも買えよ!」
 
 レオは強引にコインを手渡し、背中を押して店の外に追い遣って鍵をかけた。

 過去にも気に入った客と一夜限りの関係を持つことはあったが、その後しつこくされても上手に追い払えた。

 レオは大きく溜息を吐いた。
 しくじったな…………、執着するタイプだったか…………。
 皇族としての矜持もあるだろうし、もう来ることはないだろうと高を括った。


 しかし実際は違った。連日、閉店間際の夜更けごろ店の入口から少し離れた場所に立ち竦んでいた。
 恐怖を感じて追い払うことも考えたが、皇族相手に不敬罪になるのは嫌だし、押しかけたり嫌がらせをされることもなかったので放っておいた。三日もすれば飽きるだろう。

 レオは将来を見据えて、幼馴染の許嫁と結婚して家業のワイナリーを継ぐ予定だ。
 火遊びも大概にしておかなければ……。
 断罪されるようなことがあればすべて台無しになる。



 もう一週間が経つ。変わらすあの雄は店外に立っている。
 皇帝は暇なのか?と疑念を抱く。

 雨がガラス窓を叩く音がすると「雨が降ってきちまった、早く帰らないとかあちゃんに叱られる」といい、最後の客の老夫が支払いを済ませて帰る。
 上着を頭に被せて帰る老夫を見送った視線の先に、獅子獣人の姿を捉えた。

 まったくこんな雨のなか何やってるんだよ!

 レオは店に戻り、頭を抱えて暫く思案した。
 はーっと大きく息を吐くと、大きめのタオルを片手に飛び出す。
 捨てられた仔犬のような、ずぶ濡れの雄の胸元にタオルを押し付ける。

「タオル返さなくていいから、もう帰れよ!」

 しとしとと、柔らかい雨は二人を濡らす。暫くしても動こうとはしない雄にレオは痺れを切らした。

「風邪引くだろっ、…………あ"──もうっ、服だけ乾かしていきなよ」

 閉店後の店内に招き入れた。ラファエルは白虎の自身の姿に戻っていた。タオルを追加で何枚か持ってきて、レオは体の水気を拭き取る。
 シャツは濡れて素肌に張り付き透き通り、首筋に雨水がつたう、その姿に色気を感じてラファエルは見入った。
 風魔法が使えるラファエルにとって、二人の水気を吹き飛ばすことは容易にできた。けれど甲斐甲斐しく世話を焼いてくれることが嬉しくて魔法は使わずにいた。
 猫獣人は魔力が少ないのが不便だなと思った。
 
 
「風邪引くっていってるじゃん」

 立ったまま体を拭こうともしないラファエルに苛立ちを覚えたレオは、仕方ないなと肩を竦ませ、ラファエルの体をタオルで雑に拭き取る。
 皇族はこんな事も自分でしないのか……。

 ラファエルはその腕を掴んで、まっすぐレオの緑青色の瞳を見つめる。
 黒縞の入ったベージュの髪は雨でしっとりと濡れて、店内の間接照明の仄暗い明かりが滑らかな白皙の肌と端麗な顔立ちを際立たせている。

「ルカの代わりではない、私にはあなたが必要なのだ……」
 
 ラファエルはずっと伝えたかった言葉を口にした。
 
 金眼碧眼オッドアイの眼差しの強さに目を背けることができずレオは葛藤した。
 体は冷たく凍えているのに、その瞳は燃えるように熱く滾っていた。
  
 雄虎の腕はレオの背中と後頭部を優しく支えて、濡れたままの体をそっと抱き寄せ、ゆっくりを顔を近づける。
 回避しようと振り払うことも出来ただろうがレオはしなかった。
 互いが目を閉じ唇がゆっくりと触れる。
 唇が離れてお互いの眼を見合う、ラファエルは獰猛に、レオは欲情に塗れていた。
 唇はもう一度深く触れ合うと、雄虎は上唇、下唇と順に甘噛みをして、ちゅっと吸い上げた。
 猫科は甘噛みで愛情表現をする。
 雄虎の熱くなった舌は歯列を割って差し込まれた。その舌は喉仏に届きそうなほど大きく長い。
 
「虎の舌は肉を刮ぎとるほど糸状乳頭が深い、今は魔法で滑らかにしているが大丈夫だろうか……」
 
 深くてざらざらの舌でするキス…………。想像だけでレオの被食欲が掻き立てられる。
 でも今は滑らかな舌を堪能したくて、レオは恍惚な表情で頷いた。

 片手でレオの背中を抱き寄せ、もう片方の手は後頭部を支え深い口付けをする。舌はすぐに差し込まれ、忌憚なく口内を蹂躙させた、歯列をなぞり上顎、下顎を舐める。
 息をするのも忘れるほど夢中になり、レオの愛らしい舌も始めは転がすように、そして徐々に激しく絡み合っていく。
 彼がもっと欲しいとでも言うように舌を出すと甘噛みして、また絡み合った。

 この雄虎とのキスは気持ちいい。ヌルヌルとした大きく長い舌は、レオに想像以上の快楽を与えてくれる。
 ずっとこうしていたい…………。そう感じた時にに身震いがきた。二人は濡れたままだった。

「シャワー浴びよっか」

 レオは小さく笑みを浮かべて熱い瞳に問いかけると、ラファエルは膝裏に腕をまわし横抱きにして、抱えてシャワールームに向かった。

 キスを交わしながら、互いの服を脱がしてゆく。

 浴室に入ると、体を温めるため少し熱めのシャワーを出す。
 シャワーの下で、レオは雄虎の首に手をまわすと二人の唇は重なり、湯気と吐息が混じりあう。

 唇を交えたまま、ラファエルはレオの背中をぎゅ、と抱きしめる。掌は背中を撫であげて、猫耳の輪郭を指先でなぞり耳中に指を入れるとゾクッとレオの体は反射する。
 指先は鎖骨を通り、既に硬く尖る乳首を摘んで、虎爪でカリッとひっかける。

「ああっ……」

 レオのあえかな声が浴室内に反響する。指先は双丘の弾力を確かめながら、その谷へと伸ばすと金属のような物質に触れる。

「あっ……外してなくて、ごめん……」

 レオは羞恥で頬を朱く染め上げる。
 その金属をグイッと引き抜くとアナルバイブだった、そのサイズは特注なのかラファエル程の大きさがある。
 ラファエルは歓喜で、シャワーが滴るなかレオを強く抱きしめた。
 
「ああ、愛しいレオ……、あなたが欲しい……」

 レオはどうしてこの雄虎に惹かれるのだろうかと思案した。国を動かせる程の権力を持つこの雄虎を魅了して支配するような優越感?
 …………否、床に転がる金属のソレが視界に入り、ふっと笑みが溢れる。…………すでに心を支配されてるのは自分の方だった。

「どうかしたのか?」ラファエルは声をかける。
「ううん、格好良いなと思って……」

 噛み付くような濃厚なキスが降りてくる。 
 二人はシャワーに打たれながら、熱い官能の海を漂った。

 





 それからラファエルはレオの店を度々訪れるようになった。

 日中は皇帝として、執務も政務も精力的にこなし、ライナルト宰相閣下の胃痛も和らいだ。



 レオはラファエルに言った。

「本気になったら別れるからな!」

 ラファエルは真剣にとぼける。

「ああ、本気じゃないけど愛している」

 何を言っても言いくるめられるので、レオは諦めの境地だ。
 とはいえ、レオも別れる気はさらさらなかった。


 
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