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……増えている。
先日の“事件”以降、
俺のスマホの中で、確実に、着実に。
フォルダを開くたび、知らない角度、知らないタイミング、知らない俺の顔。
(……あれ?これ、昨日なかったよな)
一つ消しても、なぜか二つ増える。
魔物か。
いや、心当たりはある。
顔のいい、二人。
深呼吸。
言わなきゃいけない。
これは――言わなきゃいけないやつだ。
「……とうとう、言うか」
小さく呟く。
「制裁とともに」
決意を胸に、
俺は部屋の扉を開けた。
――ちょうどそこに、
何も知らない顔をした二人が、
“指名です”という顔で立っていた。
指名時間きっちりに現れた二人を、俺は無言で部屋に押し込んだ。
ばたん、と扉を閉める。
「……?」
ガルドが一瞬だけ眉を動かす。
アルベルトは、なぜか嫌な予感を察したのか、半歩下がった。
「座ってください」
声が低い。
自分でもわかる。
これは珍しく俺が怒ってる時の声だ。
二人は素直に椅子に座る。
SS級ランカー、借りてきた猫。ちょっとかわいいし優越感…おっといけない。
俺はスマホをテーブルに置いた。
とん。
「……動画とか写真とか、心当たりのないものが、増えてましたけど?」
沈黙。
ガルドが、ゆっくりと口を開く。
「……記録、だな」
「えっちの、記録ですね」
アルベルトも補足する。
「ハメ撮り禁止ですから!」
ぴしっと言い切る。
二人、同時に首を傾げた。
「はめ……?」
「どり……?」
「鳥か?」
「……呪文ですか?」
異世界ジョークですかこれは。
「違います!性的行為を撮影する行為の俗称です!」
一拍。
「あー……」
アルベルトが思い当たった顔をする。
「もしかして、あの……えっちの様子を残しておくやつ……」
ガルドが真面目に続ける。
「昴が気持ちよくなっている証拠」
悪びれがないのがいっそ清々しい。
「お二人とも、言い方なんとかなりませんか?!」
そして、二人揃って、首を傾げる。
このお決まりの行動なんとかならない?
「ハメ撮り、か?」
「……ハメ撮り、ですか?」
応用が早い。優秀。
…そうじゃない。いや、合ってるけど。
「というわけで」
俺はにっこり笑って、スマホを操作した。
「仕返しです」
画面を向ける。
次の瞬間――
「……な、」
「……っ?!」
ガルドの顔に、ふわふわの猫耳。
アルベルトは、目が異様に大きくなり、頬がぷくっと膨らんでいる。
「……これは、獣人の呪いか?」
ガルド、硬直。
「アプリ合成です」
「……?」
「……アプリゴウセイ?昴…詠唱しましたか?!今!」
アルベルト、は驚きながらももう一度自分の姿を見て、耐えきれず吹き出す。
「ま、待ってください、僕……
これはこれで……可愛くありませんか……?」
切り替えの早さがSS級だな。
「黙ってください」
次。
ガルドは、キラキラお目目+花エフェクト。
アルベルトは、うさ耳+ピンクほっぺ。
「……」
「……」
二人とも、完全に言葉を失っている。
「なお、消すかどうかは、今後の態度次第です」
俺は淡々と告げた。
SS級ランカーの威厳を砕く強い気持ちだ。
ガルドが、低く呻いた。
「……すまない」
アルベルトも、素直に頭を下げる。
「……以後、慎みます」
よし。
よしよし。
満足した俺はアプリを閉じた。
画面は待受画面に戻る。
ガルドが、ふと俺のスマホ画面を指さした。
「……昴」
「はい?」
「……その画面」
心臓が跳ねる。
「なぜ、俺たちが、そこに……?」
画面には、三人で撮った、あの写真。
俺、中央。
左右に、顔のいい二人。
しまった。
「……っ!い、いや、その……!」
言い訳を探す間もなく、アルベルトが覗き込んでくる。
「……これ、気に入って飾ってるんですか?」
「ち、違……!」
「違わないな」
ガルドが、静かに言う。
顔が、熱い。
「……これは…待受、という概念です」
早口。
「よく見る画面に設定するだけで……深い意味は……!」
二人、視線を交わす。
「……まち」
「……うけ」
嫌な間。
ていうか、ハメ撮りみたいに言うなよ。
「では、せっかくなので、ハメ撮りの鑑賞会を」
アルベルトがにじり寄って来る。
「しません!!」
俺はスマホを後ろ手に隠した。
くそ、今日も顔がいい。
気づけば、距離が詰められている。
ガルドの手が、そっと腰に。
アルベルトの指が、頬に触れる。
「怒っている顔も、かわいいな。昴」
「……っ」
ガルドのキスが、落ちる。
「……指名料は、払っている」
ガルドの低い声。
「……勤務時間内ですし」
アルベルトも続く。
「ん、…」
すぐに思考が溶ける、俺もだいぶやばい。
――ああ。
…この流れ、無限ループでは?
答えはない。
ただ、またスマホが、テーブルの端で光っていた。
(……次は、ほんとに没収だな)
そう思いながら、俺は二人に押し切られていくのだった。
先日の“事件”以降、
俺のスマホの中で、確実に、着実に。
フォルダを開くたび、知らない角度、知らないタイミング、知らない俺の顔。
(……あれ?これ、昨日なかったよな)
一つ消しても、なぜか二つ増える。
魔物か。
いや、心当たりはある。
顔のいい、二人。
深呼吸。
言わなきゃいけない。
これは――言わなきゃいけないやつだ。
「……とうとう、言うか」
小さく呟く。
「制裁とともに」
決意を胸に、
俺は部屋の扉を開けた。
――ちょうどそこに、
何も知らない顔をした二人が、
“指名です”という顔で立っていた。
指名時間きっちりに現れた二人を、俺は無言で部屋に押し込んだ。
ばたん、と扉を閉める。
「……?」
ガルドが一瞬だけ眉を動かす。
アルベルトは、なぜか嫌な予感を察したのか、半歩下がった。
「座ってください」
声が低い。
自分でもわかる。
これは珍しく俺が怒ってる時の声だ。
二人は素直に椅子に座る。
SS級ランカー、借りてきた猫。ちょっとかわいいし優越感…おっといけない。
俺はスマホをテーブルに置いた。
とん。
「……動画とか写真とか、心当たりのないものが、増えてましたけど?」
沈黙。
ガルドが、ゆっくりと口を開く。
「……記録、だな」
「えっちの、記録ですね」
アルベルトも補足する。
「ハメ撮り禁止ですから!」
ぴしっと言い切る。
二人、同時に首を傾げた。
「はめ……?」
「どり……?」
「鳥か?」
「……呪文ですか?」
異世界ジョークですかこれは。
「違います!性的行為を撮影する行為の俗称です!」
一拍。
「あー……」
アルベルトが思い当たった顔をする。
「もしかして、あの……えっちの様子を残しておくやつ……」
ガルドが真面目に続ける。
「昴が気持ちよくなっている証拠」
悪びれがないのがいっそ清々しい。
「お二人とも、言い方なんとかなりませんか?!」
そして、二人揃って、首を傾げる。
このお決まりの行動なんとかならない?
「ハメ撮り、か?」
「……ハメ撮り、ですか?」
応用が早い。優秀。
…そうじゃない。いや、合ってるけど。
「というわけで」
俺はにっこり笑って、スマホを操作した。
「仕返しです」
画面を向ける。
次の瞬間――
「……な、」
「……っ?!」
ガルドの顔に、ふわふわの猫耳。
アルベルトは、目が異様に大きくなり、頬がぷくっと膨らんでいる。
「……これは、獣人の呪いか?」
ガルド、硬直。
「アプリ合成です」
「……?」
「……アプリゴウセイ?昴…詠唱しましたか?!今!」
アルベルト、は驚きながらももう一度自分の姿を見て、耐えきれず吹き出す。
「ま、待ってください、僕……
これはこれで……可愛くありませんか……?」
切り替えの早さがSS級だな。
「黙ってください」
次。
ガルドは、キラキラお目目+花エフェクト。
アルベルトは、うさ耳+ピンクほっぺ。
「……」
「……」
二人とも、完全に言葉を失っている。
「なお、消すかどうかは、今後の態度次第です」
俺は淡々と告げた。
SS級ランカーの威厳を砕く強い気持ちだ。
ガルドが、低く呻いた。
「……すまない」
アルベルトも、素直に頭を下げる。
「……以後、慎みます」
よし。
よしよし。
満足した俺はアプリを閉じた。
画面は待受画面に戻る。
ガルドが、ふと俺のスマホ画面を指さした。
「……昴」
「はい?」
「……その画面」
心臓が跳ねる。
「なぜ、俺たちが、そこに……?」
画面には、三人で撮った、あの写真。
俺、中央。
左右に、顔のいい二人。
しまった。
「……っ!い、いや、その……!」
言い訳を探す間もなく、アルベルトが覗き込んでくる。
「……これ、気に入って飾ってるんですか?」
「ち、違……!」
「違わないな」
ガルドが、静かに言う。
顔が、熱い。
「……これは…待受、という概念です」
早口。
「よく見る画面に設定するだけで……深い意味は……!」
二人、視線を交わす。
「……まち」
「……うけ」
嫌な間。
ていうか、ハメ撮りみたいに言うなよ。
「では、せっかくなので、ハメ撮りの鑑賞会を」
アルベルトがにじり寄って来る。
「しません!!」
俺はスマホを後ろ手に隠した。
くそ、今日も顔がいい。
気づけば、距離が詰められている。
ガルドの手が、そっと腰に。
アルベルトの指が、頬に触れる。
「怒っている顔も、かわいいな。昴」
「……っ」
ガルドのキスが、落ちる。
「……指名料は、払っている」
ガルドの低い声。
「……勤務時間内ですし」
アルベルトも続く。
「ん、…」
すぐに思考が溶ける、俺もだいぶやばい。
――ああ。
…この流れ、無限ループでは?
答えはない。
ただ、またスマホが、テーブルの端で光っていた。
(……次は、ほんとに没収だな)
そう思いながら、俺は二人に押し切られていくのだった。
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