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第四章
karte.035 憎悪
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「ジアフ様、何をしているのですか。処理してください。我ら帝国のために」
今度はフリュウゲが現れる。
次から次へとやってきやがるが秘書の姿はまだない。
フリュウゲは地下からやってきたところを見ると、やはり地下に何かあるな。レイコもそこにいるかもしれない。
ルォウは軽く舌打ちをする。
「ジアフ、あんたとやりあわなくちゃならないなんてねえ」
「私はやりあいたくなどないのだがね」
するとジアフはフリュウゲへと杖を向けた。
「何のつもりですか?」
「見て分からないかね?」
一体、どういう事か――困惑する俺達を置いてけぼりにして彼は容赦なく杖を地面へ擦らせるように振るい、彼女へ炎を走らせた。
「敵を攻撃するのは当然だろう?」
「敵、だって……?」
「ルヴィン君、安心したまえ。安心、といってもまだレイコ君を返してもらえていない以上この言葉は言いづらいのだがね」
冷静に、状況を見定めるとしたら。
ジアフは今、俺達の仲間のように思えてくる。
何より彼が向ける刃の矛先は俺達には向けておらず、また向けられる気配すらない。
彼の行動が、冗談ではないと悟ったのか、フリュウゲの表情はみるみるうちに曇っていく。
「う、裏切るのですか!」
「裏切る? 元から私は君達帝国の敵だったよ。見たまえ、これは君達ギルド職員達の帝国に就いているリストだ。結構いるものだ、調べるのに苦労したよ」
リストを俺達にも見せてくる。
おいおい……レイコを診ていた医者の名前も載ってるじゃねえか。
となれば、処方された薬も怪しいな……。
「紛らわしい真似をしてすまなかったね、奴らの計画全てを暴くためには敵の懐に入るのが良いと思ってね」
「でもあんた、帝国出身だろ……?」
「そうとも。私の家族を殺した帝国出身だ」
杖を強く握り、憎悪が込められたかのように彼は周囲の魔物へ炎を放つ。
ここはジアフ一人に任せてもよさそうなほどの圧倒的戦力。
フリュウゲの表情が曇り、懐から取り出すは――銃。
数発発砲するも、ジアフの炎の壁によって弾丸は溶かされてしまった。
膨大な魔力が込められた炎は銃弾などものともしない。
「そしてラハルェ・ユンスは私の友人だった。お互い立場があるのでひっそりと酒を共にするくらいであったが、長い付き合いだったよ」
「ラハルェを殺したのはフリュウゲか?」
「ああそうだ。それも特別な方法でね」
「特別な方法……?」
「気になるであろうがしかしだね、今は敵を排除しようじゃないか」
「ああ、そうしようか」
不利だった状況もジアフがいれば容易く覆せるであろう。
まだ完全には信用できないものの、フリュウゲの様子から見るに、ここは素直に手を取り合ったほうがよさそうだ。
「ルォウ君、君には帝国側の職員確保をお願いしていいかね?」
「任せてちょうだい」
「俺はレイコを助けに行っていいか?」
「勿論だとも、お姫様を助けに行く適役は君であろう。彼女は地下にいるはずだ、私の元秘書と共にね」
地下への入り口を探すよりも、魔物達が開けたあの穴に飛び込んだほうが早そうだ。
魔物達が前方を塞ぐが、頼もしい援護のおかげで奴らは炎に包まれていく。
少々熱いがそれは我慢しよう。
「行かせません!」
銃を構えて立ちはだかるフリュウゲだが、魔物達の残骸は障害物となり、更には炎も散らばる中では銃も怖くはない。
ここの守りはジアフに任せるつもりだったのか、強力な武器はさほど持ち合わせていなかったようだ。
「すぅー……」
深く呼吸し、彼女は手を空へ向ける。
魔法の発動――どんな魔法だ?
頬を伝う風の流れが変わった、風属性の魔法?
「武器は用意してないと、思ってましたか!?」
強力な魔法を唱えようとしているのではない……か。
手は上に向けている。
「我が帝国の技術、見せてやりますよ!」
風魔法を使って彼女は、隠されていたであろういくつものアタッシュケースを手元へと運び、それらが開かれるや――
「おいおいなんだそりゃ……」
中から出てきたのは銃のパーツか?
無数のパーツは空中で構築され、彼女の前でそれは完成される。
円柱のような、ああ、それはどこかでこう呼ばれている
――ガトリングガン、と。
砲身は一つならまだしも、三つついている。
「派手にいきましょう!」
カチッという音と共に、それら三つの砲身が回転しはじめるや、彼女のすぐ近くにいた魔物は一瞬にして粉々になり、その破壊先は俺へと向けられていく。
「なんつう威力だ……!」
「任せたまえ!」
ジアフが援護に回り、彼女へ炎を向けるも――
「ははっ、防げますか!」
銃弾の嵐はジアフの炎すら凌駕する、弾丸も特殊なものを使用しているのかもしれない。
「任せていいよな!」
「ううむ、少々自信がなくなってきたのだよ!」
彼女は高笑いしながら銃弾を散りばめていく、魔物達も彼女に近づけは粉々にされるのが理解したのか俺達へと向かっていく始末で手がつけられない。
『――状況は概ね理解したが、困ってるか?』
「困ってるよ! 見て分からないか!? って見えないか!」
無線機から、ライザックさんの声が流れてくる。
『見えている』
「そうか! こっちはあの乱射のおかげで手詰まりだ! なんとかできないかな!?」
無線越しからでも分かる溜息。
ただそれはそう、重い溜息だと、その後の帯びる沈黙から理解した。
彼の銃口は、長らく魔物に向けていた。
しかし今は。
ああ、今は、人に向けているのだ。
失言だった。何とかできないか、そんな質問は容易にするべきではなかった。
――銃口を人に向けて撃てる? と問いかけるようなものだ。
『…………伏せていろ』
俺にとっては短い数秒。
ライザックさんにとっては長い数秒だっただろう。
判断せざるを得ない状況に自分が追いやってしまった。
罪悪感を得ながらも、俺は次なる行動のために準備する。
『隙は作る、三秒経ったら動け』
その返答と共に、俺は数える。
一秒。
二秒。
三秒――同時に、目の前の窓に小さな穴が一点開いた。
ガトリングガンとフリュウゲの笑い声のおかげで喧喧すら越えるこの室内は他の物音も聞こえづらいが、確かに外からの銃声が聞こえた。
ライザックさんの狙撃だ。
そして――。
「がはぁ!」
痛みの乗ったフリュウゲの声。
『これでいいか?』
「ああ、十分だ!」
フリュウゲは肩から血を流してよろめいていた。
彼女が痛みに耐えて引き金を引くとしても、少しの猶予ができた。
「後は任せた!」
穴へと駆け、フリュウゲの怒声が聞こえ再び銃弾が撒き散らされるも何とか地下へ潜れた。
上の騒がしさもジアフとライザックさんがいればそのうち治まるだろう。
「っと……」
地下施設、思っていたよりも広いな。
しかも魔物がまだ何体かいる、狭い空間であれば奴らも動きづらいのが救いか。
薄暗いのもあって魔物達の反応はやや鈍い、俺よりも光へと向かっているようだ。
迅速にかつ物音もなるべく立てずに進み、魔物とはすれ違う形に出来たのは幸いだった。
奥へと進むもレイコの姿はない。
魔物すら見当たらなくなり静寂が立ち込めると些か不気味とさえ感じる。
長年使われていないために埃っぽく、床も薄ら白さを浮かべていた。
目も少し闇に慣れてきた、床には足跡らしきものがあるな。
大きさから考えるに女性のもの、セイルだろうか。
どうであれ足跡に続いてみるとしよう。
足跡は奥の部屋へと続いていた、念のため左右の通路を確認し、ゆっくりと俺は扉へと歩み寄る。
鍵はかけられていない、少しだけ開けて中の様子を確認した。
光が漏れている、中に誰かいる気配――音を立てずに扉を慎重に開けながら、構えた。
「貴方でしたか。師弟揃ってとことん我々の邪魔をしますね」
セイルの姿を捉えた。
――その奥には壁にレイコが、張り付けにされていた。
今度はフリュウゲが現れる。
次から次へとやってきやがるが秘書の姿はまだない。
フリュウゲは地下からやってきたところを見ると、やはり地下に何かあるな。レイコもそこにいるかもしれない。
ルォウは軽く舌打ちをする。
「ジアフ、あんたとやりあわなくちゃならないなんてねえ」
「私はやりあいたくなどないのだがね」
するとジアフはフリュウゲへと杖を向けた。
「何のつもりですか?」
「見て分からないかね?」
一体、どういう事か――困惑する俺達を置いてけぼりにして彼は容赦なく杖を地面へ擦らせるように振るい、彼女へ炎を走らせた。
「敵を攻撃するのは当然だろう?」
「敵、だって……?」
「ルヴィン君、安心したまえ。安心、といってもまだレイコ君を返してもらえていない以上この言葉は言いづらいのだがね」
冷静に、状況を見定めるとしたら。
ジアフは今、俺達の仲間のように思えてくる。
何より彼が向ける刃の矛先は俺達には向けておらず、また向けられる気配すらない。
彼の行動が、冗談ではないと悟ったのか、フリュウゲの表情はみるみるうちに曇っていく。
「う、裏切るのですか!」
「裏切る? 元から私は君達帝国の敵だったよ。見たまえ、これは君達ギルド職員達の帝国に就いているリストだ。結構いるものだ、調べるのに苦労したよ」
リストを俺達にも見せてくる。
おいおい……レイコを診ていた医者の名前も載ってるじゃねえか。
となれば、処方された薬も怪しいな……。
「紛らわしい真似をしてすまなかったね、奴らの計画全てを暴くためには敵の懐に入るのが良いと思ってね」
「でもあんた、帝国出身だろ……?」
「そうとも。私の家族を殺した帝国出身だ」
杖を強く握り、憎悪が込められたかのように彼は周囲の魔物へ炎を放つ。
ここはジアフ一人に任せてもよさそうなほどの圧倒的戦力。
フリュウゲの表情が曇り、懐から取り出すは――銃。
数発発砲するも、ジアフの炎の壁によって弾丸は溶かされてしまった。
膨大な魔力が込められた炎は銃弾などものともしない。
「そしてラハルェ・ユンスは私の友人だった。お互い立場があるのでひっそりと酒を共にするくらいであったが、長い付き合いだったよ」
「ラハルェを殺したのはフリュウゲか?」
「ああそうだ。それも特別な方法でね」
「特別な方法……?」
「気になるであろうがしかしだね、今は敵を排除しようじゃないか」
「ああ、そうしようか」
不利だった状況もジアフがいれば容易く覆せるであろう。
まだ完全には信用できないものの、フリュウゲの様子から見るに、ここは素直に手を取り合ったほうがよさそうだ。
「ルォウ君、君には帝国側の職員確保をお願いしていいかね?」
「任せてちょうだい」
「俺はレイコを助けに行っていいか?」
「勿論だとも、お姫様を助けに行く適役は君であろう。彼女は地下にいるはずだ、私の元秘書と共にね」
地下への入り口を探すよりも、魔物達が開けたあの穴に飛び込んだほうが早そうだ。
魔物達が前方を塞ぐが、頼もしい援護のおかげで奴らは炎に包まれていく。
少々熱いがそれは我慢しよう。
「行かせません!」
銃を構えて立ちはだかるフリュウゲだが、魔物達の残骸は障害物となり、更には炎も散らばる中では銃も怖くはない。
ここの守りはジアフに任せるつもりだったのか、強力な武器はさほど持ち合わせていなかったようだ。
「すぅー……」
深く呼吸し、彼女は手を空へ向ける。
魔法の発動――どんな魔法だ?
頬を伝う風の流れが変わった、風属性の魔法?
「武器は用意してないと、思ってましたか!?」
強力な魔法を唱えようとしているのではない……か。
手は上に向けている。
「我が帝国の技術、見せてやりますよ!」
風魔法を使って彼女は、隠されていたであろういくつものアタッシュケースを手元へと運び、それらが開かれるや――
「おいおいなんだそりゃ……」
中から出てきたのは銃のパーツか?
無数のパーツは空中で構築され、彼女の前でそれは完成される。
円柱のような、ああ、それはどこかでこう呼ばれている
――ガトリングガン、と。
砲身は一つならまだしも、三つついている。
「派手にいきましょう!」
カチッという音と共に、それら三つの砲身が回転しはじめるや、彼女のすぐ近くにいた魔物は一瞬にして粉々になり、その破壊先は俺へと向けられていく。
「なんつう威力だ……!」
「任せたまえ!」
ジアフが援護に回り、彼女へ炎を向けるも――
「ははっ、防げますか!」
銃弾の嵐はジアフの炎すら凌駕する、弾丸も特殊なものを使用しているのかもしれない。
「任せていいよな!」
「ううむ、少々自信がなくなってきたのだよ!」
彼女は高笑いしながら銃弾を散りばめていく、魔物達も彼女に近づけは粉々にされるのが理解したのか俺達へと向かっていく始末で手がつけられない。
『――状況は概ね理解したが、困ってるか?』
「困ってるよ! 見て分からないか!? って見えないか!」
無線機から、ライザックさんの声が流れてくる。
『見えている』
「そうか! こっちはあの乱射のおかげで手詰まりだ! なんとかできないかな!?」
無線越しからでも分かる溜息。
ただそれはそう、重い溜息だと、その後の帯びる沈黙から理解した。
彼の銃口は、長らく魔物に向けていた。
しかし今は。
ああ、今は、人に向けているのだ。
失言だった。何とかできないか、そんな質問は容易にするべきではなかった。
――銃口を人に向けて撃てる? と問いかけるようなものだ。
『…………伏せていろ』
俺にとっては短い数秒。
ライザックさんにとっては長い数秒だっただろう。
判断せざるを得ない状況に自分が追いやってしまった。
罪悪感を得ながらも、俺は次なる行動のために準備する。
『隙は作る、三秒経ったら動け』
その返答と共に、俺は数える。
一秒。
二秒。
三秒――同時に、目の前の窓に小さな穴が一点開いた。
ガトリングガンとフリュウゲの笑い声のおかげで喧喧すら越えるこの室内は他の物音も聞こえづらいが、確かに外からの銃声が聞こえた。
ライザックさんの狙撃だ。
そして――。
「がはぁ!」
痛みの乗ったフリュウゲの声。
『これでいいか?』
「ああ、十分だ!」
フリュウゲは肩から血を流してよろめいていた。
彼女が痛みに耐えて引き金を引くとしても、少しの猶予ができた。
「後は任せた!」
穴へと駆け、フリュウゲの怒声が聞こえ再び銃弾が撒き散らされるも何とか地下へ潜れた。
上の騒がしさもジアフとライザックさんがいればそのうち治まるだろう。
「っと……」
地下施設、思っていたよりも広いな。
しかも魔物がまだ何体かいる、狭い空間であれば奴らも動きづらいのが救いか。
薄暗いのもあって魔物達の反応はやや鈍い、俺よりも光へと向かっているようだ。
迅速にかつ物音もなるべく立てずに進み、魔物とはすれ違う形に出来たのは幸いだった。
奥へと進むもレイコの姿はない。
魔物すら見当たらなくなり静寂が立ち込めると些か不気味とさえ感じる。
長年使われていないために埃っぽく、床も薄ら白さを浮かべていた。
目も少し闇に慣れてきた、床には足跡らしきものがあるな。
大きさから考えるに女性のもの、セイルだろうか。
どうであれ足跡に続いてみるとしよう。
足跡は奥の部屋へと続いていた、念のため左右の通路を確認し、ゆっくりと俺は扉へと歩み寄る。
鍵はかけられていない、少しだけ開けて中の様子を確認した。
光が漏れている、中に誰かいる気配――音を立てずに扉を慎重に開けながら、構えた。
「貴方でしたか。師弟揃ってとことん我々の邪魔をしますね」
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