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第3話 ルームメイトの女性用下着着用事件
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キーンコーンカーンコーン
「ほらほら、早く席につけ」
学院のチャイムが鳴ると同時に、手を叩きながらクラス担当の先生がドアを開けて入って来る。
クラス内には男子しかおらず、席についても騒がしかった。
「お前ら少しは、二学年生としての意識はないのか。まぁいい、今日は転入生を紹介する。入ってこい」
クラス担当の先生の言葉に、クラスの男子たちは急に転入生へ興味を持つ。
「おっ、転入生とか珍しいな。どんな奴が、来るんだ」
「来るのは男でしかないでしょ。まぁ、どうせ僕より劣った奴だろうけどね」
「何、勝ち誇った顔してんだよ。前回の期末試験、クラス最下位だっただろうが」
「おいルーク聞いたか、転入生だってよ」
「……」
「って、寝てんのかよ。全くよ……おいおいお前ら。そんなに騒ぎ立てたら、転入生が怖がっちまうだろ。俺様のクラスに入って来てくれるんだ、しっかり歓迎してやろうじゃねぇか」
「トウマ、お前のクラスじゃない」
「あれ、こういうキャラあんま好きじゃない?」
そのままクラス内は転入生を無視したまま、勝手に騒ぎ続ける。
クラス担当がいい加減にうるさいと怒鳴ると、そこでやっとクラスメイトたちの騒ぎが収まる。
「少しは転入生の事も考えてやれ。突然こんなうるさいクラスに来たら、驚くだろ」
「いやいや、先生。後々知るより、先に知ってもらった方が俺たちもやりやすいっすよ」
「トウマあのな……」
そこで私は、クラス担当に軽く手を出して、勝手に自己紹介を始めた。
「俺の名は、クリス・フォークロス。フォークロス領主に養子として引き取られた。この王都メルト魔法学院にて学べる事を光栄に本当に思う。新参者だが、これからよろしく頼む。あと、俺のことはクリスと呼んでくれ、以上だ」
言いたいことを言い切り、スッキリした私だったが、クラス内は何故が静まり返っていた。
え、何か変な事を言ったか?
いやいや、マリアと練習した通り男っぽく舐められない自己紹介が出来たと自負しているんだが。
何故、目の前のクラスメイトたちは黙ってこっちを見ているだけなんだ。
すると、先程トウマと呼ばれていた男が口を開いた。
「へぇ~中々やるじゃねぇか、お前」
「え?」
「なぁ、お前らもそう思うだろ?」
何のことを言われているのか分からず、私は首を傾げてしまった。
「確かにな、大抵の坊ちゃんたちは俺たちの威力に押されて、ビビっちゃったりするもんな」
「そうそう、そんな奴がうちのクラスにいても、しょうもねぇだろ。だから、うちのクラスに転入してくる奴は全員試してんだよ」
「このクラスでやっていける奴かどうかをな」
最後の言葉が、隣にいるクラス担当から出て私は驚いた。
直後、クラス担当であったはずの人が、制服を着た学生になりクラスメイトたちの方へと歩いて行った。
クラスメイトたちは私に説明もなく、クラス担当に変身していた男を囲って騒ぎ出す。
「(な、何が起きているの? 何が何だか分からないんだけど! 助けてマリアー!)」
私が困惑していると、先頭列に座っていた男が説明してくれた。
「クリスだったかな? まずは、合格おめでとう。そして、このクラスへようこそ、歓迎するよ」
「合格? どういう事なんだ? 分かりやすく教えてくれ」
そこに、トウマがやって来て、私に説明してくれている男の肩に手を回した。
「委員長、クリスに説明頼む」
「はぁ~、それをいまからやるところだったんだよ、トウマ。ごめん話を戻そうか。僕はアルジュ。この学院では転入生は珍しくないんだ。その時クラス分けがされるんだが、それは先生たちがやるんでなく、各クラス事でその転入生が自分たちのクラスに相応しいか独自にテストするのさ」
「それは初耳だな。それは、寮とクラスが同じという事に関係あるのか?」
私の問いかけにアルジュは、その通りと指を向けると黒板に向かって絵を描きながら説明してくれた。
「王都メルト魔法学院の、全寮制は知ってるね。寮は全部で4つあり、寮では全ての学年が一緒に暮らしている。クラスも寮と同じメンバーで構成されるから、クラスに属するという事はこれからずっと寮でも同じというわけさ」
「そう。だから、転入生はクラスに馴染める奴かを、見極める試験をどのクラスもしているってことよ」
トウマがアルジュの説明に割っていいところだけ自慢げに語った。
それをアルジュは怒ることもなく、軽くため息をもらした。
その雰囲気から、これはいつもの事なんだと私は勝手に解釈した。
「つうわけで、これからよろしくなクリス」
トウマが出してきた手に、私は少し動揺したが、すぐに私も握り返して返事をした。
そこからクラスメイトの紹介をしてもらった。
クラスには約20名程しかいないし、寮生活もあるのですぐに覚えられると感じた。
そして、最後にトウマの後ろの席で突っ伏している金髪の男を紹介してもらった。
「おいルーク、起きろよ。新しいクラスメイトだ。起きて挨拶くらいしろよ」
「…んっ…あぁ……よろしく……」
ルークは机に突っ伏したまま、私の顔をも見ずに挨拶をする。
トウマは呆れた表情をしたのち、私に謝った。
「こいつ、いつもこうんだよ。興味ない事には極端に興味を示さないんだ。あっ、あと教えといてやるけど」
そう言ってトウマが、私に突然顔を近付けて来たので、咄嗟にのけ反ってしまった。
そこでまずいと思って、直ぐに体勢を戻した。
トウマは私の行動に少し、首を傾げたが気にせず小声で話し掛けてきた。
「ルークは、この国の第二王子なんだ。本人は、そう言われることを気にしてるから、普通に接してやってくれ」
「だ、第二王子!?」
その言葉を聞いて、私は大声で言ってしまう。
突然の声に、クラスメイトたちは私に視線を向けた。
直ぐに私は両手で口を抑えると、先程まで机に突っ伏していたルークが起き上がる。
そのまま立ち上がり、私の顔を機嫌が悪そうな顔で睨む。
周囲のクラスメイトたちは、私を見てやっちまったな的な目線を向けていた。
「トウマ、俺授業出ねえで寮帰るわ。後、適当に言っといて」
「おい、ルーク。あんまり授業サボんなよ、うちらのポイントが減るだろ」
「問題ねぇって。減っても1点だけだろ、他の所で俺が巻き返せるから、大丈夫だろ。じゃ、よろしく」
そう言い残すと、ルークは教室から出ていってしまう。
「はぁ~全くあいつは、高等部になってから少し自由すぎるだろ」
「トウマ、ルークの手綱はしっかり握っておけよ。俺らだけならまだしも、寮全体にも関わるぞ」
「お前らな、少しは手伝えよ。幼馴染の俺任せにするな」
どうやら、第二王子ルークはサボり魔的存在だが、クラスとしてはそこまで重要な問題ではなさそうね。
にしても、あの不機嫌な顔をいきなり向けるのはビックリしたわ。
私が、悪いんだろうけど…だけど、第二王子って言われるだけであそこまでならなくてもいい気がするけど。
ひとまず、次の休み時間にでも接触してみようかな。
私はいきなり標的と接触でき、さらに同じクラスになれた事にラッキーだと思いつつ指定の席に座った。
その後、本当の先生がやって来て授業が始まった。
授業もなんとかついていけると実感し、ルーク探しをトウマに手伝ってもらったりしたが、結局その日はルークと会う事が出来なかった。
そして時間はあっという間に過ぎ、授業も終わり寮へと移動した。
寮の案内は本来、第3学年の寮長が行うが今の時期第3学年は、学外授業でいないので同室でもある、トウマが簡単に案内してくれた。
「ひとまず以上かな。また分からなけば聞いてくれ、同室だし気楽にいこうぜ」
「あ、あぁ。よろしく頼む」
寮の名前は、オービン寮と言うらしい。
代々、その年の寮長の名前がつくらしい。
寮には、食事など行う共有リビングがあり、脱衣所には複数の服を洗う機器がある。
号室名は、三桁で一番左の桁が学年で、残りの桁は1から順に部屋番号となっている。
部屋は、二人組で使うので意外と広いし、シャワーも1台完備されいる。
そこまでが寮共通の完備であるが、私が入った寮では小さい図書館や、魔法訓練所、立ち入ってはいけない謎の部屋がある。
最後の所は、トウマに絶対に入ってはだめだと念押しされた部屋だ。
そして私は今、部屋にて運び込まれていた荷物を、出したり片づけていると部屋の扉をノックする音が聞こえた。
トウマが声で返事をすると、扉が開く。
そこにはクラスメイトである、ライラックとリーガが少しダサい私服を着ていた。
ライラックは、クラス内で自分が頭が良いと思いこんでいるクラス最下位男で、リーガは、筋肉命で何でも筋肉に貢いでいる筋肉バカだとトウマに聞いたな。
「おいトウマ、置いてっちまうぞ」
「そうそう、お前の分の貰っちゃうぞ」
「分かってるよ。着替えてすぐ行くから、先行ってろ」
すると、ライラックとリーガは言われた通り先にどこかへ行ってしまう。
私はトウマにどこに行くのか尋ねると、トウマは一気に制服を脱ぎパンツ一丁になる。
不意打ちの裸に、私はすぐさま明後日の方向に視線を向けた。
トウマは着替えながら、私の問いかけに答えた。
「外出するんだよ。夜の街で遊ぶんだ。今日の為に外出権をポイントで買っといたんだよ」
「外出権?」
「あ~そうか。ポイント制度を説明してなかったか。でも今は時間がないし…委員長に頼むのも…そうだ、これに簡単に載ってるから」
トウマは一冊の本を私の方に投げてきた。
本を受け取ると、そこにはこの学院特有のポイント制度という内容が記載されていた。
ざっくり読むと、ポイントがもらえてそれと引き換えに色々と交換できるというものだった。
すると、トウマも私服に着替え終わる。
「それじゃ、俺も行くから。帰って来るのは遅いから、シャワーとか使って先に寝てていいからな。それじゃ」
「いってら……」
私はトウマが出ていったのを確認した後、扉を開けて廊下に誰もいないことを確認した。
そのまま扉を閉めベッドにダイブした。
「あぁぁぁぁーーーー疲れたーーー」
私はベッドに向かってうつ伏せで初めて私本来の声を出す。
以外と性別を偽って、皆の相手をするのも大変だと感じた一日だった。
それにルーク王子とも朝以来会えないし、なんか地雷を踏んだっぽいし、意外と最悪なスタートかも。
今日のことを振り返り、反省しながらも、とりあえず素に戻れる時間は貴重なので、先にシャワーを浴びてスッキリしようと思い立った。
私は少し鼻歌交じりに着替えを準備してシャワー室前に、誰もいない事をいいことに下着を置いてシャワー室に入った。
「いや~今日の疲れが洗い流される~」
シャワーを浴びていると、扉が開いた音が聞こえた。
だが、トウマはまだ帰って来ないと分かっているので、気のせいだと思っていると、突然シャワー室のドアをノックされる。
「!?」
まさかの事に、私は両手で体を隠す。
「お~い、シャワーか? トウマ?」
「(っ! この声、まさかルーク王子!?)」
「無視すんなよ」
いやいやいやいやいや、何でルーク王子がこの部屋に来てんの!?
トウマは外出してていないし、向こうは私がトウマだと思ってるし。
てか、ここで扉開けられたら私、おしまいじゃない……
私はシャワーを出したまま、息を殺してルークがこの場から去るのを待った。
「まぁいいや。トウマ、前に貸してた本返してもらうぞ」
そのままルークが、シャワー室前から離れて行く足音を聞いて安堵の息を吐く。
そして私は、部屋の扉が再び開くの待つが、なかなかその音が聞こえず、シャワー室の扉に耳を当てると急にノックされる。
驚き私は、扉から離れるとルークが呆れた声で話し掛けて来た。
「トウマ、お前の趣味に口出す訳じゃないが、もう少しバレない様にしろ」
「?」
何を言っているのか私には分からなかったが、そのままルークが部屋から出ていった音が聞こえた。
とりあえず危機は去ったと私は分かり、その場に座り込んだ。
数分後シャワー室から出た私は、先程ルークが言い残した意味が分かった。
「あ~なるほど……私の下着をシャワー室前に置いてたのを見て、あぁ言ったのね……」
私は、どうしようもなくトウマに謝罪したくなったが、それのおかげでバレずに済んだので感謝もしてその場で手を合わせた。
その後、トウマはどこからかの風の噂で、女性用下着を履く変態だと寮内で暫く噂になるのだった。
「ほらほら、早く席につけ」
学院のチャイムが鳴ると同時に、手を叩きながらクラス担当の先生がドアを開けて入って来る。
クラス内には男子しかおらず、席についても騒がしかった。
「お前ら少しは、二学年生としての意識はないのか。まぁいい、今日は転入生を紹介する。入ってこい」
クラス担当の先生の言葉に、クラスの男子たちは急に転入生へ興味を持つ。
「おっ、転入生とか珍しいな。どんな奴が、来るんだ」
「来るのは男でしかないでしょ。まぁ、どうせ僕より劣った奴だろうけどね」
「何、勝ち誇った顔してんだよ。前回の期末試験、クラス最下位だっただろうが」
「おいルーク聞いたか、転入生だってよ」
「……」
「って、寝てんのかよ。全くよ……おいおいお前ら。そんなに騒ぎ立てたら、転入生が怖がっちまうだろ。俺様のクラスに入って来てくれるんだ、しっかり歓迎してやろうじゃねぇか」
「トウマ、お前のクラスじゃない」
「あれ、こういうキャラあんま好きじゃない?」
そのままクラス内は転入生を無視したまま、勝手に騒ぎ続ける。
クラス担当がいい加減にうるさいと怒鳴ると、そこでやっとクラスメイトたちの騒ぎが収まる。
「少しは転入生の事も考えてやれ。突然こんなうるさいクラスに来たら、驚くだろ」
「いやいや、先生。後々知るより、先に知ってもらった方が俺たちもやりやすいっすよ」
「トウマあのな……」
そこで私は、クラス担当に軽く手を出して、勝手に自己紹介を始めた。
「俺の名は、クリス・フォークロス。フォークロス領主に養子として引き取られた。この王都メルト魔法学院にて学べる事を光栄に本当に思う。新参者だが、これからよろしく頼む。あと、俺のことはクリスと呼んでくれ、以上だ」
言いたいことを言い切り、スッキリした私だったが、クラス内は何故が静まり返っていた。
え、何か変な事を言ったか?
いやいや、マリアと練習した通り男っぽく舐められない自己紹介が出来たと自負しているんだが。
何故、目の前のクラスメイトたちは黙ってこっちを見ているだけなんだ。
すると、先程トウマと呼ばれていた男が口を開いた。
「へぇ~中々やるじゃねぇか、お前」
「え?」
「なぁ、お前らもそう思うだろ?」
何のことを言われているのか分からず、私は首を傾げてしまった。
「確かにな、大抵の坊ちゃんたちは俺たちの威力に押されて、ビビっちゃったりするもんな」
「そうそう、そんな奴がうちのクラスにいても、しょうもねぇだろ。だから、うちのクラスに転入してくる奴は全員試してんだよ」
「このクラスでやっていける奴かどうかをな」
最後の言葉が、隣にいるクラス担当から出て私は驚いた。
直後、クラス担当であったはずの人が、制服を着た学生になりクラスメイトたちの方へと歩いて行った。
クラスメイトたちは私に説明もなく、クラス担当に変身していた男を囲って騒ぎ出す。
「(な、何が起きているの? 何が何だか分からないんだけど! 助けてマリアー!)」
私が困惑していると、先頭列に座っていた男が説明してくれた。
「クリスだったかな? まずは、合格おめでとう。そして、このクラスへようこそ、歓迎するよ」
「合格? どういう事なんだ? 分かりやすく教えてくれ」
そこに、トウマがやって来て、私に説明してくれている男の肩に手を回した。
「委員長、クリスに説明頼む」
「はぁ~、それをいまからやるところだったんだよ、トウマ。ごめん話を戻そうか。僕はアルジュ。この学院では転入生は珍しくないんだ。その時クラス分けがされるんだが、それは先生たちがやるんでなく、各クラス事でその転入生が自分たちのクラスに相応しいか独自にテストするのさ」
「それは初耳だな。それは、寮とクラスが同じという事に関係あるのか?」
私の問いかけにアルジュは、その通りと指を向けると黒板に向かって絵を描きながら説明してくれた。
「王都メルト魔法学院の、全寮制は知ってるね。寮は全部で4つあり、寮では全ての学年が一緒に暮らしている。クラスも寮と同じメンバーで構成されるから、クラスに属するという事はこれからずっと寮でも同じというわけさ」
「そう。だから、転入生はクラスに馴染める奴かを、見極める試験をどのクラスもしているってことよ」
トウマがアルジュの説明に割っていいところだけ自慢げに語った。
それをアルジュは怒ることもなく、軽くため息をもらした。
その雰囲気から、これはいつもの事なんだと私は勝手に解釈した。
「つうわけで、これからよろしくなクリス」
トウマが出してきた手に、私は少し動揺したが、すぐに私も握り返して返事をした。
そこからクラスメイトの紹介をしてもらった。
クラスには約20名程しかいないし、寮生活もあるのですぐに覚えられると感じた。
そして、最後にトウマの後ろの席で突っ伏している金髪の男を紹介してもらった。
「おいルーク、起きろよ。新しいクラスメイトだ。起きて挨拶くらいしろよ」
「…んっ…あぁ……よろしく……」
ルークは机に突っ伏したまま、私の顔をも見ずに挨拶をする。
トウマは呆れた表情をしたのち、私に謝った。
「こいつ、いつもこうんだよ。興味ない事には極端に興味を示さないんだ。あっ、あと教えといてやるけど」
そう言ってトウマが、私に突然顔を近付けて来たので、咄嗟にのけ反ってしまった。
そこでまずいと思って、直ぐに体勢を戻した。
トウマは私の行動に少し、首を傾げたが気にせず小声で話し掛けてきた。
「ルークは、この国の第二王子なんだ。本人は、そう言われることを気にしてるから、普通に接してやってくれ」
「だ、第二王子!?」
その言葉を聞いて、私は大声で言ってしまう。
突然の声に、クラスメイトたちは私に視線を向けた。
直ぐに私は両手で口を抑えると、先程まで机に突っ伏していたルークが起き上がる。
そのまま立ち上がり、私の顔を機嫌が悪そうな顔で睨む。
周囲のクラスメイトたちは、私を見てやっちまったな的な目線を向けていた。
「トウマ、俺授業出ねえで寮帰るわ。後、適当に言っといて」
「おい、ルーク。あんまり授業サボんなよ、うちらのポイントが減るだろ」
「問題ねぇって。減っても1点だけだろ、他の所で俺が巻き返せるから、大丈夫だろ。じゃ、よろしく」
そう言い残すと、ルークは教室から出ていってしまう。
「はぁ~全くあいつは、高等部になってから少し自由すぎるだろ」
「トウマ、ルークの手綱はしっかり握っておけよ。俺らだけならまだしも、寮全体にも関わるぞ」
「お前らな、少しは手伝えよ。幼馴染の俺任せにするな」
どうやら、第二王子ルークはサボり魔的存在だが、クラスとしてはそこまで重要な問題ではなさそうね。
にしても、あの不機嫌な顔をいきなり向けるのはビックリしたわ。
私が、悪いんだろうけど…だけど、第二王子って言われるだけであそこまでならなくてもいい気がするけど。
ひとまず、次の休み時間にでも接触してみようかな。
私はいきなり標的と接触でき、さらに同じクラスになれた事にラッキーだと思いつつ指定の席に座った。
その後、本当の先生がやって来て授業が始まった。
授業もなんとかついていけると実感し、ルーク探しをトウマに手伝ってもらったりしたが、結局その日はルークと会う事が出来なかった。
そして時間はあっという間に過ぎ、授業も終わり寮へと移動した。
寮の案内は本来、第3学年の寮長が行うが今の時期第3学年は、学外授業でいないので同室でもある、トウマが簡単に案内してくれた。
「ひとまず以上かな。また分からなけば聞いてくれ、同室だし気楽にいこうぜ」
「あ、あぁ。よろしく頼む」
寮の名前は、オービン寮と言うらしい。
代々、その年の寮長の名前がつくらしい。
寮には、食事など行う共有リビングがあり、脱衣所には複数の服を洗う機器がある。
号室名は、三桁で一番左の桁が学年で、残りの桁は1から順に部屋番号となっている。
部屋は、二人組で使うので意外と広いし、シャワーも1台完備されいる。
そこまでが寮共通の完備であるが、私が入った寮では小さい図書館や、魔法訓練所、立ち入ってはいけない謎の部屋がある。
最後の所は、トウマに絶対に入ってはだめだと念押しされた部屋だ。
そして私は今、部屋にて運び込まれていた荷物を、出したり片づけていると部屋の扉をノックする音が聞こえた。
トウマが声で返事をすると、扉が開く。
そこにはクラスメイトである、ライラックとリーガが少しダサい私服を着ていた。
ライラックは、クラス内で自分が頭が良いと思いこんでいるクラス最下位男で、リーガは、筋肉命で何でも筋肉に貢いでいる筋肉バカだとトウマに聞いたな。
「おいトウマ、置いてっちまうぞ」
「そうそう、お前の分の貰っちゃうぞ」
「分かってるよ。着替えてすぐ行くから、先行ってろ」
すると、ライラックとリーガは言われた通り先にどこかへ行ってしまう。
私はトウマにどこに行くのか尋ねると、トウマは一気に制服を脱ぎパンツ一丁になる。
不意打ちの裸に、私はすぐさま明後日の方向に視線を向けた。
トウマは着替えながら、私の問いかけに答えた。
「外出するんだよ。夜の街で遊ぶんだ。今日の為に外出権をポイントで買っといたんだよ」
「外出権?」
「あ~そうか。ポイント制度を説明してなかったか。でも今は時間がないし…委員長に頼むのも…そうだ、これに簡単に載ってるから」
トウマは一冊の本を私の方に投げてきた。
本を受け取ると、そこにはこの学院特有のポイント制度という内容が記載されていた。
ざっくり読むと、ポイントがもらえてそれと引き換えに色々と交換できるというものだった。
すると、トウマも私服に着替え終わる。
「それじゃ、俺も行くから。帰って来るのは遅いから、シャワーとか使って先に寝てていいからな。それじゃ」
「いってら……」
私はトウマが出ていったのを確認した後、扉を開けて廊下に誰もいないことを確認した。
そのまま扉を閉めベッドにダイブした。
「あぁぁぁぁーーーー疲れたーーー」
私はベッドに向かってうつ伏せで初めて私本来の声を出す。
以外と性別を偽って、皆の相手をするのも大変だと感じた一日だった。
それにルーク王子とも朝以来会えないし、なんか地雷を踏んだっぽいし、意外と最悪なスタートかも。
今日のことを振り返り、反省しながらも、とりあえず素に戻れる時間は貴重なので、先にシャワーを浴びてスッキリしようと思い立った。
私は少し鼻歌交じりに着替えを準備してシャワー室前に、誰もいない事をいいことに下着を置いてシャワー室に入った。
「いや~今日の疲れが洗い流される~」
シャワーを浴びていると、扉が開いた音が聞こえた。
だが、トウマはまだ帰って来ないと分かっているので、気のせいだと思っていると、突然シャワー室のドアをノックされる。
「!?」
まさかの事に、私は両手で体を隠す。
「お~い、シャワーか? トウマ?」
「(っ! この声、まさかルーク王子!?)」
「無視すんなよ」
いやいやいやいやいや、何でルーク王子がこの部屋に来てんの!?
トウマは外出してていないし、向こうは私がトウマだと思ってるし。
てか、ここで扉開けられたら私、おしまいじゃない……
私はシャワーを出したまま、息を殺してルークがこの場から去るのを待った。
「まぁいいや。トウマ、前に貸してた本返してもらうぞ」
そのままルークが、シャワー室前から離れて行く足音を聞いて安堵の息を吐く。
そして私は、部屋の扉が再び開くの待つが、なかなかその音が聞こえず、シャワー室の扉に耳を当てると急にノックされる。
驚き私は、扉から離れるとルークが呆れた声で話し掛けて来た。
「トウマ、お前の趣味に口出す訳じゃないが、もう少しバレない様にしろ」
「?」
何を言っているのか私には分からなかったが、そのままルークが部屋から出ていった音が聞こえた。
とりあえず危機は去ったと私は分かり、その場に座り込んだ。
数分後シャワー室から出た私は、先程ルークが言い残した意味が分かった。
「あ~なるほど……私の下着をシャワー室前に置いてたのを見て、あぁ言ったのね……」
私は、どうしようもなくトウマに謝罪したくなったが、それのおかげでバレずに済んだので感謝もしてその場で手を合わせた。
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もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。
(頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)
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