【完結】愛に堕ちる

さか様

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融氷

団欒

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しばらく経った休日の午後。

陸のアパートに両手いっぱいの野菜を抱えた母と父、そしてゆめが遊びに来た。

「ほら畑の野菜。使ってちょうだい」

母が紙袋を差し出すと、陸はぶっきらぼうに悪いなと受け取る。

テーブルにはハルが作ったビーフシチューと付け合せのパン、陸が不器用にレタスを割いたサラダ。

和食中心の篠原家には新鮮で、特にゆめには大喜びのメニューだった。

「わー!シチューだ!やったー!」
 
「なぁ、ゆめ、お父さんはパンをこうして浸して食べてもいいのか?」

「好きにしなよお父さーん」

「ふふ、美味しいわね」

笑い声とともに食卓がにぎわう。

――

食後、ゆめが突然思い出したように顔を上げた。
「そういえばね、私“夢華”って名前なんだけど、“ゆめ”って二文字にしてるのはハルに憧れてるからなの!」

ハルは目を瞬かせ、胸があたたかくなる。

「じゃあさぁ、ハルの本当の名前ってなに?!お兄ちゃんに誓ってだから教えてっ!!」

瞳をきらきらさせて身を乗り出す。

「おい、ゆめ、」

そもそも他言無用の意味が違うと陸が制止するも、ハルは小さく首を振った。

「前回ご挨拶させてもらった時に言うべきだったわ。ごめんなさいね、」

息を整え、静かに告げる。

「“春虎”。木崎 春虎と言います。それが、私の本当の名前」

「かっこいいーー!!可愛くてかっこいいの反則だよ!ねぇお母さん!!」

ゆめが大声を上げると、両親が微笑みながら頷く。

胸がじんと熱くなる中、陸が真っ直ぐな眼差しで言った。

「おふくろも親父も、ゆめもみんなハルと一緒にこれからも関わっていきたいんだ。改めて言わせてほしい、ハルはいつも俺の隣で笑っていてくれ」

「ありがとう。えぇ、隣にいさせて…」

ぶわっと涙が込み上げ、ハルは震える声で返す。

すると横からゆめが勢いよく立ち上がる。

「ちょ、ちょっと待って!?お兄ちゃん今の!!それ、プロポーズじゃん!?!?やば!!!」

「おい、ゆめ…」

陸が再び制止するが、妹は耳まで真っ赤にしながら大はしゃぎでまるで兄の言葉は届いていない。

「いいじゃん!私のお兄ちゃん、ついに結婚宣言だよ!?おめでとーー!」

母はそうねと微笑み、父は賑やかになるなぁと喜ぶ。

「な…、俺はそういう意味でっ…いや、しかし、また改めて…」

陸は顔を赤くしながら口ごもる。

心地のいい家族団欒のぬくもりに、ハルの心は芯まであたためられた。
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