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融氷
クリスマス(本編:愛を刻んで「クリスマス」 その後)
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皆と過ごした賑やかなパーティを後にして、街のイルミネーションの光の中を歩く。
冷たい風が頬を刺すのに、隣を歩く二人の間には妙に温かい沈黙が流れていた。
「……来るわよね?」
ハルがふっと笑って問いかける。
「……あぁ」
陸は迷わず答え、差し出された手を取った。
――
ハルの部屋。
普段は仕事で外に出てばかりなのに、不思議と整えられている空間。
白と淡い色合いで統一された家具、丁寧に手入れされた観葉植物、机に並ぶ化粧品や香水。
「可愛い」を保つための努力が滲むような、静かで清潔な空気が漂っていた。
「……思ったより、綺麗にしてるな」
「なによその言い方。散らかってると思った?」
「いや……ちゃんとハルの部屋だなって思っただけ
」
照れ隠しにぬいぐるみを手に取った陸は、慌ててベッド脇に置き直す。
(見られてる気がして落ち着かないな…すまない)
無言でぬいぐるみを後ろ向きにした。
ハルはそんな陸の不器用な仕草にクスリと笑い、紙袋を取り出す。
「はい、クリスマスプレゼント」
「……俺もある」
同時に差し出された包み。
照れながら開くと
陸からの箱には、細身のシルバーリングがふたつ。
ハルからの包みには、上質なレザーのキーケース。
そこには合鍵が忍ばされていた。
「……っ」
一瞬言葉を失う陸。
「な、なによ。嫌だった?」
「……いや、最高のプレゼントだ。ありがとう、」
合鍵を握る陸の声は、かすれて震えていた。
ハルもまた、指輪を光にかざして小さく呟く。
「……ふふ、ありがとう。まるで、プロポーズみたいね」
「……俺は構わないが」
さらっと言われ、耳まで真っ赤になるハル。
「……もー、ずるいわね……」
互いに手を取り合い、指輪をはめ合った。
冷たい金属の感触が、熱を帯びた指先の中でやけに鮮烈に思えた。
――
「……お風呂、入りましょうか」
少し間を置いて、ハルがそう言った。
「一緒に?」
「……もちろんよ、」
湯気の立ち込めるバスルーム。
肌を濡らす湯の中で、普段は隠している傷跡が淡く浮かぶ。
陸はそのひとつひとつに口付けて、指で優しくなぞった。
「……綺麗だ」
「やめて、傷なんて」
目を伏せるハルに陸は迷い無く続ける。
「違う。これも含めて、全部ハルなんだ」
ハルの頬が赤く染まり、瞳が潤んだ。
やがて、濡れた体をタオルで拭き合いながら、二人は自然にベッドへと導かれていった。
――
ベッドの上。
シーツの上に重なった瞬間、陸の中の「我慢」が弾け飛んだ。
「……っ、ん、……」
キスは深く、舌は強引で、絡み合う唾液をそのまま飲まされる。
「んぐ……っ……」
ハルは目を見開き、涙を浮かべながら必死に飲み下す。
(……陸、こんな顔……初めて……)
所有を刻み込むような激しい口づけに、戸惑いと甘美が入り混じる。
陸の大きな手はハルの両手首を掴み、枕に縫いつける。
「ハル…俺のハル…」
「っ…ん、私っ…陸のっ……ぁ…あぁっ、」
震える声で応えるたび、陸の突き上げはさらに深く、激しくなる。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぱちゅっ、じゅぷっ
可愛らしい部屋に似つかわしくないほど淫らな音が、シーツに染み込んでいく。
「っあ、ぁっ……や、……出ちゃうっ」
「あぁ、出していい、」
耳元で低く囁きながら、陸は執拗に最奥を抉る。
ハルの細い腰はベッドに沈み、白い喉は切なげに反り返った。
「ひっ……あっ…あ、あ、もう…だめっ、」
「ハル、可愛い…」
涙に濡れた頬を舐め、嗚咽ごと口を塞ぐキス。
ぐちゅ、ぐちゅ、と溢れる音が二人を熱に沈めていった。
「……っ、出すぞ…」
「っあぁ、……来て……全部、ちょうだい……!」
どぷっ、どくっ、どくっ……
白濁が何度も注ぎ込まれる。
体の最奥で熱が弾ける感覚に、ハルは背を弓なりにして泣き声を上げた。
「っ……はぁ……あ……」
陸の胸に抱かれ、涙と汗に濡れたハルの顔はひどく愛おしかった。
――
やがて呼吸が落ち着き、静かな余韻。
重なった手には、先ほど交換した指輪が光っていた。
「……来年は、大学4年生ね」
「あぁ。空手でもっと上を目指したい」
「夢に向かって進むのね。……陸らしいわ」
「ハルは?」
「……秘密。でも……」
指輪を撫でながら、小さく笑う。
「……これを見てたら、答えはすぐ分かるんじゃない?」
陸は頬を緩め、ハルの手を強く握った。
「……あぁ。楽しみにしてる」
二人の間に流れる温もりは、外の冷たい冬を忘れさせるほど優しかった。
冷たい風が頬を刺すのに、隣を歩く二人の間には妙に温かい沈黙が流れていた。
「……来るわよね?」
ハルがふっと笑って問いかける。
「……あぁ」
陸は迷わず答え、差し出された手を取った。
――
ハルの部屋。
普段は仕事で外に出てばかりなのに、不思議と整えられている空間。
白と淡い色合いで統一された家具、丁寧に手入れされた観葉植物、机に並ぶ化粧品や香水。
「可愛い」を保つための努力が滲むような、静かで清潔な空気が漂っていた。
「……思ったより、綺麗にしてるな」
「なによその言い方。散らかってると思った?」
「いや……ちゃんとハルの部屋だなって思っただけ
」
照れ隠しにぬいぐるみを手に取った陸は、慌ててベッド脇に置き直す。
(見られてる気がして落ち着かないな…すまない)
無言でぬいぐるみを後ろ向きにした。
ハルはそんな陸の不器用な仕草にクスリと笑い、紙袋を取り出す。
「はい、クリスマスプレゼント」
「……俺もある」
同時に差し出された包み。
照れながら開くと
陸からの箱には、細身のシルバーリングがふたつ。
ハルからの包みには、上質なレザーのキーケース。
そこには合鍵が忍ばされていた。
「……っ」
一瞬言葉を失う陸。
「な、なによ。嫌だった?」
「……いや、最高のプレゼントだ。ありがとう、」
合鍵を握る陸の声は、かすれて震えていた。
ハルもまた、指輪を光にかざして小さく呟く。
「……ふふ、ありがとう。まるで、プロポーズみたいね」
「……俺は構わないが」
さらっと言われ、耳まで真っ赤になるハル。
「……もー、ずるいわね……」
互いに手を取り合い、指輪をはめ合った。
冷たい金属の感触が、熱を帯びた指先の中でやけに鮮烈に思えた。
――
「……お風呂、入りましょうか」
少し間を置いて、ハルがそう言った。
「一緒に?」
「……もちろんよ、」
湯気の立ち込めるバスルーム。
肌を濡らす湯の中で、普段は隠している傷跡が淡く浮かぶ。
陸はそのひとつひとつに口付けて、指で優しくなぞった。
「……綺麗だ」
「やめて、傷なんて」
目を伏せるハルに陸は迷い無く続ける。
「違う。これも含めて、全部ハルなんだ」
ハルの頬が赤く染まり、瞳が潤んだ。
やがて、濡れた体をタオルで拭き合いながら、二人は自然にベッドへと導かれていった。
――
ベッドの上。
シーツの上に重なった瞬間、陸の中の「我慢」が弾け飛んだ。
「……っ、ん、……」
キスは深く、舌は強引で、絡み合う唾液をそのまま飲まされる。
「んぐ……っ……」
ハルは目を見開き、涙を浮かべながら必死に飲み下す。
(……陸、こんな顔……初めて……)
所有を刻み込むような激しい口づけに、戸惑いと甘美が入り混じる。
陸の大きな手はハルの両手首を掴み、枕に縫いつける。
「ハル…俺のハル…」
「っ…ん、私っ…陸のっ……ぁ…あぁっ、」
震える声で応えるたび、陸の突き上げはさらに深く、激しくなる。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぱちゅっ、じゅぷっ
可愛らしい部屋に似つかわしくないほど淫らな音が、シーツに染み込んでいく。
「っあ、ぁっ……や、……出ちゃうっ」
「あぁ、出していい、」
耳元で低く囁きながら、陸は執拗に最奥を抉る。
ハルの細い腰はベッドに沈み、白い喉は切なげに反り返った。
「ひっ……あっ…あ、あ、もう…だめっ、」
「ハル、可愛い…」
涙に濡れた頬を舐め、嗚咽ごと口を塞ぐキス。
ぐちゅ、ぐちゅ、と溢れる音が二人を熱に沈めていった。
「……っ、出すぞ…」
「っあぁ、……来て……全部、ちょうだい……!」
どぷっ、どくっ、どくっ……
白濁が何度も注ぎ込まれる。
体の最奥で熱が弾ける感覚に、ハルは背を弓なりにして泣き声を上げた。
「っ……はぁ……あ……」
陸の胸に抱かれ、涙と汗に濡れたハルの顔はひどく愛おしかった。
――
やがて呼吸が落ち着き、静かな余韻。
重なった手には、先ほど交換した指輪が光っていた。
「……来年は、大学4年生ね」
「あぁ。空手でもっと上を目指したい」
「夢に向かって進むのね。……陸らしいわ」
「ハルは?」
「……秘密。でも……」
指輪を撫でながら、小さく笑う。
「……これを見てたら、答えはすぐ分かるんじゃない?」
陸は頬を緩め、ハルの手を強く握った。
「……あぁ。楽しみにしてる」
二人の間に流れる温もりは、外の冷たい冬を忘れさせるほど優しかった。
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