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最近、どうもおかしい。
……いや、正確に言うと、俺がおかしいらしい。
仕事が終わって、更衣室に戻ろうとしたときだった。
廊下の奥、休憩用の小部屋から声が聞こえる。
ガルドと、アルベルト。
あれ?
今日、もう指名入ってなかったはずだけど。
珍しかったな、そういえば今日は。どっちも来なかった。
足を止める。
声が、思ったより真剣だ。
「……最近、昴がえっちすぎる」
ガルドの低い声。
え?
「同意します」
アルベルトが即答する。
「明らかに、無自覚の域を超えています」
ん?ちょっと待って。
俺、もう仕事終わってますよ?
というか、本人ここにいますけど。
物陰から、そっと覗く。
二人とも腕を組んで、完全に“会議”の顔だ。
「まず」
アルベルトが指を折る。
「手を握って、微笑みましたよね」
……あれ接客です。
「あと」
ガルドが続ける。
「棒状のものをやたら色っぽく食ってた」
……屋台です。
「感度が良すぎます」
アルベルトがため息をつく。
「最近は、一度達しても、足を絡めてきますし」
「抜けないよな、あれは」
ガルドが短く言う。
「……抜かずの連戦だ」
やめろ。
具体的に言うな。
アルベルトが続ける。
「しかもビデオ?でしたっけ、写していいか訊いたら普通に頷きましたよね。
あと僕のを咥えるとき、喉の奥まで入れてくれて…」
……あー、意識が朦朧としてたかも。
というか、今も意識が朦朧としてきたような。
「おい、俺は聞いてないぞ。
そんな奥まで、咥えさせていいのか?!」
ガルドが眉をひそめると。アルベルトが首を傾げている。
「え?結構昴それだけで感じますよ」
「……」
「……」
空気が、凍る。
「それは」
ガルドが低く言う。
「知らなかった…」
アルベルトの顔がなんか…優越感でムカつく顔になってるな。
「え?では、乳首だけで、イく、というのも」
待て待て、バラすなバラすな。
「それも聞いてない。
でも俺のときは潮が止まらなかった」
あーー、待て待て。
なにそのプレイ報告会。恥ずかしすぎますが…。
「潮?!線引きが必要では?仕事としても、人としても」
アルベルトが真面目に言う。
いや、それはそうとどこでその線引きスイッチ入ったんだよ。
ガルドが言葉を選ぶ。
「だが、昴が嫌がってるようには見えん」
……それはそう。
それは、そうなんだよ…。
仕事だし。
気持ちいいし。
あと、その……ねぇ。
二人とも、同時に黙る。
アルベルトが結論を出したようだ。
「……つまり、昴が、無自覚にこちらを煽っている」
「自覚させる必要があるな」
ガルドが頷く。
――無理。
俺、もう限界。なんかわからせ予告されてる。
「ちょっと待ってください!!」
思わず部屋に飛び込んだ。
二人が、同時に振り向く。
「……昴?」
「……いつからです?」
「多分割と最初から、です!!」
顔が、熱い。
耳まで赤いのが分かる。
勢いで言った。
「仕事ですから! これは! 仕事!」
沈黙。
ガルドが、ゆっくり立ち上がる。
「……なぁ、昴」
距離が近い。
「延長とか、あるか?金は払う」
アルベルトも、一歩寄る。
「勤務時間外、ですよね?きちんと対価は出します」
にじり寄る二人。
……あ、詰んだ。
これ絶対お尻バカになっちゃうやつでは?
その瞬間。
「なにやってんの?」
どこからともなく、リーネ。
振り向いたら、腕を組んで立っている。
神様リーネ様…ナイス出没。助けてください…。
のはずが。
「……昴」
一瞬、俺を見て、口角を上げる。
「なかなかやるな」
「なっ、ち、違います!!」
「まぁこの先は…現場判断で、」
軽く手を振る。
「あと、勤務時間外の金なら、ポケットに入れていい」
……え?ポケットに、あ、いや、そうじゃない。
リーネは踵を返しながら一言。
「ほどほどにね、明日もあるから」
去っていく背中。
残される俺と、目を輝かせたSS級二人。
「……部屋に行こう」
「行きましょう」
「あ、あれー…」
声にならない。
線引き?そんなものは、無理でした。
……いや、正確に言うと、俺がおかしいらしい。
仕事が終わって、更衣室に戻ろうとしたときだった。
廊下の奥、休憩用の小部屋から声が聞こえる。
ガルドと、アルベルト。
あれ?
今日、もう指名入ってなかったはずだけど。
珍しかったな、そういえば今日は。どっちも来なかった。
足を止める。
声が、思ったより真剣だ。
「……最近、昴がえっちすぎる」
ガルドの低い声。
え?
「同意します」
アルベルトが即答する。
「明らかに、無自覚の域を超えています」
ん?ちょっと待って。
俺、もう仕事終わってますよ?
というか、本人ここにいますけど。
物陰から、そっと覗く。
二人とも腕を組んで、完全に“会議”の顔だ。
「まず」
アルベルトが指を折る。
「手を握って、微笑みましたよね」
……あれ接客です。
「あと」
ガルドが続ける。
「棒状のものをやたら色っぽく食ってた」
……屋台です。
「感度が良すぎます」
アルベルトがため息をつく。
「最近は、一度達しても、足を絡めてきますし」
「抜けないよな、あれは」
ガルドが短く言う。
「……抜かずの連戦だ」
やめろ。
具体的に言うな。
アルベルトが続ける。
「しかもビデオ?でしたっけ、写していいか訊いたら普通に頷きましたよね。
あと僕のを咥えるとき、喉の奥まで入れてくれて…」
……あー、意識が朦朧としてたかも。
というか、今も意識が朦朧としてきたような。
「おい、俺は聞いてないぞ。
そんな奥まで、咥えさせていいのか?!」
ガルドが眉をひそめると。アルベルトが首を傾げている。
「え?結構昴それだけで感じますよ」
「……」
「……」
空気が、凍る。
「それは」
ガルドが低く言う。
「知らなかった…」
アルベルトの顔がなんか…優越感でムカつく顔になってるな。
「え?では、乳首だけで、イく、というのも」
待て待て、バラすなバラすな。
「それも聞いてない。
でも俺のときは潮が止まらなかった」
あーー、待て待て。
なにそのプレイ報告会。恥ずかしすぎますが…。
「潮?!線引きが必要では?仕事としても、人としても」
アルベルトが真面目に言う。
いや、それはそうとどこでその線引きスイッチ入ったんだよ。
ガルドが言葉を選ぶ。
「だが、昴が嫌がってるようには見えん」
……それはそう。
それは、そうなんだよ…。
仕事だし。
気持ちいいし。
あと、その……ねぇ。
二人とも、同時に黙る。
アルベルトが結論を出したようだ。
「……つまり、昴が、無自覚にこちらを煽っている」
「自覚させる必要があるな」
ガルドが頷く。
――無理。
俺、もう限界。なんかわからせ予告されてる。
「ちょっと待ってください!!」
思わず部屋に飛び込んだ。
二人が、同時に振り向く。
「……昴?」
「……いつからです?」
「多分割と最初から、です!!」
顔が、熱い。
耳まで赤いのが分かる。
勢いで言った。
「仕事ですから! これは! 仕事!」
沈黙。
ガルドが、ゆっくり立ち上がる。
「……なぁ、昴」
距離が近い。
「延長とか、あるか?金は払う」
アルベルトも、一歩寄る。
「勤務時間外、ですよね?きちんと対価は出します」
にじり寄る二人。
……あ、詰んだ。
これ絶対お尻バカになっちゃうやつでは?
その瞬間。
「なにやってんの?」
どこからともなく、リーネ。
振り向いたら、腕を組んで立っている。
神様リーネ様…ナイス出没。助けてください…。
のはずが。
「……昴」
一瞬、俺を見て、口角を上げる。
「なかなかやるな」
「なっ、ち、違います!!」
「まぁこの先は…現場判断で、」
軽く手を振る。
「あと、勤務時間外の金なら、ポケットに入れていい」
……え?ポケットに、あ、いや、そうじゃない。
リーネは踵を返しながら一言。
「ほどほどにね、明日もあるから」
去っていく背中。
残される俺と、目を輝かせたSS級二人。
「……部屋に行こう」
「行きましょう」
「あ、あれー…」
声にならない。
線引き?そんなものは、無理でした。
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