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第二章
014 龍との対峙
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「……読めんな」
ギルドの掲示板に来てみたものの文字が読めないのだからどうしろって話。
「受付では冒険者の能力に見合った依頼を探してくれるようですが、いかがなさいます?」
「どうしようかな……」
受付に視線を向けてみるも、やや混雑気味。
午前中もそうだったが、午後一番となるとみんな依頼を受けたり相談したりするためにどうしても混雑する、市役所みたいな感じだな。今から混雑の中に入り込むのも面倒だ。
受付よりは混雑の少ない掲示板で様子見をしたほうがいいかな。
「まあ、ここで探してみよう」
「分かりました。シマヅ様は銅級でございますので、依頼書の右上に描かれている銅級と同じ紋章の依頼書が受けられますね」
ハスは入念に資料を何度も目にし、一度ギルドから出る際にいくつかマルァハさんに聞いていたが、おそらくもうギルドに関してはそのほとんどを把握しているでろう。
受付よりハスを頼ったほうが手っ取り早いかも。
「端のほうは何も描かれてないけど、あれは?」
「フリーと呼ばれる依頼書です。階級関係なしで受けられますが内容の危険度や難易度もまちまちです。普通の依頼書と違い、失敗しても違約金は発生しません」
「発生しない? それなら気軽に受けられるな」
魅力的な要素だとは思うのだが、フリーの依頼書欄を見ている冒険者はそれほど多くない。失敗率が高いから違約金を設けていないのかもしれない。
俺達の動きに合わせて後ろから視線も追ってくる。どんな依頼を受けるのか、そんなに気になるのかな。
「おっ、龍の絵が描かれてる」
「風食若しくは崩落作用によって見つかった洞窟に龍が住みこんでいるため、龍退治か龍の鱗や爪などの素材回収求む、との事です」
「龍か……いいね。こいつなら俺を殺せるかもしれない」
「そのような理由での選択はどうかと思いますが……」
「報酬はどれくらいなんだ?」
「ええっと、退治した場合は金貨130枚……130枚!? うわぁ、大金です……」
「……ハスの装備がもっと豪華なものにできるな」
「それより生活のほうにお金をかけませんか……?」
「まあそうだよね」
俺達が泊まった宿屋は二人で一泊銀貨一枚だった。
もし龍退治ができればあの宿屋を長期間利用できるな、それどころか金貨100枚あれば家を建てられる? いやそこまでは流石に無理かな?
「鱗や爪は最低金貨1枚からの買い取りで素材回収のほうだけでも高報酬の依頼ですね」
「じゃあ無理に退治のほうをしなくても素材回収だけでも結構美味しい依頼なんだな」
「しかし龍に襲われる可能性を考慮すると、やはり危険度、難易度は高いと言えます」
他の冒険者が手を取らないのは報酬に見合わないから、か。
しかし俺には危険度、難易度? そんなのどんとこいだ。死ねたら儲け。
「それとダンジョンと思しき洞窟のため、もし龍が退治か撤退させた場合、ダンジョンかどうかの確認もお忘れなくと書いてあります」
「ほう、ダンジョンか。なんか面白そうだな」
とはいっても俺の興味はダンジョンそのものではなく龍に対してである。
「そそるね。こいつを受けてみよう」
「そのそそるというのは絶対あれですよね? 死ねるかもしれないという意味ですよね」
「当然じゃないか」
「うぅ……もう少し前向きなお考えを持ってもらいたいです」
掲示板から依頼書を剥がし、受付に持っていく。
仲介料は銅貨5枚だったかな、懐が厚い今なら余裕だ。
依頼書を受け取ったのはマルァハさんだった、依頼書を物色する俺達の様子を見ていた一人でもある。
「早速龍関連の依頼書ですか」
「退治とはいかずとも素材回収くらいはできるかなと思いまして」
「なるほど、ではこちらのほうの仲介料を頂きます」
銅貨五枚を渡し、書類を出されたのでハスにサインを書いてもらった。
俺も自分の名前くらいは書けるようになりたいな、ハスに教えてもらおう。
こうして冒険者として初めての依頼に臨む事になった。
西口門には昨日の衛兵がおり、認識票を見せると外へと出してくれた。
衣服も変わって見た目や雰囲気がすっかり変わったハスを二度見していたのは少し面白かった。
ガルフスディアの塀を越えた先の世界――明るい時間に見るのは初めてだが、これまた大自然といった感じ。
目の前には俺達が通ってきた平原、そしてその先には山脈がある。
「俺達が出会ったのはあの低めの山かな?」
「はい。シレガミ山脈の一つ、ガルフ山ですね。今回依頼書にある洞窟は北西側の森にあるようです」
「よし、早速行こうか」
受付から頂いた地図をもとに洞窟を目指す。
冒険者の移動用に馬車を出しているようで、それに乗り込み時間短縮を図るとした。
同じ道のりをぐるぐると回るルートバスのようなものらしい。朝から夕方まで、いくつもの馬車がこのガルフスディア周辺を巡ってくれているので利用しない手はない。
「おい兄さん、奴隷を乗せるのはちょっと」
「彼女は奴隷ではないですけど」
「……そうか。それは失礼した」
なんだか、ハスを乗せるのは渋々って感じ。
ムッとしている俺に、ハスは小さな声で気にしないでくださいと言って、荷台へと乗り込んだ。俺よりもこの子のほうがしっかりしてて大人だ……。
荷台には他に若い冒険者が三人ほど乗っており、彼らは同じパーティのようだ。
これから俺達と同じ方向での依頼を受けるのか、馬車に揺られる事十五分、同じ停留所(とは言うものの、丸太を地面に打ち込んで看板を取り付けただけの簡単な目印)で降りた。
彼らも俺達の噂は聞いていたのか、何度か声を潜めて話をしていたが依頼のほうを優先して早々に森の中へと消えてしまった。
「自然のいい香りがする」
「心地良いですねえ」
「死ぬにはもってこいの日だな」
「そんな思考を抱く方はシマヅ様くらいですよ……」
こらハス、ため息つかないでくれよ。
ちょっと傷つくだろ。
「洞窟まではどれくらいなんだ?」
「地図によればここから歩いて十五分ほどですね」
近からず遠からずの距離だ。
周囲の平原にはぽつりぽつりと馬車や冒険者達が見える。街の外でもにぎわいというものが一瞥するだけで感じられるな。
魔物はいないようだ、いるとすれば森や山のほうなのかな。
では、と森へ入ってみる。
大地を照らす木漏れ日、鼻孔に入り込む自然の香り、肌を撫でる風はほどよい涼しさを宿し、自然と頬が緩んでしまう。
「このまま依頼を放棄して散歩したい」
「そ、それは流石にギルドから怒られますよ……」
「だよね」
歩いている中、少しばかり気になる事があった。
「……なんか、誰かに見られているような」
「えっ、左様ですか? 私には何も感じられませんでしたが……うぅ、て、帝国の者達でしょうか?」
「どうなんだろう、気のせいかもしれないんだけどさ……」
一度立ち止まってみる。
森の中は実に静謐、近くに冒険者もいないようで足音すらなく、緩やかな風による木々のざわめきくらいしかない。
「……うん、気のせいだな」
「それなら安心しました。しかし、油断は禁物ですね。帝国が潜んでいる可能性は頭に入れておくべきでございます」
「そうだな、警戒心は怠らないようにしよう」
そうして暫し歩き、例の洞窟へとたどり着いた。
山麓にあるその洞窟は虚のような奥から冷気が漂い、颯爽と中へ入るには至れず。
地中へと向かうその洞窟は想像していたものよりも大きく、不気味だ。
とりあえず木の枝を拾って購入した道具と組み合わせて松明を作ってみる。
様々な状況に対応できるように色々と買っておいたからね、準備は万端だ。
けれどハスの持つリュックもポーチもパンパン気味、聞いても重くない大丈夫と繰り返して頑なに荷物を放そうとしないその荷物持ちの意地を崩す事は出来なかった。
こんな子供に荷物持ちをさせるという事自体、罪悪感さえ湧いてくるのだが……。
「とりあえず俺が先行してみるから、何があっても逃げられるようハスは少し離れていてくれ」
「かしこまりました、お気をつけて」
ひんやりとした岩肌に手をついて伝っていきながら奥へ奥へと進む。
蝙蝠が時折パタパタと高い天井で騒いでおり、その度に後ろで声を漏らすハスの反応には可愛いなあなんて思ったり。
奥に進むほどに、壁の岩肌には何やら爪のような切り傷がついていた。
唸り声も微かに聞こえてくる、龍がいるのだろう。
「ハス、ここで待っていてくれ」
「は、はい……」
身を隠すにもちょうどいい岩石もある。
彼女をこの陰に置いておき、やや左へと曲がった先へと行く。
目線より高いところに、赤い光が二つ。
松明を向けてみると、龍の顔がそこにあり、じっとその双眸は俺を刺すように見つめていた。
淡い青の鱗が微かに松明の光に照らされていた。その輝きからして、龍の鱗といえど素材回収の対象とされるのはよく分かる。何かしらの加工で、何にでもなれそうな可能性を、ほんの少し見ただけで秘めているのが理解できた。
その爪も然り、牙も然り。生きる宝物であろうかこいつは。
「あ、どうも」
「グルルルルルルルゥ……」
眉間にはしわを寄せており、両手には力が入っていた。
機嫌が悪そうだ。
「シ、シマヅ様ぁ~……」
「大丈夫だよ、ちゃんと隠れてて~」
「は、はわぁ~……」
今にも消え入りそうな声が聞こえてくる。
岩陰から顔だけを出して様子を窺っていたハスに軽く手を振ってやるも、龍が再び唸るやその顔は引っ込んでしまった。
「しっかし、この目で龍を拝める日が来るとはなぁ……」
想像よりも……爬虫類っぽい。
ワニが巨大化して翼を付けたらこういうもんになるかな、なんて思ったり。
とりあえず、そうだな。
斬ってみよう。
ギルドの掲示板に来てみたものの文字が読めないのだからどうしろって話。
「受付では冒険者の能力に見合った依頼を探してくれるようですが、いかがなさいます?」
「どうしようかな……」
受付に視線を向けてみるも、やや混雑気味。
午前中もそうだったが、午後一番となるとみんな依頼を受けたり相談したりするためにどうしても混雑する、市役所みたいな感じだな。今から混雑の中に入り込むのも面倒だ。
受付よりは混雑の少ない掲示板で様子見をしたほうがいいかな。
「まあ、ここで探してみよう」
「分かりました。シマヅ様は銅級でございますので、依頼書の右上に描かれている銅級と同じ紋章の依頼書が受けられますね」
ハスは入念に資料を何度も目にし、一度ギルドから出る際にいくつかマルァハさんに聞いていたが、おそらくもうギルドに関してはそのほとんどを把握しているでろう。
受付よりハスを頼ったほうが手っ取り早いかも。
「端のほうは何も描かれてないけど、あれは?」
「フリーと呼ばれる依頼書です。階級関係なしで受けられますが内容の危険度や難易度もまちまちです。普通の依頼書と違い、失敗しても違約金は発生しません」
「発生しない? それなら気軽に受けられるな」
魅力的な要素だとは思うのだが、フリーの依頼書欄を見ている冒険者はそれほど多くない。失敗率が高いから違約金を設けていないのかもしれない。
俺達の動きに合わせて後ろから視線も追ってくる。どんな依頼を受けるのか、そんなに気になるのかな。
「おっ、龍の絵が描かれてる」
「風食若しくは崩落作用によって見つかった洞窟に龍が住みこんでいるため、龍退治か龍の鱗や爪などの素材回収求む、との事です」
「龍か……いいね。こいつなら俺を殺せるかもしれない」
「そのような理由での選択はどうかと思いますが……」
「報酬はどれくらいなんだ?」
「ええっと、退治した場合は金貨130枚……130枚!? うわぁ、大金です……」
「……ハスの装備がもっと豪華なものにできるな」
「それより生活のほうにお金をかけませんか……?」
「まあそうだよね」
俺達が泊まった宿屋は二人で一泊銀貨一枚だった。
もし龍退治ができればあの宿屋を長期間利用できるな、それどころか金貨100枚あれば家を建てられる? いやそこまでは流石に無理かな?
「鱗や爪は最低金貨1枚からの買い取りで素材回収のほうだけでも高報酬の依頼ですね」
「じゃあ無理に退治のほうをしなくても素材回収だけでも結構美味しい依頼なんだな」
「しかし龍に襲われる可能性を考慮すると、やはり危険度、難易度は高いと言えます」
他の冒険者が手を取らないのは報酬に見合わないから、か。
しかし俺には危険度、難易度? そんなのどんとこいだ。死ねたら儲け。
「それとダンジョンと思しき洞窟のため、もし龍が退治か撤退させた場合、ダンジョンかどうかの確認もお忘れなくと書いてあります」
「ほう、ダンジョンか。なんか面白そうだな」
とはいっても俺の興味はダンジョンそのものではなく龍に対してである。
「そそるね。こいつを受けてみよう」
「そのそそるというのは絶対あれですよね? 死ねるかもしれないという意味ですよね」
「当然じゃないか」
「うぅ……もう少し前向きなお考えを持ってもらいたいです」
掲示板から依頼書を剥がし、受付に持っていく。
仲介料は銅貨5枚だったかな、懐が厚い今なら余裕だ。
依頼書を受け取ったのはマルァハさんだった、依頼書を物色する俺達の様子を見ていた一人でもある。
「早速龍関連の依頼書ですか」
「退治とはいかずとも素材回収くらいはできるかなと思いまして」
「なるほど、ではこちらのほうの仲介料を頂きます」
銅貨五枚を渡し、書類を出されたのでハスにサインを書いてもらった。
俺も自分の名前くらいは書けるようになりたいな、ハスに教えてもらおう。
こうして冒険者として初めての依頼に臨む事になった。
西口門には昨日の衛兵がおり、認識票を見せると外へと出してくれた。
衣服も変わって見た目や雰囲気がすっかり変わったハスを二度見していたのは少し面白かった。
ガルフスディアの塀を越えた先の世界――明るい時間に見るのは初めてだが、これまた大自然といった感じ。
目の前には俺達が通ってきた平原、そしてその先には山脈がある。
「俺達が出会ったのはあの低めの山かな?」
「はい。シレガミ山脈の一つ、ガルフ山ですね。今回依頼書にある洞窟は北西側の森にあるようです」
「よし、早速行こうか」
受付から頂いた地図をもとに洞窟を目指す。
冒険者の移動用に馬車を出しているようで、それに乗り込み時間短縮を図るとした。
同じ道のりをぐるぐると回るルートバスのようなものらしい。朝から夕方まで、いくつもの馬車がこのガルフスディア周辺を巡ってくれているので利用しない手はない。
「おい兄さん、奴隷を乗せるのはちょっと」
「彼女は奴隷ではないですけど」
「……そうか。それは失礼した」
なんだか、ハスを乗せるのは渋々って感じ。
ムッとしている俺に、ハスは小さな声で気にしないでくださいと言って、荷台へと乗り込んだ。俺よりもこの子のほうがしっかりしてて大人だ……。
荷台には他に若い冒険者が三人ほど乗っており、彼らは同じパーティのようだ。
これから俺達と同じ方向での依頼を受けるのか、馬車に揺られる事十五分、同じ停留所(とは言うものの、丸太を地面に打ち込んで看板を取り付けただけの簡単な目印)で降りた。
彼らも俺達の噂は聞いていたのか、何度か声を潜めて話をしていたが依頼のほうを優先して早々に森の中へと消えてしまった。
「自然のいい香りがする」
「心地良いですねえ」
「死ぬにはもってこいの日だな」
「そんな思考を抱く方はシマヅ様くらいですよ……」
こらハス、ため息つかないでくれよ。
ちょっと傷つくだろ。
「洞窟まではどれくらいなんだ?」
「地図によればここから歩いて十五分ほどですね」
近からず遠からずの距離だ。
周囲の平原にはぽつりぽつりと馬車や冒険者達が見える。街の外でもにぎわいというものが一瞥するだけで感じられるな。
魔物はいないようだ、いるとすれば森や山のほうなのかな。
では、と森へ入ってみる。
大地を照らす木漏れ日、鼻孔に入り込む自然の香り、肌を撫でる風はほどよい涼しさを宿し、自然と頬が緩んでしまう。
「このまま依頼を放棄して散歩したい」
「そ、それは流石にギルドから怒られますよ……」
「だよね」
歩いている中、少しばかり気になる事があった。
「……なんか、誰かに見られているような」
「えっ、左様ですか? 私には何も感じられませんでしたが……うぅ、て、帝国の者達でしょうか?」
「どうなんだろう、気のせいかもしれないんだけどさ……」
一度立ち止まってみる。
森の中は実に静謐、近くに冒険者もいないようで足音すらなく、緩やかな風による木々のざわめきくらいしかない。
「……うん、気のせいだな」
「それなら安心しました。しかし、油断は禁物ですね。帝国が潜んでいる可能性は頭に入れておくべきでございます」
「そうだな、警戒心は怠らないようにしよう」
そうして暫し歩き、例の洞窟へとたどり着いた。
山麓にあるその洞窟は虚のような奥から冷気が漂い、颯爽と中へ入るには至れず。
地中へと向かうその洞窟は想像していたものよりも大きく、不気味だ。
とりあえず木の枝を拾って購入した道具と組み合わせて松明を作ってみる。
様々な状況に対応できるように色々と買っておいたからね、準備は万端だ。
けれどハスの持つリュックもポーチもパンパン気味、聞いても重くない大丈夫と繰り返して頑なに荷物を放そうとしないその荷物持ちの意地を崩す事は出来なかった。
こんな子供に荷物持ちをさせるという事自体、罪悪感さえ湧いてくるのだが……。
「とりあえず俺が先行してみるから、何があっても逃げられるようハスは少し離れていてくれ」
「かしこまりました、お気をつけて」
ひんやりとした岩肌に手をついて伝っていきながら奥へ奥へと進む。
蝙蝠が時折パタパタと高い天井で騒いでおり、その度に後ろで声を漏らすハスの反応には可愛いなあなんて思ったり。
奥に進むほどに、壁の岩肌には何やら爪のような切り傷がついていた。
唸り声も微かに聞こえてくる、龍がいるのだろう。
「ハス、ここで待っていてくれ」
「は、はい……」
身を隠すにもちょうどいい岩石もある。
彼女をこの陰に置いておき、やや左へと曲がった先へと行く。
目線より高いところに、赤い光が二つ。
松明を向けてみると、龍の顔がそこにあり、じっとその双眸は俺を刺すように見つめていた。
淡い青の鱗が微かに松明の光に照らされていた。その輝きからして、龍の鱗といえど素材回収の対象とされるのはよく分かる。何かしらの加工で、何にでもなれそうな可能性を、ほんの少し見ただけで秘めているのが理解できた。
その爪も然り、牙も然り。生きる宝物であろうかこいつは。
「あ、どうも」
「グルルルルルルルゥ……」
眉間にはしわを寄せており、両手には力が入っていた。
機嫌が悪そうだ。
「シ、シマヅ様ぁ~……」
「大丈夫だよ、ちゃんと隠れてて~」
「は、はわぁ~……」
今にも消え入りそうな声が聞こえてくる。
岩陰から顔だけを出して様子を窺っていたハスに軽く手を振ってやるも、龍が再び唸るやその顔は引っ込んでしまった。
「しっかし、この目で龍を拝める日が来るとはなぁ……」
想像よりも……爬虫類っぽい。
ワニが巨大化して翼を付けたらこういうもんになるかな、なんて思ったり。
とりあえず、そうだな。
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