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第一章
karte.004 次元病
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「なんだろうな……」
「エルス、警戒しろ」
「うっす?」
ゆっくりと、再び踵を返す。
剣を鞘から静かに抜き、俺は奥へと足を進めた。
魔物はいない、気配もないが先ほどよりも葉擦れの音は強くなっている。この先に何かがあるのは、明白だった。
空気の流れを変えるほどの何か――新たな病魔が発病した可能性が十分に考えられる。
「こっちか? ちょっと行ってみよう」
何に吸い寄せられているのか、嗅診しようにもこの状況じゃ何も得られないな。
視診では……木々の死角になっているのか、今のところは何も見えない。
もっと奥に行くべきだな。
「俺から離れるなよ」
「了解っす!」
エルスはナイフを取り出すが、なんとも頼りない。
俺の緊迫感を察して、まるで子犬のようについてくる。
この先にある異質の気配を感じ取ったようで、体を縮めていた。
「あれは……!」
「な、なんすかあれ!」
葉擦れの激しい場所へと近づいてみると、異変はもはやすぐに把握できた。
なんという光景だろう。
この目で見るのは初めてだ、こんな……亀裂が宙に出来ているかのような――そう、空間が……空間が、裂けているのだあれは。
その亀裂の中は深い虚のようで、入ってはいけないと本能的に察知できる。
「次元病だ……!」
「じ、次元病!?」
治療士ならば誰もが知る大病だ。
病巣も不明、次元そのものに罹る病魔で今のところ縫合するしか手段がないらしい。
虚のようなあの穴に吸い込まれたらどうなるかも分からない。
少しでも放置すればどんどん周囲を飲み込んでしまう、過去には街一つが飲み込まれたという話もあったほどだ。
当然、飲み込まれた人間は誰一人として戻ってこなかった。
何人もの治療士が犠牲にもなっている、次元病――またの名は、治療士殺し。
そんな病魔を、目の前にしている……してしまっている。
「ルヴィン、次元縫合糸はあるか!」
「い、一応あるけど……次元病の処置はまだ経験が」
エルスに視線を送り、リュックの中にある次元縫合糸を出してもらい、受け取った。
いかなる病魔にいつ遭遇してもいいように――特に大病である次元病には常々即座に対処できるよう必ず次元縫合糸は持ち歩いている。
「言っている場合か! やるしかないんだぞ!」
両足が震えてしまっていた、けれど……震えて立ちすくんでいる場合じゃあない。
そう……そうだ。やるしかない、目の前で次元に巣食った病魔があるのだ。
「エルス、お前は下がっていろ!」
「で、でも……」
「飲み込まれたら死ぬぞ!」
指先が震える、これほどの病魔とは向き合った事がない。
今から、あの穴に近づかなくちゃならない……。全身に汗が噴き出している、心臓の鼓動は跳ね上がり、呼吸も早くなってくる。
……今までの人生の中で、一番の緊張と恐怖が全身を駆け巡り、心臓をしt激していた。
「か、鞄をこっちに投げろ!」
「はいっす!」
エルスは近づけさせたくはない。
危険だ、危険すぎる病魔だ。魔物化するといった話は聞かないのだが、発病した段階で周囲全てを飲み込むだなんて、無茶苦茶な病魔だ。
「次元縫合糸に持針器、よし!」
持針器は鉗子と形状は似ているが、縫合針がずれないように先端部はダイヤモンドチップが加工されている。
飲み込まれないように手首にワイヤーを撒いて道具と結びつける。
「ルヴィン! アンカーを打ち込んで体を固定しろ!」
「わ、分かった!」
鞄の中からアンカー銃を取り出して、腰ベルトの金具にワイヤーを通し、後方の木にアンカーを打ち込んだ。
ライザックさんにもアンカー銃を渡してしっかりと体を固定する。
「結界を張る! その間に頼むぞ!」
「ま、任せてくれ!」
今の俺には処置にはどれくらい掛かるかは分からない、もしかしたら次元の亀裂が広がって飲み込まれるかもしれない。
裂けるような音が聞こえてくる……。
少しずつ穴が広がっているのだ、暫くすれば収束はするかもしれないがその頃にはこの森は消えているのは間違いない。
そうならないためにも、今は指を動かさなくては……。
「処置に入る!」
顕微眼鏡をかけて、細部を見る。
しかしこれは次元病、細部が見えたとしても気休めにしかならない。何もない空間と、次元の穴との境目――微かな、ほんの微かな違和感を掴まねば。
空間が歪んでいる部分は針も通る、裂け目から離れすぎても近すぎても駄目だ。
縫合糸を手に取る。縫合針に通して結び、持針器でつまむも未だに震えは止まらない。
「くそっ……!」
一度自分の右手をぐっと掴み、深呼吸をした。
……思い浮かべるは一人の女性。
俺には師匠がいた、今は亡き師匠……こういう緊迫した状況ではいつも、師匠の顔を思い浮かべる。
長い赤茶の髪が特徴で、美しい人だった。
今会いに行くには、きっと早すぎると怒られる。
「師匠、見守っていてくれ」
決意を胸に、亀裂へと向き合う。
手の震えは少しはマシになった。
縫合針を、次元の亀裂と空間の境目にくぐらせるがきちんと縫い付けられているのか……その感覚はほんの僅か。
針が淡く光り、縫った先から空間と一体化してほぼ透明に近くなるために縫合具合を顕微眼鏡でしっかりと確認しなくてはならない。
空気が歪むような感覚、俺は今立っているのか倒れているのか、方向感覚すらも危うくなってくる。
汗が止まらない……。
「汗拭くっすよ!」
「エ、エルス!? 危険だから下がってろって!」
「ただ見てるだけなのは嫌っす! それに体の固定もちゃんとしたっすから、汗拭きくらいやらせてほしいっす!」
ライザックさんに指示を仰ぐべく、視線を投げた。
静かに頷いていた、では……続行と行こう。
「ルヴィン、お前ならやれる」
「あぁ……!」
指先だけに感覚を集中させる。
治療士は魔法を駆使して手術を進めるのが主ではあるが、次元病は魔法より技術が求められる。
幸いな事に、俺は技術には自信がある。魔法はまったく駄目だが。
少しでも集中を途切れさせたら皆の危機に直結する、体力が持つか怪しいが、全身全霊で対処するしかない。
糸で縫い合わせてゆっくり引っ張っていけば亀裂が少しず狭まっていく。
ぴったりとくっつくよう縫い合わせなくてはならないために、適当な処置はできない。
ライザックさんが浄化魔法をかけていき、縫合された部分の亀裂も糸もすっかり消えている。
縫合が順調にできている証拠だ。
「ふう……」
どれくらい経過したか。
体感では三時間――いや、もっとか。
亀裂は最初に見た時よりもかなり小さくなっている、もうあと残り僅かだ。
この亀裂に近ければ近いほど体力も持っていかれるようだ、正直きつい。
しかし自分でも思った以上に早く処置ができている、あとどれくらいで終わるのかも予測できる、いい調子だ。
「――縫合終了だ」
安堵の溜息をつくにはまだ早いが、次元の亀裂はもう見られない。
歪んだ空間はゆっくりと水面の波紋が落ち着くかのように少しずつ歪みがなくなっていっている。
「病巣の特定はできないなあんなの……」
「次の発病はなるべく遅い事を祈るしかない。よくやったな、ルヴィン」
ライザックさんの言葉を聞いて、俺はようやく安堵の溜息をつく事ができた。
「お見事っす! いやぁルヴィンさんについていってよかったっす!」
不思議なもんだ。
三時間前までここに亀裂ができていたのに、今はただただ静謐の居座る何の変哲のない森の光景のみだ。
何もない空間から縫合に使用した糸も垂れてもいない、縫合がしっかりとできた証だ。
しかし俺達の足元は草が何一つなくなっている。次元病に飲み込まれたのだ。
穴の大きさとしてはおそらく小さいほう、発見も早く大事に至らなかったとはいえそれでも周辺の草木は軽く飲み込んでしまう、それが次元病の恐ろしさだ。
「初めてでこの短時間の処置、師匠も誇りに思ってるだろう」
「ああ……」
師匠……見ていてほしかったよ。
「今日は三つも病魔を処置した上に次元病だなんていう大病も処置はすごいっすね! ぱーっとやりましょう、ぱーっと!」
エルスの言葉にライザックさんは笑みをこぼして煙草に火をつけた。
今夜は美味いものをたらふく食べられそうだ。
「休憩を終えたら次元病から出てきたものを探してみるか」
「出てきたもの、っすか?」
「次元病は発症時に膨大な魔力と共に内部からの放出、その後先ほどのような吸収に入るが放出時に何かが毎回出てくる、それらは吸収されずにその場に残っていると聞く。処置をした証明のためにも一つ持ち帰るぞ」
ライザックさんは煙草吸い終えるや、ナイフを取り出して周辺の探索を始めた。
俺達も続くが、出てきたものとは? その疑問が警戒心を強めさせた。
「……なんだ?」
見た事もない小さな四角い鉄製の板。
触ってみるがうんともすんとも言わない。
文字のようなものが書いてあるが……読めないな。しかしこの板に描いてある絵はまるで実写のようだった。
「こっちにも変なのあるっす」
「結構でかいなこいつは」
馬に似た形だが車輪が前後についている。
乗り物か? に人が座れるような部分もあるが。
周りをよく見てみると大小それぞれ、数え切れないほど奇妙なものが落ちている。
「この本、何語だ?」
「どれも使い方すら分からないものばかりっすね」
けれど本の装丁は見るからに質が違う。
赤く皮製の本は金の模様が施されており、持った時の感覚は滑らかで触り心地がいい。
中身のページ一枚一枚も綺麗なクリーム色をしている。
「おい、見てみろ」
一部分だけ、木の枝がやたら多く落ちている。
どれも小枝で乱暴に折られたかのようなものばかり、木の上から何かが落ちてきたかのような。
見上げてみるとそこには――
「エルス、警戒しろ」
「うっす?」
ゆっくりと、再び踵を返す。
剣を鞘から静かに抜き、俺は奥へと足を進めた。
魔物はいない、気配もないが先ほどよりも葉擦れの音は強くなっている。この先に何かがあるのは、明白だった。
空気の流れを変えるほどの何か――新たな病魔が発病した可能性が十分に考えられる。
「こっちか? ちょっと行ってみよう」
何に吸い寄せられているのか、嗅診しようにもこの状況じゃ何も得られないな。
視診では……木々の死角になっているのか、今のところは何も見えない。
もっと奥に行くべきだな。
「俺から離れるなよ」
「了解っす!」
エルスはナイフを取り出すが、なんとも頼りない。
俺の緊迫感を察して、まるで子犬のようについてくる。
この先にある異質の気配を感じ取ったようで、体を縮めていた。
「あれは……!」
「な、なんすかあれ!」
葉擦れの激しい場所へと近づいてみると、異変はもはやすぐに把握できた。
なんという光景だろう。
この目で見るのは初めてだ、こんな……亀裂が宙に出来ているかのような――そう、空間が……空間が、裂けているのだあれは。
その亀裂の中は深い虚のようで、入ってはいけないと本能的に察知できる。
「次元病だ……!」
「じ、次元病!?」
治療士ならば誰もが知る大病だ。
病巣も不明、次元そのものに罹る病魔で今のところ縫合するしか手段がないらしい。
虚のようなあの穴に吸い込まれたらどうなるかも分からない。
少しでも放置すればどんどん周囲を飲み込んでしまう、過去には街一つが飲み込まれたという話もあったほどだ。
当然、飲み込まれた人間は誰一人として戻ってこなかった。
何人もの治療士が犠牲にもなっている、次元病――またの名は、治療士殺し。
そんな病魔を、目の前にしている……してしまっている。
「ルヴィン、次元縫合糸はあるか!」
「い、一応あるけど……次元病の処置はまだ経験が」
エルスに視線を送り、リュックの中にある次元縫合糸を出してもらい、受け取った。
いかなる病魔にいつ遭遇してもいいように――特に大病である次元病には常々即座に対処できるよう必ず次元縫合糸は持ち歩いている。
「言っている場合か! やるしかないんだぞ!」
両足が震えてしまっていた、けれど……震えて立ちすくんでいる場合じゃあない。
そう……そうだ。やるしかない、目の前で次元に巣食った病魔があるのだ。
「エルス、お前は下がっていろ!」
「で、でも……」
「飲み込まれたら死ぬぞ!」
指先が震える、これほどの病魔とは向き合った事がない。
今から、あの穴に近づかなくちゃならない……。全身に汗が噴き出している、心臓の鼓動は跳ね上がり、呼吸も早くなってくる。
……今までの人生の中で、一番の緊張と恐怖が全身を駆け巡り、心臓をしt激していた。
「か、鞄をこっちに投げろ!」
「はいっす!」
エルスは近づけさせたくはない。
危険だ、危険すぎる病魔だ。魔物化するといった話は聞かないのだが、発病した段階で周囲全てを飲み込むだなんて、無茶苦茶な病魔だ。
「次元縫合糸に持針器、よし!」
持針器は鉗子と形状は似ているが、縫合針がずれないように先端部はダイヤモンドチップが加工されている。
飲み込まれないように手首にワイヤーを撒いて道具と結びつける。
「ルヴィン! アンカーを打ち込んで体を固定しろ!」
「わ、分かった!」
鞄の中からアンカー銃を取り出して、腰ベルトの金具にワイヤーを通し、後方の木にアンカーを打ち込んだ。
ライザックさんにもアンカー銃を渡してしっかりと体を固定する。
「結界を張る! その間に頼むぞ!」
「ま、任せてくれ!」
今の俺には処置にはどれくらい掛かるかは分からない、もしかしたら次元の亀裂が広がって飲み込まれるかもしれない。
裂けるような音が聞こえてくる……。
少しずつ穴が広がっているのだ、暫くすれば収束はするかもしれないがその頃にはこの森は消えているのは間違いない。
そうならないためにも、今は指を動かさなくては……。
「処置に入る!」
顕微眼鏡をかけて、細部を見る。
しかしこれは次元病、細部が見えたとしても気休めにしかならない。何もない空間と、次元の穴との境目――微かな、ほんの微かな違和感を掴まねば。
空間が歪んでいる部分は針も通る、裂け目から離れすぎても近すぎても駄目だ。
縫合糸を手に取る。縫合針に通して結び、持針器でつまむも未だに震えは止まらない。
「くそっ……!」
一度自分の右手をぐっと掴み、深呼吸をした。
……思い浮かべるは一人の女性。
俺には師匠がいた、今は亡き師匠……こういう緊迫した状況ではいつも、師匠の顔を思い浮かべる。
長い赤茶の髪が特徴で、美しい人だった。
今会いに行くには、きっと早すぎると怒られる。
「師匠、見守っていてくれ」
決意を胸に、亀裂へと向き合う。
手の震えは少しはマシになった。
縫合針を、次元の亀裂と空間の境目にくぐらせるがきちんと縫い付けられているのか……その感覚はほんの僅か。
針が淡く光り、縫った先から空間と一体化してほぼ透明に近くなるために縫合具合を顕微眼鏡でしっかりと確認しなくてはならない。
空気が歪むような感覚、俺は今立っているのか倒れているのか、方向感覚すらも危うくなってくる。
汗が止まらない……。
「汗拭くっすよ!」
「エ、エルス!? 危険だから下がってろって!」
「ただ見てるだけなのは嫌っす! それに体の固定もちゃんとしたっすから、汗拭きくらいやらせてほしいっす!」
ライザックさんに指示を仰ぐべく、視線を投げた。
静かに頷いていた、では……続行と行こう。
「ルヴィン、お前ならやれる」
「あぁ……!」
指先だけに感覚を集中させる。
治療士は魔法を駆使して手術を進めるのが主ではあるが、次元病は魔法より技術が求められる。
幸いな事に、俺は技術には自信がある。魔法はまったく駄目だが。
少しでも集中を途切れさせたら皆の危機に直結する、体力が持つか怪しいが、全身全霊で対処するしかない。
糸で縫い合わせてゆっくり引っ張っていけば亀裂が少しず狭まっていく。
ぴったりとくっつくよう縫い合わせなくてはならないために、適当な処置はできない。
ライザックさんが浄化魔法をかけていき、縫合された部分の亀裂も糸もすっかり消えている。
縫合が順調にできている証拠だ。
「ふう……」
どれくらい経過したか。
体感では三時間――いや、もっとか。
亀裂は最初に見た時よりもかなり小さくなっている、もうあと残り僅かだ。
この亀裂に近ければ近いほど体力も持っていかれるようだ、正直きつい。
しかし自分でも思った以上に早く処置ができている、あとどれくらいで終わるのかも予測できる、いい調子だ。
「――縫合終了だ」
安堵の溜息をつくにはまだ早いが、次元の亀裂はもう見られない。
歪んだ空間はゆっくりと水面の波紋が落ち着くかのように少しずつ歪みがなくなっていっている。
「病巣の特定はできないなあんなの……」
「次の発病はなるべく遅い事を祈るしかない。よくやったな、ルヴィン」
ライザックさんの言葉を聞いて、俺はようやく安堵の溜息をつく事ができた。
「お見事っす! いやぁルヴィンさんについていってよかったっす!」
不思議なもんだ。
三時間前までここに亀裂ができていたのに、今はただただ静謐の居座る何の変哲のない森の光景のみだ。
何もない空間から縫合に使用した糸も垂れてもいない、縫合がしっかりとできた証だ。
しかし俺達の足元は草が何一つなくなっている。次元病に飲み込まれたのだ。
穴の大きさとしてはおそらく小さいほう、発見も早く大事に至らなかったとはいえそれでも周辺の草木は軽く飲み込んでしまう、それが次元病の恐ろしさだ。
「初めてでこの短時間の処置、師匠も誇りに思ってるだろう」
「ああ……」
師匠……見ていてほしかったよ。
「今日は三つも病魔を処置した上に次元病だなんていう大病も処置はすごいっすね! ぱーっとやりましょう、ぱーっと!」
エルスの言葉にライザックさんは笑みをこぼして煙草に火をつけた。
今夜は美味いものをたらふく食べられそうだ。
「休憩を終えたら次元病から出てきたものを探してみるか」
「出てきたもの、っすか?」
「次元病は発症時に膨大な魔力と共に内部からの放出、その後先ほどのような吸収に入るが放出時に何かが毎回出てくる、それらは吸収されずにその場に残っていると聞く。処置をした証明のためにも一つ持ち帰るぞ」
ライザックさんは煙草吸い終えるや、ナイフを取り出して周辺の探索を始めた。
俺達も続くが、出てきたものとは? その疑問が警戒心を強めさせた。
「……なんだ?」
見た事もない小さな四角い鉄製の板。
触ってみるがうんともすんとも言わない。
文字のようなものが書いてあるが……読めないな。しかしこの板に描いてある絵はまるで実写のようだった。
「こっちにも変なのあるっす」
「結構でかいなこいつは」
馬に似た形だが車輪が前後についている。
乗り物か? に人が座れるような部分もあるが。
周りをよく見てみると大小それぞれ、数え切れないほど奇妙なものが落ちている。
「この本、何語だ?」
「どれも使い方すら分からないものばかりっすね」
けれど本の装丁は見るからに質が違う。
赤く皮製の本は金の模様が施されており、持った時の感覚は滑らかで触り心地がいい。
中身のページ一枚一枚も綺麗なクリーム色をしている。
「おい、見てみろ」
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